Intravitreal injection of bevacizumab and triamcinolone acetonide at the end of vitrectomy for diabetic vitreous hemorrhage: a comparative study.
Park DH et al(South Korea)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 248(5): 641-50, 2010
・糖尿病性硝子体出血に対する硝子体手術後の硝子体内注入で、bebacizumab(IVB:1.25mg/0.05ml)とTriamcinolone acertonide(IVT:4mg/0.1ml)注入とどちらが良いかの比較を行った。
・139例156眼で、60例66眼にはIVB、31例33眼にはIVTを行い、48例57眼は何も注入しなかった。
・視力(BCVA)、眼内圧(IOP)、術後VHの頻度、12ヶ月以内の再手術について検討。
・1ヶ月以内のVHの頻度は、IVBでは8眼(12.1%)、IVTでは3眼(9.1%)、コントロール眼では21眼(36.8%)であり、IVB群(p=0.002)とIVT群(p=0.006)では有意に少なかった。
・1ヶ月以降の晩期のVH頻度は、IVBでは11眼(16.7%)、IVTでは3眼(9.1%)、コントロール眼では12眼(21.1%)であり、3群間に有意差はなかった。
・IVT群では術1日目のIOPが有意に高かった(p=0.002)が、3群間でBCVA、再手術率には有意差がなかった。
Are cefuroxime and vancomycin really safe on the corneal endothelial cells?
Ozlem TY et al(Turkey)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 248(3): 415- 20, 2010
・角膜組織の酸化/抗酸化の生化学的な変化から、前房内への抗生剤投与の角膜内皮への毒性について検討した。
・New Zealand rabbitsを使用し、cefuroxime群、vancomycin群、コントロール群(生食)を各10頭で検討した。
・片眼のみ使用し、それぞれ、0.1mlづつ注入。前、3時間、6時間後に摘出し、角膜厚と透明度、酸化ストレスのパラメータとして、malondialdehyude(MDA)とtotal thiol(SH)のレベルを測定した。
・角膜厚、透明度は問題なかったが、cefuroxime群では、SHが有意に低下し(p=0.001)、MDAレベルが有意に増加(p<0.001)していたが、vancomycin群ではこの酸化ストレスのパラメータには有意な変化はなかった。
・殊にCefuroximeを使用するときは、濃度に注意すべきである
Macular microcirculation before and after vitrectomy for macular edema with branch retinal vein occlusion.
Noma H et al(東京女子医大)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 248(3): 443- 5, 2010
・6名6眼のBRVOに対し硝子体手術PPVを行い、術前、術6か月後に、傍中心窩毛細血管の血流速度(BFV)をscanning laser ophthalmoscopeを使ったFA蛍光眼底検査で測定し、logMAR視力、網膜厚も測定した。
・網膜厚は有意に減少(464±98→224±55μm p=0.0082)、BFVは有意に増加(1.14±0.14→1.46±0.21mm/sec p=0.0013)、logMAR視力は有意に低下(0.57±0.34→0.17±0.21 p=0.0036:小数点視力では0.27→0.68)。
・PPVは傍中心窩の毛細血管血流を改善し、視力も改善させることができる
Corneal endothelial cell loss after trabeculectomy or after phacoemulsification, IOL implantation and trabeculectomy in 1 or 2 steps.
Soro-Martinez MI et al(Spain)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 248(2): 249-56, 2010
・2段階手術での角膜内皮細胞障害について検討した。
・60歳から83歳の62例80眼を手術を受けないコントロール群(n=21)、線維柱帯切除群(Group 1; n=21)、線維柱帯切除+IOL手術併用one step(Group 2; n=21)、two step(Group 3;n=17)に分けて検討。
・手術は6ヶ月から5年前に施行されており、two stepの場合、間は3カ月以上離れている。
・角膜内皮密度と%cell lossは、それぞれ、2619±319、2447±425(6.35%)、1968±342(24.85%)、1551±323cells/mm2(40.78%)で、併用手術は有意に低下していた。
・Hexagonalityの%は、51.10±8.41、51.4±6.88、45.13±8.40、42.37±9.53であったが、有意差はなかった。
Intraocular pressure measured by dynamic contour tonometer and ocular response analyzer in normal tension glaucoma.
