Association of anticholinergic drug use with risk for late age-related macular degeneration.
Aldebert G et al(France)
JAMA Ophthaomol 136(7): 770-778, 2018
・Amyloid-βは網膜ドルーゼンやAMDの原病巣の主要な構成要素であり、抗コリン薬(ACD)が大脳のamyloid-βの蓄積を増やすことが分っているため、ACDと末期AMD(新生血管AMDあるいは最低1眼のRPEの地図状萎縮)との関連について、200名の末期AMDと200名の年齢、性をマッチさせたCtrlで比較検討した。
・抗コリン薬:アセチルコリンを阻害し、副交感神経遮断薬で、うつ病やパーキンソン病などに使用されており、アルツハイマー病などの認知症の発症リスクが高まる可能性も指摘されている。
・AMDと診断される前にACDに最低3か月暴露した人を対象としている。
・年齢は74.8±9.2歳、女性が129名(64.5%)、白人が192名(96%)、地図状萎縮が65名(32.5%)、新生血管AMDが135名(67.5%)、両眼AMDが84眼(42%)である。
・AMDの26例(13%)とCtrlの10例(5%)が少なくともAMD発症3か月前にACDに暴露されている。
・AMDの発症リスクはACDに暴露されるとOR=2.84倍になっており(95%CI=1.33-6.06 p=0.07)、15年以上の長期ACD暴露ではOR=5.88(95%CI=1.22-28.31 p=0.03)であった。
・ACDに最低3か月暴露されるとAMDのリスクは上昇し、長期使用では更に関連が強まっていた。(表1)(TY)
Association Between 24-Hour Intraocular Pressure Monitored With Contact Lens Sensor and Visual Field Progression in Olde Adults With Glaucoma
Carlos Gustavo De Moaraes, et al. (Columbia)
JAMA Ophthalmol 136(7):779-785, 2018
1999/11/8~ 2016/9/17に13カ国、50施設で行われた、Triggerfish Consortiumに集まった1355眼のうち、445例445眼の緑内障患者を対象とした。
mean peak ratio while awake、number of long peaks during sleep、 night bursts ocular pulse frequency SD, night bursts ocular pulse amplitude SDが早い視野進行と関係していた
Triggerfishは厳密には眼圧計ではなく、眼圧変動による眼球形状の変化を捉えるセンサー
測定までに治療方法が変更になっていることも考えられるが、1回の測定でそれまでの進行との関係を示唆する指標となり、GATを何度も測定するよりもよい。(MM)
Effects of milk vs dark chocolate consumption on visual acuity and contrast sensitivity within 2 hours. A randomized clinical trial.
Rabin JC et al(TX USA)
JAMA Ophthalmol 136(6): 678-681, 2018
・抗酸化作用の強い「カカオポリフェノ-ル」やリラックス効果が高い「テオブロミン」が豊富に含まれたカカオマスが40%以上含まれるブラックチョコレ-トが視力に影響するかどうかを検討した
・72%カカオブラックチョコレ-ト(47gカカオ、34gフラバノ-ル)とミルクチョコレ-ト(40gココア、12.5gフラバノ-ル)を摂取した1.75時間後に比較した。
・logMARでの視力測定とlogCS最小コントラスト認知を30名(26±5歳)で交互に測定した。
・ブラック群のlogCSは1.45±0.04で、ミルク群の1.30±0.05より0.15logCS良く(95%CI=0.08-0.22 p<0.001)、logMAR視力改善はブラック群では—0.22±0.01、ミルク群では-0.18±0.01で、0.04 logMAR.05)余計に改善した(TY)
Association of vitamin A supplementation with disease course in children with retinitis pigmentosa.
