Characteristics of dry eye patients with thick tear film lipid layers evaluated by a LipiView II interferometer
Yunjin Lee, et al. (Korea)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol (2021)(1) 259:1235–1241
・涙液の油層の厚さ(LLT)を測定したドライアイ患者(DED)の特性を調査する。
・LipiView II眼球表面干渉計(TearScience Inc. アメリカノースカロライナ)は、涙液膜の干渉計パターンを分析することにより、ナノメートルの精度で涙液層のLLTを自動測定できる。
・102人のDED患者(女性88人で、男性14人、平均年齢56.4±11.8歳)の合計201眼は、平均LLTに従って3つのグループに分類された。薄いLLT(<60nm、n = 49)、通常のLLT(60〜99 nm、n = 77)、厚いLLT(>100 nm、n = 75)。LLT、meiboscore(マイボーム腺の消失面積)、Schirmer Iテスト、涙液層破壊時間(TBUT)、眼表面染色(OSS)、およびドライアイ疾患特異的質問紙票(OSDI)を評価した(正常: 0-12点、軽症: 13-22点、中等症: 23-32点、重症: 33-100点)。
・OSSとTBUTは、通常のLLTグループよりも厚いLLTグループの方が有意に悪かった(それぞれp = 0.020とp = 0.028)。
OSDIは、薄いLLTグループよりも厚いLLTグループの方が有意に高かった(p = 0.006)。
Schirmer I値は、通常のLLTグループ(11.56±7.20 mm)の方が薄いLLT(10.44±7.20 mm; p = 0.99、)および厚いLLTグループ(10.59±8.64mm; p = 0.99)よりも高かった。
meiboscoreは3つのグループ間で違いはなかった(p = 0.33)。
・年齢、OSS、OSDIは、LLTと正の相関を示した(それぞれr = 0.16、p = 0.023; r = 0.213、p = 0.003;およびr = 0.338、p = 0.001)。角膜びらんのある眼は、ない眼よりも有意に高い平均LLT(p = 0.015)、高いOSDI(p = 0.009)、短いTBUT(p <0.001)、および短いシルマーI値(p = 0.024)を示した。
・以前の研究では、薄い涙液膜脂質層が涙液膜の不安定性と重度のドライアイ症状に関連していることが報告されていたが、今回の調査では厚いLLTのドライアイでは、涙液層の破壊時間が大幅に短く、染色スコアが高く、重度のドライアイ症状があることを示した。角膜びらんのある眼の平均LLTは、ない角膜よりも厚いことが明らかになった。厚い LLTは安定した生理学的状態と見なされるべきではないことを示唆している。(CH)