Multimodal imaging for detecting metamorphopsia after successful retinal detachment repair.
Schawkat M et al(Switzerland)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 258(1): 57-61, 2020
・黄斑剥離のあった網膜剥離の成功した硝子体手術後の変視症について検討した。
・術後3,6週間後の視力、眼底写真、アムスラーチャート、SD-OCT、自発蛍光FAFを検査した。
・連続する49例50眼のうち、12眼(24%)で変視症を訴えており、その主因は網膜剥離治癒後の網膜偏位(p<0.001)と黄斑雛壁(p=0.03)であった。
・網膜偏位はFAF検査で陽性の過蛍光としてみられる網膜血管影像から判断した。(TY)
Incorrect sleeping position and eye rubbing in patients with unilateral or highly asymmetric keratoconus: a case-control study.
Mazharian A et al(France)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 258(11): 2431-2439, 2020
・左右差が強い円錐角膜(Unilateral or Highly Asymmetric Keratoconus:UHAKC)患者について、眼球の擦りと睡眠時体位について、33名の患者と64名のCtrl者にアンケート調査を行い、その結果を検討した。
・平均年齢はいずれも28歳から29歳である。
・アンケート内容は、円錐角膜の家族歴、眼球を擦るかどうか、寝る時の体位である。
・UHAKCに有意に多かったのは、単変数解析と多変数解析では、昼間の眼球擦り(OR=173とOR=135)、朝の眼球擦り(OR=24とOR=25)、KCが強い方の眼を擦る(OR=22とOR=28)、アレルギーがある(単OR=2.9)、朝充血がある(単OR=6.4)、腹ばいで寝る(OR=14とOR=65)、KCが強い方の眼を下にして寝る(OR=95とOR=144)であった。(TY)
Intraocular pressure increases during dynamic resistance training exercises according to the exercise phase in healthy young adults.
Vera J et al(Spain)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 258(8): 1795-1801, 2020
・下半身、上半身の筋肉トレーニングと眼圧変化について検討した。
・コンセントリック運動Concent:重力に逆らった運動、エキセントリックEccen:下ろす運動。
・運動中は有意に眼圧が上昇し(p<0.001)、特に、立ってバーベルを乗せてのバックスクワットのEccent運動や上腕2頭筋運動のConcent運動で眼圧上昇が強く、バックスクワットがより強かった(p<0.001)。
・筋肉のサイズが大きいほど、時間が長くなるほど強くなった。
・バックスクワットのEccent:15→30、Concent:15→20、上腕2頭筋のConcent:15→25、Eccent:15→22mmHgまで上昇。(TY)
A Trinity regimen with aflibercept for treatment-naïve neovascular age-related macular degeneration: 2-year outcomes
Wakuta M, Nomi N, Ogata T, Ota M, Yamashiro C, Hatano M, Yanai R, Tokuda K, Kimura K(山口大)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 2020 Aug;258(8):1663-1670. doi: 10.1007/s00417-020-04745-1.
【目的】
未治療の新生血管加齢黄斑変性(nAMD)に対するTrinityレジメンの優位性を評価
【方法】
・未治療のnAMD患者31眼を対象に、TrinityレジメンによるAfribercept硝子体内注射(IVA)を行い、24か月後に評価
・再発の頻度に応じて、pro re nata(PRN)、treat and extend(TAE)、固定レジメンの3つの治療法を変更
・初回導入後、再発間隔に応じてPRNまたはTAE(4週または8週後で開始)を選択
・その後、絶えず再発する場合は、TAEから固定レジメンに移行
・再発頻度が不規則になった場合は、TAEに変更
【結果】
・初回治療後、
15眼(48.4%)がPRN群に、
12眼(38.7%)がTAE8週間群に、
4眼(12.9%)がTAE4週間群に割付け
・平均視力(logMAR)は、
ベースライン時0.53±0.40→24ヵ月時0.36±0.34(p<0.01)、
PRN群(0.63±0.46→0.42±0.43,p<0.01)、
TAE8週間群(0.44±0.29→0.27±0.19,p<0.05)において全例で有意に改善
・TAE4週間群のLogMARは維持
・PRN群、TAE8週群、TAE4週群の全平均注射回数はそれぞれ9.7回、5.3回、13.1回、15.8回であり、PRN群が有意に少なかった(p<0.01)
【結論】
Trinityレジメンは、PRN・TAE・固定レジメンの利点を提供しながら、視力低下なく治療初期段階での注射を最小限に抑えることができた。(MK)
Efficacy of bevacizumab injection after pterygium excision and limbal conjunctival autograft with limbal fixation suture.
