Relationship between foveal microstructures and visual outcomes in eyes with resolved central serous chorioretinopathy.
Hasegawa T et al(奈良医大)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 253(3): 343-350, 2015
・中心性漿液性網脈絡膜症CSCの軽快後の中心窩微細構造と視機能について、23例の25眼の病眼と18眼の健僚眼で検討した。
・CSC群ではSRD改善後に視機能障害が残った11眼と残らなかった14眼に分けて検討した。
・CSC眼の視細胞外接OS長は僚眼より有意に短かった(37.6±6.7:44.7±3.2μ p=0.0003)。
・また、このOS長は視障害が残った群で、残らなかった群に比して有意に短かった(34.6±6.2:40.0±6.3 p=0.023)。
・また、障害が残った群では網膜剥離期間が有意に長かった(9.2±5.5:3.3±3.1月 p=0.002)。
・CSC回復後のOS長は視機能を表す良い指標となる(図)
A simple infrared-argmented digital photography technique for detection of pupillary abnormalities
Shazly TA, Bonhomme GR. (US-PA)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 253(3):10 487-490, 2015
・サングラスのフレーム下部に赤外光LED(Osram SFH4550-FW;;Munich、ドイツ)を左右3つずつ固定し、9V電池およびスイッチと直列に配線。
・明暗所でLEDを照射し、市販のデジカメ(本論文ではソニーDSC-WX5)で動画・静止画を撮影(ナイトモードは使っていないよう)(MK)
Three-dimensional optic nerve head images using optical coherence tomography with a broad bandwidth, femtosecond, and mode-locked laser.
Shoji T et al(埼玉医大)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 253(2): 313-321, 2015
・中心波長840nmで半値幅200nmの広波長で、解像度の非常に高いOCTシステムを使用して、視神経乳頭の篩板構造を調べた。
・カメラの解像度は2048x300pixelsで、50000A-scans/sec、垂直解像度は2.0μm、測定範囲は3.0×3.0mm正方形で測定し、2.0μmの深さ毎に再構築された。
・被験者は正常眼36眼と緑内障眼10眼で、全症例の年齢は40.0±15.0歳である(図)(TY)
Three-year corneal graft survival rate in high-risk cases treated with subconjunctival and topical bevacizumab
Iva Dekaris, et al. (Croatia)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 253(2): 287-294, 2015
目的:危険性の高い眼での角膜移植片生着率に対するベバシズマブ結膜下注射と点眼の効果を評価する。
対象と方法:2009年4月〜2012年4月、全層角膜移植(PK)を予定した50人50眼(男性26眼、女性24眼)
新生血管が少なくとも1象限以上ある症例(Stevens Johnson症候群(SJS) 2眼、化学熱傷 5眼、外傷後の血管豊富な角膜白斑 7眼、感染後の血管豊富な角膜白斑 11眼、拒絶反応を起こした角膜移植組織 19眼、角膜潰瘍 6眼)
平均年齢 51.5±18.8歳
全例に全層角膜移植を行い、10例では輪部移植も行った。
全例で、新生血管のある象限毎に0.5ml (25m/ml) ベバシズマブと0.5ml (4m/ml) デキサメタゾン結膜下注射をした。50眼中6眼が1象限の新生血管(外傷後の血管豊富な角膜白斑 3眼、感染後の血管豊富な角膜白斑 3眼)
さらに2象限以上新生血管がある症例では手術後12週間以内で、新生血管が退縮するまでベバシズマブ点眼(25m/ml)1日4回行った。
平均経過観察期間 36.5ヶ月
結果:PK後3年でBCVA改善したのは82%(41眼)だった。(図1)
改善しなかった9眼はSJS 2眼、拒絶6眼、角膜潰瘍1眼
3年間の生存率は、SJS 0眼、化学熱傷 3眼、外傷後の血管豊富な角膜白斑 5眼、感染後の血管豊富な角膜白斑 11眼、拒絶反応を起こした角膜移植組織 13眼、角膜潰瘍 4眼
術後拒絶反応を起こしたのは17眼(34%)、その内15眼(30%)が最終的に不全となった。
3年間の間、70%が移植片の透明性を保っていた。(図2)
内皮細胞数は、術前平均2864個/mm2、術後1ヶ月平均2237個/mm2、術後1年平均2034個/mm2、3年後平均1905個/mm2となった。
結膜下注射の追加は11眼(22%)、全例4回以内。
副作用はSJSの1例で、12週後に角膜上皮欠損を認めた。
結論:炎症あるいは血管豊富なベッドで行われる角膜移植は危険性が高く、成功率は20〜40%と低率であると報告がある。術後6ヶ月で新生血管の発達が早いと言われているが、ベバシズマブ結膜下注射と点眼でその成長を抑制する事が出来る。内皮細胞に影響はなかった。
危険性の高い症例での角膜移植片生着率を改善するかもしれない(CH)
Long-term outcomes of needle revision of failing deep sclerectomy blebs.
