Association of intraocular catract lens replacement with circadian rhythms, cognitive function, and sleep in older adults.
Chellappa SL et al(MA USA)
JAMA Ophthalmol 137(8): 878-885, 2019
・メラトニンは良い睡眠に不可欠で、夜になると徐々に分泌が増え、夜中に最大となる。
・青色光を遮断するBB-IOLと紫外光を遮断するUV-IOL移植を行った高齢者で概日リズムcircadian rhythm、認知力、睡眠との関連を検討した
・BB-IOL、UV-IOLの波長特性はここには記載されていない。
・Crtl(63.6±5.6歳)16名、IOL群(69.9±5.2歳)のUV-IOL 5名、BB-IOL 8名である。
・IOL群の13名は、55〜80歳。
・ボディマス指数が18から28、女性では19から29など、厳しく制御した基準により約1200名のIOL患者から60人に絞り、更に睡眠状況や3週間の実験期間などから16名に絞り込み、最終的には13名を選択した。
・この3種類の光照射実験は、1週間の介在期間を置いて、約3週間の間、睡眠と覚醒サイクルを規則正しく保って行った。
・3.5時間の薄明順応後の夜10時に2時間の光を浴び、30分の薄明順応後に8時間の睡眠時間を取り、その後、2時間の薄明順応を行った。
・3回の光照射実験で、異なるものは、光源となる蛍光灯(6500 K、2500 K、3000 K)だけであり、照射順序はランダム化されている。
・最初に求めたものは、睡眠恒常性調節の特徴である活動の尺度となる、内因性メラトニンレベルが光曝露によって抑制されたかどうかである
・夜10時から行った光照射時の唾液のメラトニンレベルはBB-IOLでは23.3±2.6%、UV-IOLでは19.2±2.1%で、Ctrlの48.8±5.2%より有意に少なく(p<0.001)、光照射により抑制されていた。
・光照射時と睡眠後の注意力で測定した認知能の反応時間はUV-IOLでは276.9±11.1msec、BB-IOLでは348.3±17.8msecで両者間に有意差があり(p=0.002)、パフォーマンスの大幅な改善が観察された。
・最初の睡眠サイクルでの徐波の増加率はUV-IOLでは13.0±3.4%でCtrlの5.2±0.8%より有意に増加していた(p=0.02)。
・IOL手術だけでも睡眠の質は上がるが、殊に青い光(400ー530、peak 479nm)に反応するMelanopsinを含有する網膜神経節細胞によって刺激される概日リズムを最大限に生かせるUV-IOLを使用すればBB IOLよりも認知障害が改善される可能性がある。
・BB-IOLはUV-IOLの青色光の危険性に対する懸念と青視症修正のために開発されたものであるが、UV-IOLは非視覚機能の改善に役立つ可能性がある。(TY)