Retinal vessel diameter in bilateral glaucoma suspects: comparison between the eye converted to glaucoma and the contralateral non-converted eye.
Yoo E et al(Korea)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 254(8): 1599-1608, 2016
・両眼の緑内障疑いと診断され、2年以上の経過後に片眼緑内障に診断が変った21例について網膜血管径を検討した。
・緑内障疑いの診断は視神経乳頭のC/D比が0.7以上で視野正常で眼圧が21mmHg以下、あるいは、乳頭や視野が正常で眼圧が21を超えるものとした。
・Red-free眼底写真で新しい神経線維層欠損が見つかった場合、あるいは再現性のある緑内障性視野欠損が発生した場合に診断を緑内障に変えた。
・自動解析装置で中心動脈径(CRA equivalent:CRAE)と中心静脈径(CRV equivalent:CRVE)を求めた。
・緑内障に診断変更された眼のbaseline時のCRAEは164.9±13.2で、非進行眼の175.2±15.6μより有意に細かったが(p=0.001)、CRVEには有意差がなかった(p=0.108)。
・診断変更された時点でのCRAEも158.6±13.5:168.0±17.2μで有意差があった(p=0.011)。(TY)
Effect of a topical nonsteroidal anti-inflammatory agent (0.1% pranoprofen) on acute central serous chorioretinopathy
SH An et al (Korea)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 254(8) :1489-1496, 2016
プラノプロフェン(ニフラン)は、COX酵素阻害によりプロスタグランディン合成阻害、血小板凝集抑制、細胞膜の安定化作用がある
急性期のCSCで、脈絡膜の血管透過性亢進、虚血、炎症が生じている可能性があり、プラノプロフェンが有効かどうかレトロスペクティブに検討 (ネバナックで有効という報告あり)
発症後6週以内の52眼を対象:26眼 治療群、26眼 経過観察群
治療群は黄斑下脈絡膜厚(SCT)の減少があったが、経過観察群では変化なかった
SRF、CMTは両群とも減少したが、治療群のほうが早期に改善し、CMTは治療群の方が有意に改善
PDTやレーザー、抗VEGF薬に比べて点眼は副作用がほとんどない
プラノプロフェン点眼は急性期のCSCに有効である可能性が示唆された(MM)
Recurrence of macular edema in eyes with branch retinal vein occlusion changes the diameter of unaffected retinal vessels.
Im JC et al(Korea)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 254(7): 1267-1274, 2016
・BRVOに伴った黄斑浮腫MEに対してbevacizumab(IVB)治療を行った後の、健常部の網膜血管径の変化について42眼について検討した。
・IVBに反応したBRVOのME患者について、網膜4象限の最大径の網膜動脈、静脈について、健常部の3象限についてのみ治療前、1,3,6ヶ月目に検討した。
・測定部は視神経乳頭から0.5~1.0DD内の血管径である。
・治療前では健常部の静脈径は健眼の同部位の静脈径よりも太かったが(p<0.05)、IVB後には治療前に比較して、BRVO眼では全象限で有意に減少した(p<0.05)。
・22眼(52.4%)がIVB後にMEが再発。
・3か月目の再発例15眼(35.7%)でも、6か月後の再発例7例(16.7%)でも健常部の3象限の静脈径は有意に増加していたが(p<0.05)、2度目のIVB後に再度、有意に減少した(p<0.05)。
・この健常部の静脈径のMEに伴う変化はBRVOのメカニズム解明の手掛かりとなるだろう(TY)。
Optical coherence tomography angiography of the foveal avascular zone in diabetic retinopathy.
Freiberg FJ et al(Switzerland)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 254(6): 1051-1058, 2016
・OCT angiography(RTVue)で糖尿病網膜症DMRの中心窩無血管野(FAZ)の大きさと対称性を検討した。
・DMRの程度は、軽度非増殖網膜症から増殖性網膜症まで含まれ、糖尿病黄斑症に進展したものが過半数を占める。
・表層血管層はILMの3μm下から内網状層IPLの15μm下まで、深層血管層はIPLの15-70μm下までとした。
・正常眼25眼ではFAZは垂直(90°)あるいは水平方向(0°)に楕円形であるが、DMR29眼では血管アーケードが不連続性でFAZが拡大していた。
・表層血管層では、水平FAZ径はCtrl群573±177μm:DMR群753±272μmと有意差があった(p=0.029)。
・深層血管層ではCtrl群659±194:DMR群1009±342で更に差が強かった(p=0.001)。
・楕円長軸の角度を見ると、表層血管層ではCtrl郡が0 or 180°±15°以内に72.0%が入っているのに、DMR群では6.9%しか入っておらず、FAZの不規則性がはっきりした。(TY)
Descemet strippiing automated endothelial keratoplasty using corneas from elderly donors.
