Large semicircular inverted internal limiting membrane flap in the treatment of macular hole in high myopia.
Chen SN(Taiwan)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 255(12): 2337-2345, 2017
・眼軸長28mm以上(30.49±0.98mm)の高度近視眼(62.25±9.40歳)の黄斑円孔16例17眼に半円形の直径4乳頭径の大きな反転ILM法を行った。
・5眼は黄斑分離症、4眼は慢性黄斑円孔、2眼は近視性脈絡膜新生血管、4眼は網膜剥離を伴っていた。
・網膜前膜がもろい場合は下のILMを一緒にめくってしまう危険性があり、ILM剥離と同時に行った。
・術中のILMは濃い目のICG(1.7mg/ml)で染色した。
・下方のILMを半分取り去ったのち、上方のILMを円孔部縁から100μmまで剥離して、黄斑円孔部に被せた。
・空気置換はほどほどにして、残留液に応じて24%から40%のSF6ガスを注入し、術直後最低2時間の仰臥位を保ち、その後1週間は仰臥位のままか伏臥位とした。
・全例、1回の手術で完治した(TY)
Effect of oral niacin on central retinal vein occlusion.
Gaynon MW et al(CA USA)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 255(6): 1085-1092, 2017
・脂質異常症に対するナイアシンには血管拡張作用があり、CMEを併発した慢性網膜中心静脈閉塞症38例(66.5±15.3歳)に使用して効果を調査した。8例(69.6±12.3歳)をコントロールとした。
・ナイアシンアミド(ニコチンアミド)とナイアシン(ニコチン酸)の総称で、ビタミンB3。二日酔いの原因になるアセトアルデヒドを分解する酵素の補酵素としても働いている。
・トコフェロールニコチン酸エステル(ユベラNカプセル)。
・CRVOの継続期間は4.6±15.7:6.4±3.2か月でほぼ同じ。
・開始前、3,6,12ヶ月後のナイアシン群のlogMARは0.915(小数点0.12)→0.746(小数点0.18 p=0.12)→0.665(小数点0.22 p=0.02)→0.659(小数点0.22 p=0.03)、CMTは678.9→478.1(p=0.001)→388.6(p<0.001)→317.4μm(p<0.001)。
・コントロール群のlogMARは1.023(小数点0.09)→1.143(小数点0.07)→1.194(小数点0.06)→1.162(小数点0.07 p=0.36)、CMTは700.0→12か月後に490.9μm(p=0.06)。
・抗VEGF剤の硝子体内注入の補助療法として有効である可能性がある。(TY)
Aniseikonia in various retinal disorders.
Okamoto F, Sugiura Y, Okamoto Y, Hiraoka T, Oshika T.(筑波大)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol. 2017 Jun;255(6):1063-1071.
・種々の網膜疾患(ERM, MH, BRVO-CME, CRVO-CME, DME, M-off RD, M-on RD)357例と健常者31名
・New Aniseikonia Testで術前および術後6Mでの不等像視を評価
【結果】網膜疾患患者の59%で術前に不等像視あり
・不等像視の程度は術前4.0±4.1%→術後3.0±3.6%、ERMが他の疾患より有意に程度が強い
・ERMの68%で大視症を自覚、MH・RVO-CME・DME・M-off RDの約半数で小視症を自覚
・硝子体手術ではCRVO-CME以外のすべての群で有意に視力が改善するも、不等像視が有意に改善したのはMH症例のみであった
【結論】網膜疾患の半数以上が術前に不等像視を自覚
・他の疾患が小視症を自覚するのに対し、ERMの多くは大視症を自覚、その程度も最も強かった
・手術によりほとんどの疾患で視力が改善するも不等像視は改善しなかった(MK)
Effect of fluid-air exchange on reducing residual silicone oil after silicone oil removal
Hideki Shiihara, Taiji Sakamoto et al (鹿児島大)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol. Jun 14, 2017[Epub]
シリコンオイルが眼内に存在していると、緑内障や白内障、帯状角膜変性などの合併症を生じるため、完全に除去することが望ましいが、実際には完全抜去は難しく、様々な報告がある。その中で液–空気置換を行う方法がよさそうと言われているが、実際には抜去後にもSO粒が観察される
