Enlargement of the foveal avascular zone detected by optical coherence tomography angiography in diabetic children without diabetic retinopathy.
Niestrata-Ortiz et al(UK)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 257(4): 689-697, 2019
・網膜症のない6~18歳のDMの小児112名と、年齢をマッチさせたCtrlの30名について、Topcon OCTAで表層superficial(SCP)と深層の毛細血管叢deep capillary plexus(DCP)のFAZを測定した。
・DM群をDM罹病期間により、Grp1:<5年(n=40)、Grp2:5-10年(n=42)、Grp3:>10年(n=30)に分けた。
・平均DCP FAZはDM罹病期間とともに拡大していた。
・Grp1:503.3±137.9mm2、Grp2:523.9±159.4、Grp3:543.5±190.4で、いずれもCtrl:409.8±116.6より有意に大きかった(全てp<0.001)。
・平均SCP FAZもGrp1:314.6±109.9mm2、Grp2:293.3±116.3、Grp3:307.7±140.4で、いずれもCtrl:286.4±126.6より有意に大きかったが、両者の差はGrp1:188.7±94.8mm2、Grp2:230.6±99.4、Grp3:235.8±105.1で、罹病期間が長いほど、Ctrl:123.3±73.1との差が大きくなっていた。
・DMRの進行に深層の毛細血管叢が関与している可能性を示唆しており、また、OCTAは小児DM患者の有効な診断手段になりうる(TY)
Effects of botulinum toxin type A on the treatment of dry eye disease and tear cytokines
Min Gyu Choi, Joon Hyung Yeo, Jeong Woo Kang, Yeoun Sook Chun, Jeong Kyu Lee, Jae Chan Kim(Korea)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 2019;257(2):331-338
【対象と方法】
・難治性ドライアイ患者*(眼瞼けいれん患者は除外)を前向きランダムに割付け;BTX-A注入群**およびコントロール群***
・注入前・2w後・1M後・2M後・4M後にドライアイ所見・症状を評価、注入前・1M後に涙液サイトカインを測定
*2M以上ドライアイ点眼およびステロイドを点眼も症状が残存する患者、眼瞼けいれん患者は除外
**NABOTA®、2.5IU/0.05mLを上・下眼瞼に五か所ずつ皮下注入
***生食を同部位に同量注入
【結果】
・26例52眼(平均57.7歳)
・BTX-A群では2w・1M後において涙液層破壊時間(TBUT)が有意に増加、2M後までシルマーⅠ法・眼表面疾患インデックス(OSDI)が良好な値
・角膜染色スコア(CFS)はBTX-A群で4M後まで有意に低値
・Repeat measures ANOVAでは、シルマーⅠ法、CFS、OSDI、点眼回数において両群に有意差あり
・涙液中MMP-9が活性型→不活型に変わった割合:BTX-A群で76.92%、コントロール群で38.46%(P=0.005)
・涙液セロトニン値:BTX-A群で2.76→1.73ng/mL(P<0.001)
・流涙・眼瞼後退・角結膜炎などの合併症なし
【結論】眼瞼へのBTX-A注入は、ドライアイの徴候と症状、および涙液サイトカインのレベルを低下させる。BTX-Aは難治性ドライアイ患者への治療オプションとなりうる。(MK)
A presentation of culture-positive corneal donors and the effect on clinical outcomes
Aida Hajjar Sese, et al. (UK)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol (2019)(1) 257:135-141.
