Paravascular Inner Retinal Defect Associated With High Myopia or Epiretinal Membrane
Yuki Muraoka et al (Kyoto Univ.)
JAMA Ophthalmol 133(4):413-420, 2015
・PIRDとは主要血管に沿って、紡錘形やキャタピラ型の暗い領域に見られ、視神経乳頭には接続していない網膜の変化
・通常の縦横のOCTではcystoidやfissure-like spaceとしてとらえられるが、血管に沿ってOCTを撮影するとかなり広い範囲にわたっての欠損であることが分かった
・過去に千原らがRNFLのcleavage(開裂)と報告したものや、retinal cleavage, paravascular retinal cysts, lamellar holeと呼ばれていたものと考えられる
・28名41眼(33-81歳:平均57.4歳、両眼が13名)のPIRDを対象とし、OCTを用いて調べた
・除外基準: 21mmHgを超える眼圧、OCT画像に影響を与える白内障、視野異常をきたす網脈絡膜萎縮、視神経乳頭異常(視神経低形成、SSOH,傾斜乳頭)、過去の内眼手術、静脈閉塞、動脈閉塞、DR、外傷、緑内障
・37眼は近視、21眼は高度近視であった。平均屈折異常は-7.94D 平均眼軸26.96mm
21眼で黄斑部にERMを認め、これらではPIRDは血管の下から黄斑部に向かって広がっていた
・ERMを認めた21眼のうち高度近視は6眼のみであった
・35眼では対応する視野異常を認めた
75%:Bjerrum 暗点様 59%:Nasal step様
・NFLDと異なる点は、辺縁が不整であること、幅が均一でないこと、視神経乳頭につながっていない
・PIRDでは、動脈よりも静脈に沿って存在、下方よりも上方に存在し、耳側におおい(34%では両側に存在していた)
・主要血管に沿ってまたは主要血管のすぐ下に存在
・後部硝子体膜は91%で付いてはいなかった
・眼軸が伸びる際に主要血管が軸方向にずれて生じるのではないかと考えられる
・同様にERMでも主要血管が黄斑部に向かって牽引される際にPIRDは生じると考えられる
・PIRDが全層の網膜裂孔に進展するのかは不明
・網膜静脈の方が網膜動脈よりもフレキシブルで動きやすいかもしれない(MM)