このSO粒は超音波で高反射像として捉えられ、この方法を利用した硝子体腔内の残存SOを評価する方法を開発し、SOを抜去する際、空気置換して抜去する方が良いか、空気置換しない方が良いのかを比較した
56眼のSO患者に対して、SO除去をまず普通にBSSにして行い、残存したSOについて術者の判断で決定した。AirEx(+) 30, AirEx(-) 26眼
(-)群 25Gまたは23Gプローブでできる限り吸引除去
術後7日以内または眼内残存ガスがなくなった時点でBscan US 10MHz transducerを用いて測定
垂直断面の最大径となる画像を用いた
眼軸長、IOP、レンズの状態、SOタンポナーデの期間、灌流液の量などを比較
SOI=高輝度反射粒シグナルの面積/硝子体腔面積 x100(%)
結果
患者背景に両群間で有意差なし
SOI:空気置換したほうが高かった 多変量解析:眼軸長とAirEx(+)に相関
AirEx(-)群:術前眼圧、眼軸と有意に相関
AirEx(+)群:術前IOP、眼軸、年齢、SOの期間、灌流量に相関なし
術者による違いも認めなかった
無水晶体眼は偽水晶体眼よりも少ない
結論
長眼軸、術前高眼圧ではより長く洗浄し、液−空気置換はどうしても必要な場合のみ行うほうが良い(MM)
Descemet membrane endothelial keratoplasty for graft failure following penetrating keratoplasty
Sonja Heinzelmann, et al. (Germany)
Grnefes Arch Clin Exp OphthaLmol (2017)(5) 255:979-985
目的:全層角膜移植後の移植片機能不全に対するDMEKの経過。
対象と方法:19眼 経過観察期間1年。DMEKを要した原因は水疱性角膜症からの眼痛を抑えるためだった。
PKからDMEKまでの期間は5〜112ヶ月。
結果:16眼で眼痛が取れた。その他3眼は1、24、28ヶ月で機能不全となった。2眼は再DMEK、1眼は再PKを受けた。
角膜厚は術前より270μm減少した。
術後1年で、95%が角膜の透明性を保っていた。
前房内空気再注入は完全に移植片を接着させるため7眼(37%)で必要だった。
15眼で視力が改善した。(図4)
結論:DMEKは、全層角膜移植後の移植片機能不全の症例で再PKに代わる実行可能な、そして価値がある選択肢である。特に、合併症のある眼ではDMEKは侵襲性の低い手技であり、患者のQOLを向上させる事が出来る。(CH)
Outcome of Descemet stripping automated endothelial keratoplasty in eyes with an Ahmed glaucoma valve
Patrick J Chiam et al. (England)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol (2017)(5)255:987-993
目的:AGVを受けている眼に対するDSAEKの移植片生存率を調査し、さらに移植片生着に影響を与えている潜在的なリスク要因を決定する。
対象と方法:13人14眼(平均年齢58±17歳、男性4眼、女性10眼、平均経過観察期間30.2 ± 11.8ヶ月)、
AGV1個 8眼、2個5眼、3個1眼。
AGVの前に機能していないtrabeculectomy 8眼、deep sclerectomy 3眼。
角膜内皮とチューブの接触はなかった。
DSAEK前の平均眼圧16mmHg(緑内障点眼1剤4眼、2剤1眼、3剤以上4眼)。
DSAEKは直径9mmのグラフトを使用した。グラフトECD 平均2828 ± 2511個/mm2。
結果:移植片生存率 術後6カ月85%、 12カ月71% 、18カ月50%、 24カ月36% 、30カ月30% だった。
平均生存期間12.9 ± 6.2ヶ月。
移植片不全になった7眼のうち5眼で再移植を行った。
2回目のDSAEKの生存率は術後6ヶ月100%(5/5)、12ヶ月100%(5/5)、18ヶ月75%(3/4)、24カ月67%(2/3)だった。
DSAEK後、3眼で緑内障点眼の追加が必要になった。
1眼はDSAEK後2ヶ月で眼圧が32mmHgとなったのでAGVを追加した。
術後1年以内の平均眼圧は、移植片不全になった症例(平均眼圧19.4mmHg)より1年および1.5年間機能している移植片(平均眼圧16.9mmHg)で有意に低かった。(P=0.009)
結論:DSAEKは、AGV眼で視覚機能を回復させるためのPKに代わる術式である。
術後眼圧が高い事は移植片不全の重要な危険因子だった。
再DSAEKは、機能不全になった初回よりも悪くないように見え、これは再PKの生存期間短縮傾向と対照的である。
6、虹彩損傷は房水中のサイトカイン濃度上昇と関連する
Iris Damage Is Associated With Elevated Cytokine Levels in Aqueous Humor.