Morita T(北里大)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 248(1): 73-7, 2010
・健康人16人30眼と正常眼圧緑内障16人30眼で、Goldmann applanation眼圧計(GAT)、Pascal dynamic contour眼圧計(DCT)、Reichert ocular response analyzer(ORA:角膜hysteresisを考慮した眼圧測定)で、測定した。
・解析はGAT-IOP、DCT-IOP、ORAからの2つの出力値:角膜補正した眼圧 IOPccとGoldmann補正した眼圧 IOPgと、中心角膜厚CCCである。
・正常者では GAT=13.2±1.4、DCT=13.0±1.6、IOPcc=13.6±2.0、IOPg=12.4±2.0、CCT=524.6±27.3μmで、眼圧値に有意差はなかった。
・正常眼圧緑内障では、GAT=13.1±1.3、DCT=13.7±1.3、IOPcc=15.2±2.0、IOPg=12.7±2.0で、この4つの測定値には有意差があり(p<0.01)、IOPccが有意に他の3つの値より高かった。
・CCT=515.4±32.9で正常者と有意差はなかった。
・このことから、NTGでは眼圧は低く査定されている可能性があると考えた。
Silicone oil induced glaucoma: A review
Ichhpujani P et al(PA USA)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 247(12): 1585 93, 2009
・シリコンオイル注入後の眼圧上昇、視神経症のメカニズムと対策をまとめたreview。
・眼圧上昇の機序は4つあるので、これを考慮して対処するのがよい
・1)前房にSOが満たされ、器械的な流出路閉塞による開放隅角緑内障
・2)SOによる瞳孔閉鎖による閉塞隅角緑内障
・3)SOが変性して微小滴になり線維柱帯を覆うことによる続発性開放隅角緑内障
・4)炎症あるいは前から存在した緑内障の悪化
Avastin use in high risk corneal transplantation.
Vassileva PI et al(Bulgaria)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 247(12): 1701 6, 2009
・ハイリスクな角膜新生血管のある全層角膜移植PKP後の14例14眼(平均年齢63.4歳:30-83歳)に対して、Avastinの結膜下、傍輪部、実質内注射(Graft failure例のみ)の効果を検討した。
・対象は角膜ヘルペスあるいは角膜火傷、進行した表面と深層に新生血管のある偽水晶体性水疱性角膜症、円錐角膜、遺伝性角膜変性での重症な角膜感染、角膜移植後の角膜症で新生血管のある角膜白斑である。
・1/4象限に対して 2.5mg/0.1mlのアバスチンを注入。
・graft failureの2例は移植前に新生血管部に、10例は移植直後に、そして、4例には経過観察中に注射した。
・2-8ヶ月(平均7.1ヵ月の経過観察で、新生血管消失は11例(78.6%)で、high riskであったにも拘わらず、12眼(85.7%)で観察終了時に角膜は透明であり、視力も良好であった。合併症はなかった
Equivalent tamponade by room air as compared with SF6 after macular hole surgery.
Hasegawa Y et al(九州大)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 247(11): 1455 9, 2009
・35歳から88歳(平均65.1歳)の151例156眼の黄斑円孔に対し、ILM剥離を併用した硝子体手術を行った。
・ガス群(91眼)では20%SF6ガスを注入、空気群(65眼)では部屋の空気を注入した。
・術前円孔直径はガス群は352μ空気群は370μで有意差なし。
・初回閉鎖率はガス群90.1%(うつぶせ期間7.44±1.66日)、空気群92.3%(うつぶせ期間3.83±0.97日)で期間には有意差があったが(p<0.0001)、初回閉鎖率には有意差はなかった(p=0.132)。
Shortening of the rod outer segment in Oguchi disease.