目的:ドナー角膜強膜縁の細菌汚染率は12〜39%、真菌汚染率0〜12%と言われている。培養陽性ドナー角膜で細菌性角膜炎および眼内炎を引き起こすことはめったにないが、真菌汚染はその後の真菌感染症の発症リスクを有意に増加させると報告されている。
汚染されたドナー組織を使用して角膜移植を受けた11眼の報告。
対象と方法:2013年1月から2014年4月の間に実施されたPKまたはDSAEK を受けた360眼。
ドナー角強膜縁および保存液の培養は全ての症例で行った。
結果:PK 3眼、DSAEK 8眼の全11眼が培養陽性であった。
A群:真菌6眼(Candida 6眼、PK 1眼、DSAEK 5眼)、B群:グラム陽性菌3眼(Enterococcus faecium 2眼、MRSA 1眼、PK 2眼、DSAEK 1眼)、C群:グラム陰性菌2眼(E.coli、PK 0眼、DSAEK 2眼)。
A群では5%ナタマイシン点眼液で治療したが、6眼のうち3眼は角膜炎を発症し再DSAEKを施行した。2眼ではグラフト – ホスト接続部に浸潤物が存在し、1眼では重度の持続性前部ブドウ膜炎が認められた。
B群ではクロラムフェニコール点眼薬1日6回で治療し、全例角膜炎は発症しなかった。
C群では0.3%シプロフロキサシン軟膏および1時間毎の0.3%シプロフロキサシン点眼で治療した。早期追跡調査中に感染の臨床徴候は発症しなかった。
結論:11人の患者のうち3眼(27%)が感染性角膜炎の臨床徴候を示した。これらの症例のうちの3つすべてCandida陽性でDSAEKの症例だった。
ドナー組織の追加の操作を必要とするDSAEKが感染の危険性の増加と関連しているかもしれない。(CH)
Therapeutic contact lenses vs. tight bandage patching and pain following pterygium excision: a prospective randomized controlled study
Daphna Prat, Ofira Zloto, Elad Ben Artsi, Guy J. Ben Simon(Israel)
Graefe’s Archive for Clinical and Experimental Ophthalmology 2018;256(11):2143-2148
【目的】
翼状片の術後に、従来のガーゼによる圧迫眼帯の代わりに治療用CL(TCL)を用いた場合の効果を比較
【対象と方法】
・60名の翼状片手術患者を前向きに2群に割付け;TCL群と圧迫眼帯群
・翼状片手術は結膜有茎弁を10-0バイクリルで移植縫着、MMC使用なし
【結果】
・疼痛スコアおよび疼痛を感じた時間はTCL群で有意に高値(P=0.034、P=0.04)
・睡眠の質はTCL群で優位に悪かった(P=0.004)
・術翌日の視力は両群間に有意差みられず
【結論】
・翼状片術後にTCLを用いると、圧迫眼帯に比べて術後24hでの痛み・不快感とも強く睡眠の質も下がった
・単眼視やガーゼ眼帯に問題がなければ、翼状片術後にはTCLよりも圧迫眼帯を用いたほうが痛みは緩和される(MK)
Comparison of horizontal diameter to modeled area of traction in eyes with vitreomacular traction: is the diameter close enough to the truth?
Paul C et al(Germany)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 256(10): 1817-1822, 2018
・硝子体黄斑牽引(VMT)において、黄斑部の接着面積は通常、その水平面直径から求められた円の面積A(circular)が用いられることが多いが、6経線で求められた面積A(measured)との違いを検討した。
・37例37眼(72.8±8.2歳)の平均A(circular)値は400.8±230.5mm2で、A(measured)の平均値との間に有意差はなかったが(p=0.93)、両者の間に30%以上の違いがあったものが16眼(43.2%)、100%以上の違いがあったものが7眼(18.9%)あった。
・接着面積を正確に測定することは大切である。(TY)
Retinal pigmental epithelium elevation and external limiting membrane interruption in myopic choroidal neovascularization: correlation with activity
Xiaoyan Ding, Zongyi Zhan, Limei Sun, Yu Yang, Songshan Li, Aiyuan Zhang, Xiaoling Luo, Lin Lu(China)
Graefe’s Archive for Clinical and Experimental Ophthalmology 2018;256(10):1831-1837
【目的】
近視性脈絡膜新生血管(mCNV)の活動性をSD-OCTで評価する新しいストラテジーを提唱
【対象と方法】
活動性のあるmCNV患者52眼、ranibizumab治療前後にSD-OCTとFAを撮影し比較
【結果】
・OCT所見と(FAを基にした)mCNV活動性との比較【Tab.3】;
・網膜下液の存在:感度23.9%、特異度97.5%
・EZの断裂:感度82.1%、特異度19.8%
・ELM断裂:感度97.0%と高いが特異度55.6%とやや低い
・RPE隆起(CNVを取り囲む):93.2%がFAで活動性なし
↓
・ELM断裂とRPE隆起を組み合わせた新しい2ステップ法では、感度92.5%・特異度95.1%と非常に良好
【結論】
上記の新しい2ステップ法は、mCNVの診断や活動性モニタリングに対する有用な指標と考えられる(MK)
Pulse waveform analysis on temporal changes in ocular blood flow due to caffeine intake: a comparative study between habitual and non-habitual groups