Aketa N et al. (東京歯科大)
Invest Ophthalmol Vis Sci. 2017 May 1;58(6):BIO42-BIO51
目的:虹彩損傷と房水中のサイトカインレベルの関連を調べる。また、虹彩損傷を起こしやすくする臨床要因を評価し、房水中のサイトカインレベルとの相関を評価した。
対象と方法:角膜移植または白内障手術を受ける前の連続した201眼(平均年齢73.7 ± 10.6歳)を3つのグループに分けて検討した。
虹彩損傷無し 126眼、中等度の虹彩損傷 51眼、重度の虹彩損傷 24眼 (Figure 1)
虹彩損害の原因はLI、角膜移植術の既往、複雑な白内障手術、複雑な硝子体手術、緑内障手術、外傷など。
手術前に27G針を使って前房水を採取した。
結果:虹彩損傷無しに比べ、中等度と重度の虹彩損傷の房水中でIL-1α, IL-1β, IL-4, IL-6, IL-8, IL-10, IL-17A, MCP-1, TNF-α, E-selectin, P-selectin, sICAM-1のレベルが高かった。(P < 0.033)
多変量解析で治療に抵抗する緑内障と複数回の内眼手術の既往が虹彩損傷と有意に関連していた。(P < 0.005)
IL-6、IL-8、IL-13、MIP-1α、TNF-αとsICAM -1は中等度と重度の虹彩損傷のある有水晶体眼で有意に高かった。
IL-8とsICAM -1は重度の虹彩損傷のある偽水晶体眼で有意に高かった。
結論:虹彩損傷眼の前房水中に、炎症抑制性サイトカインを含む多数のサイトカインの有意な上昇を認めた。
以前の研究で炎症性サイトカインが角膜内皮細胞でアポトーシスを誘発することを示している。また、角膜内皮細胞減少眼で房水中サイトカイン濃度上昇を認める事が報告されている。虹彩損傷が前房内の慢性炎症を起こし、内皮細胞喪失を誘発または角膜移植後の移植片生着に悪影響を及ぼすかもしれない。(CH)
Vitrectomy and scleral imbrication in patients with myopic traction maculopathy and macular hole retinal detachment.
Ando Y et al(杏林大)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 255(4): 673-680, 2017
・近視性牽引黄斑症MTMあるいは黄斑円孔網膜剥離MHRDのある高度近視眼17例について、強膜短縮と硝子体手術の同時手術を行い、その後の経過をみた。
・5眼については3D-MRIも施行した。
・最高視力はlogMARで0.76±0.39(小数点Va=0.17)から0.53±0.35(小数点Va=0.30)に上昇した(p=0.0004)。
・眼軸長は29.42±1.81mmから27.97±1.71(1か月後)に減少。
・MTMは全例で解消あるいは軽減し、MHは44%で閉鎖した。(TY)
Different foveal schisis patterns in each retinal layer in eyes with hereditary juvenile retinoschisis evaluated by en-face optical coherence tomography.