Hashimoto H et al(群馬大)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 247(11): 1561 3, 2009
・31歳の小口病の網膜をOCTで調査した。
・黄斑部は正常であったが、中央から3ミリ離れたところでは、IS/OSとRPEとの間隔が突然狭くなり、IS/OSラインが検出できなくなっていた。
・そこでは外顆粒層(ONL)の厚みが薄くなっていた。
・6mm程離れると、IS/OSラインは検出されるようになるが、IS/OSとRPEとの間隔はまだ狭くなっていた。
・周辺部の網膜厚は正常。この間隔の減少は視細胞外節が短くなっていることを示しており、それが、金箔様反射となっているのだろう。
Short- and long-term safety profile and efficacy of topical bevacizumab (Avastin) eye drops against corneal neovascularization.
Koenig Y et al(Germany)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 247(10): 1375-82, 2009
・27例30眼の通常の抗炎症治療に反応しなかった各種の進行性角膜新生血管眼に対し、bevacizumab点眼(5mg/ml)を1日5回, 0.5-12ヵ月使用し、角膜デジタル写真を解析した。
・5例5眼では新しい角膜上皮障害が発生、全例で薬剤に関連する眼局所、全身合併症はなかった。
・19例21眼で写真判定ができ、治療中の平均新生血管面積の減少は61%であり、血管径は24%減少した
Cerebrospinal fluid pressure and glaucomatous optic disc cupping.
Berdaho JP et al(MN USA)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 247(9): 1289 90, 2009
・本誌247(6号)のHayreh SS論文:[Editorial: Cerebrospinal fluid and glaucomatous optic disc dupping]が載っている。
・Hayrehは「脳脊髄圧CSFPが下がることによる、IOPとCSFPとのバランスのくずれが、篩板を後ろに下げ、緑内障性の視神経症を発症させるという理論には妥当性がない」と結論しているが、これにたいして、私は異議がある。
・Hayreyの結論は急性の変化だけを考えており、慢性の変化は考慮していない
Cerebrospinal fluid pressure and glaucomatous optic disc cupping (response to Berdahl and colleagues)
Hayreh SS(IA USA)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 247(9): 1291 4, 2009
・私の結論は「CSFPは緑内障による視神経乳頭陥凹に関与していない」というものであるが、それに対する Berdahlらの「低CSFPが篩板の後退と陥凹をつくる」という意見にはいくつかの根本的な欠陥がある。
・それは、緑内障性陥凹は脳圧亢進の時の乳頭浮腫の反対であるとの憶測から始まっていることだが、これはaxoplasmic flowの欝滞であり、無関係だ。低CSFPが視神経乳頭陥凹を来たすとの科学的根拠は何もない。
Measurement of PO2 during vitrectomy for central retinal vein occlusion, a pilot study.
Williamson TM et al(UK)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 247(8): 1019 23, 2009
・虚血性CRVOで硝子体手術、RONを行った6例と、黄斑円孔などで硝子体手術を行った6例で、酸素probeを硝子体手術開始前と終了後に硝子体内(硝子体中央部と網膜前硝子体)に挿入してPO2を測定した。
・コントロール眼の術前のPO2は、網膜直前は15.0±5.7mmHgで、硝子体中央部 33.7±12.8より有意に低かった。
・CRVO眼でも、術前は網膜直前は 8.1±3.5で、中央部 19.8±7.3より有意に低く、コントロール眼よりも有意に低かった。
・術後はPO2は有意に上昇し、コントロール眼は網膜直前 75.8±9.1、中央部 61.5±13.9、CRVO眼は網膜直前59.8±15.8、中央部 53.7±17.9であった。
Presumed Vogt-Koyanagi-Harada disese with unilateral ocular involvement: report of three cases.
Usui Y et al(東京医大)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 247(8): 1127 32, 2009
・単眼のみに典型的なVKH病を持った3例を報告した
Intravitreal injection of 0.3ml of SF6 gas for persistent subfoveal fluid after scleral buckling for rhegmatogenous retinal detachment.
