Association of secondhand smoking exposure with choroidal thinning in children aged 6 to 8 years. The Hong Kong Children Eye Study.
Yuan N et al(Hong Kong)
JAMA Ophthalmol 137(12): 1406-1414, 2019
・6歳から8歳の小児1400名の脈絡膜厚をSS-OCTの自動解析ソフトを用いて測定した。
・受動喫煙がない群941名(67.2% 7.65±1.09歳)と受動喫煙群459名(32.8% 7.54±1.11歳)で比較した。
・測定部は直径が中心1mm円、1-3mmの内1/4円(上下耳鼻)、3-6mmの外1/4円(上下耳鼻)とした。
・受動喫煙群の脈絡膜厚は中心円で8.3μ、内下円で7.2μ、外下円で6.4μ、内耳円で6.4μ、外耳円で7.3μ薄くなっていた。
・家族内の喫煙者数とも関連し、1名増えるごとに中心円で7.86μ、外上円で4.51μ、内下円で6.23μ、外下円で5.59μ、内鼻円で6.06μ、外鼻円で6.55μずつ薄くなっていた。
・また1日当たりの副流煙1本増えるごとに中心円で0.54μ、内耳円で0.42μ、外耳円で0.47μずつ薄くなっていた。
・小児の受動喫煙の影響は副流煙の量依存性であった。(TY)
Efficacy and safety of retinal gene therapy usion adeno-associatted virus vector for patients with chroideremia. A randomized clinical trial.
Fischer MD et al(Germany)
JAMA Ophthalmol 137(11): 1247-1255, 2019
・Choroideremia(CHM)はCHM geneの変異によって発生する遺伝性の網膜疾患である。
・Adeno-associated virus vector(AAV2)を用いた網膜遺伝子治療の安全性と効果について検討した。
・このTübingen Choroideremia Gene Therapy(THOR)は単一施設のPhase2のopen-label randomized clinical trialであり、2016/1~2018/2までの6名の男性(54.9±4.1歳)のデータである。
・単眼だけ硝子体手術により網膜下に0.1mlのAAV2-REP1を注入し、視力の改善あるいは維持ができた。
・参照:Pennesi ME et al, Choroideremia. Retinal degeneration with an unmet need. Retina 39(11): 2059-2069,2019(TY)
Longitudinal changes in the peripapillary retinal nerve fiber layer thickness of patients with type 2 diabetes.
Lim HB et al(Korea)
JAMA Ophthalmol 137(10): 1125-1132, 2019
・加齢による傍乳頭網膜神経線維層(pRNFL)の欠損について、正常者63例(56.5±9.3歳)、2型糖尿病で網膜症のない49例(non-DR 59.1±9.4歳)と軽度から中等度の非増殖網膜症52例(NPDR 59.4±11.0歳)の計164例(58.2±8.7歳)の片眼を3年間経過観察した。
・経過開始時のpRNFL厚はそれぞれ、96.2±11.0:93.5±6.4、90.4±7.9で、3年後のpRNFL厚はそれぞれ、95.0±9.2、90.3±6.4、86.6±7.9μであった。
・減少予測速度はそれぞれ、-0.35μ/y、-0.92μ/y(p<0.001)、-1.16μ/y(p<0.001)であり、DM群では正常群よりそれぞれ2.9倍(95%CI=1.1-14.8 p=0.003)、3.3倍(95%CI=1.4-18.0 p<0.001)早かった。(TY)
N95 Respirators vs Medical Masks for Preventing Influenza Among Health Care Personnel. A Randomized Clinical Trial
・Lewis J. Radonovich Jr, et al.(US-NY)
・JAMA. 2019;322(9):824-833
・医療従事者における、インフルエンザおよび他の呼吸器感染症の予防効果をN95マスクと通常のサージカルマスクとで比較
・2011.9月-2015.5月、ウイルス性呼吸器感染の多い12週間×4シーズン
・137の医療機関をランダムに振り分け;N95マスクor通常のマスク
・気道症状のある患者の6フィート以内に近づくときはマスク着用、他に手指消毒
・2862名、平均43歳、82.8%女性、看護師・看護学生が最多
・インフルエンザワクチン摂取率7-8割、群間に差なし
・RT-PCR検査で確定したインフルエンザ感染;N95群で8.2%、通常マスク群で7.2%(P=0.18)
・急性呼吸器症状;N95群で619.4/1000医療者・シーズン、通常マスク群で641.3/1000医療者・シーズン(P=0.10)
・外来の医療従事者に対しては、N95マスクと通常マスクではインフルエンザの予防効果に有意差はみられなかった(MK)
Association of intraocular catract lens replacement with circadian rhythms, cognitive function, and sleep in older adults.