Koukkoulli A et al(UK)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 253(1): 99-106, 2015
・深部強膜切除後の濾過胞消失に対するMMC使用の針での濾胞再建の長期経過を66例66眼について検討した。
・結膜下にMMC 0.01-0.02mgを注入し、15分後にneedlingした。
・判定は完全成功は点眼薬なしに眼圧が18以下あるいは20%の低下で、部分成功は点眼薬使用下で上記の眼圧とした。
・平均経過観察期間は67.8±24.8か月(1-10年)であり、平均needling数は1.6±0.8(1-4)回である。
・2回以上のneedlingは31眼(47.0%)に行われた。
・施行前の眼圧値は23.2±6.9mmHで、完全、部分成功率は1年で64%、71%、3年で57%と68%、5年で40%と58%であった。
・濾過手術後6か月以内の早期needlingは有意に不成功が多かった。
・合併症は5眼(7.6%)で低眼圧、濾過胞漏出が2眼(3.0%)、眼内炎1例(1.5%)、角膜浮腫2眼(3.0%)であり、needlingの有効性が分った。(TY)
Investigation of blood flow regulation and oxygen saturation of the retinal vessels in primary open-angle glaucoma.
Ramm L et al(Germany)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 252(11): 1803-1810, 2014
・41例のPOAG(64.1±12.9歳)と40例の健康者(63.6±14.1歳)を比較して、POAGの網膜の酸素供給を検討した。
・対象は緑内障点眼薬使用下で眼圧が22mmHg以下の緑内障である(緑内障の程度の記載はない)。
・Retinal Vessel Analyzer(RVA)を用いて、視神経乳頭像を解析した。
・乳頭縁の網膜中心動脈と静脈の径、2波長法での酸素飽和度を求めた。
・フリッカー光の照射に対する反応も検討した。
・POAGでは正常者よりも静脈の酸素飽和度SO2は有意に高かったが(64.36±7.11:59.78±8.47% p=0.01)、動静脈差は有意に小さかった(33.07±5.24:37.53±6.95 p=0.002)。
・動脈の酸素飽和度や動脈径、静脈径には有意差はなかった。
・フリッカー照射による静脈径の増大(3.72±3.29:5.43±4.04% p=0.039)、静脈酸素飽和度の変化(2.08±3.74:4.18±3.88% p=0.016)、動静脈の酸素飽和度の差(-2.1±3.31:-4.43±3.6% p=0.03)はいずれもPOAGが健康者よりも有意に小さかった。
・このような、POAGでの動静脈の酸素飽和度差が小さくなっていることは、緑内障による神経網膜欠損によって網膜の酸素要求が減っていることを意味しているだろう。(TY)
黄斑円孔手術における中心窩ILM剥離
Foevola nonpeeling internal limiting membrane surgery to prevent inner retinal damages in early stage 2 idiopathic macula hole.