Berson EL et al(MA USA)
JAMA Ophthalmol 136(5): 490-495, 2018
・網膜色素変性症の小児で、ビタミンAを摂取した55名と、摂取しない25名とで、1976年から2016年にかけて行った臨床実験で、平均4年から5年間比較した。
・30Hzフラッシュでのfull-fieldの錐体ERGの振幅を指標とした。
・VitA群:Ctrl群は、男性38名(69%):19名(76%)、年齢は9.1±1.9:9.2±1.7歳、48名(87%):25名(100%)が白人、6名(11%)がアジア系、1名(2%)が黒人である。
・1年の変化率は未調整ではVitA群:Ctrl群が-0.0713:-0.1419 log(e)で差は0.0706(95%CI=0.0149-0.1263 p=0.01)。調整した差は0.0771 (95%CI=0.0191-0.1350 p=0.009)である
・Vit Aパルミチン酸塩は小児の網膜色素変性症の錐体ERG振幅の減少を抑えることができたが、その理由は謎である(Klaver CCWコメント,pp496-497)。(TY)
Association of myopia with peripapillary perfused capillary density in patients with glaucoma. An Optical coherence tomography angiography study.
Suwan Y et al(NY USA)
JAMA Ophthalmol 136(5): 507-513, 2018
・3D以上の近視眼で、POAGの有無によるperipapillary perfused capillary density(PCD)をOCT-A(4.5mm x 4.5mm)で測定して比較した
・POAGの近視87例67.5±12.0歳、POAGのない近視17例48.2±19.0歳、POAGの非近視93例67.3±11.0歳、Ctrl 51例64.7±8.9歳で行った。
・PCD値はCtrlで41.0±4.2、POAGのない近視で38.4±5.8、POAGの非近視で31.9±7.5、POAGの近視で28.2±6.0であり、いずれもp<0.001で減少していた
・年齢、眼軸で調整後のCtrl眼との差はPOAGの近視で-11.1(95%CI=-14.0~-8.1 p<0.001)、POAGの非近視が-8.6(95%CI=-10.9~-6.3 p<0.001)、POAGのない近視が-2.8(95%CI=-6.9~1.2 p=0.17)であった。
・緑内障と近視の間には何ら相互関係は見られなかった。周視神経乳頭の微小血管の減少は、近視よりもPOAGで強いことが分ったが因果関係は不明である。(TY)
Association of functional loss with the biomechanical response of the optic nerve head to acute transient intraocular pressure elevations.
Tun TA et al(Singapore)
JAMA Ophthalmol 136(2): 184-192, 2018
・眼圧上昇に対する視神経乳頭ONHの急性の生体力学的な反応が緑内障進行の生体視標になるかどうかを検討した。
・23名のPOAG、45名のPACG、23名の緑内障のない中国人(計91名、65.48±7.23歳)で検討した。
・ONHのOCT像をbaselineとOphtalmodynamometerを使用して前部強膜に力をかけて求めた2回の連続した眼圧上昇時(0.64Nと0.90N)で、OCTでの容積、篩状板の深さ(LCD)、最小リム幅(MRW)を求めた。
・自動視野計での平均偏差MD、視野index(VFI)も求めた。
・急激な一過性の眼圧上昇は強膜管開口を広げ、篩板に張りがあれば前方へ引っ張ると考えられる。
・一方、強膜に張りがなければ、強膜管が拡張できず、眼圧上昇は篩板を後方へ押すだろう。
・今回のPOAGでの検討では、視野欠損の強いものほど、眼圧上昇時の篩板の前方移動が強く起こり、視野欠損の少ないものでは篩板の後方移動がおこっていた。
・このような篩板の特徴的な移動はPACGでは起こっていなかった。
・これは遺伝によるものなのか、眼圧ストレスに対するONHの脆弱性なのかは不明である。
・POAGでは最初の眼圧上昇でのLCDの前方移動がMD(R=-0.64 95%CI=-0.97~-0.31 p=0.01)とVFI(R=-0.57 95%CI=-0.94~-0.19 p=0.05)に相関していた。
・また、最初の眼圧上昇でのMRWの減少はMD(R=-0.48 95%CI=-0.86~-0.09 p=0.02)とVFI(R=-0.57 95%CI=-0.94~-0.20 p=0.04)に相関し、2回目の眼圧上昇でのMRWの減少はMD(R=-0.56 95%CI=-0.98~-0.13 p=0.01)とVFI(R=-0.60 95%CI=-1.03~-0.17 p=0.08)に相関していた。
・また、2回目の眼圧上昇時での、下耳側のMRWの減少とPOAGでの該当する視野変化には相関があった(p=-0.55 95%CI=-0.78~-0.18 p=0.06)。
・PACGにはこのような関連はみられなかった(TY)
Corneal Endothelial Cell Loss 3 Years After Successful Descemet Stripping Automated Endothelial keratoplasty in the Cornea Preservation Time Study
A Randomized Clinical Trial
Jonathan H.lass,et al.(OH USA)
JAMA Ophthalmol. 2017;135(12):1394-1400.