Chellappa SL et al(MA USA)
JAMA Ophthalmol 137(8): 878-885, 2019
・メラトニンは良い睡眠に不可欠で、夜になると徐々に分泌が増え、夜中に最大となる。
・青色光を遮断するBB-IOLと紫外光を遮断するUV-IOL移植を行った高齢者で概日リズムcircadian rhythm、認知力、睡眠との関連を検討した
・BB-IOL、UV-IOLの波長特性はここには記載されていない。
・Crtl(63.6±5.6歳)16名、IOL群(69.9±5.2歳)のUV-IOL 5名、BB-IOL 8名である。
・IOL群の13名は、55〜80歳。
・ボディマス指数が18から28、女性では19から29など、厳しく制御した基準により約1200名のIOL患者から60人に絞り、更に睡眠状況や3週間の実験期間などから16名に絞り込み、最終的には13名を選択した。
・この3種類の光照射実験は、1週間の介在期間を置いて、約3週間の間、睡眠と覚醒サイクルを規則正しく保って行った。
・3.5時間の薄明順応後の夜10時に2時間の光を浴び、30分の薄明順応後に8時間の睡眠時間を取り、その後、2時間の薄明順応を行った。
・3回の光照射実験で、異なるものは、光源となる蛍光灯(6500 K、2500 K、3000 K)だけであり、照射順序はランダム化されている。
・最初に求めたものは、睡眠恒常性調節の特徴である活動の尺度となる、内因性メラトニンレベルが光曝露によって抑制されたかどうかである
・夜10時から行った光照射時の唾液のメラトニンレベルはBB-IOLでは23.3±2.6%、UV-IOLでは19.2±2.1%で、Ctrlの48.8±5.2%より有意に少なく(p<0.001)、光照射により抑制されていた。
・光照射時と睡眠後の注意力で測定した認知能の反応時間はUV-IOLでは276.9±11.1msec、BB-IOLでは348.3±17.8msecで両者間に有意差があり(p=0.002)、パフォーマンスの大幅な改善が観察された。
・最初の睡眠サイクルでの徐波の増加率はUV-IOLでは13.0±3.4%でCtrlの5.2±0.8%より有意に増加していた(p=0.02)。
・IOL手術だけでも睡眠の質は上がるが、殊に青い光(400ー530、peak 479nm)に反応するMelanopsinを含有する網膜神経節細胞によって刺激される概日リズムを最大限に生かせるUV-IOLを使用すればBB IOLよりも認知障害が改善される可能性がある。
・BB-IOLはUV-IOLの青色光の危険性に対する懸念と青視症修正のために開発されたものであるが、UV-IOLは非視覚機能の改善に役立つ可能性がある。(TY)
Effect of Unilateral Endothelial Keratoplasty on Vision-Related Quality-of-Life Outcomes in the Descemet Endothelial Thickness Comparison Trial (DETECT)
Michael J. Ang.et al. (CA,USA)
JAMA Ophthalmol. 2019:137(7):747-754.
