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Graefe's Archives for Clinical and Experimental Ophthalmology

2021
259巻

N95マスクを着けて歩くと眼圧が少し上がる

Graefe's Archives for Clinical and Experimental Ophthalmology 259巻(75号)2021

Intraocular pressure responses to walking with surgical and FFP2/N95 face masks in primary open-angle glaucoma patients
Danica Janicijevic D, Beatríz Redondo B, Raimundo Jiménez R, Javier Lacorzana J, Amador García-Ramos A, Vera J (China)
Graefe’s Archive for Clinical and Experimental Ophthalmology  2021; 259, 2373–2378
DOI https://doi.org/10.1007/s00417-021-05159-3
【目的】
原発性開放隅角緑内障(POAG)患者において、歩行中にサージカルマスクとFFP2/N95フェイスマスクを着用することが眼圧に及ぼす影響を評価
【対象と方法】
・POAGと診断された13名21眼
・ベースライン時、400m歩行時、5分間の回復後に、サージカルマスク、FFP2/N95マスク、マスクなしを無作為な順序で装着した状態で眼圧を測定(Icare ic200)
・2種類のマスクを装着した場合と、マスクを装着しない場合の運動による眼圧変化を解析
【結果】
・安静時(ベースラインおよび回復時)は、どちらのマスク使用も眼圧値に影響を与えず(平均差0.1-0.6mmHg)
・身体活動時には、FFP2/N95マスクの着用により、サージカルマスクおよび対照条件と比較して、わずかではあるが(平均差は1-2mmHg)統計的に有意な眼圧上昇がみられた(Cohen’sd= 0.63および0.83)。
【結論】
SARS-CoV-2感染のリスクを最小限に抑えるためにマスクを使用する必要があり、POAG患者は安静時にFFP2/N95マスクおよびサージカルマスクを安全に使用することが可能である。しかし、FFP2/N95マスクで歩行中に眼圧上昇が観察されたため、POAG患者は可能であれば、身体活動時はサージカルマスクを優先的に使用すべきである。(MK)

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