・目的:角膜の透明性を保っているDSAEK後3年の症例の角膜内皮細胞密度(ECD)損失と角膜保存期間(PT)と関連があるか調べる。
・対象と方法: DSAEKの適応がある769人945眼。フックス角膜内皮変性症(94%)、偽水晶体眼または無水晶体眼の角膜浮腫(6%)の内皮機能不全。平均年齢70歳。
・症例を0〜7日間のPT(0〜7 d PT群:n = 485)または8〜14日間のPT(8〜14 d PT群:n = 460)のドナー角膜を受け取るようにランダムに割り当てた。
・結果:術前平均ECDは、0〜7d PT群2746(297)cells/mm2、8〜14d PT群2723(284)cells/mm2 。
・術後3年で、平均ECDは0-7d PT群では1722 (626) cells/mm2 (37%減)、8-14d PT群では1642 (631) cells/mm2(40%減)ベースラインから減少した。
・術後4年後では0〜7d PT群203眼、1620 (673) cells/mm2 (41%減)、8〜14d PT 209眼、1537 (683) cells/mm2(44%減)ベースラインから減少した。
・結論:DSAEKの3年後には角膜のECDと長いPTの間に統計学的に有意な関連が認められたが、臨床的に類似していた。
・物流上の理由で12〜14日間保存されたドナー組織も使用できると考えられる。(CH)
Effect of Cornea Preservation Time on Success of Descemet Stripping Automated Endothelial Keratoplasty
George O. Rosenwasser,et al.(OH USA)
JAMA Ophthalmol. 2017;135(12):1401-1409
・目的:8〜14日間保存された角膜ドナー組織を使用したDSAEKの術後3年目の成功率が、7日間以下の保存期間のドナー組織のそれより劣らないかどうかを判断する。
・対象と方法:保存期間7日以内 675眼、保存期間8〜14日 655眼、平均年齢70歳(42-90歳)、フックス角膜内皮変性症 94.4%。
・ドナー角膜の平均年齢61歳、平均内皮細胞密度2735(298)cells / mm2。
・結果:3年経過観察できたのは7日以内584眼、8〜14日558眼
・3年間角膜透明性を保っていたのは7日以内95.3%、8〜14日92.1%
・移植成功率は、PTが増加するにつれて減少する傾向があった。12〜14日のPTで89.3%、5日〜7日のPTは94.9%。
・術後合併症 移植片剥離 7日以内33眼(4.9%)、8〜14日53眼(8.1%)、前房内空気再注入 7日以内54眼(8.0%)、8〜14日85眼(13.0%)(p=0.003)、細菌性眼内炎 7日以内1眼(0.3%)、8〜14日2眼(0.3%)
・再移植 7日以内 28眼、8〜14日 44眼
・結論:より長いPTとより低い移植片成功率との間に有意な関連があった。しかし、11日目までは、移植片の成功率に対するPTの影響は小さかった。
・DSAEK術後3年の成功率は、PTにかかわらず高かった。より長いPTはより低い成功率と関連していたが、PTが12日未満では差は小さかった。(CH)
Association between fungal contamination and eye bank-prepared endothelial keratoplasty tissue temperature-dependent risk factors and antifungal supplementation of optisol-gentamicin and streptomycin.