目的:UT-DSAEKおよびDMEKの生活の質への影響を判断する。
対象と方法:ベースラインおよび術後3か月および12か月に行われたNational Eye Institute(NEI)Visual Function Questionnaire-39(VFQ-39)の複合スコアを使用して分析された。
フックス角膜内皮変性症または偽水晶体水疱性角膜症のため内皮機能障害を有する患者は、DMEKまたはUT-DSAEKに対して1:1の方法でブロック無作為化された。
結果:DMEK 19眼(フックス角膜内皮変性症18眼、偽水晶体眼からの水疱性角膜症1眼)、UT-DSAEK 19眼(フックス角膜内皮変性症18眼、偽水晶体眼からの水疱性角膜症1眼)。
両群に女性が多かった(UT-DSAEK。12 [63%]; DMEK。11 [58%])。平均年齢UT-DSAEK群で68(11)歳、DMEK群で68(4)歳。研究参加者全体では、NEI VFQ-39複合スコアがベースライン時(N = 38; 95%O. 4.9-13.3; P <.001)と比較して術後3か月で9.1ポイント改善し、術後12か月で11.6ポイント改善した。ベースラインと比較した月数(n = 26; 95%CI。6.8-16.4; P <0.001)。 DMEK ではUT-DSAEKと比較して術後3か月でNEI VFQ-39複合スコアが0.9ポイント多く改善したが(P = 0.80)、有意差はなかった。
結論:生活の質は、UT-DSAEKまたはDMEKのいずれかで片側手術を経験している患者で改善した。UT-DSAEKと比較してDMEKの患者のQOLの改善の増加は見られなかった。(CH)
Association of Screen Time and Depression in Adolescence
Elroy Boers, et al(Canada)
JAMA Pediatr. 2019 Jul 15. [Epub ahead of print]
鬱はすべての年齢で生じる精神疾患であるが、青少年の発達期の鬱は学問的、精神社会的、認知機能的な問題と関係する。また薬物使用、希薄な対人関係や自殺との関連も指摘されている。
薬物とアルコール予防プログラムの効果を評価する4年のRCTデータから、スクリーンタイム(Social media、Video gaming、Television、Computer use)と鬱病に関するデータを調査
7つの鬱症状に対して0-4で回答するBrief Symptoms Inventory、自己評価、運動時間、社会経済状態を調査
31の学校から2012年9月より2018年9月までデータ集計
3826名(1798名女性、平均年齢12.7歳)のうち、3659名から有効回答
結果
女性と低い社会経済状態は鬱症状と関係
Social media:4年の経過(Between-person)でも特定年の解析(Within-person)でも関係あり
Computer:Between-personで関係あり
Television:Within-personで関係あり
Video gamingは関係なし
スクリーンタイムと運動、自己評価から、VDT視聴によって健康的な活動が奪われることではなく、それらから受けるupward social comparisonとreinforcing spiralの仮説が考えられる
Upward social comparison: メディア上の好ましいあり方と現実の自分とを比較してしまう
Reinforcing spiral: 過去に閲覧/検索した内容を元に同種の内容が表示されるため、考えが強化されやすくなる(MM)
Association Between Parapapillary Choroidal Vessel Density Measured With Optical Coherence Tomography Angiography and Future Visual Field Progressionin Patients With Glaucoma
Hae Young-Lopilly Park et al (Korea)
JAMA 137(6): 681-688, 2019
108眼の緑内障患者でベースラインの傍乳頭脈絡血管密度が将来の緑内障進行と関係あるかβPPA領域でのOCTAを計測した
平均2.6年の観察期間で、視野障害と関係したのはDH(OR 5.57)、ベースラインMD(0.83)、傍乳頭脈絡血管密度(1.18)であったが、OCTでの進行は関連がなかった
βPPA領域での傍乳頭脈絡血管密度は進行といくらか関係ある可能性があり、注意深いモニターが必要(MM)
Association of Exercise and Swimming Goggles With Modulation of Cerebro-ocular Hemodynamics and Pressures in a Model of Space flight-Associated Neuro-ocular Syndrome
Jessica M. Scott et al (USA)
JAMA Ophthalmol 137(6): 652-659, 2019
宇宙飛行士の最大70%が宇宙に行くと神経-眼球の変化(SANS)を生じる。頭蓋内圧の上昇、視力低下、視神経乳頭腫脹、眼球の平坦化、脈絡膜の皺、視神経鞘の膨張、cotton wool spotsがフライト中あるいはミッション終了後3ヶ月以上も持続する