Nakatani S et al(順天大)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 254(6): 1135-1140, 2016
・高齢者Donorsからの角膜を使ったDSAEKについて術後2年後の状況について検討した。
・80歳以上の高齢者(86.3±28.9 80-98)からの角膜29眼と79歳未満(62.1±23.2 26-79)の角膜61眼とで比較した。
・2年後の内皮細胞消失の中間値はそれぞれ38.9±22.5%:39.7±23.8%で有意差はなかった。(TY)
Reversible structural and functional changes after intraocular pressure reduction in patients with glaucoma.
Waisbourd M et al(PA USA)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 254(6): 1159-1166, 2016
・緑内障患者で眼圧下降後の構造と機能の回復についてSD-OCT、VF、VEPで検討した。
・緑内障は全てのタイプを入れている。POAG、PE緑内障、LTG、CACGなどで罹患期間は不問。
・眼圧下降方法は点眼内服、レーザー、手術などである。
・除外した例は、VF測定不安定者、視力0.5未満、年齢<18と >90、緑内障以外の視野障害者、白内障による視力低下者、視神経症、網膜症、屈折値が>±5D、乱視度が>±3Dである
・61例76眼を術前眼圧により高眼圧群(8眼Grp1 IOP>32 m=44.9)、中度高眼圧群(54眼Grp2 IOP 22-31 m=26.9)、安定眼圧群(14眼Grp3 IOP<22 m=14.2mmHg)に分けた。
・Grp1と2では平均C/D比は有意に低下した(Grp1 0.76→0.72 p=0.043:Grp2 0.71→0.68 p<0.001)。
・Cup容積はGrp2では有意に減少した(Grp1 0.46→0.41 p=0.07:Grp2 0.46→0.39mm3 p=0.006)。
・RNFL厚はいずれも不変であった。
・Grp1の2例ではVFの改善もみられた。VEPでは有意差がなかった。(TY)
Levodopa as a possible treatment of visual loss in nonarteritic anterior ischemic optic neuropathy
Lyttle DP, Johnson LN, et al. (US-MO)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 2016;254(4):10 757-764
・59例59眼、発症から15日以内に診断された非動脈炎性前部虚血性視神経症(NAION)をretrospectiveに調査
・Levodopa群 (n=33):carbidopa25mg(levodompa100mg)を1日3回、12週間服用
・Control群 (n=26):経過観察のみ(levodopaの説明受けるも治療希望しなかった患者)
・平均経過観察期間:8.2か月
【結果】ベースライン視力が20/60以下の患者では、levodopa群が有意に視力改善 (P<0.0001)、control群は有意な改善みられず
・Levodopa群は視力改善が83%で視力悪化みられず、control群は視力改善が43%にとどまり29%が視力悪化
・視野検査のMD値やOCTのRNFL厚は両群ともに有意な変化みられず
【結論】発症15日以内のNAION患者においてlevodopaは有意な中心視力の改善(snellenチャートで6ライン相当)をもたらした。LecvodopaはNAION患者の黄斑-乳頭の神経節細胞の神経保護効果があるかもしれない(MK)
A new method to predict anatomical outcome after idiopathic macular hole surgery
Liu P, Zhao M, et al. (China)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 2016;254(4):10 683-688
・黄斑円孔(MH)閉鎖を予測する新しい指標としてMHCI(macular hole closure index)を提唱
・MHCI= (M+N) / BASE
MおよびN:剥離した視細胞層のカーブの長さ、BASE:円孔底の長さ
・術後の解剖学的転帰を3つに分類;A(bridge-like closure)、B(good-closure)、C(poor closureまたはno closure)
・過去に報告があったMH最小径、MH高さ、MHI(macular hole index)、DHI(diameter hole index)も検討
・手術はPPV+ILM peeling+gas tamponade、術後フォローアップ期間は3.62±3.24か月
【結果】MHCIは術後の解剖学的転帰と有意に相関(r=0.543, p=0.000)し、他の指標より強い相関であった【Tab.1】
・ROC曲線より、cut-off値を0.7および1.0に設定すると、3つの形態の分布に有意差がみられた【Tab.3】
(MHCIが0.7以下だと網膜が足りず閉鎖しにくい、また1.0以上だと網膜が余るのでbridge型になりやすい)
【結論】MHCIは術後の解剖学的転帰を予測する上で簡便で正確な指標になりうる(MK)
Evaluation of mechanical closure resistance of sutureless vitrectomy sclerotomies after conjunctival cauterization with bipolar diathermy forceps.