Yang HK, Lee YJ, Hyon JY, Kim KG, Han SB.(Korea)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol. 2020 Jul;258(7):1451-1457.
doi: 10.1007/s00417-020-04704-w. Epub 2020 Apr 24. PMID: 32333103.
【目的】
・翼状片切除術後の、結膜下ベバシズマブ注射の有効性を検討
【対象と方法】
・原発性の翼状片患者150名のうち、結膜切除後に3種類の手技を受けた患者をレトロスペクティブに比較
(A群)遊離結膜移植を行った49眼、
(B群)A群の方法に加えて輪部結膜固定縫合(を行った48眼、
(C群)B群の方法に加えてベバシズマブ結膜下注射を行った53眼
・術前の前眼部写真を用いて画像解析を行い、相対的な長さ・相対的な幅・相対的な面積・血管性指標などのパラメータを測定
【結果】
・1年後の再発率は、A群で18.4%(9/49)、B群で8.3%(4/48)、C群で1.9%(1/53)(P = 0.004)
・多変量解析の結果、
C群の患者はA群と比較して再発リスクが有意に低下した(P=0.009)のに対し、A群とB群では再発リスクに有意な差はなく(P=0.227)、B群とC群では再発リスクに有意差はなかった(P=0.068)、血管性指数が高いほど再発リスクの増加と有意な相関があった(P = 0.008)
【結論】
・遊離結膜移植および輪部結膜固定縫合とベバシズマブ注射の併用は、翼状片切除後の再発を効果的に減少させる可能性がある
・翼状片の血管性は再発リスクの高さと関連していた
*ベバシズマブはgraftの上・下・鼻側にそれぞれ1.25mg/0.05ml結膜下注(MK)
Diagnostic power of scleral spur length in primary open-angle glaucoma.
Li M et al(China)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 258(6): 1253 -1260, 2020
・POAGと正常眼とをscleral spur(強膜岬、強膜棘突起)の長さで鑑別できるかを検討した。
・78例78眼のPOAGと年齢、性、眼軸長をマッチさせた正常眼93例93眼で検討した。
・SS-OCTで調べたSS長は、POAG眼では正常眼に比して有意に短かった。
・測定法Ⅰでは164.91±23.36:197.60±25.32、測定法Ⅱでは145.15±16.59:166.95±19.31、測定法Ⅲでは162.33±22.83:185.12±23.58μm(いずれもp<0.001)。
・測定法Ⅰでは、シュレム管面積とSS長とは、POAGでも正常者でも有意に相関していた。
・SS長はPOAGと正常者を有意に区別しうる生体指標となりうると考えた。
・測定法Ⅰ:scleral spurを形成する強膜の前後中央部から棘突起先端までの距離(a)、Ⅱ:棘突起先端からシュレム管後壁へ下ろした垂線の距離(b)、Ⅲ:棘突起先端からSCの後端までの距離(C)、SS開口幅:SC後端からSS後端までの距離(d)、SC面積:freehandで描いたSCの面積。
・SSを形成する弾性線維は毛様体筋やTMの弾性線維と共にSC内壁周囲組織を形成しており、SSはSCを支える組織で房水流出能を支援する組織と考えられており、SS長が短いと毛様体筋が少なく、TMの接着も少ないことが知られている。
・このため、毛様体筋の収縮がSSを牽引する力が少なく、SC腔が十分開かない。
・ROC曲線(受信者動作特性曲線)での解析では、測定法Ⅰが最良。(TY)
Influence of epinephrine contained in local anesthetics on upper eyelid height in transconjunctival blepharoptosis surgery.