通常眼圧15mmHg、頭蓋内圧(ICP)10mmHgのため、LCに後方へ正の圧勾配(TLPG)が生じるが、宇宙ではIOPよりICPの上昇が大きいためTLPGが負になることが原因とされる。
20名の健康な男性 平均36歳、180.2cm、81.5kg、BMI24.7、VO2max 38.2ml/kg/min
15分の仰臥位の後、-15°頭部低位に傾けた姿勢を15分
そのまま3種類のうちの一つのエクササイズを別々の日に実施
30分間(VO2maxの60%)の中等度のサイクルエルゴメーター運動
100%1RMのレッグプレス12回を4セット
4分間80%VO2max、3分休憩4セット
上記は現在宇宙飛行士が長期の宇宙フライトで行う方法に基づいている
呼吸器系や循環器系のパラメータの他に、左眼でIcarePRO眼圧計、右眼でTriggerfish眼圧計にて眼圧測定とcorneoscleral circumferenceを測定
10例は市販のスイミングゴーグルを装着し、眼圧が約3mmHg上昇するようにつける(レンズ部分はカットして眼圧測定が可能にしてある)
結果
<仰臥位→-15°HDT>
心拍数、心拍出量:変化なし
全頭蓋内流入量:変化なし
内頸動脈血流(ICA):4.4%増加 +13ml/min(P=.32)
椎骨動脈血流(VA):4.7%減少 -8ml/min(P=.13)
総流入血流:8.5%減少
総頸動脈血流(CCA):9.0%減少 -76ml/min(P<.001)
椎骨動脈血流(VA):4.7%減少 -8ml/min(P=.13)
中大脳動脈血流速度(MCA):2.5cm/s(P=.01)
静脈系
椎骨静脈血流(VV):20.5% -16ml/min(P=.02)
内頸静脈血流(IJV):変化なし
IOP、内頸静脈圧(IJVP)、外頸静脈圧(EJVP)は増加し、TLPGは約5倍減少した。(Fig1)
<-15°HDTでの運動による変化>
心拍数、心拍出量、VO2、換気能、収縮期血圧、拡張期血圧は上昇
特に高強度のエルゴメーターによる運動で認めた(Table1)
頭蓋内流入量:7.2%増加(P=.04)(Table2)
総流入量:24.7%増加(P<.001)
ICA:9.1%増加 +42ml/min(P=.001)
CCA:30%減少 +227ml/min(P<.001)
VA:変化なし
MCAやコンダクタンス(伝導度):変化なし
VV:+18ml/min(P=.004)
IJV変化なし
運動強度には違いなし
IOP 7.4%(-1.6mmHg)減少、IJVP,EJVPは変化なし、結果TLPGは-3.5mmHg低下(Table1)
<スイミングゴーグル装着>(Table3)
仰臥位とHDTではIOPが約3mmHg上昇→TLPG上昇だが、
運動負荷ではTLPGは変化なし
<Corneoscleral Circumference>(Fig2)
Spine→HDT:増加 10.6mVEq
HDT→HDT+運動:増加 15.4mVEq
宇宙滞在中の骨格筋退縮予防に運動を行うが、それによってTLPGのさらなる低下が生じるが、スイミングゴーグル装着はTLPGの低下を一部緩和すると考えられる。長期宇宙滞在中にIOPを上昇させることの安全性についてさらなる調査が必要。(MM)
Association Between Lamina Cribrosa Defects and Progressive Retinal Nerve Fiber Layer Loss in Glaucoma
Sasan Moghimi, et al. (UCSD,USA)
JAMA Opthhalmol 137(4), 425-433, 2019
篩状板(LC)の欠損の有無でPOAG患者のRNFL欠損速度、およびLC欠損患者の緑内障進行に関与する因子を調べる
LC欠損あり43名51眼、LC欠損なし68名83眼を2012.4月から2017.5月まで平均3.5年調査した 6ヶ月毎の検査 経過観察中にLC欠損なし→ありになったものはなかった
LC欠損有群の方がRNFLの変化は約2倍進行が早かった(Grobalで-0.91vs-0.48μm/y)
上耳側、下耳側、下鼻側でも同様であり、LC欠損部と相関していた
LC欠損群では経過観察期間中の平均眼圧と進行速度の関係は認めなかったが、角膜の薄さのみ関係があった
緑内障患者のマネジメントではLC欠損や角膜厚に注意する必要がある(MM)
Analysis of a Systematic Review About Blue Light-Filtering Intraocular Lenses for Retinal Protection
Understanding the Limitations of the Evidence
Laura E. Downie et al (Australia)
JAMA 21(2): Online publish E1-E4, 2019
ブルーライトをカットするIOLが網膜保護に関して有用かどうか51のRCTを厳密に調べてみると、統計の不備、バイアスの問題、COIの不備などで、現時点では本当に網膜の保護効果があるかのエビデンスははっきりしない。その点を理解して利用すべきである。(MM)
Donor, Recipient, and Operative Factors Associated With Increased Endothelial Cell Loss in the Cornea Preservation Time Study
Jonathan H. Lass, et al. (GO,USA)
JAMA Ophthalmol. 2019;137(2): 185·193.
