Does the surface property of a disposable applanation tonometer account for its underestimation of intraocular pressure when compared with the Goldmann tonometer?
Osborne SF et al(UK)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 245(4): 555-9, 2007
・Disposable tonometerは Ceutzfeldt-Jakob病の感染などから広く使われるようになった。
・Luneau Ophthalmologieからの TonojetがIOPを過小評価することがわかったが、その理由が眼圧計の表面の特性によるのではないかと考え、検討した。
・フルオレセイン液と眼圧計との間の界面張力から発生する吸引力を張力計で測定したが、この力はIOP測定値に影響するほどの差はなかった。
・Tonojetの先端はGoldmannよりも親水性であるため、液体の接触角は大きくなり、より多くの水分が溜まる。これがIOP過小評価の理由であろう。
・誤差をなくすには、大きな水溜めができたときのデータを棄却することが大切である。
Effect of uncomplicated phacoemulsification on the central retina in diabetic and non-diabetic subjects.
Degenring RF et al(Germany)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 245(1): 18-23, 2007
・小切開PEA+IOL移植(平均手術時間 11.5±6.6分)で合併症のなかった108眼(24眼はDM患者)で、術前、1日後、1週間後、4週間後にOCTで中心窩厚みを測定した。
・術後黄斑浮腫を起こしそうな眼、術前から黄斑浮腫のある眼、経過中にCMEを発症した眼は除外した。
・OCTで最小中心窩厚(MFT)、500μ内の中心窩容積(CFV)、視力を測定。
・logMAR 術前 nonDM=0.42±0.21(0.38) DM=0.45±0.24(0.35)、4週後 nonDM=0.09±0.11(0.81) DM=0.20±0.22(0.63)でnonDM vs DM間に有意差(p=0.001)。
・MFTの術前、4週後は nonDM=182±27→188±30(p=0.002)、DM=187±28→204±54(p=0.057)。
・翌日、1週目では両群とも増大傾向はなかったが、4週後では両群とも増大しており、nonDM vs DMは p=0.058で、DM者でより増大傾向があった。
・CFV(μm3)では1週後、4週後ともに有意に増大。
・nonDM=263±28→270±30(p=0.001)→278±34(p<0.001)、DM=262±33→272±38(p=0.004)→283±52(p=0.009)であったが、4週目の nonDM vs DMは p=0.565で有意差なし。
・subclinical黄斑浮腫を来たす例は、nonDMでは約1/5、DMでは約1/3であった。
・術後4週間以内にsubclinical黄斑浮腫を発症する例は、予想外に多かった
Postoperative retinal break after 25-gauge transconjunctival sutureless vitrectomy: report of four cases.
Okuda T et al(金沢大)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 245(1): 155-7, 2007
・2004年4月から05年9月までに25G硝子体手術を行なった75眼の内、4眼に術後網膜裂孔を発症した。
・4眼はいずれも特発性黄斑円孔例であった
Pars plana vitrectomy and panretinal photocoagulation combined with trabeculectomy for successful treatment of neovascular glaucoma.
Kiuchi Y et al(大阪)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 244(12): 1627-32, 2006
・DM網膜症による新生血管緑内障25眼に硝子体手術+PRP+MMC線維柱帯切除を行なった。
・全例、水晶体除去を行い、線維柱帯切除術はlimbal-baseで行ない、5分間MMC作用させた。
・増殖群の9眼(硝子体出血、繊維性血管膜 and/or 網膜剥離)と、光凝固PC群の16眼(上記のない群)で検討した。
・術後眼圧が21mmHg以下で視力が光覚を保ったものを成功とした。
・増殖群では55.6%(1年後)、18.5%(2年後)が成功。
・PC群では81.2%(1-3年後)が成功で、有意に良かった(p=0.009)。
・増殖群でも網膜剥離、線維血管膜のある例では全例悪かった
Carboxymethylcellulose as a new carrier substance for intravitreal injection of reproducible amounts of triamcinolone.