Brothers KM et al(PA USA)
JAMA Ophthalmol 135(11): 1184-1190, 2017
・アイバンクで作業を行った内皮移植用角膜と作業をしない角膜との細菌汚染度について検討し、また、室温に放置したゲンタマイシンとストレプトマイシン加入のoptisol(GS)で抗真菌剤を加えたものと加えないものについても汚染度を調査した。
・2013年のEversight Eye Bankで提供した6592眼を調査した。
・2550眼はDSAEKやDMEK用に作業され、4042眼は表層や全層用で作業していない眼球である。
・このうち12眼(0.18%)で感染が報告され、作業されたEK角膜は7眼(全例真菌)、全層角膜で5眼(3眼:細菌、1眼:真菌、1眼:不明)であった。
・ドナー角膜辺縁培養ではEK角膜では46/2550(1.8%)、全層角膜では43/4042(1.1%)で有意差があった(p=0.006)。
・別のグループで酵母菌感染を見ると、EK角膜では19/1665(1.14%)、全層角膜では5/1346(0.37%)と3倍の差があった(P=0.009)。
・GS加入optisol液20mlに4.2x1000CFU(colony-forming units)/mlの3種類のカンジダ属(C albicans,C glabrata,C parapsilosis)を入れて室温に数時間放置すると、カンジダはその中で増殖するが、CaspofunginやVoriconazole等の抗真菌剤を添加してあると、増殖が抑えられた
YAG Laser Vitreolysis vs Sham YAG Vitreolysis for Symptomatic Vitreous Floaters: A Randomized Clinical Trial.
Shah CP, Heier JS.(US-MA)
JAMA Ophthalmol. 2017 Sep 1;135(9):918-923.
【目的】PVD由来のWeiss ringによる飛蚊症に対する、YAGレーザー飛蚊症治療とSham照射との比較
【対象と方法】52例52眼(基準は下記)をランダムに2:1に割り付け、施行後6Mの症状および所見の変化をマスクされた状態で評価
【結果】YAG群36眼、Sham群16眼
・症状の改善はYAG群54%、Sham群9%(P<0.001)
・10ポイント視覚障害スケールの改善はYAG群3.2、Sham群0.1(P<0.001)【Tab.1】
・症状の明らかな改善または完全消失はYAG群53%、Sham群0%(P<0.001)【Fig.2】
・NEI VFQ-25では全体の見え方・周辺部の見え方・role difficulties・dependencyの項目でYAG群が有意に改善【Tab.2】
・最高矯正視力の変化は有意差みられず(YAG群 -0.2文字、Sham群-0.6文字)
・合併症:YAG群の1眼でIOLピット、Sham群の1眼でlatticeからのRB
【結論】YAGレーザー飛蚊症治療は、Weiss ringに関連した自覚症状および他覚所見を改善させた。さらに大規模で長期間の追試によりこれらの事実が確信に繋がるだろう
導入基準
・PVDに続発した明らかなweiss ringによる症状あり
・6ヵ月以上症状持続
・診察、OCT、超音波Bモードのすべてで完全PVDが確認できる
・自覚症状グレードが4以上(0:まったくなし~10:衰弱するほどの症状)
・超音波BモードにてWeiss ringが網膜より3mm以上、水晶体より5mm以上(IOLの場合は不問)離れている
除外基準
・僚眼の視力<20/50
・RB・RD・ぶどう膜炎・DMR・ME・RVO・緑内障・高眼圧症の既往
・治療眼がaphakia(MK)
YAG Laser Vitreolysis-Is It as Clear as It Seems?
Lim JI.
JAMA Ophthalmol. 2017 Sep 1;135(9):924-925.