Matsuda H et al(慈恵医大)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 258(6): 1287-1292, 2020
・94例164眼の経結膜眼瞼下垂手術時のエピネフリン含有麻酔薬の影響を検討した。
・10万倍エピネフリンが含有されている麻酔薬を使用したA群(108眼)と非含有薬を使用したB群(56眼)で調査した。
・角膜反射と上眼瞼縁距離:margin reflex distance 1(MRD-1)を局所麻酔薬使用前後(⊿MRD-1a)、手術前、手術中と手術3か月後(⊿MRD-1b)で調べた。
・⊿MRD-1aは使用群Aでは+(0.57±0.63mm)、非使用群Bでは-(-0.50±0.45mm p<0.001)、⊿MRD-1bは使用群Aでは-(-0.86±0.63 p<0.001)と有意に減少していたが、非使用群Bでは(-0.23±0.26 p=0.255)で有意差がなかった。
・エピネフリン非含有の麻酔薬を使用することが推奨される。(TY)
Influence of epinephrine contained in local anesthetics on upper eyelid height in transconjunctival blepharoptosis surgery.
Matsuda H, Kabata Y, Takahashi Y, Hanzawa Y, Nakano T. (慈恵医大)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol. 2020 Jun;258(6):1287-1292.
doi: 10.1007/s00417-020-04627-6. Epub 2020 Feb 26. PMID: 32103334.
【目的】
・局所麻酔薬に含まれるエピネフリンの上眼瞼高への影響を、腱膜性眼瞼下垂に対する経結膜修復術で検討
【対象と方法】
・94 例164 眼の腱膜性眼瞼下垂症患者をレトロスペクティブに研究
・局所麻酔薬に
1:100000000エピネフリンを添加した場合(A群、n=108)と、添加しない場合(B群、n=56)とによって群分け(1%リドカイン0.3mLを結膜円蓋部に注入)
・局所麻酔の前後、術前、術中、術後3ヶ月後にMRD-1を測定
MRD-1の変化a(∆MRD-1a)は麻酔前のMRD-1値から麻酔後のMRD-1の値を差し引いて算出、
∆MRD-1bは術中のMRD-1値から術後3ヶ月のMRD-1の値を差し引いて算出
【結果】
・∆MRD-1aはA群で正(0.57±0.63mm)、B群で負(-0.50±0.45mm;p<0.001)であった
・術後MRD-1は、A群では術中MRD-1に比べて有意に減少したが(P<0.001)、B群では術中・術後で有意差はなかった(P=0.255)
・A群の∆MRD-1b(-0.86±0.63)はB群のそれよりも有意に大きかった(-0.23±0.26;p<0.001)
【結論】
・エピネフリンは手術中にミュラー筋を刺激し、効果が消失した後の術後上眼瞼下垂を引き起こす
・エピネフリンを添加しない局所麻酔薬を使用することで、腱膜性眼瞼下垂症に対する修復術において術後上眼瞼高をより正確に推定できる可能性がある(MK)
Corticosteroid eyedrops induced blepharoptosis and atrophy of levator muscle.
Zhang X et al(China)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 258(5): 1081 1086, 2020
・ステロイド点眼の長期間使用による眼瞼下垂について検討した。
・少なくとも2カ月以上、片眼のみステロイド点眼使用歴のある46症例について、瞼裂、角膜反射と上眼瞼縁距離:margin reflex distance 1(MRD1)、挙筋機能を調査した。
・46眼中40眼では眼瞼下垂がみられた。
・46例のステロイド点眼使用眼と未使用眼のMRD1値は2.2±1.6:3.9±1.0mm(p<0.0005)、瞼裂幅は7.6±1.9:9.3±1.1mm(p<0.0005)、挙筋機能は12.5±2.2:13.4±2.2mm(p=0.003)であった。
・9眼は下垂手術を受け、組織所見は血管線維、脂肪細胞が多く、筋線維は少なくなっていた。(TY)
Clinical and ASOCT evaluations of ‘bleb-sparing epithelial exchange’ in paediatric and adult dysfunctional blebs over 5 years
Ramanjit Sihota et al (India)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 258(2):367-377, 2020
・レクトミー術後丈の高い菲薄化したブレブはリーク、感染の原因となる。encapsulated blebに対してブレブ上の結膜だけトリパンブルーを用いて上皮を識別し剥離。本体を残したまま健常な結膜を前転して被覆を行うことで対処
・5年以上前にBleb revisionを受けて定期フォローアップ中の患者51名51眼(うち22名が子供)
・Complete success(CS): IOP 6-18mmHg, w/o med.