Kube T et al(Germany)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 244(11): 1385-90, 2006
・triamcinoloneは防腐剤としての benzyl alcoholなどを含んでいるので、これらを除去し、40mg/1mlから4mg/0.2mlにする方法の検討。
・A) 0.1mlを1ml注射器にとり沈降させる。
・B) 0.1mlを2.5ml注射器にとり、5μフィルターにつないだ10ml滅菌水で4回出し入れし、最後に0.2mlでback-flushさせる(防腐剤は1%になる)
・C) 0.1mlを2.5ml注射器にとり、5μフィルターにつないだ3方活栓を用いて、2mlの滅菌水で4回洗浄し、最後に0.2mlでback-flushさせる(防腐剤は0.0006%になる)
・D) 0.1mlを2.5ml注射器にとり、5μフィルターにつないだ3方活栓を介して0.9%生食を加えた後に濾過、これを4回繰り返し、最後に2%炭酸メチルセルロース(CMC)でback-flushし、0.4mlとする。フィルター残存確認のため、もう一度、2%CMCで新しい注射器にback-flushさせて混ぜ、同じフィルターを通して0.1mlに減量させた。
・濃度測定結果はA)45%±7.3%、B)15%±6.9%、C)11%±3.2%、D)93%±3.7%であった
In-patient management and treatment satisfaction after intravitreous plasminogen activator injection.
Mozaffarich M et al(Austria)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 244(11): 1421-8, 2006
・AMDによる1乳頭径以上の網膜下出血101例につき、25μgの遺伝子組換TPA(rTPA)と0.5ml SF6ガスを硝子体内に注射し、1週間のうつ伏せ姿勢を行なった。
・12ヵ月後に75%の患者は視力上昇が得られたが、治療に満足した人は12%だけであった。
・67.4-87%の患者が治療に不満があった。
The effects fo interocular differences in retinal illuminance on vision and binocularity.
Chang YH et al(South Korea)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 244(9): 1083-8, 2006
・両眼視機能正常で視力1.0以上の50名のボランティア(20-35歳)で、最高視力、融像、両眼視機能が網膜照度の低下によってどの程度影響されるかについて検討した。
・実験室の照度を240Luxに保ち、右眼のみに0.2 logのNDフィルターを挿入し、右眼の視力、両眼視機能の変化について検討。
・右眼の視力ならびに両眼の融像(垂直2°、水平1°のスライドを使用)は2.0 NDで有意に低下し、Titmus Stereo Testでは、1.4NDで、Lang Testでは1.6NDで有意に低下した。
Effect of application duration of 2% lidocaine jelly on aqueous lidocaine concentration for topical anesthesia in cataract surgery.
Kwok AKH et al(Hong Kong)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 244(9): 1096-110, 2006
・白内障手術時の、2%lidocaine眼軟膏点入効果を調べた。
・作用時間は20.3±6.1分で、前房内lidocain濃度は14.2±8.5μg/mlであった。
・作用時間が長ければ長いほど、前房内lidocaine濃度は高かったが(p<0.001)、作用時間や前房内濃度は、10分以上作用させた場合には、患者の訴える痛みスコアとは関連はなかった
Postoperative endophthalmitis: a 14-year review.
Wu PC et al(Taiwan)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 244(8): 920-9, 2006
・1991.1-2004.8の14年間の30,219例のうち、術後眼内炎は56眼(0.19%)で発症。
・46眼は白内障手術後、6眼は全層角膜移植後、2眼は濾過手術後、1眼はIOL2次挿入後、1眼は硝子体手術後であった。
・培養陽性は31眼(55%)。最も多かったのはcoagulase(-)のブドウ球菌であった
Effect of photodynamic therapy on the function of the outer blood-retinal barrier in an in vitro model.
Mennel S et al(Germany)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 244(8): 1015-21 , 2006
・PDTは外血管網膜柵(BRB)を破壊し、RPE細胞に影響を与えるかどうかをin vitroモデルで検討した。
・人のRPE細胞を培養し、経上皮電気抵抗(TER)とフルオレセイン透過性により柵機能ができたのを確認。
・692nmのレーザーだけ、verteporfinだけ、両者を併用し、RPEの柵機能の変化を調べた。
・レーザーだけ、verteporfinだけでは変化はなかったが、両者を併用した場合には4時間以内にTEMが有意に低下した。
・また、通常の治療の濃度である2mg/mlよりも濃い濃度で作用させた場合にはすぐにTEMが低下した。
・レーザーと通常の濃度でのverteporfinの併用では、形態学的ならびに機能的なRPEの外BRB機能の障害が発生するが、RPE細胞自体には障害は発生しなかった。
・ただ、濃度を濃くした場合にはRPE障害も発生する可能性がある
Vitreous prolapse and IOL dislocation during intravitreal injection of triamcinolone acetonide.
Degenring RF et al(Germany)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 244(8): 1043-4, 2006
・614眼に723回のケナコルトA(20mg/0.2ml)を注入前に前房穿刺を行ない硝子体内注射。
・注射中に3眼(0.49%)で硝子体の前房内脱出があり、その1例ではIOL偏位がみられた。
・この3眼は全て後嚢破損があり、IOLは毛様溝固定であった。
Decreased blood flow at neuroretinal rim of optic nerve head corresponds with visual field deficit in eyes with normal-tension glaucoma.