・ウサギを用いた他の報告;低パワー(2-6mJ)では網膜から最低2mm離せば安全、高パワー(4-8mJ)では2-4mm離しても網膜障害→最低でも4mm離すべき
・上記論文はスクリーングや照射条件はしっかり吟味されている
・上記論文を含め、YAGレーザー飛蚊症治療の安全性はまだ証明されていない
・長期予後は?近視眼などのvitreoschisisの場合は?
・PVD発生より6-12MはRBやRDが自然発症しやすいのでこの期間は避けるべき?
・高パワー照射を要するような厚い硝子体膜、可動性の高い硝子体混濁は避けるべきだろう(MK)
Association Between Undetected 10-2 Visual Field Damage and Vision-Related Quality of Life in Patients With Glaucoma
Dana M B. et al (NY, USA)
JAMA Ophthalmol 135(7):742-747, 2017
24-2の視野検査結果では説明できないような視機能低下を訴える患者では10-2の異常が見過ごされているかどうか調査
113例226眼の少なくとも一眼に様々な程度の視野障害のある緑内障患者を対象にNEI VFQ-25を調査
両眼での視野を得るため、MD値をもとに、良い方と悪い方の目を決定し、best-location algorithmで両眼の平均感度を求めた。それぞれで最も感度の高い値による視野
24-2も10-2もNEI VFQ-25と相関していたが、10-2のほうがおよそ2倍強い相関があり、24-2で極端にNEI—VFQ25が低い患者35例では、10-2感度が最も強い相関であった
1dBあたりの改善は24-2で1.95倍、10-2で2.57倍、Outlierでは2.78倍であった
ドライアイや白内障などと言って見過ごされている24-2でははっきりしない初期緑内障であっても10-2で異常を認めることがありうるため注意が必要である(MM)
Association Between Neurocognitive Decline and Visual Field Variability in Glaucoma
Alberto DF. et al (UCSD,CA, USA)
JAMA Ophthalmol 135(7):734-739, 2017
認知機能の低下によって視野検査の結果が変動すると、緑内障の経過観察の判断が遅れる恐れがある
Mild cognitive impairment(MCI):日常生活には影響の出ない程度の認知機能の低下であり、痴呆とは分類されず、正常の加齢変化から初期の痴呆への認知機能の移行とされ、近年ではアルツハイマー型認知症のリスクファクターと考えられている。
MCI検出のため、Montreal Cognitive Assessment Test(MoCA)を用いて、SITA standard 24-2のMDの変動との関係を調査 30点満点 26点未満で認知機能低下と判断
115例211眼を平均2.5年観察(87例は緑内障、28例は緑内障疑い) 86例が白人、29例が黒人
MD
血は-28.8〜2.6dBと広い範囲にわたる
アーチファクトと考えられるもの、固視不良>33%、FP<15%は除外し1458回の視野(1眼あたり6回)
MoCA score, mean SAP MD, age, sex, race/ethnicity, educational level, incomeを調査
結果
Univariable Model, Multivariable モデルともに、5ポイントのMoCAスコアの低下で0.18dB、0.23dBの変動があった
視野の障害度が強くなるとSDは増加し、その後ピークを迎え、減少した
単変量解析で性別と人種でSDとの相関が見られた(多変量解析では相関なし)
0.23dBはSDの約30%に相当した 信頼のおける視野についてはMDのSDは20%以内が良いとされており、認識能の低下により変動が大きくなるということはそれだけ進行の判断が遅れることや、進行していないのに進行したと判断され、過剰治療につながる可能性がある(MM)
Association of Maternal Smoking During Pregnancy and Birth Weight With Retinal Nerve Fiber Layer Thickness in Children Aged 11 or 12 Years