Yoshida-Uemura T et al(東京)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 255(4): 719-723, 2017
・遺伝性の若年性網膜分離症9例16眼(平均年齢10.6±4歳)についてen-face OCT検査を行った。
・内顆粒層INLの分離は1眼(6.3%)、節細胞層GCLとINLの分離は12眼(75%)、INLと外網状層OPLの分離は2眼(12.5%)、GCLとINLとOPLの分離は1眼(6.3%)であった。
・En-face OCT画像は各層の特徴的な形態を示していた。(TY)
Modifiable factors in the management of glaucoma: a systemic review of current evidence
Idan H. Asaf A (Israel)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 255(4):789-796, 2017
2013年1月-2016年7月の3年間の生活習慣とPOAGの関係をレビュー
Cochrane Library, MEDLINE, PubMed, ClinicalTrials.gov, metaRegister of Controlled Trials, WHO International Clinical Trials Registry Platform, Google Scholarを調査
結果
食事
フルーツ(特に新鮮なオレンジとピーチ)は健康な人の緑内障リスクを低下させるかもしれない
ニンジンや緑黄色野菜、ケール、レタスもリスク低下と関係しているかもしれない
ある調査では鉄やカルシウムの酸化物サプリメントは緑内障リスクを増加させている可能性があるとしている
3つのrondomized controlled study
Mutolo et al:22名のPOAG患者をhomotaurine(タウリン), coleus forskohlii root extract(シソ科のハーブ根抽出エキス), 1-carnosine(カルノシン:瞬発力を要するスポーツでのサプリメント), 葉酸、Vit B1,B2, B6とマグネシウムの入ったタブレット2錠を1年間毎日投与した群としなかった群で比較
治療群ではピーク眼圧が2mmHg低下、パターンERGの改善(2.9μV,P<.05)、中心窩感度の改善(4.8dB,P<.05) を認めたがコントロール群では認めなかった
Garcia-Medina et al:170名のPOAGでコントロール群と、ビタミン群、ルテイン、亜鉛、銅、マグネシウム、セレニウム、オメガ3脂肪酸を含む異なるサプリメント群2群で2年後有意差なし
視野、OCTでも差が出なかった
Bonyadi et al:34名のPOAG患者にプラセボとサフラン抽出液を1か月投与し、その後1か月経過観察したところ、サフラン投与群は有意に眼圧下降したが、投与中止により元に戻った
睡眠時の姿勢
立位よりも臥位で眼圧は上昇するが、少し頭部を上げると上昇幅は緩和されるかもしれない
Kim et al:692名のPOAG患者で聞き取り 1/3の患者は横向きで寝ており、そのうちの66-72%は悪い方の眼が下であった
Lee et al:20名のPOAG患者で調査。5分間の側臥位で緑内障の程度や頭部挙上に関わらず下側の眼が1.3±0.99mmHg上昇した
Kaplowitz et al:261名のPOAG患者をスリープラボ画像や家庭での録画で調査したところ、多くの患者は側臥位を好んでいたが、VFの悪化の程度と左右の向きは逆であった(灌流圧の減少ではないかと推論)
Flatau et al:枕による機械的圧迫が影響する可能性を指摘。22名の緑内障患者と11名のコントロール群でうつ伏せさせたところ緑内障患者は2.5±1.1mmHg上昇したが、コントロール群は上昇しなかった
Lazzaro et al:スリープラボを用いて15名の緑内障患者と15名のコントロールに対して、1日はフラットに、1日は20度の頭部挙上で寝させ、睡眠前と睡眠後2時間ごとに眼圧測定
頭部挙上群の方が1.51mmHg眼圧上昇が少なかった
Park et al:ベッドごと30度挙上が有意に眼圧を下げた(2.0mmHg)が枕だけでは変化がなかった
カフェイン
多くのスタディでは1杯のコーヒーで2時間ほど1-2mmHg眼圧上昇すると指摘
3杯以上のカフェイン摂取で感受性の高い人は緑内障のリスクが上昇するとの報告もあるが、POAG患者での調査はできていない