Ho TC et al(China)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 252(10): 1553-1560, 2014
・初期のstage2の黄斑円孔に対し、中心窩のILM剥離をしない方法を検討した。
・28例28眼を中心窩400μmのILMを残した第1群と、中心窩ILMを全部剥離した第2群それぞれ14眼に分け検討した。
・術後視力はlogMARで、1群は0.30±0.10(小数点0.50)、第2群0.39±0.08(小数点0.41)で第1群で有意に良かった(p=0.011)
・IS/OS線が残ったのは第1群は全例、第2群は50%であり、中心窩反射は第1群で86%が残り、第2群では全例残らなかった(0%)。
・このことから、中心窩ILMは剥離しない方が良いと考えた(TY)
Prevention and treatment of injection-related endophthalmitis.
Yu CQ et al(CA USA)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 252(7): 1027-1031, 2014
・硝子体内注射で眼内炎を発症した過去2年間の英文での報告をPubmedを利用して検索した。
・20以上の報告があったが、ポビドンヨードで前処置した場合には眼内炎の発生率は0.03%と低かった。
・抗菌点眼薬の使用は眼内炎の発症に有利な作用はなかったことから、不要と考えられた。(TY)
Slit-lamp exophthalmometry, a novel technique
Yehoshua Almog, Eli Rosen, Arie Y. Nemet. (Israel)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 252 (7): 1161-1164, 2014
【方法】スリットランプを用いた非接触でシンプルな眼球突出度の計測方法を考案【Fig.1】、60名の患者でHertelの眼球突出計の測定結果と比較
【結果】二つの方法の測定値が2mm以上異なっていたのはわずか5%。両測定値の間に有意差みられず。相関係数は右眼0.96、左眼0.956。
【結論】スリットランプを用いた眼球突出度測定法は、眼球突出計を必要とせず簡便で非接触な信用度の高い方法である(MK)
Pars plana vitrectomy for treatment of advanced Coats’ disease- presentation of a modified surgical technique and long-term follow-up.
Suesskind D et al(Germany)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 252(6): 873-879, 2014
・網膜剥離や網膜下浸出、血管奇形を伴った13例の進行性コーツ病について検討した。
・全例、硝子体手術を行い、液空気置換後に眼外冷凍凝固を行い、網膜切開やシリコンオイル注入は行わなかった。
・平均37か月(18-66か月)の経過観察で眼球摘出はなし、4眼31%は追加治療なし、9眼69%で追加治療施行。
・6眼46%はSO注入の再手術施行。
・10眼77%で病的血管退縮し網膜は復位した。
・視力は3眼27%で回復、4眼36%で不変、4眼36%で悪化、2眼は不明であった。
・冷凍凝固の方法は、液空気置換をすると冷凍凝固のエネルギーが局所に集約されるが、しなかった場合には硝子体全体に伝導してしまうため、液空気置換後に冷凍凝固を行った(図)。(TY)
Trabeculotomy ab interno with internal limiting membrane forceps for open-angle glaucoma.
Nakasato H et al(横浜市)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 252(6): 977-982, 2014
・ILM剥離用の25G攝子を用いて、シュレム管の内壁をつかんで、100-120度にわたって外した。23例26眼に行った。眼圧は有意に低下したが、術後の前房出血が92.3%に発生した。(TY)
Clinical results of selective laser trabeculoplasty in silicone oil-induced secondary glaucoma
Miaomiao Zhang, et al. (China)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 252(6): 983-987, 2014
・シリコンオイルによって引き起こされた続発緑内障患者に対するSLTの効果を評価した。
・42人42眼。(表1)
SLTは、線維柱帯360度、レーザーエネルギーは開始時0.8mJに設定されて、泡形成が起こるまで0.1mJ増加した。レーザースポットは93〜102発。