Itakura H et al(群馬大)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 247(8): 1147 50, 2009
・強膜内陥手術後(3か月目と5ヶ月目)に黄斑部のみに網膜剥離が残存した2症例に0.3mlのSF6ガスを注入し、3日から4日間うつぶせ姿勢を取った所、黄斑下の液はすぐに周辺部に移動し、その後、徐々に吸収した。
Comparison of two doses of primary intravitreal bevacizumab (Avastin) for diffuse diabetic macular edema: results from the Pan-American Collaborative Retina Study Group(PACORES) at 12-month follow-up.
Arevalo JF et al(Venezuela)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 247(6): 735 43, 2009
・初回治療で、Avastin 1.25mgあるいは2.5mgを使用し、12ヶ月後(平均57.6±8.4週)のDMEの変化を検討した。
・対象は82例101眼の平均年齢59.7±9.3歳のDMEである。
・IVB注射は平均3回(1-6回)で間隔は14.1±10.5週である。
・2.5mg群と1.25mg群とに改善量には差がなかった。
・合併症は1例で一過性血圧上昇、1例で一過性眼圧上昇、1眼で牽引性網膜剥離があった。
Long axial length as risk factor for normal tension glaucoma.
Oku Y et al(千原眼科)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 247(6): 781 7, 2009
・白内障手術単独あるいは、緑内障手術併用手術を受けた患者のレコードを調査した。
・87例のNTG、137例のPOAG、978例の正常者である。
・眼軸長はNTG群:24.2±1.6、POAG群:24.3±1.7、正常群:23.6±1.4であり、NTG群(OR=1.24 p=0.002)、POAG群(OR=1.28 p=0.001)で有意に眼軸が長かった。
・POAG、NTGでは、眼軸長が25mm以上の比率が多かった(odds=2.29 p<0.001)。
Diurnal variation of macular oedema in CRVO: prospective study.
Gupta B et al(UK)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 247(5): 593 6, 2009
・CRVO患者は朝、見にくさを訴える場合がある。
・OCTで9, 11, 13, 15, 17時に中心網膜厚(CMT)を測定し、9時、17時では視力も測定した。
・症例は40~80歳(m=59.4)で、CRVO持続期間は平均5.4カ月(3-9か月)。
・median CMTは朝9時は571が、17時には475μで有意に低下(p<0.05)していたが、視力には影響がなかった。
・血圧変動、網膜代謝、起立姿勢などが関与しているだろう
Evolution of lamellar macular hole studied by optical coherence tomography.
Theodossiadis PG et al(Greece)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 247(1): 13-20, 2009
・lamellar macular hole(LMH)の41例41眼で検討した。
・経過観察期間は平均37.1ヵ月(24-54カ月)で、最高視力BCVA、LMH開口の直径、中心窩厚、網膜前膜ERM、PVD、硝子体網膜牽引について検討した。
・LMH開口の直径は平均13.7%開大し、その増大量とERMの存在は統計学的に有意な関連があった。
・中心窩厚は最初と最後の観察では有意に薄くなっており、これは視力低下と相関していた。
・BCVAは30眼(78%)で不変、11眼(22%)で低下していた。
・11眼中8眼では視力低下は2-15 lettersであった
Combined intravitreal triamcinolone injection and laser photocoagulation in eyes with persistent macular edema after branch retinal vein occlusion.
Riese J et al(Switherland)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 246(12): 1671-6, 2008
・24例(年齢中間値73歳:51-89歳)のBRVO、15例はnon-ischemic、9例がischemicで、黄斑浮腫による視力低下が0.5以下で、以下のいずれかに該当する例。
・黄斑浮腫が3か月以上持続、or、視力が徐々に低下している、or、光凝固、TA硝子体注射、抗VEGF注射、ILM剥離後に黄斑浮腫の再発した例である。
・4mgTAを硝子体内注射し、黄斑浮腫が再発したらできるだけ早く光凝固を行い(100-150ms)、6か月まで経過観察。
・視力改善は0.58 logMAR(小数点0.27)から、1ヶ月後:0.41 logMAR(0.39)、3ヶ月後:0.33 logMAR(0.47)、6ヶ月後:0.41 logMAR(0.39)に改善。
・中心窩厚は423μm→270(1M)→265(3M)→266(6M)と改善