Aziz et al:91名のPOAG患者で調査 コーヒー摂取と疾患の重症度は関係しないが、摂取頻度と疾患の進行度は有意に相関 この小さな調査では毎日のコーヒー消費が疾患の進行を8倍高めるとしている
運動
ジョギングやサイクリング、ウォーキングなどの有酸素運動は眼圧を加工させるが、思いウェイトリフティングは眼圧上昇をするかもしれない
Agrawal et al:新規に診断された90名のPOAG患者を3つのグループに分け、1グループだけ一日30分の運動を指示したところ、運動群のみ有意に眼圧下降した
ヨガ
運動とは逆にヨガは有害かもしれない
逆立ちのポーズはポーズ中、そしてその後も眼圧を約2倍に上昇させる
Jasien et al:POAG患者で“下向きの犬のポーズ”で17±3.2mmHg → 28±3.8mmHg
“前屈”ポーズで17±3.9mmHg → 27±3.4mmHgに上昇した
水中メガネ
スイミングゴーグルは最大4.5mmHg眼圧上昇し、視神経の血流を低下させるかもしれないし、レクトミー後のブレブを伸展させると報告している
Franchina et al:スイミングゴーグルと緑内障とは関係がないと報告
長期的に影響があるのかはまだ分かっていない
他の要因に関する報告
きついネクタイ:眼圧上昇をきたす可能性はあるが、実際上は影響がないと思われる
アルコール:消費量は緑内障のリスクには影響なし
タバコ:しっかりとした報告がないが、緑内障の発症に関与することを示唆する報告と関係ないとの報告がある
上記一つ一つは1-3mmHgの小さな効果でも積み重なると大きなものになる
EMGTSでは1mmHgの眼圧下降が10%進行抑制になるとの報告(MM)
Effect of corneal collagen crosslinking on subsequent deep anterior lamellar keratoplasty (DALK) in keratoconus
Friederike Schaub, et al. (Germany)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 255(4):811-816,2017
目的:円錐角膜に角膜クロスリンキング(UV-CXL)を施行した症例に対する深層層状角膜移植(DALK)の成績を調査する。
対象と方法:2011年7月1日〜2015年12月31日の間に円錐角膜のためDALKを施行した連続した101眼(平均年齢40.5 ± 14.5歳、男性79眼、女性22眼)。
その内8眼(7.9%)がDALK を受ける5 ± 1.8 年前にUV-CXLを受けていた。(平均年齢43.3 ± 17.4歳、男性6眼、女性2眼)
結果:術中デスメ膜破裂の為PKに変更した症例はDALK 群37眼(16.8%)、DALK +UV-CXL群は0眼だった(P<0.001)。
デスメ膜のmicroperforationsはDALK 群10眼(20.7%)、DALK +UV-CXL群2眼(25.0%)だった。
視力 DALK 群 術前0.94 ± 0.42 logMAR、最終受診時0.25 ± 0.11 logMAR
DALK+CXL群 術前0.60 ± 0.52 logMAR、 最終受診時0.13± 0.06 logMAR
角膜中心厚 DALK 群 術前 390.8 ± 66.4μm 、術後18ヶ月 577.4 ± 53.8μm
DALK +UV-CXL群 術前 469.0 ± 48.7 μm、術後18ヶ月 597.5 ± 5.0μm
ECD DALK 群 術前2398.9 ± 345.7 cells/mm2、術後18ヶ月2025 ± 542.9 cells/mm2
DALK +UV-CXL群 術前2628 ± 181 cells/mm2、術後18ヶ月2505 ± 151.3 cells/mm2
視力、角膜中心厚、ECDに有意差はなかった。
術後合併症は、縫合糸のゆるみ、角膜上皮欠損、デスメ膜剝離が認められたが、DALK +UV-CXL群に特徴的なものはなかった。
結論: UV-CXL 後のDALKは合併症や臨床経過に関連しないと思われる。(CH)
Descemet membrane endothelial keratoplasty (DMEK) early stage graft failure in eyes with preexisting glaucoma
Maximilian Treder, et al. (Germany)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol (2017)(4) 255: 1417-1421
目的:DMEK術後早期での既存緑内障の影響を調べる。
対象と方法:DMEK を受けた59人74眼、平均経過観察期間152 ± 70日、平均年齢70.3 ± 10.6歳