Aishah Ismail, et al. (Singapore)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 256(9):1711-1721, 2018
1杯のコー日には約100mgのカフェインが含まれる。240mlのコーヒーは72-130mgの、エスプレッソショットには58-76mgのカフェインが含まれるとされる。カフェインは血管抵抗を上げ、視神経乳頭の血流を低下させ、200mgのカフェイン摂取1時間で網膜血管径の収縮が見られるとの報告がある
LSFGの
MBR:血流速度の指標 高いほど赤血球の動きが大きい
BOT:MBRが波形全体でどの程度平均よりもずれていたか
心拍の平均MBRは、毎秒30フレームでMBRを4秒間撮影し、付属のソフトで心拍と同期し、pulse waveform parameterとheartbeat mapとして表示する
対象:21-30歳の健常人19名(8名はコーヒーや紅茶などを日常的に摂取しない群、11名は1日3杯以上のコーヒー摂取を毎日する群)
1週間前からアルコール、エナジードリンク、炭酸摂取をやめ、24時間前からカフェイン摂取と激しい運動を禁止。180mgのカフェイン(カプセル2個)と200mlの水を摂取して20分ごとにLSFGを測定
視神経乳頭全体(O)、血管(V)、組織(T)の3つの領域で10個のpulse waveformパラメーターをそれぞれ測定
MBR, fluctuation, skew, blowout score (BOS), blowout time (BOT), rising rate, falling rate, flow acceleration index (FAI), acceleration time index (ATI), and resistive index (RI)
両郡間で有意差有:MBR(O,V,T), BOT(O), rising rate(O), falling rate(V) p<0.05
カフェイン非常用群で変化有り:MBR(O), skew(T), BOS(T), BOT(T)
結論:年齢、性別、BMI、症例数の問題はあるが、非常用群はカフェイン摂取により、視神経乳頭血流の変化が常用群よりも大きいと考えられる(MM)
Outcome of optical iridectomy in Peters anomaly
Oriel Spierer, et al. (USA)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 256(9):1679-1683, 2018
2004年1月から2014年12月までにBascom Palmer Eye Instituteで行った、TypeⅠPeters anomalyに対してOptical Iridectomy22名29眼をretrospectiveに調査
4名は片眼性、18名は両眼性(うち11眼は片眼のみ手術)
手術時の平均年齢15.6M(1-7.7歳) 平均観察期間41.6M(2-118M)
28眼(96.6%)は初回手術で眼底の反射を確認 1眼は6Mで追加切除
視力:LogMAR 2.5±0.3→1.8±0.6
21眼(72.4%)で改善、5眼で変化なし、3眼で低下
角膜に透明な部分が残存している場合の選択肢となり得る(MM)
Macular peeling-induced retinal damage: clinical and histopathological evaluation after using different dyes
Mario R. Romano, et al. (Italy)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 256(9):1573-1580, 2018
特発性ERMに対して、3つの組織染色によるILM剥離を行い、視力、網膜感度、組織のGFAP、NFを免疫組織科学的に評価
Prospective, randomized, comparative, interventional, and immunohistochemical study
ERM:組織学的には単純型と複合型の二つに分類
単純型:グリア細胞、laminocyteの単層からなり、GFAP(glial fibrillary acidic protein)抗体陽性で、ILMの上に直接増殖する。
複合型:PVD後の網膜表面にできたILMのわずかな欠損部を通して多層の細胞が侵入する。ERMは網膜表面だけではなく、網膜内外層の神経ダメージ、macroglia/microgliaの変化、Müller細胞内のGFAPの産生増加を生じる
GFAPは網膜のレセプター、cytoskeleton、glial extracellular matrixと相互作用し、細胞の癒着を生じる
GFAPがあるとMüller細胞とILM/ERMとの接着が強くなり、剥離を行った際の網膜ダメージが強くなるリスクがある。Neurofilament protein (NF)とともに、間接的に網膜障害の免疫組織化学マーカーとして使われる。
2016年6月と7月に行われた45例の手術において、ランダムに3つの染色によるオペを行った(30秒間染色) 各15例、全例air-fluid exchangeしている
Group1: Trypan blue (TB) 0.15%+ brilliant blue (BBG) 0.05%+lutein 2%
(Doubledyne, Kemin Pharma, Oeiras, Portugal)
Group2: TB 0.15%+ BBG 0.025%+ polyethylene glycol (PEG) 3350 4%
(Membraneblue-Dual, DORC International, Zuidland, The Netherlands)
Group3: indocyanine green (ICG) 0.05%
(Diagnostic Green Aschheim-Dornach Germany)
3群をStudent t testで2群ずつ比較している:
(*ANOVAや反復測定分散分析など3群の比較検定や比率の検定を使わないといけないのでは?)
