Relationship Between Dry Eye Symptoms and Pain Sensitivity
Jelle Vehof et al. (England)
JAMA OPhthalmoi 131(10): 1304-1308, 2013
・ドライアイと疼痛感度の関連と、健康なボランティアグループでの疼痛耐性を調査した。
・白人女性ボランティア1635人、平均年齢60歳(20~83歳)
3つの質問をして(1) ドライアイと診断されたことがあるか? (2) 現在人工涙液点眼を使用しているか? (3) 過去3ヶ月かそれ以前から、ドライアイ症状を感じたか?
すべて「はい」と答えた人をドライアイ群438人(27%)とした。この中で元々医師からドライアイと診断を受けていたのは218人(13.2%)。
・疼痛症状を詳しく調べるためにサブグループ689人を選び、眼表面疾患インデックス(OSDI)を行った。15ポイント以上をドライアイ群217人(31.6%)とした。その内、痛みを伴うドライアイ118人(17.1%)。
熱痛覚閾値(HPT:これが低いと疼痛感受性が高い)
プローブを被検者の上前腕に取り付け、「熱い」から「痛い」と感じる状態になるまでの温度変化を
32度から1秒間に0.5度ずつ上げて測定した。
疼痛耐性(HPST:これが低いと疼痛耐性が低い)
プローブを被検者の上前腕に取り付け、「苦痛」から「耐えられない」と感じる状態になるまでの温度
変化を32度から1秒間に1度ずつ上げて測定した。
・平均HPT:45.4度、平均 HPST:47.1度だった。
HPTの中央値は46.0度だった。それよりも低い値の人が痛みに敏感とみなした。
・年齢が高いほど疼痛感度と強く関連していた。(P<0.001)
ドライアイと診断された人とドライアイではなかった人、人工涙液の使用者と非使用者でHPTとHPSTに有意差はなかった。しかし、過去3ヶ月にドライアイ症状があった人は症状がなかった人よりHPSTが有意に低かった。(P=0.01)
ドライアイと診断された人はドライアイでは無い人に比べHPTとHPSTが有意に低かった。
サブグループでHPTとHPSTが低いことはドライアイと関連していたが、有意差はなかった。
疼痛症状の存在とHPTとHPSTが低いことに強い関連があった。(P = .008 for the HPT and P = .003 for the HPST)
・この研究は、涙液不足、細胞損傷と心理的な要因などに加え、高い疼痛感度と低い疼痛耐性がDEDの痛み症状と結び付けられることを示唆した。
ドライアイ症状の管理は複雑なので、医師は眼の治療だけではなく、全身像を考慮する必要がある。ドライアイ検査で明らかには認められない軽い眼表面の異常でも疼痛感度の高い患者では自覚症状として現れることが考えられる。(CH)