Benitez-Herreros J et al(Spain)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 254(3): 489-495, 2016
・80眼の豚眼で、23Gの経結膜無縫合硝子体手術TSV後に、1か所の創口は双極ジアテルミー攝子で強膜創上の結膜を凝固し、もう1か所は何もせず、両者の創口を調べた。
・眼内にメチレンブルーを注入し、どちらか一方の創口から漏れるまで眼圧を徐々に上げた。
・ジアテルミー凝固を行った創口から最初に漏れたものは28/80(35%)で有意に少なかった(p=0.01)。
・メチレンブルーが漏れかけた時の眼圧をみると、120mmHgを越えてから漏れかけたた眼数はジアテルミー凝固群で14/28(50%)、コントロール群では9/52(17.3%)であり、両者間には有意差があった(p=0.005)。
・ジアテルミー凝固は創口閉鎖に効果的である(TY)
Structural dissociation of optic disc margin components with optic disc tilting: a spectral domain optical coherence tomography study.
Hasegawa T et al(京大)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 254(2): 343-349, 2016
・視神経乳頭のブルッフ膜開口部(BMO)と強膜孔開口部(SO)をPOAGあるいはその疑い者101名101眼で検討した。
・視神経乳頭の長軸に沿って0.5度間隔でEDI-OCTでスキャンし、視神経乳頭周囲の鼻側と耳側縁を中心に検討した。
・耳側と鼻側のSOからBMOまでの距離は有意に相関しており(R-0.632 p<0.0001)、多変量回帰分析では、乳頭の楕円率(耳側、鼻側ともp<0.0001)、眼軸長(耳側 p=0.002、鼻側 p=0.001)と相関していた。
・緑内障眼での視神経乳頭の傾斜や眼軸の延長に伴った、強膜孔開口部のブルッフ開口部からの鼻側移動は、耳側だけでなく鼻側でも起こっていた。
・視神経乳頭の深部構造の鼻側移動は、視神経乳頭傾斜のみられる近視眼で著明である。(TY)
The effect of prophylactic topical antibiotics on bacterial resistance patterns in endophthalmitis following intravitreal injection.
Storey P et al(PA USA)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 254(2): 235-242, 2016
・抗VEGF硝子体内注射後の眼内炎について、抗生剤点眼薬の影響について検討。2009年1月から2013年9月に抗VEGF硝子体内注射を行った人について検討した。
・抗生剤点眼薬が注射後4日間1日4回点眼群を28か月経過観察した群と、抗生剤点眼薬が処方されず21か月経過観察した群とを比較した。
・抗生剤使用期間中、57,654注射で28例に感染性眼内炎疑いが発生し、10例は培養陽性であった。
・抗生剤非試用期間中、89,825注射で24例が感染性眼内炎疑いが発生し、6例が培養陽性であった。
・抗生剤使用群では10例中4例(40%)は使用した抗生剤の耐性菌であった。
・使用した抗生剤はフルオロキノロン、アミノグリコシド、トリメトプリムなどである。
・抗生剤非使用群での6例では前述の抗生剤への耐性菌はなかった(OR=9.0 95%CI=0.40-203.3 p=0.17)。
・ただし、非使用群で1例はアジスロマイシンとエリスロマイシンの耐性があったが、この症例は2年前に硝子体手術を受けた際に抗生剤点眼を受けていた。
・繰り返し行われる硝子体注射の際に抗生剤点眼薬を使用すると抗生剤耐性の眼内炎を発症する頻度が高まると予想される。(TY)
A modified scleral dissection technique with suprachoroidal drainage for canaloplasty.