結果:Lutein含有のGroup1が他のグループに比較して術後1,3ヶ月の視力と網膜感度の改善が早く、GFAPとNP発現量が少なかった
Luteinにより組織の癒着が減少したのか、あるいはLuteinによる抗酸化作用が、手術中のライトによる光毒性に対して保護的に作用したのか。(MM)
Inverted internal limiting membrane insertion versus standard internal limiting membrane peeling for macular hole retinal detachment in high myopia: one-year study.
Wakabayashi T et al(阪大)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 256(8): 1387-1893, 2018
・高度近視眼の黄斑円孔網膜剥離でILMを反転挿入した13眼と、反転しなかった36眼を比較した。
・MH閉鎖率は反転ILM群で有意に良かった(92 vs 39% p=0.003)。
・網膜剥離の復位率は初回は92 vs 86%、最終は全例復位した。
・術後12か月後の視力はILM反転群がlogMAR 0.71±0.56(小数点 0.19:0.02-0.9)、非反転群はlogMAR 1.01±0.41(少数点 0.10:0.01-0.7)で有意に良かった(p=0.059)。
・12か月後の視力の3行以上改善率は反転群85%、非反転群47%で有意差があった(p=0.045)。(TY)
OCTA vessel density changes in the macular zone in glaucomatous eyes.
Lommatzsch C et al(Germany)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 256(8): 1499-1508, 2018
・85眼の緑内障と50眼のCtrl眼で黄斑部の血管濃度VDを測定した。
・OCTAはZeissのAngioPlexとOptoVueのAngioVueの2種を使用した。
・黄斑のVDは6x6mmの表層(SL)と深層(DL)の網膜血管叢を測定した。
・黄斑部のVDは緑内障眼でSLもDLも有意に少なかった(P=0.009)が、SLとDLの間には有意差はなかった。
・緑内障眼のVDの最大の低下は下方黄斑部領域で見られた。
・VDは年齢や屈折度には関連はなかったが、眼圧、緑内障罹病期間、視野のMD、OCTのGCC厚、視神経乳頭周囲のRNFL厚、視神経乳頭のCD比、リム領域などに強い相関があった。(図2)(TY)
Event-based analysis of visual field change can miss fast glaucoma progression detected by a combined structure and function index
Chunwei Zhan, et al. (USA)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 256(7):1227-1234, 2018
97名135眼を平均3.5年観察し、SAPとRNFLを調べた
SAPとRNFLの結果から予測されるRGC数を用いてRGC indexをコントロール群と比較した
135眼のうち、15眼(11%)はGPA,21眼(16%)はSDOCT,31眼(23%)はRGC indexで進行を確認した。
GPAで進行と判断された群の減少数:-30812cell/year、
GPAで進行無しと判断された群:-6902cell/year
健常人:-6207cell/year
21眼ではGPAでは見逃しており、これら(RGC indexで進行と判断された群)の平均RGC減少数は-28910cell/yearと正常の加齢による減少より2-9倍速かった
これらの群のRNFL厚の変化は-1.39μm/year(0.21 to -3.76)であった。
構造と機能両方で進行を把握することが重要である。(MM)
Increase in the OCT angiographic peripapillary vessel density by ROCK inhibitor ripasudil instillation: a comparison with brimonidine
Etsuo Chihara, et al. (Kyoto)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 256(7):1257-1264, 2018
2015年9月から2017年3月に55名55眼のPOAGとOHに対して、リパスジル点眼(28眼→24眼)またはブリモニジン点眼(27眼→23眼)を投与し、peripapillary retinal vessel density (VD)と、prelaminar flow index (PLFI)を調べた
24眼→16眼の正常者も調査
VDはリパスジル点眼で増加したが、ブリモニジン点眼では変化なかった
PLFIは両群ともに反応がなかった(MM)
The relationship between the central serous chorioretinopathy, choroidal thickness, and serum hormone levels.