すべての患者はSLT後の眼圧急上昇を防ぐため、レーザー治療1時間前とレーザー直後に1.0%アイオピジン点眼を行った。術後7日間0.1%フルメトロン点眼1日4回使用した。
・治療前23.1±1.9 mmHg → 12ヶ月後18.4±3.7 mmHg、平均眼圧低下率20.3%だった。(表2)。
緑内障点眼剤 治療前 2.17±1.21剤 → 12ヶ月後 1.25±0.89剤
治療後12ヶ月後の生存率59.5%だった。
SLT後の一過性眼圧上昇(6mmHg以上上昇)は11眼(26.2%)で認められた。
その他、副作用はなかった。
経過観察中、線維柱帯切除術3眼(7.1%)、シリコンオイル抜去術7眼(23.8%)に必要になった。
・シリコンオイルはマクロファージによって運ばれ線維柱帯に詰まる。SLTがサイトカインや走化性因子の放出を刺激し、その結果、線維柱帯に詰まっていたマクロファージの放出を促進すると考えられた。
SLTがシリコンオイルによって引き起こされた続発緑内障患者の眼圧を下げる効果的な手段であることを示した。(CH)
Early peripheral laser photocoagulation of nonperfused retina improves vision in patients with central retinal vein occlusion (Results of a proof of concept study)
Matus Rehak, et al. (Germany)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 252(6); 745-752, 2014
・CRVO患者の周辺網膜の無灌流域に早期レーザー治療+ ranibizumab硝子体注射とranibizumab硝子体注射のみの治療効果を比較する。
・RLグループ(レーザー治療+ ranibizumab硝子体注射 10例)
controlRグループ(ranibizumab硝子体注射 12例)
すべての患者は最初の3ヶ月間は月1回ranibizumab硝子体注射を受けた。その後はPRNで経過観察。
ranibizumab硝子体注射追加基準:最も良い矯正視力から5文字以上低下した時、最も低いCRTと比較し50 µm以上増加した時、CRT 250 µm以上になった時
・視力 RLグループ baselineBCVA ETDRS 65文字 → 6ヶ月後 70文字
controlRグループbaselineBCVA ETDRS 61文字 → 6ヶ月後 61文字
網膜中心窩厚 RLグループ baseline 547 µm → 6ヶ月後246.5 µm
controlRグループ baseline 637.5 µm → 6ヶ月後423 µm
グループ間の患者数が少ないので有意差はでなかったが、RLグループでの視力は著明な改善がみられた。
レーザー治療 平均2.1回、平均578スポット
RLグループ ranibizumab硝子体注射 3.5回
controlRグループ ranibizumab硝子体注射 4.0回
controlRグループのうち1人が、5ヶ月目でNVDが出たので脱落した。
RLグループでは5ヶ月、6ヶ月目で視力改善が見られた。
controlRでは5ヶ月、6ヶ月目で視力低下した。
・無灌流域をなくす事が抗VEGF再注入の頻度を減らす事を意味する。
VEGFの減少と無灌流域で生み出される他の炎症要因の減少が黄斑浮腫減少につながった。
周辺網膜の無灌流域に対する早期のレーザー治療はCRVO患者の視力改善を導くと思われた。(CH)
Topical 0.03% tacrolimus for subepithelial infiltrates secondary to adenoviral keratoconjunctivitis
Eliya Levinger, et al. (Israel)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 252(5): 811-8l6, 2014
・アデノウイルス角結膜炎の二次的な角膜上皮下混濁に対する0.03%タクロリムス軟膏の効果を評価する。
・症例は11人11眼、すべての患者は少なくとも13ヶ月間0.1%デキサメタゾン点眼で治療されていた。他の抗炎症薬は使用していなかった。緑内障点眼を使用している人もいなかった。
0.03%タクロリウム軟膏1日2回6週間使用、角膜上皮下混濁を評価後4週wash out、さらに12週間使用した。
・視力 0.34±0.09 → 0.08±0.04に改善した。すべての症例で改善。
異物感、グレアなど他の症状もかなり減少した。
最初の2週間、11人がタクロリウム軟膏による若干の違和感を訴えたが、中止しなくてはいけないほどの副作用はなかった。
・他の治療では反応しない症例やステロイド治療が出来ない症例に0.03%タクロリウム軟膏は安全で効果的な代替え治療となる。(CH)
The effect of previous surgery and topical eye drops for primary open-angle glaucoma on cytokine expression in aqueous humor
Lisa A. Engel et al (Germany)