目的: DSAEK術後3年間の角膜内皮細胞密度(ECD)に関連するドナー、レシピエント、手術上の要因を評価した。
対象と方法:DSAEKを受けた1090人1330眼。平均年齢70±9歳、男性39%、女性61%、3年間経過観察した。フックス角膜内皮ジストロフィー1015人(93%)、原発性内皮機能不全75人(7%)。
また。無作為に角膜保存期間(PT)0〜7日(n = 675)または8〜14日(n = 655)のドナー角膜を受けるようにした。
結果:1330眼中913眼で術前および術後3年目に適切な角膜内皮画像を撮影でき、機能している移植片があったのでこの分析に含めた。
術後3年の低いECDに関連する要因は、ドナーの糖尿病、ドナー角膜の低いECD、原発性内皮機能不全のレシピエントおよび手術合併症であった。
他の角膜保存期間、ドナー、レシピエント、または手術的要因は、3年間のECDと関連していなかった。
結論:ドナーの糖尿病、ドナー角膜の低いECD、原発性内皮機能不全のレシピエントおよび手術合併症はDSAEK手術後3年目の低いECDと関連しており、長期間の移植片維持と関連している可能性がある。
ドナーの選択を最適化し、手術合併症を最小限に抑えると、ECD損失を最小限に抑え、DSAEK後の移植片の生存率を向上させると思われる。(CH)
Association Between Screen Media Use and Academic Performance Among Children and Adolescents
A systematic Review and Meta-analysis
Mireia AR et al (Spain)
JAMA Pediatr 2019 Sep 23. [Epub ahead of print]
スクリーンメディアと学業成績に関する論文のシステマティックレビューとメタアナライシスを実施
スクリーンメディア全体の使用時間と学業成績は小児/青少年ともに関係なかったが、各スクリーンメディア毎に見ていくとTV視聴は複合スコア、国語、数学に、ビデオゲーム複合スコアと負の相関を示した。
小児と青少年で比べるとこれらの影響は青少年でより大きな影響を認めた
小児のみTV視聴と国語に負の相関が見られた(MM)
Comparison of pedestrian Detection With and Without Yellow-Lens Glasses During simulated Night Driving With and Without Headlight Glare
Alex DH, et al (USA)
JAMA Ophthalmol 2019 Aug 1. [Epub ahead of print]
夜間の視認性向上とグレアの軽減を謳ったイエローレンズが市販されているが、科学的な検証はされていない。ドライブシミュレーターを用いて検証した。
2016.9.8から2017.10.25に行われたSingle-center cohort study
22名が参加:
ネイビーブルーのシャツとブルージーンズを着た歩行者に対する反応
若年12名(平均年齢28歳、男性6名)
比較
オレンジのシャツを着た歩行者に対する反応
若年者6名(平均年齢27歳、男性4名)
高齢者4名(初期白内障、平均年齢70歳、すべて男性、イエローレンズで明るく見えると感じている)
3つのイエローレンズと1つのクリアー眼鏡で、ヘッドライトグレア(HLG)オンとオフの計8回調査
結果
歩行者に対する反応時間:イエローレンズで長かったが、統計学的にはすべての対象者で有意差無し
HLGの影響:すべての群で反応時間が延長したが、イエローレンズの影響なし
シャツの色による違い:視認性の低いネイビーブルーのシャツよりもオレンジのシャツの方がHLGありで若干反応時間が短いが、HLG無しでは有意差は無かった
イエローレンズの影響なし
高齢者ではHLGオンで反応時間が延長したが、イエローレンズの影響はなし
イエローレンズは歩行者の視認性を改善させなかった(若干悪化傾向)(MM)
Association of exfoliation syndrome with risk of indirect inguinal hernia. The Utah Project on Exfoliation Syndrome.
Besch BM et al(UT USA)
JAMA Ophthalmology 136(12): 1368-1374, 2018
・落屑症候群XFSは全身的な結合組織病であるし、異常な結合組織の代謝は鼠径ヘルニアの形成とも関連している。
・落屑症候群は全身的な細胞外基質ECMの変異を引き起こし、弾性繊維代謝に影響を与えている。
・ヘルニアは異常なECM合成、代謝、修復によって発生するもので、鼠径ヘルニアは腹部/股間壁の弱体化や破裂の影響を受けている。
・Utah病院の1996-2015年の健康管理システムを利用し、40歳以上の2,594名の鼠径ヘルニアを抽出し、12,966名の年齢、性をマッチさせたコントロ-ル群と比較した。
・人種は多くは白人(2532/2594と12454/12966)で女性は全体の9.6%であった。
・鼠径ヘル患者のうち22名、CTRLの43名がXFSであり、鼠径ヘルニアでは2.31倍(95%CI=1.38-3.45 p=0.03)XFSと診断される人が多かった。
・内訳は内鼠径ヘルニアが1.60倍(95%CI=0.36-3.79 p=0.40)、外鼠径ヘルニアが12.32倍(95%CI=3.97-38.70 p=0.002)である。(TY)
Association of preclinical Alzheimer disease with optical coherence tomographic angiography findings.