・Qualified success(QS): IOP 6-18mmHg w/ ≧1 med.
・Revision迄の期間:paediatric 4.54 years, adult 6.48 years
・Revision前の眼圧:paediatric 6.38 mmHg, adult 6.51 mmHg p=0.86
・3M後の眼圧:11.81 and 12.75mmHg
・5Y後の成績
・CS: 68.18%(paediatric)、72.41%(adult)
・QS: 31.87%(paediatric)、27.59%(adult)
・No Failures
・Children: 18mmHg以下 95.45%, 15以下63.64%, 12以下50%
・Adults: 18mmHg以下 93.10%, 15以下65.52%, 12以下41.38%
・菲薄化したブレブのリビジョンの方法として長期的に安全で(15mmHg以下の)眼圧コントロールが可能な方法と考えられる(MM)
Near reading speed changes after panretinal photocoagulation in diabetic retinopathy patients: a prospective study using an iPad application for the measurement of reading speed.
Kim, J., Kim, J., Kim, K. et al. (Korea)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 257(12): 2631–2638 (2019).
【目的】
糖尿病網膜症(DR)患者における汎網膜光凝固術(PRP)後の読書速度の変化を調べる
【方法】
非ランダム化プロスペクティブ臨床試験、2016年1月から2017年6月までにPRPを受けたDR患者が登録
読書速度の評価に iPad アプリケーションを使用、 PRP 前と 1 週間後,1ヵ月後,4ヵ月後に近距離読書速度を測定
近距離最良矯正視力(BCVA)と中心窩下脈絡膜厚(SFCT)も分析
年齢をマッチさせた健常者とDR患者の読書速度を比較
【結果】
47人の患者が登録
DR患者のベースラインの読書速度は、年齢をマッチさせた健常者よりも有意に遅かった
読書速度はPRP後1週間で低下したが,PRP後1ヵ月と4ヵ月で回復
近見BCVAはPRP後に同様のパターンを示した
SFCTはPRP後1週間で増加し、1ヶ月と4ヶ月後で有意に低下
【結論】
DR患者の読影速度は、年齢をマッチさせた健常者よりも有意に遅かった
PRP後1週間で一時的に低下したが、これは副交感神経の短期的な障害によるものである可能性がある(MK)
Long-term regular exercise and intraocular pressure: the Hisayama Study.
Fujiwara K et al(九州大)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 257(11): 2461-2469, 2019
・日本人で長期の規則的な運動と5年間の眼圧変動とを調査した。
・1871名(男性801、女性1070)についてNCTで眼圧を測定し、運動頻度と運動時間との間に関連があるかどうかを直線回帰で検討した。
・5年間の平均眼圧変動は-0.84±1.9mmHgであった。
・年齢、性、収縮期圧、糖尿病、コレステロール値、肥満度、喫煙、飲酒、基準時の眼圧などで調整した眼圧の変動値は、運動頻度(回/週)が増えても、運動時間(分/週)が増えても、有意に眼圧は低下していた(いずれもp<0.05)。
・年齢と性だけでの調整と、全ての変数を調整した場合、1週間の運動数が3~6回群では、性年齢調整群が-1.12mmHg (95%CI=-1.32~-0.92 p=0.002)、全変数調整群が-1.03(-1.79~-0.27 p=0.01)、1週間の運動時間が210分超群ではそれぞれ-1.14(95%CI=-1.35~-0.92 p=0.002)と-1.00(-1.77~-0.24 P-0.02)で有意に眼圧が低下していた。(TY)
Choriocapillaris flow impairment predicts the development and enlargement of drusen.