主な疾患はフックス角膜変性症71眼
グループ1 緑内障なし 65眼
グループ2 緑内障あり 9眼、全例緑内障点眼を使用、1眼レーザー毛様体破壊術
結果:術前視力 グループ1 0.71 ± 0.37 logMAR
グループ2 1.42 ± 0.50 logMAR (p = 0.001)
術後3ヶ月 グループ1 0.56 ± 0.54 logMAR
グループ2 0.69 ± 0.62 logMAR (p = 0.564)
術後視力は両グループで有意に改善した。
眼圧は術前ではグループ1 14.9±3.5mmHg、グループ2 17.9±4.4 mmHgと、グループ2で有意に高かったが(p = 0.001)、術後3ヶ月では、グループ1 14.1±4.4mmHg、グループ2 13.9±4.5mmHgで差はなかった
再移植、前房内空気再注入などの合併症も相違なかった。
結論:緑内障眼に対するDMEKの術後早期では、緑内障のない症例の術後結果と大きな相違は認められなかった。(CH)
Measurement of lamina and prelaminar thickness of both eyes in patients with unilateral branch retinal vein occlusion.
Son Y et al(Korea)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 255(3): 503-508, 2017
・緑内障で薄くなっている篩板厚(LCT)と前篩板厚(PT)をBRVO患者50眼で測定し、年齢をマッチさせた正常眼35眼の結果と比較した。
・篩板厚は視神経乳頭の中央部、前篩板厚は最も薄い部分を測定点とした。
・BRVOと正常者のLCTは208.26±43.25:260.41±43.25µm(p=0.000)、PTは155.70±76.89:201.74±74.97(p=0.008)で有意差があった。
・BRVOの健眼のLCPは204.97±37.57(p=0.000)と147.06±71.33(p=0.004)で、いずれも正常者と比較して有意に薄かった。
このことから、BRVOと緑内障は篩板、前篩板に同じような構造変化があると考えた(図)(TY)
Contralateral eye comparison study in MICS & MIGS: Trabectome® vs iStent inject®
Johannes G. et al (Germany)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 255(2):359-365, 2017
白内障と緑内障同時手術で片眼にTrabectomeを、もう片眼にiStent injectを入れて1年後の成績を比較
iStent inject:日本で使用可能なものの次の世代のタイプで、一回の手術で2つのiStentを挿入可能
<結論>術前、術後とも両群に差はなかった。(MM)
Pseudo-accommodation in non-amblyopic children after bilateral cataract surgery and implantation with a monofocal intraocular lens: prevalence and possible mechanisms.
Dénier C, Dureau P, Edelson C, Barjol A, Caputo G.(France)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol. 2017 Feb; 255(2):407-412.
・同一施設で白内障手術を施行した68眼(小児23例40眼、成人14例28眼)
・白内障術後に偽調節(加入なしで近方視力20/25以上と定義)を有した症例は小児で36眼(90%)、成人で2眼(7%)
・偽調節(+)群では等価球面度数・IOLパワー・角膜屈折力(SimKおよびQ値)・角膜高次収差(コマ・トレフォイル)が有意に高値
・瞳孔径とIOL移動距離は有意差なし
【結論】弱視のない両眼IOL眼の小児では成人に比べ偽調節をもつ頻度が高かった
考えうる原因は、短眼軸でハイパワーIOLのためIOL移動による影響が大きい、角膜屈折力と高次収差、であった(MK)
Correlation between outer retinal layer thickness and cone density in patients with resolved central serous chorioretionopathy.