O’Bryhim BE et al(MO USA)
JAMA Ophthalmol 136(11): 1242-1248, 2018
・無症状のアルツハイマ-病(AD)にOCT-Aが役立つかどうかを神経精神的検査を受けた認知が正常で、眼病のない30名58眼を用いて調査した。
・症例はCharles F. & Joanne Knight Alzheimer Disease Research Center (Washington大学, St Louis)の患者から選択した。
・全例がPET検査か、脊髄液検査CSFでbiomarkerを調べた。
・PET biomarkerは27名が受け7名が陽性で、CSF biomarkerは28名が受け10名が陽性であり、preclinical ADと診断された。
・53%が女性で、74.5±5.6歳(62-92歳)、1名の米国黒人と29名の白人である。
・14例はADのbiomarker陽性でpreclinical ADと診断され(73.5±4.7歳)、陰性の16例をCtrlとした(75.4±6.6歳)。
・Biomarkar陽性群では中心窩無血管野が拡大していた(0.364±0.095:0.275±0.060mm2 p=0.002)。
・中心小窩の厚みは陽性群で薄かった(66.0±9.9:75.4±10.6μm p=0.03)。
・なお、現在、preclinical ADの治療治験が始まっており、2022年に終了予定。(TY)
Observation outcomes of initial trabeculectomy with mitomycin C in patients of African descent vs patients of Europeal descent. Five-year results.
Nguyen AH et al(CA USA)
JAMA Ophthalmol 136(10): 1106-1113, 2018
・代謝拮抗剤を使用しない場合には、Aflicanは線維柱帯切除後の不成功率が高いことが知られている。
・Mitomycin Cを使用した場合の初回手術でもAflicanはEuropeanより成功率が低いのかどうかを検討した。
・105名135眼のAflicanと、年齢、性、術者、水晶体の状態、経過年を合わせた117例135眼のEuropeanと比較した。
・成功の基準として、A:眼圧18以下、B:15以下、C:12以下とした。
・その他に、眼圧下降率が20%以上、25%以上、30%以上、2種類以上の点眼薬減を判定基準とした。
・5年後の成功率はAflican:Europeanで、A基準では61%:67%(7.3%差 95%CI=4.4-10.4)、B基準では43%:60%(17.6%差 95%CI=15.2-20.0)、C基準では25%:40%(15.8%差 95%CI=11.1-20.5)であり、B基準、C基準やその他の基準でも、Aflicanは有意に不成功率が高かった。
・濾過胞からの漏出ではAflicanはEuropeanより有意に多かった(29眼:11眼 p=0.002)し、Aflicanは緑内障再手術を受けた人も多かった(47眼:26眼 p=0.004)。(TY)
Association of Cataract Surgery with Traffic Crashes
Mtthew B Schlenker, et al. (Canada):
JAMA Ophthalmol 136(9):998-1007, 2018
2006年4月1日から2016年3月31日までにオンタリオで初回白内障単独手術を受けた65歳以上の患者(n=559546)名を調査し、白内障手術によって交通事故のリスクが減るか調べた
手術前最低4年、手術後最低1年の経過観察
年齢/性別/社会的地位や居住地の他に、眼疾患、基礎疾患、救急受診した交通事故歴を調査(ただし、救急受診するほど出ない軽傷や、その場で死亡が宣告される場合はデータベースに含まれない)
平均年齢76歳、58%が女性、86%が都市部居住、71%が1年以内に他眼の白内障手術、0.4%がA-Vit実施
6482件の交通事故による救急受診が生じて、4680件が術前6ヶ月以上前、602件が手術前6M以内、1200件が術後13Mで生じた。1ヶ月あたりの事故件数は、術前6Mが101.7、術後が92.3件であった。1000患者-年あたり2.36→2.14件、OR0.91であった。
その他、事故歴、手術直前の時期、若年、男性、救急受診歴、6科以上の外来受診歴、不安、肺気腫、変形性関節症、心筋梗塞の既往はORが高かった。
運転者以外での交通事故(同乗者/歩行者)、転倒、股関節骨折、足首捻挫、抑鬱、総救急受診数は手術前後で変化なし
結論:白内障手術は65歳以上の運転による重大事故を少し低下させる(MM)
Association of Pediatric Atopic Dermatitis and Cataract Development and Surgery
Hyun Sun Leon, et al. (Korea)
JAMA Ophthalmol. 2018:136(8):912·918.