Sato EA et al(慶応大)
Graefe’s Arch Clin Exp Ophthalmol 244(7): 975-801, 2006
・54名54眼のNTGで、Heidelberg retinal flowmeter(HRF)を用い、視神経乳頭辺縁部の血流量を上下に分けて測定。
・対象は上方あるいは下方視野欠損のある人に限定した。
・視神経乳頭上下の平均血流量(MBF)を計算し、MBFの上下比(S/I比)を計算した。
・上下視野欠損に対応する上下部位の視神経乳頭辺縁血流量は対側よりも減少していた。
・上方視野欠損のあるMBFのS/I比は、下方視野欠損のあるMBFのS/I比よりも有意に大きかった(1.46 n=37 vs 0.79 n=17, p<0.0001)。
・NTGにおける血流の減少は機能低下と相関していた
Excimer lase trabeculotomy: a new, minimally invasive procedure for patients with glaucoma.
Wilmsmeyer S et al(Germany)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 244(6):670-6,2006
・Excimer laser trabeculotomy(ELT):endoscope-guided probe(1.2mj, 60ns, 20Hz)で線維柱帯に10個の穴を開けた。
・術前(T0)、2-4ヶ月後(T1)、5-7ヶ月後(T2)、11-13ヵ月後(T3)、22-26ヵ月後(T4)で検討
・眼圧が21mmHg以下か、20%以上の眼圧低下があれば成功とした。
〇 ELT群(75例)
・眼圧:24.1 mmHg±0.7 (T0, n=69)、18.8±0.4 (TI, n=66)、20.0±0.5 (T2, n=51)、18.8±0.8 (T3, n= 37)、16.8±1.0 (T4, n=15) であったが、28% では眼圧下降が不十分で再手術が必要であった。
・成功率:Kaplan-Meier生命表分析60% (T1)、49% (T2)、46%(T3)
・抗緑内障点眼薬数:1.9±0.1 (TO)、1.2±0.2 (TI)、1.3±0.2 (T2)、1.8±0.2 (T3)、1.5±0.3 (T4)
〇 超音波乳化吸引(PEA)+ELT群(60例)
・眼圧:22.4 mmHg±0.6 (TO, n=57)、16.5±0.4 (T1, n=52)、16.1±0.5 (T2,n=40)、16.4±0.4 (T3, n- 35)、12.8±1.5 (T4, n=4)であったが、7% で再手術が必要であった。
・成功率:Kaplan-Meier生命表分析85%(T1)、74% (T2)、66% (T3)
・抗緑内障点眼薬数:1.1±0.2 (TO)、0.9±0.2 (T1)、1.1±0.2 (T2)、1.2±0.2 (T3)、1.8±0.9(T4)
・ELTは殊に白内障手術と同時に行なえば最低1-2年は有効である
Tempolary amniotic membrane patch for the treatment of pterygium : mechanism of reducing the recurrence rate.
Ye J et al(China)
Graefe’ Arch Clin Exp Ophthalmol 244(5): 583-588, 2006
・20眼の翼状片に対し、大きく単純切除した後、AMでパッチし、5日後にAMを除去
3年以上の経過観察で、再発無し
・以前の報告では、AMを除去しなかった時の再発率は、15%
・AMを除去することにより、増殖因子を除去できるのではないか
Visual acuity and X-linked color blindness.
Jagle H et al(Germany)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 244(4):447-53,2006
・視力は同一の感度を持った錐体の微細な配列を必要とする。
・従って、中心窩に視感度が同じ錐体で形成されている2色覚(13名)と、正常3色覚(8名)で視力に差があるかを検討。
・視力計は Freiburger Visual Acuity Testを使用して、連続的にforced-choiceで測定
・2色覚の表現型:1型(4例)、2型(9例)
・2色覚の遺伝子型:x染色体上に1個の視色素遺伝子を持っている single-gene dicromat(6例)、複数の視色素遺伝子をもっており、全てが同じ長あるいは中波長感受性視色素に encodeされている multi-gene dicromat(7例、ただし1例は遺伝子型が異なっており、今回の検討から除外した)
・正常3色覚と表現型での2色覚、あるいは、2色覚の1型、2型の間には差はなかった。
・multi-gene dichromatは正常3色覚、single-gene dichromatよりも有意に視力が良かった。single-gene dichromatは正常3色覚よりも視力は悪かったが、有意差はなかった
・multi-gene:OD対数視力0.296(視力1.98)±0.024、OS 0.305(2.02)±0.036
・single-gene:OD対数視力0.225(視力1.68)±0.058、OS 0.222(1.67)±0.043
・normals:OD対数視力0.257(視力1.81)±0.032、OS 0.249(1.77)±0.036
・multi-gene dichromatは、異なった錐体からの信号を統合したり、網膜像ボケの錐体特異的パターンの結果などに起因する高次チャンネルでの色収差や色ノイズがない為、視力が良いのであろう
Intraocular humidity immediately after fluid-air exchange in pars plana vitrectomy.