Nassisi M et al(CA USA)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 257(10): 2079-2085, 2019
・初期あるいは中期のAMDで、網膜ドルーゼンが拡大あるいは新規に発生した部位での脈絡膜毛細血管の血流を評価した。
・46名の片眼のみで、初診時に3x3mmのOCTA検査と中心窩のmacular cube(512×128:6x6mm)を検査し、最低1年(平均1.47年)後に再検した。
・Macular cubeからDrusen mapを作り、drusen領域(DA)を算出し、変化量(⊿DA)を求めた。
・またOCTAから脈絡膜毛細血管の初診時と比較した血行不足量(FD)をdrusenのない部位(FD-DF)、拡大した部位(FD-EN)、新規発生部位(FD-ND)で算出した。
・変化量⊿DAが0.1mm2未満の12眼ではFD-DFは40.37±2.29%で、⊿DAが0.1mm2以上の34眼のFD-DF=40.25±4.37との間に有意差はなかった。
・一方、⊿DAが0.1mm2以上の眼だけで部位別に検討すると、FD-ED(43.61±4.36%)とFD-ND (44.16±2.38%)間には有意差はなかったが、いずれもFD-DF(40.25±4.37)よりは有意に大きかった(p=0.001,p<0.001)。
・2年の間にドルーゼンが拡大あるいは発生する場所のRPEの下の脈絡膜毛細血管の血流障害が存在していた事から、ドルーゼンの位置は脈絡膜毛細血管が局所的に不足している部位に発生すると考えられた。(TY)
Evaluation of lamina cribrosa thickness in patients diagnosed with central retinal vein occlusion.
Altunel O et al(Turkey)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 257(10): 2087-2093, 2019
・38名の片眼性のCRVOと42名の健康者で両眼の篩板厚を比較した。
・篩板厚は視神経乳頭の中心部でのEDIをSD-OCTで求めた。
・CRVO眼では健常眼に比較して篩板厚は有意に薄かった(204.4±8.8:228.0±7.1 p<0.001)。
・CRVOの僚眼の篩板厚も205.3±9.3であり、健常眼より有意に薄く(p<0.001)、CRVO眼とその僚眼との間には有意差はなかった(p=0.669)。
・このことからCRVOの発生は篩板が薄いことが関与していると考えた。(TY)
Results of lamellar macular hole-associated epiretinal proliferation embedding technique for the treatment of degenerative lamellar macular hole.
Takahashi K et al(岡山大)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 257(10): 2147-2154, 2019
・変性層状黄斑円孔に対する硝子体手術方法として、lamellar hole-associated epiretinal proliferatin (LHEP)を層状黄斑円孔の裂け目に埋め込む方法を行った34例について検討した。
・経過観察期間は30.0±17.7ヶ月、23眼(67.6%)では白内障同時手術を施行した。
・中心網膜厚CRTは123.2±42.6から191.2±42.6に改善し、外境界膜の欠損は17例(50.0%)のうち10例(58.8%)で改善し、ellipsoid zoneの欠損は15例(44.1%)のうち7例(46.7%)で改善した。
・全例のBCVAはlogMARで、0.31±0.25…(小数点0.49)から0.10±0.25…(0.79)(p<0.01)に改善。
・白内障同時群のBCVAはlogMARで、0.30±0.26…(0.50)から0.04±0.16…(0.91)(p<0.01)に改善。
・白内障非同時群のBCVAはlogMARで、0.32±0.26…(0.48)から0.21±0.35…(0.62)(p<0.05)に改善した(TY)
Influence of holding weights of different magnitudes on intraocular pressure and anterior eye biometrics
Jesus Vera et al (Spain)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 257(10):2233-2238, 2019
・体重の10%および20%のウェイトを5分間持つことによって眼圧の上昇程度と前眼部の構造変化を調査
・健常大学生18名に水の入った重りを持たせ、保持後30秒、2分、3分半、5分、その後30秒と2分でのIOPと前眼部構造を、反跳眼圧計(アイケア)とペンタカムを用いて測定
・コントロール、10%、20%で測定
・20%のWeight liftでコントロールに比べて有意な眼圧上昇と隅角の狭小化をみとめた。
・前房深度と角膜厚に変化はなかった
・緑内障患者あるいは緑内障のリスクのある者にとって、重量物を持ち上げたり運んだりすることは推奨できない(MM)
Is conversion of dicimal visual acuity measurements to logMAR values reliable?