目的:小児集団におけるアトピー性皮膚炎(AD)と白内障発生率と白内障手術との関連について検討した。
対象と方法:小児のアトピー性皮膚炎患者34375人(男児53%、女児47%、平均年齢3.47±4.96歳)、条件の一致したコントロール群137500人。
AD 患者のうち3734人が重篤なAD(男児58%、女児42%、平均年齢4.55±5.50歳)だった。条件の一致したコントロール群11089人
経過観察期間10年。
ADの診断基準:皮膚症状と経口坑ヒスタミン剤使用、ステロイド軟膏使用、あるいは免疫抑制剤軟膏使用。
重篤なADは上記の薬剤に加え、2週間以上のシクロスポリンなどの免疫抑制剤内服、抗IgE抗体製剤、ステロイド内服の既往。
結果:白内障を認めたのはAD 群42人(0.12%)、コントロール群195人(0.14%)、重篤なAD群11人(0.29%)、コントロール群20人(0.18%)で、白内障の発生はAD群とコントロール群で有意差はなかった。(P=0.32) (P=0.06)
白内障手術はAD 群14人(0.04%)、コントロール群26人(0.04%)に行われた。(P=0.02)
重篤なAD群4人(0.11%)、コントロール群6人(0.05%)で、AD群の方が有意に手術件数が多かった。(P=0.03)
ステロイド使用有りAD患者28820人(83.8%)、ステロイド使用無しのAD患者5555人(16.2%)だった。白内障発生率と白内障手術の確率に有意差はなかった。(P = 0.70)(P = 0.19)。
結論:長期経過観察でもADの有無にかかわらず、ADの小児の白内障発生率は稀で、白内障手術の必要性は非常に低いことがわかった。しかし、重篤なADの小児患者は手術を必要とする可能性がある白内障発症のリスクが高い。疾患の重症度は、白内障発症のリスクおよび白内障手術の必要性を増加させる可能性がある。
白内障は管理しやすい合併症であるが、特に重篤なADの場合には注意深く経過観察する必要がある。(CH)
Association between vessel density and visual acuity in patients with diabetic retinopathy and poorly controlled type 1 diabetes.
Dupas B et al(France)
JAMA Ophthaomol 136(7): 721-728, 2018
・糖尿病網膜症の特徴は毛細血管の脱落であるため、黄斑部の血管濃度と視力との関連を、黄斑症はないが両眼の急速な進行性網膜症で、汎網膜光凝固が必要であった40歳未満の若い1型糖尿病者22名で検討した。
・年齢は33±6歳、HbA1cは8.9±1.6%である。
・対象は視力正常な群(1.0以上)13例(59%)と視力不良群(1.0未満:logMAR 0.12±0.04:小数点視力0.76)9例(41%)に分け、視力正常で年齢をマッチさせた12眼の正常者をCtrl群とした。
・OCT-Aは深さにより4群に分けた。Superficial vascular plexus(SVP)、Deep capillary complex(DCC)、Intermediate capillary plexsus(ICP)、Deep capillary plexus(DCP)である。
・平均血管濃度は視力良好なDM群はCtrl群と比較し、SVPは44.1±0.9:49.1 ±0.9%(p<0.001)、DCCでは44.3±1.2:50.6±1.3%(p=0.001)、ICPでは43.8±1.2:49.3±1.2%(p=0.003)、DCPでは24.5±1.0:30.5±1.0%(p<0.001)と有意差があった。
・視力不良群と良好群を比較すると、DCCでは34.6±1.5:44.3(p<0.001)、殊にDCPでは15.2±1.2:24.5(p<0.001)と深層の有意差が強く、SVPでも39.6±1.1:44.3(p=0.002)と有意差あったが、深層よりは少なかった。
・DMRの視力は殊にdeep capillary complexの毛細血管の脱落程度と相関していた。(図4)(TY)