Nakamura T et al(富山大)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 254(12): 2347-2354, 2016
・CSCの12例12眼でAO眼底カメラとSD-OCTで錐体細胞と網膜外層厚を測定し、網膜下液消失時と、その12か月後の経過を観察した。
・網膜外層厚は中心窩から0.5mmの位置の外境界膜ELMの外側とRPEの内側間の距離とした。
・下液消失時のlogMARは0.16(小数点0.69)、12か月後は0.01(小数点0.98)であった。
・錐体濃度はそれぞれ12,213±4,744→17,146±3,134/mm2(正常者は34,500±4,088)で有意に増加(p=0.0014)、網膜外層厚は53.5±11.0→60.7±8.3μと有意に減少(p=0.0013)しており、両者には相関があった。(TY)
Long-term outcomes of glaucoma drainage devices for glaucoma post-vitreoretinal surgery with silicone oil insertion: a prospective evaluation
Gupta S et al (India)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 254(12) :2449-2454, 2016
SO挿入後のGlaucoma 11-48% そのうち約40%は手術を要するが従来のTLEは成績が良くない(特に若年者では乳化SOによる結膜下の炎症やFibrosis、結膜瘢痕、)
27例27眼のVit+SO術後にAGV(FP7)を挿入した患者の成績を調査
平均年齢28.3±15.2歳 手術間隔:VitとSO除去 6.7±6.86M、SO除去とAGV11.24±11.29M
平均観察期間 17.11±8.36M
レンズ:6眼(22.3%) Phakic、11眼(40.7%) IOL、10眼(37%) Aphakic
BCVA: Pre 1.26±0.50 logMAR, 3M 1.14±0.38(p=0.32), 6M 0.96±0.54(p=0.04), 12M 1.00±0.39(p=0.32)
6眼(22%)で2段階以上の視力低下、11眼(40.7%)で2段階以上の視力改善、10眼(37%)で変化なし
IOP: 術前 42.5±6.63 mmHg 術後最終観察時 18.3±7.9 mmHg
成功(IOP≦21mmHg、光覚喪失なし、摘出なし):16眼(59.26%)、不成功11眼(40.74%)
生存率 12M 62% 60M 37%
もととなる疾患や年齢、手術までの各期間、レンズの状態などは成功、不成功の因子ではなかった
13眼(48%)で合併症:
すべて上耳側に挿入しているが、下方に入れたほうがいいのかはわからない(下方の方が合併症が多いという報告もあり<Pakravan, Ophthalmology 2009>)
結論:視力低下やチューブに関する合併症などは依然多いがTLEと比べて低い合併症でコントロールできる可能性がある(MM)
Impact of allergy and atopy on the risk of pseudophakic cystoid macular edema
Friederike Schaub, et al. (Germany)
Grnefes Arch Clin Exp Ophthalmol 2016 (12) 254:2417-2423
目的:アレルギーあるいはアトピー疾患を持っている患者の白内障手術後のCME発生率を調査した。
アレルギー:花粉、薬剤、ハウスダスト、その他
アトピー:皮膚炎、喘息、鼻炎
対象と方法:白内障手術後、経過観察できた240人(男性108人、女性132人、平均年齢73.0 ±10.0歳)
術後点眼はプレドニン点眼1日4回4週間、フルオロキノロン点眼1日4回2週間使用した。
OCTを術後4、8、12、16、24、36週間後に施行した。
結果: アレルギーあり 65人(27.1%、平均年齢72.0 ±10.0歳)
アトピーあり 19人(7.9%、平均年齢68.0 ±8.2歳)
アレルギー+アトピーあり 11人(4.6%、平均年齢68.0 ±6.7歳)
1つ以上アレルギーを持つ患者でのCME発生率は8人(12.3%)だった。
どんなアレルギーもない患者でのCME発生率は17人(9.7%)だった。
アトピーを持つ患者でのCME発生率は0人(0%)だった
結果:アレルギーやアトピーの有無に関わらず、CMEの発生率は同等だった。アレルギーやアトピーの既往はCME発生の予測因子ではなかった。(CH)
A modified treat-and-extend regimen of aflibercept for treatment-naïve patients with neovascular age-related macular degeneration.