Çiloĝlu E et al(Turkey)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 256(6): 1111-1116, 2018
・中心性網脈絡膜症CSCの30例30眼(急性15例、慢性15例)で血中のcortisol, aldosterone, testosterone, dehydroepiandrosterone (DHEA),renin hormoneを測定し、Ctrl群32例32眼と比較した。
・CSC群でのtestosteroneは357±10.4ng/mlで、Ctrl群の255.94±7.43で有意差に高かった(p<0.001)。
・このことはCSCが男性に多いことに関連しているだろう(TY)
The XEN45 Gel Stent as a minimally invasive procedure in glaucoma surgery: success rates, risk profile, and rates of re-surgery after 261 surgeries
Randolf A. Widder et al (Germany)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 256(4): 765-771, 2018
・XEN45の術後成績を調査
・2015-2017年に261眼を手術し、1ヶ月以上経過観察ができた234眼
・各患者の緑内障Stageに見合った眼圧下降に達しない場合はRevisionを行った。
(具体的な目標眼圧、緑内障病期は不明)
・術後は眼圧下降薬からの解放を目指すため、眼圧下降薬は追加しない。
1)Primary Success:Revisionなし
2)Overall Success:一回のみRevisionを許容
・IOL眼の方が、有水晶体眼や白内障同時手術眼と比べて成績が良かった
1)で66%、2)で90%の生存であった(平均観察期間8.3M)
・手術前から、34%でRevisionが必要であることをあらかじめ伝えておく必要がある。
・合併症はほとんどなく有効であるが、レクトミーほどの下降は期待できない
・IOL眼の方が成績が良いので、白内障を認める場合はまず白内障とMIGS同時手術を行って、・その後効果不十分であればXEN45が良いのではないか。(MM)
Naoki Okumura, et al. (京都府立医大)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol (2018)(4)256:751-757
・目的:広域接触型スペキュラ―マイクロスコープを用いて線維柱帯切除術後の角膜の異なる領域の角膜内皮細胞密度(ECD)損失の差異を示すかどうかを調べる。
・対象と方法:2004〜2015年に京都府立医療大学で線維柱帯切除術を受けた緑内障患者37名(男性17名、女性20名、年齢47〜86歳)の51眼。
・術後1年未満(グループ1:n = 19)、1年以上2年未満(グループ2:n = 6)、2年以上3年未満(グループ3:n = 6)3年以上4年未満(グループ4:n = 8)4年以上(グループ5:n = 12)
・ECDは、(1)角膜中心部(2)線維柱帯切除術後濾過胞の近く(3)濾過胞の反対側の3つの領域で測定した。
・結果:全眼の平均ECD(1)2210±487 cells/ mm2(2)1930±528 cells/ mm2(3)1519±507 cells/ mm2
・他の2つの部位よりも濾過胞近くのECDが有意に低いことが示された。
・ECDは、5群のいずれかにおいて、濾過胞の反対側、角膜中心では有意な減少を示さなかった(p = 0.077、p = 0.148)。
・しかし、濾過胞近くのECDは、それぞれのグループで1790±435 cells/ mm2、1601±184 cells/ mm2、1407±425 cells/ mm2、1339±572 cells/ mm2および1224±543 cells/ mm2であり、この領域のみECDの時間依存的な減少を示した
(p = 0.001)(図3c)。
・白内障手術を併用しても有意なECD減少は見られなかった。
・結論:少なくとも5年間にわたってECDの減少が続く。
・MMCの濃度、MMC治療の持続時間、MMCスポンジの位置、眼圧、先天性変化、緑内障点眼の細胞毒性、房水のジェット流、慢性炎症などが考えられるが、理由は分かっていない。
・線維柱帯切除術後のECD減少の病理を明らかにするために、CEC密度低下における濾過胞の関与をさらに調べるべきである。(CH)
Mortality associated with bevacizumab intravitreal injections in age-related macular degeneration patients after acute myocardial infarct: a retrospective population-based survival analysis.