Szurman P et al(Germany)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 254(2): 351-354, 2016
・修正したcanaloplasty法を紹介する。
・4×4.5mmの強膜半層弁の下に3.5x4mmの深層強膜弁を作らず、全層切除して上脈絡膜を露出する方法を78眼で行い、1年間経過を追った。
・術前眼圧は平均19.1mmHgで緑内障点眼を3剤使用していたが、術後12か月後は緑内障点眼薬は平均1剤使用で眼圧は平均13.5mmHgで、41例(52.6%)では点眼薬は使用していない(図)(TY)
The effect of prophylactic topical antibiotics on bacterial resistance patterns in endophthalmitis following intravitreal injection
Storey P, Garg S, et al. (US-PA)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 254(2):10 235-242, 2016
【目的】抗VEGF剤の硝子体注射の後に予防的な抗生剤投与を行うことが、眼内炎発症例における薬剤耐性パターンに影響するかを調査
【対象と方法】単一施設(Willis Eye Hospital)で2009-2013において発症した、抗VEGF剤(ranivizumab, bevacizumab, aflibercept)硝子体注射後の眼内炎をretrospectiveに調査。前半の28か月は注射後4日間抗菌薬の予防点眼を4回/日で施行、残る21か月は注射後の点眼なし。(2011.5月~12月の約8か月間は術者ごとに方針が異なる移行期間のために除外。)*両期間ともに注射前の予防的抗菌薬の投与はなし。
【結果】調査期間内に172,096回の硝子体注射を施行。前半の抗生剤(+)期間では、57,654回の注射のうち28例で眼内炎疑い、うち10例で培養陽性。後半の抗生剤(-)期間では、89,825回の注射のうち24例で眼内炎疑い、うち6例が培養陽性。前半では培養陽性の10例のうち4例が予防的に投与した薬剤に耐性を示し(他に2例で投与歴のない薬剤に対し耐性)、後半の症例では培養陽性の6例のうち1例で投与歴のない薬剤に対して耐性を示し、残る5例では薬剤耐性がみられなかった。【Tab.1】【Tab.2】
*薬剤耐性群・耐性なし群ともに視力予後は不良であり有意差みられず【Tab.2】【Tab.4】
【結論】硝子体注射の後に行う予防的な抗生剤投与は、培養陽性の眼内炎の例において、薬剤耐性菌の頻度を上昇させるかもしれない。(MK)
Oral Rifampin treatment for longstanding chronic central serous chorioretinopathy
Shulman S, et al. (Israel)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 254(1):10 15-22, 2016
【目的】慢性CSC患者に対するリファンピシン経口療法の効果を調査
【対象と方法】前向きパイロットスタディ。網膜下液(SRF)が3か月以上持続する慢性CSC患者(12例14眼)にリファンピシン300mg/日を3か月投与、6か月フォローアップ。
・ベースライン時の平均年齢58.5歳、SRF持続期間の平均28.4か月。
【結果】3か月後のSRFは9眼(64%)で減少、6眼(42.8%)で完全に吸収、そのうち4眼は6か月後までSRF再発せず。
・矯正視力の平均:投与前20/60→3か月後20/50(P>0.05)。
・網膜厚:25.3%、21.2%、21%(それぞれ1・2・3か月後)と有意に減少(P<0.05)
脈絡膜厚:投与前476±188μm→3か月後で427±125μm(P>0.05)
・2眼で副作用のため治療中断。(1眼で胆石症→胆嚢炎、1眼で血圧上昇)
【結論】リファンピシン経口療法は慢性CSC患者に対する治療オプションとなりうる。(MK)
Macular structural characteristics in children with Down syndrome.
O’Brien S et al(IN USA)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 253(12): 2317-2323, 2015
・17例のDown症と18例のCtrl群(6歳から16歳)を比較した。
・Down症児は在胎36週以上で、視力は0.2以上とした。
・OCTで中心窩厚(central subfield thickness CST)、内層厚、外層厚を調査した。
・CST、内層厚、外層厚はDown症:Ctrl群では281±17:246±21、95±15:76±12、185±16:170±12μで、いずれも有意差があった(p<0.05)(図)。(TY)
Effects of mydriasis and miosis on kinetic perimetry findings in normal participants
Hirasawa K, et al. (北里大)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 253(8):10 1341-1346, 2015
【目的】正常被験者において、薬剤による散瞳や縮瞳が動的視野検査に影響を及ぼすかを調査
【対象と方法】正常被験者38名38眼。Octopus900視野計のⅢ4e、Ⅰ4e、Ⅰ3e、Ⅰ2e、Ⅰ1e視標を用いて動的視野を測定。(各々15°ごとの24経線)。
【結果】瞳孔径は正常状態で5.6±0.9mm、散瞳状態で8.5±0.7mm、縮瞳状態で3.4±0.8mm。
・散瞳状態の視野:正常状態と比べて、Ⅲ4eでは有意差みられないも、他のすべての指標では有意に減少(p<0.01)
・縮瞳状態の視野:正常状態と比べて、Ⅲ4eでは有意に減少しており(p<0.01)、Ⅰ3eおよびⅠ2eでは有意に増加していた(p<0.05)
【結論】散瞳・縮瞳どちらの状態も、動的視野はどの経線でも同様の傾向を示した。散瞳状態では全体的にイソプターが低下する一方、縮瞳状態では様々な所見を呈した。瞳孔の状態に伴うイソプターの変化に注意を払うべきである。(MK)
Treatment of stage 3 Coat’s disease by endolaser photocoagulation via a two-port pars plana nonvitrectomy approach.