Graefe Arch Clin Exp Ophthalmol 252(5): 791-799, 2014
・Group A: 手術既往歴なし、点眼治療あり、緑内障手術となったPOAG患者 13眼
・Group B: 手術既往歴あり、点眼治療あり、緑内障手術となったPOAG患者 19眼
(6カ月以内に手術しているものは除く)
・Group C: 緑内障のない、白内障手術患者
・各手術の術前に前房水を100μl採取し、30種類のサイトカインを調べた
・AとCの比較ではIL-6とCCL2がCで上昇していたが他は差がなかった
→眼圧下降点眼のみで前房内のサイトカインが上昇するわけではない
・AとBの比較では、BにおいてIL-6,IL-8,CCL2,CXCL9,HGFが上昇、CCL5が減少
・Bで上昇、G-CSF,IL-8,IL-12,CXCL10,HGF/ G-CSF,IL-12,HGF:リンパ球の活動を反映
・Cで上昇、IL-17,CCL5,VEGF 炎症を反映
・結論:
・白内障手術であっても過去の内眼手術はその後のレクトミーに悪影響を及ぼす可能性がある
・緑内障点眼が眼内のサイトカインに与える影響は少ない。
・G-CSF: 網膜のガングリオン細胞や虚血再灌流の障害でneuro-protective factorとして働き、緑内障で多く発現する
・IL-6: レクトミーのnegative factorとして発現し、瘢痕を促進する 眼圧下降薬では変化がなかった
・IL-8: neurotoxin として働く。IOP上昇とも関係。TMのoutflow regulationに関与している可能性(まだ詳細不明)
・CCL2:モノサイトの遊走に関与 IL-8と同様に房水流出阻害に関与
・IL-12:緑内障眼で上昇するが、レクトミー失敗のリスクファクターではないという報告
・CXCL9: 緑内障眼で上昇 Th1型免疫応答に関与
・HGF:創傷治癒に関与(MM)
The efficacy of autologous serum eye drops for severe dry eye syndrome: a randomized double-blind crossover study.
Celebi ARC et al(Turkey)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 252(4): 619-626, 2014
・自己血清が重症ドライアイに効果があるかどうかを検討した。
・国際ドライアイワークショップで決めたOcular Surface Disease Index(眼表面疾患指数OSDI:12項目0-4点:計算結果0-100点)、涙液フィルムBUT(TBUT)、シルマーテスト、OXFORDスケール(角膜1か所、結膜2か所の生体染色スコア0-5点)で判定。
・20%自己血清ASと防腐剤非添加人工涙液PFAT治療を20例40眼の重症ドライアイ症例でそれぞれ1か月点眼後に比較した。
・ASでは有意にTBUT時間の延長(p<0.001)、OSDI値の減少(55.2%:19.5% p<0.001)があったが、シルマーテストやOXFORDスケールでは有意差はなかった(p>0.05)。(TY)
Long-term intraocular pressure changes after vitrectomy for epiretinal membrane and macular hole.
Fujikawa M et al(滋賀医大)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 252(3): 389-393, 2014
・57眼のERMと61眼のMHについて、眼圧経過を追った。
・ERM群(66.0±9.4歳)の平均経過観察期間は29.3±15.7か月で、術眼の手術前眼圧は12.9±2.5mmHg、最終眼圧は13.2±2.9、他眼眼圧は13.0±2.5であったが、MH群(65.1±7.3歳)は25.6±14.1か月の平均経過観察期間で、術前眼圧は13.3±2.5、最終眼圧は14.0±3.2、他眼眼圧は12.9±3.2であった。
・黄斑円孔群では術眼と他眼との最終眼圧の差に有意差があったが(p<0.01)、ERM群では差はなく(p=0.40)、MH群では硝子体術後に有意に眼圧が上昇するリスクが高かった(p<0.01)。
・術中のERM群とMH群の差は、TA可視化は36.8%:82.0%、ICG染色は5.3%:83.6%、ILM剥離は15.8%:100%であった。
・TA残存の効果は1か月と言われているが、術後1か月目の眼圧は両群とも術前より低下しており、除外できるだろう。
・術後の炎症ストレスの差が炎症性サイトカインの増加あるいは液空気置換後に線維柱帯に細胞などが詰まる、あるいは術後のうつ伏せも影響している可能性もあるが、多変量解析ではこれらは影響が少なく、年齢と基礎眼圧が原因として抽出された。(TY)
Subfoveal choroidal thickness measurements with enhanced depth imaging optical coherence tomography in patients with nanophthalmos.