Hanhart J et al(Israel)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 256(4): 651-663, 2018
・急性心筋梗塞の既往のあるAMD患者にbevacizumabを硝子体注射した群の死亡率について検討した。
・2008/9~2014/10までに初回の硝子体注射を行った2100名(年齢83.25才)である。
・急性心筋梗塞後、3M後(n=11)、6M後(n=24)、12M後(n=52)、24M後(n=124)である。
・コントロ-ル群(83.19才)と比較して、3M後群はOR=6.22(95%CI=1.08-35.97 p<0.05)、6M後群はOR=2.37(95%CI=0.93-6.02 p<0.07)、12M後群はOR=3.00(95%CI=1.44-6.28 p<0.01)、24M後群はOR=2.24(95%CI=1.35-35.9 p<0.01)、全体ではOR=1.71(95%CI=1.53-1.92 p<0.001)であった(TY)
Suprachoroidal drainage with collagen sheet implant-a novel technique for non-penetrating glaucoma surgery.
Szuman P et al(Germany)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 256(2): 381-385, 2018
・緑内障手術の新しい方法として、コラーゲンシートを脈絡膜上腔に挿入する方法とその結果を報告する。
・透明角膜縁までの4×4.5mmの半層強膜を作り、その下で3.5x4mmの強膜を全層切除して、脈絡膜上腔を開放する。
・半層切開層を角膜に向かって広げ、Schlemm管を開放。吸収性のコラーゲンシート(Ologen)を毛様体の深さで脈絡膜上腔へ移植し、半層強膜をwater-tightで縫合。
・65眼で施行し、3か月後の眼圧下降は35.1%(21.0±4.3から13.5±3.4mmHg p<0.01)、12か月後は35.6%(→13.5±3.0 p<0.01)。
・緑内障薬は術前の3.5±0.7から、0.6±0.9(3M後)、0.9±1.1(12M後)であり、重篤な合併症はなかった(TY)
Changes in aqueous concentrations of various cytokines after intravitreal bevacizumab and subtenon triamcinolone injection for diabetic macular edema
Seung-Young Yu et al (Korea)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 256(1): 39-47, 2018
・ベバシズマブ(1.25mg)の硝子体注射(IVB)とIVB+トリアムシノロンテノン(20mg)嚢下注射(STTA)後に眼内のサイトカインレベルを比較
・コントロールとして白内障手術を行う患者から前房水を採取
・24眼のDME患者をランダムにIVBとIVB+STTAに分けて、注射前と注射後4週目にBCVAとfoveal thickness、前房内のIL-6、IL-8、IP-10、MCP-1、PDGF—AA、VEGFを検査
・視力:どちらも改善したが、両群で有意差なし 眼圧も変化なし
・foveal thickenss:どちらも減少したが、減少の程度は有意差あり IVB+STTA > IVB
・サイトカイン:コントロールと比べて両群共IL-8、IP-10、MCP-1、PDGF—AA、VEGFは高値であったが両群間では有意差なし IL-6はDME群で高値ではあったが、有意差なし(考察:サンプル数の問題? もしくはIL-6はDMEにそれほど強い関与がないかも)
・IVB+STTA:MCP-1, PDGF-AA, VEGFが有意に低下、IL-8は有意に増加、IL-6とIP-10は変化なし
・IVB: VEGFのみ低下 他のサイトカインは変化なし
・どちらもVEGF濃度は減少したが、減少量はIVBの方が強い:IVB+STTA < IVB
既報:IVTAではIL-6、IP-10、MCP-1、PDGF—AA、VEGFが低下 IL-8は変化なし
・STTAを併用することでIL-8が上昇する理由として、IL-8はVEGF—Aが抑制された際の代償性血管新生シグナルとして機能するため、STTAとIVBで他のサイトカインが抑制されたことにより代償性にIL-8が上昇したのではないか。そしてそれがVEGFに作用した?既報ではステロイドはIL-8に影響しない?