Eter N et al(Germany)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 244(3):305-8,2006
・人工眼6眼、摘出豚眼6眼、患者眼10眼で、液空気置換後に湿度8%の乾燥空気と、湿度75%の湿潤空気で2分間還流し、硝子体内の湿度を測定した。
・人工眼では、直後約50%→14.4%(dry air)、71.9%(moist air)。
・摘出豚眼では、直後約60~70%→68.4%(dry)、74.6%( moist air)。
・患者眼では、直後60~70%→90.5%(dry)、93.8%( moist air)。
・生体では周囲組織の細胞外液、循環により湿度が保たれるが、これが evaporation stress による障害をもたらす可能性がある
Inhibitory effect of triamcinolone acetonide on corneal neovascularization.
Murata M et al(岩手医大)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 244(2):205-9,2006
・線維芽細胞増殖因子(bFGF)の塊を角膜内に留置した直後に、TA(2mg)を4羽の家兎の結膜下に注入し、4週間後に角膜新生血管の抑制があるかどうかを検討。
・TAの代わりに水を注入したコントロール眼では新生血管が発生していたが、TA注入群では有意に抑制されていた
Central scotoma associated with intraocular silicone oil tamponade develops before oil removal.
Herbert EN et al(UK)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 244(2):248-52,2006
・シリコンオイル注入眼で、中心暗点を発症した5例の報告(年齢32~57歳)。
・5例とも黄斑剥離のない網膜剥離(4例は巨大網膜裂孔、1例は多発裂孔)に対する硝子体手術でSOを注入した。
・1ヶ月目(SO眼)の視力は4例で0.5以上であったが、中心暗点発生によりlogMAR視力は平均 0.93(視力 0.12)に低下した。
・中心暗点の発生時期は平均2.7ケ月(1ヶ月~5ヶ月)。
・30mmHg以上の眼圧上昇は2例であり、2週間目に31と34であったが、1ヶ月目で眼圧上昇のみられた例はなかった。
・低眼圧は全例でなかった。
・SO抜去後にFAG、OCTでは異常はみられなかったが、パターンERGでは4例で黄斑機能障害が検出された。
・中心暗点の原因は分からないが、視機能の良い人ではSOはできるだけ早く抜去した方が安全であろう。
A novel technique of ab interno glaucoma surgery : follow –up results after 24 months.
Pajic B et al(Swizerland)
Graefe’ Arch Clin. Exp Ophthalmol 244(1): 22-7, 2006
・sclerothalamotomy ab interno 53眼の術後24ヶ月の結果
・high frequency diathermic probe(Oertli)
tipの長さx縦幅x横幅 1×0.3×0.6mm
・1.2mmの角膜切開を上耳側と120°離れた鼻側に2ヶ所つくり、HealonVを注入後、隅角レンズを用いて、TMからSCにtipを1mmまで刺入し、1象限に4ヶ所行う。
・術前眼圧25.6±2.3 3ヶ月目から眼圧は安定し、15.1±1.8、24ヶ月:15.0±1.6
・24ヶ月で、眼圧21mmHg以下で、点眼の必要の無いものは、90.6%
・合併症:hyphema(7),眼圧の一時的な上昇(12)、白内障(3)
Intravitreal triamcinolone injection for chronic diabetic macular oedema with severe hard exudates.
Avci R et al(Turky)
Graefe’ Arch Clin Exp Ophthalmol 244(1): 28-35, 2006
・28例33眼のCCME+severeHEを2群に分ける
・Ⅰ群17眼:plaque状のHE、Ⅱ群16眼:散在性HE
・4mgIVTA後6ヵ月以上の経過観察
・全例でHEの消失(Ⅰ群:24%、Ⅱ群50%)、減少し、再発は無し
・CMEは12ヶ月で、60%の再発、それと共に、視力の低下