Association of Visual Impairment With Risk of Incident Dementia in a Women’s Health Initiative Population
Elaine M. Tran et al (USA)
JAMA Ophthalmol Online ahead of print, Apr 16 2020
Women’s Health Initiative (WHI)に付属するスタディとして、認知症と視機能障害の関係を調査
WHIの視力検査(2000-2002年)と記憶検査(1996-1998)に登録されている66-84歳の女性
1061人(平均(SD)73.8(3.7)歳)
206人(19.4%)自己申告で視覚障害あり、183名(17.2%)客観的な視覚障害(20/40以下)
42名(4%) 認知症の疑い、 28名(2.6%) 認知症までは進んでいないMCI(認知機能低下)
検査後のフォローアップは3.8(1.8)[0-7]年
結果
ベースラインで客観的な視機能障害がある人の方が認知症発症の可能性が高かった。
認知症のリスク因子は、ベースラインの視力が20/100以下(HR 5.66)、20/80以下(HR5.2)、20/40(HR2.14)であった。MCIについても同様で、20/100以下でリスクが最大であった(HR6.43)
自己申告の視覚障害とは関係が無かった。聴覚障害が視覚障害と重なると認知症リスクは高かった。
メカニズムの特定は困難だが仮説として、認知機能と視覚機能の低下は中枢神経系の変性であるという考え、視覚刺激の低下が神経刺激の低下をもたらすという考え、視覚機能の低下は活動を行う際に認知機能に過剰な負荷をかけて悪化させるという考えがあるが、その関係性は双方向多元的なものである。
この研究で、視覚障害が認知機能障害の発症に先行していることから、中枢神経系の変性の初期症状として視力低下をきたしている、視機能低下が認知負荷の増加を通じて機能低下に寄与していると考えられる。
視力改善が可能な介入(白内障手術など)は認知機能障害の軌道修正に役立つかもしれない。(MM)