・STTA併用でも効果が限られることの理由であるかもしれない(MM)
Detailed analysis of retinal morphology in patients with diabetic macular edema (DME) randomized to ranibizumab or triamcinolone treatment
Sonja G. Karst, et al. (Austria)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol (2018)(1) 256:49-58
・目的:糖尿病黄斑浮腫のSD-OCT画像、カラー眼底写真における網膜形態の変化に対する2種類の硝子体内薬剤(ラニビズマブ0.5mg対トリアムシノロン8mg)の影響を調べた。
・対象と方法:25人25眼(ラニビズマブ: 10眼;トリアムシノロン: 15眼)
・1型糖尿病または2型糖尿病の18歳以上の患者、視力20/25〜20/200、SD-OCTで黄斑浮腫を伴う中心網膜厚300μm以上の症例。
・患者を無作為に2群に分けてラニビズマブ0.5mgを1ヶ月毎3回、またはトリアムシノロンアセトニド8mg 1回(患者のマスキングを維持するために1ヶ月目および2ヶ月目に2回の偽注射を行った)硝子体内注射を行った。
・3ヵ月目から、すべての患者を、マスクされた医師によって毎月再評価し、再治療基準(BCVA> 5文字の減少、CRT 100μm以上増加した時に注射を追加)に基づいて、割り当てられた治験薬のPRN治療が必要であるかどうかを確認した。
・ラニビズマブ注射は毎月施用することができ、トリアムシノロンは3ヶ月ごとに注射することができた。(1、2ヶ月目は偽注射)1年間経過観察した。
・結果:ラニビズマブを投与した患者は、トリアムシノロンを投与した患者よりも12ヶ月後に優れた視力の結果を示した(p = 0.015)
・base line視力 ラニビズマブ群 logMAR 0.34±0.25、トリアムシノロン群logMAR 0.34±0.19
・3ヶ月後 視力 ラニビズマブ群 logMAR 0.18±0.25、トリアムシノロン群logMAR 0.21±0.25
・両群ともに浮腫の減少は類似していた(p = 0.426)。ラニビズマブを1回注射した後の黄斑浮腫の初期効果は、2回目以降の注射で効果を増幅することができた。トリアムシノロンの注射後の黄斑浮腫に対する有益な初期効果は3ヶ月以内に薄れていった。
・CRT base line ラニビズマブ群 516±141μm、トリアムシノロン群482±102μm
3ヶ月後 ラニビズマブ群 324±58μm、トリアムシノロン群431±103μm
・網膜下液および内顆粒層のcystoid spacesは初期に減少した一方、外顆粒層のcystoid spacesは両方の処置群においても持続しているようであった。 FAでは、両群で漏出面積が有意に減少した。
・カラー眼底写真では両群とも硬性白斑は減少した。軟性白斑はラニビズマブでは消失し、トリアムシノロンでは残存していた。
・注射平均回数 ラニビズマブ群5.9±2.5回、トリアムシノロン群3.2±1.4回
・眼圧上昇 > 25 mmHg ラニビズマブ群1眼、トリアムシノロン群7眼
・眼内炎、網膜剥離の症例はなかった。
・結論:トリアルシノロンの投与量が多かったにもかかわらず、両方の治療法は糖尿病黄斑浮腫の治療に安全かつ有効であった。内顆粒層および網膜下腔におけるcystoid spacesは、外顆粒層よりも治療に反応した。
・将来、詳細な網膜画像解析が個別化された治療戦略に追加される可能性がある(CH)