Mataftsi A et al(Greece)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 257(7): 1513-1517, 2019
・74名の患者で5分間隔で4mの距離でのETDRSチャート(VAlog)、6mと4mの距離での小数点視力表(VA6m, VA4m)を測定して、結果を比較した。
・視力はヨーロッパでは小数点視力(1/2=0.5, 1/5=0.2)、米国では20での分子表示(1/2=20/40, 1/5=20/100)、英国では6での分子表示(1/2=6/12, 1/5=6/30)が標準である。
・指標の4/5をパスした最小ラインを視力とした。
・次のラインの正答した1-3文字も加味して、例えば0.4logMARの視力で、次が2文字正答していれば小数点では0.4+2、対数では0.36logMARとした。
・結果はVAlogはVA4mやVA6mよりも値が大きかった(視力が悪かった)。
・特に0.5logMAR(小数点0.32)当りでは0.2logMAR程、視力は悪く出た。
・小数点視力表で測定した視力をlogMARに換算することは、時に問題のあることがある。(TY)
Eye Movement Perimetry and Frequency Doubling Perimetry: clinical performance and patient preference during glaucoma screening
Najiya Sundus Kadavath Meethal et al (India,Netherlands)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 257(6): 1277-1287, 2019
104名の正常者と73名の緑内障患者を対象
HFA SITA standard 24-2を測定した後、FDP C-20-1プログラムとEMPで測定
FDPとEMPの順序はランダムで最低15分開けて測定
EMPはアイトラッキングシステムを利用して26ポイントで測定し、中心を固視し周辺部に指標が見えたら指標を見る。その後また中心の固視目標に戻す
FDP: Robin Score 1:29 (正常:緑内障) (Table 3)
検査時間 50秒:113秒
EMP: Saccadic Reacton Time(SRT) 467:683秒
検査時間 88秒:151秒
診断能力:AU-ROC FDP:EMP=0.952:0.958(有意差なし) (Fig.5)
EMP:感度 87.7% 特異度 96.2%でFDPと遜色ない結果
40才以上の参加者、中等度から重度の緑内障患者はEMPを好んだ(Fig.6)
緑内障スクリーニングにおいては有用な方法と考えられる(MM)
Surgical treatment of neovascular glaucoma: a systematic review and meta-analysis
Zakhar Shchomak et al (Portugal)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 257(6): 1079-1089, 2019
RCTはなく、7つのnonRCTがMEDLINEとEMBASEで見つかった
6ヶ月後の眼圧下降、不成功率と光覚喪失について調査
GDDとcyclophotocoagulationではIOP下降効果は有意差なし GDD群で不整効率と光覚喪失が少なかった
AGVとTrabeculectomyではIOP下降効果と光覚喪失は有意差なし、不成功率はAGVで高かった。
Non-RCTしか現在のところ存在しないので解釈には注意を要する。RCTが行われるのが望ましい。(MM)
Multiple subretinal fluid blebs after pars plana vitrectomy for rhegmatogenous retinal detachment repair
Otsuka Y, et al.(京都大)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 2019;257(5):921-929
・網膜剥離に対し25Gまたは27G硝子体手術を受けた106例108眼
・8眼(7.4%)で術後に多発する網膜下液ブレブが見られた
・ロジスティック回帰分析では意図的ドレナージ裂孔の作成と27Gによる手術が有意なリスク因子
・ブレブの数や大きさは次第に吸収、術後1年で5眼(62.5%)が完全に消失
【結論】
・多発する網膜下液ブレブは小切開硝子体手術の後にもみられる
・このタイプの網膜下液は術後視力に影響せず、治療しなくても次第に消失する(MK)