Demircan A et al(Turkey)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 252(3): 345-349, 2014
・31例31眼の小眼球症(21.0±12.7歳)と31例31眼のコントロール(16.2±11.8歳)で中心窩下脈絡膜厚SFCTと中心黄斑厚CMTを測定した。
・中心角膜厚CCT、前房深度ACD、屈折値REも測定した。
・小眼球とCtrlのSFCTは551.3±87:330.5±46μ(p<0.001)であった。
・小眼球のBCVA=0.4±0.28 logMAR、RE=+10.6±3.06D、CMT=331.9±78μm、AL=18.8±1.5mm、ACD=2.42±0.4mm、CCT=577.2±32μmで、いずれもp<0.001で有意差があった。
・SFCTは以下と負の相関:AL(r=-0.836 p<0.001)、ACD(r=-0.597 p<0.001)であり、正の相関はCCT(r=0.471 p<0.001)、CMT(r=0.585 p<0.001)、RE(r=0.836 p<0.001)であった。(TY)
Long-term intraocular pressure changes after vitrectomy for epiretinal membrane and macular hole
Masato Fujikawa, et al. (滋賀医科大学)
Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 252(3); 389-393, 2014
・硝子体手術の中でもERMに対する手術は臨床的に最も侵襲が少ないと思われるので、ERMとMH治療の為の硝子体手術後の長期眼圧経過を調査した。
2005.5月〜2009.11月 ERM 57眼 MH 61眼
・ERMグループ(平均経過観察期間 29.3±15.7カ月)
術眼 術前 12.9±2.5mmHg → 最終受診時 13.2±2.9mmHg
他眼 術前 13.1±2.5mmHg → 最終受診時 13.0±2.5mmHg
有意差なし
MHグループ(平均経過観察期間 25.6±14.1カ月)
術眼 術前 13.3±2.4mmHg → 最終受診時 14.2±3.2mmHg
他眼 術前 13.3±2.5mmHg → 最終受診時 12.9±3.2mmHg
ベースライン時は有意差なかったが、最終受診時では術眼の方が際立って高かった。
・最終受診時、ベースライン時より4mmHgまたはそれ以上眼圧が上昇したのは、
ERMグループ 術眼 4眼、他眼 4眼
MHグループ 術眼 10眼、他眼 7眼
TA使用の有無では統計学的に有意差はなかった
・ERMグループの術眼では平均0.3mmHg上昇、MHグループの術眼では平均0.7mmHg上昇した。
この相違はMH術後の眼圧上昇の危険性と遅発型OAGになる危険性を示唆する。
ERMとMHの手後炎症のストレス、あるいは身体的な影響が炎症のサイトカインの濃度を増やしたか、あるいは液体-ガス置換の後に沈殿物で線維柱帯を詰まらせたと仮定した。
腹臥位も同じく潜在的な原因であるはず。
医師は硝子体切除術の眼圧上昇の潜在的な危険に気付いていて、そして、不可逆的な視力・視野障害が起きる前に治療を始めるべきである。(CH)
The effect of intracameral anesthesia on macular thickness and ganglion cell-inner plexiform layer thickness after uneventful phacoemulsification surgery: prospective and randomized controlled trial
Esin Sogutlu Sari et al (Turkey)
Graefe Arch Clin Exp Ophthalmol 252(3): 433-439, 2014
・眼内麻酔は広く使用されており、有効性や安全性が報告されているが、網膜への変化があるかOCTを用いて調査する
・1%のキシロカイン眼内麻酔0.5㏄を白内障手術時に使用 49眼
・同量のBSSを二重盲検で使用 50眼
・両群とも術後一時的にGC-IPLが厚くなるが、すべての比較時期において両群間に有意差はなかった。
・過去文献でリドカインの網膜毒性が報告されているが、合併症のない白内障手術では特に問題となることはない(MM)