Macular peeling-induced retinal damage: clinical and histopathological evaluation after using different dyes
Mario R. Romano, et al. (Italy)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 256(9):1573-1580, 2018
特発性ERMに対して、3つの組織染色によるILM剥離を行い、視力、網膜感度、組織のGFAP、NFを免疫組織科学的に評価
Prospective, randomized, comparative, interventional, and immunohistochemical study
ERM:組織学的には単純型と複合型の二つに分類
単純型:グリア細胞、laminocyteの単層からなり、GFAP(glial fibrillary acidic protein)抗体陽性で、ILMの上に直接増殖する。
複合型:PVD後の網膜表面にできたILMのわずかな欠損部を通して多層の細胞が侵入する。ERMは網膜表面だけではなく、網膜内外層の神経ダメージ、macroglia/microgliaの変化、Müller細胞内のGFAPの産生増加を生じる
GFAPは網膜のレセプター、cytoskeleton、glial extracellular matrixと相互作用し、細胞の癒着を生じる
GFAPがあるとMüller細胞とILM/ERMとの接着が強くなり、剥離を行った際の網膜ダメージが強くなるリスクがある。Neurofilament protein (NF)とともに、間接的に網膜障害の免疫組織化学マーカーとして使われる。
2016年6月と7月に行われた45例の手術において、ランダムに3つの染色によるオペを行った(30秒間染色) 各15例、全例air-fluid exchangeしている
Group1: Trypan blue (TB) 0.15%+ brilliant blue (BBG) 0.05%+lutein 2%
(Doubledyne, Kemin Pharma, Oeiras, Portugal)
Group2: TB 0.15%+ BBG 0.025%+ polyethylene glycol (PEG) 3350 4%
(Membraneblue-Dual, DORC International, Zuidland, The Netherlands)
Group3: indocyanine green (ICG) 0.05%
(Diagnostic Green Aschheim-Dornach Germany)
3群をStudent t testで2群ずつ比較している:
(*ANOVAや反復測定分散分析など3群の比較検定や比率の検定を使わないといけないのでは?)
結果:Lutein含有のGroup1が他のグループに比較して術後1,3ヶ月の視力と網膜感度の改善が早く、GFAPとNP発現量が少なかった
Luteinにより組織の癒着が減少したのか、あるいはLuteinによる抗酸化作用が、手術中のライトによる光毒性に対して保護的に作用したのか。(MM)