Cai X et al(China)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 253(7): 999-1004, 2015
・Two-port pars plana nonvitrectomy approachで滲出性網膜剥離を伴った24例25眼のstage 3のコーツ病の治療を行った。
・24例中23例は男子で2-17歳、1例は女子で6歳である。
・輪部から3ミリ部に2か所穴をあけ、眼内レーザーで異常血管を直接凝固した。
・追加治療は網膜下液排除(5眼)、眼内トリアムシノロン注入(7眼)、抗VEGF薬硝子体内注入(17眼)である。
・1回から5回の施行(平均1.96回)で、25眼中24眼(96%)で、平均4か月で網膜は復位した。
・1眼(4%)は再剥離し、5眼(20%)は倒像鏡での追加光凝固を施行。
・最終的に平均10.08ヶ月の経過観察で24例(96%)で血管拡張は軽快した(図)(TY)
Treatment of negative dysphotopsia with supplementary implantation of a sulcus-fixated intraocular lens.
Makhotkina NY et al(Netherlands)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 253(6): 973-977, 2015
・7例9眼の強いnegative dysphotopsiaに対して毛様溝固定のIOLを挿入し、解消を図った。
・6眼で解消し、1眼で部分解消、2眼で不変であった。(TY)
(日本の眼科 86(5):600-601, 2015 Negative dysphotopsia参照)
Retinal vascular caliber between eyes with asymmetric glaucoma.
Leon JMSD et al(Singapore China)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 253(4): 583-589, 2015
・網膜動脈径RACと網膜静脈径RVCとの差を、両眼の緑内障進行度が異なる眼で検討した。
・両眼の原発緑内障で、両眼の垂直CD比(VCDR)が0.2以上(0.9±0.1:0.7±0.1)で、両眼の視野のMD差が6.0dB以上(-18.5±8.6:-6.6±5.6)である158症例で検討した。
・RAC,RVCは視神経乳頭から0.5DDから1.0DDの間で測定した。
・平均RACは重篤眼では131.5±17.8、軽症眼では141.6±18.8μ、平均RVCは201.0±21.4:211.7±25.3μで、年齢、性、視力、眼軸長、眼圧等で補正しても両者とも有意差があった(p<0.001)。
・ただ、どちらが原因で、どちらが結果であるのかは不明である(図)。
Laser therapy versus observation for symptomatic retinal artery macro aneurysms
Jacob C. Meyer, (MO,U.S.)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 253(4): 537, 2015
目的:網膜細動脈瘤に対するレーザー治療と経過観察と比較検討した。
対象と方法:網膜細動脈瘤は以下のように分類した。(1)滲出性:1乳頭径以上の滲出が主な要素で、これが原因で視力が低下しているもの。(2)出血性:1乳頭径以上の出血が主な要素で、これが原因で視力が低下しているもの。
27人27眼。 経過観察グループ14眼(平均経過観察期間22ヶ月、滲出性50%、出血性50%)、レーザー治療グループ13眼(平均経過観察期間25ヶ月、滲出性54%、出血性46%)
結果:観察グループ視力20/120 → 20/96(p=0.57)、治療グループ20/281 → 20/54(p=0.0003)
観察グループ14眼の中で2 lineまたはそれ以上改善 29%、不変59%、2 lineまたはそれ以上悪化 14%
治療グループ13眼の中で2 lineまたはそれ以上改善 77%、不変23%、2 lineまたはそれ以上悪化 0%
治療グループで最終視力が20/200より悪くなった人はいなかった。
観察グループで最終視力が20/200より悪くなった人は4人。その内2人が網膜下出血
出血性と滲出性を比較すると、出血性の方が視力が改善した。
出血性グループ 20/540 → 最終視力20/150
滲出性グループ 20/72 → 最終視力20/34
出血性でレーザー治療した症例で最も視力が改善した。(表4)
浸出性では治療でも観察でも差はなかった。
レーザー治療のうち7人がしつこい黄斑浮腫のためレーザーを追加した。
結論:網膜細動脈瘤に対するレーザー治療は視力の改善結び付けられた。特に、主に出血を伴う網膜細動脈瘤による視力低下の危険性を減少させるかもしれない。(CH)