Ohnaka M, Nagai Y, Sho K, Miki K, Kimura M, Chihara T, Takahashi K.(関西医大)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol. 2016 Oct 14. [Epub ahead of print]
・36眼のAMD患者にtreat and extend(TAE)法を改良した投与間隔でaflibercept硝子体注射を施行
・TAE変法;1)導入期:浸出性変化が消失するまで毎月投与(3回以上)、2)経過観察期:浸出性変化が再発するまで結果観察、3)TAE期:再発までの期間をもとにTAE最初の投与間隔を決定(以後2週で調整)
・1年成績で平均投与回数4.53回、導入期で得られた視力は低下することなく維持(MK)
Vision loss under silicone oil tamponade.
Tode J et al(Germany)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 254(8): 1465-1471, 2016
・2006~2014年に、裂孔原性網膜剥離の硝子体手術を行った約5,400例の内、約900例に5000centistokeのシリコンオイル注入を行った。
・手術法はperfluorocarbon液(PFCL)による網膜復位後、PFCLを直接、SO置換をおこなった。
・SOの適応は再発性網膜剥離47%、部分的に増殖のある黄斑を含んだ網膜剥離28%、高度近視性網膜剥離6%、その他19%である。
・その内、黄斑剥離のなかった15例について検討した。
・SO注入方法は15例の内、8例(53%)に中心暗点を伴った視力低下を発生した。
・15例の術前logMAR中央値は0.15(0.5-0、小数点では0.3-1.0)、SO抜去前は 0.7(1.0-0.5、小数点0.1-0.3)、SO抜去6週後は 1.0(1.5-0.2、小数点003-0.6)であった。
・8眼中5眼は1年以上の最終診察時の視力は中央値logMARは0.15(0.5-0.1、小数点0.7-0.8)と改善したが、8眼中3眼(20%)では1.0(小数点0.1)のままで改善しなかった。
・術後6週以内に視力低下が発生した4例は全例が視力は改善したが、術後3か月以内に視力低下を来した残りの4例では、3例が改善しなかった。
・視力低下は全例、SO抜去前に発生している。
・OCT上では中心窩と傍中心窩の神経線維層、節細胞、内網状層の有意な菲薄化がみられた。
・水平断で500μ部の厚みは58.3±13で、健常眼の84.5±12.3μとは有意差があった(p<0.01)。
・網膜神経節細胞障害が主体であると考えているが、詳細は不明である(図)(TY)
Effect of a topical nonsteroidal anti-inflammatory agent (0.1% pranoprofen) on acute central serous chorioretinopathy.
AU SH et al(Korea)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 254(8): 1489-1496, 2016
・プロスタグランジンの生合成を抑制する作用をもつpranoprofen 0.1%点眼(ニフラン点眼)がCSCに効果があるかどうかを検討した。
・52例52眼のCSCをカルテ記録から治療群26眼、コントロール眼26眼に分けて調査した。
・中心窩脈絡膜厚SCTは治療眼では365.5±52.9→288.9±36.1(6M p=0.005)、Ctro眼では385.2±43.4→364.1±48.7(6M 有意差なし)。
・網膜下液厚SRFは治療眼では221.5±108.4→97.6±54.3(1M p<0.005)→4.3±11.2(6M)であったが、Ctrl眼では265.4±112.4→242.2±111.2(1M 有意差なし)→64.8±116.9(6M p<0.005)であった。
・中心網膜厚CMTは治療眼では403.9±114.6→270.1±37.9(1M p<0.005)→216.1±32.3(6M)であったが、Ctrl眼では459.1±104.9→431.7±97.3(1M 有意差なし)→304.6±92.8(6M)であった。
・logMARは治療眼では0.46±0.53(小数点0.35)→0.23±0.40(小数点0.59)(3M p<0.05)→0.21±0.33(小数点0.61)(6M)であったが、Ctrl眼では0.27±0.28(小数点0.54)→0.19±0.15(小数点0.65)(3M 有意差なし)→0.17±0.13(小数点0.68)(6M 有意差なし)であった(図)(TY)