The Copenhagen Child Cohort 2000 Eye Study
Hakan A, Xiao Q et al (Denmark)
JAMA Ophthalmol 135(4): 331-337, 2017
デンマークで行われたCopenhagen Child Cohort 2000 (CCC2000)の追跡調査で11歳から12歳になった1406名の子供の右眼を測定;過去の外傷・先天奇形・ETDRSで80以下(20/25)の視力・眼軸測定、OCT、他の検査の協力が得られない83眼は除外し、1323眼を調査
人種はEuropean, Asian, African, Middle Eastern, and other or unknownに分類
母親の喫煙を1)喫煙なし、2)喫煙していたが妊娠後中止、3)妊娠後も喫煙継続で分類
ただし、一日の喫煙本数・年間箱数・父親の喫煙歴・母親のアルコール歴は調査できず
出生体重(1284名)はLow(<2500g), normal(2500-4500g), and high(>4500g)に分け、OCTで視神経乳頭中心のRNFL厚を測定
結果
92.4%がEuropean descent
母親の喫煙(1289名):1) 1035名(80.3%) 2) 27(2.1%) 3) 227(17.6%)
出生体重(1284名) :low) 50(3.9%) high) 47(3.7%) その他normal
1例(<1000g) 1例(1000 to <1500g)
喫煙している母親の子供: 出生体重:3357±636g
喫煙していない母親の子供: 出生体重:3578±559g
RNFL厚:喫煙継続の母親から生まれた子供の方が有意にRNFL厚は薄かった
出生体重、年齢、性別、身長、体重、Tannerステージ、眼軸、等価球面屈折度数で修正後も同じ
喫煙の影響は視神経乳頭周囲6象限すべてで見られたが、特に下鼻側、下耳側で認めた
非喫煙者と喫煙中止者では差がなかった
低出生体重児の方がRNFL厚は薄かった 特に鼻側、下鼻側で薄い
眼軸が長いほど・近視が強いほどRNFL厚は薄い 高身長ほどRNFL厚は厚い 女児<男児
結論
母の妊娠中における喫煙と低出生体重はそれぞれ、子供が11歳または12歳時の乳頭周囲RNFLの薄さと関係している。他に、長眼軸、近視、女性、低身長も関係
妊娠発覚後中止した母の数が少ないが、中止するのに遅すぎるというエビデンスもない(MM)
Association of Repeated Intravitreous Bevacizumab Injections With Risk for Glaucoma Surgery
Brennan D. Eadie, et al. (Canada)
JAMA Ophtholmol. 2017;135(4):363-368.
目的:繰り返し行われたベバシズマブ硝子体内注射と緑内障手術の関連を調べた。
対象と方法:2009年1月1日〜2013年12月31日の間に滲出性AMDのために初回のベバシズマブ硝子体内注射を受け、その後緑内障手術を受けた74眼。ベバシズマブ硝子体内注射治療を受けていたコントロール740眼。
注射回数を1年に3回以下、4〜6回、7回以上に分けて検討した。
結果:7回以上注射を受けたのは、手術群33眼44.6%、コントロール群254眼34.3% と手術群で多かった。
4〜6回、3回以下では差はなかった。
7回以上注射を受けた手術群のレート比は 2.48 (95% CI, 1.25-4.93)。
結論:AMDに対する硝子体内注射は最初の2年間は平均10回の注射が必要となり、繰り返し注射を受けている患者の6%から9%が眼圧上昇すると言われている。これらのデータは硝子体内注射を繰り返す事により、眼圧上昇が持続したり、緑内障手術へ導く可能性を示唆する。(CH)
Chorioretinal Lesions Presumed Secondary to Zika Virus Infection in an Immunocompromised Adult
Christopher R. Henry, et al. (FL, USA)
JAMA Ophthalmol. 2017:135(4):386-389
目的:先天的なジカウイルス感染は、小頭症や色々な眼球異常(黄斑部斑状色素沈着、網脈絡膜萎縮)と結び付けられる。
成人では無症状のことがあり、発熱、発疹、関節痛、頭痛、2〜7日間持続する結膜炎がある。今回、免疫不全の成人におけるジカウイルス感染に続発する広範な両側網脈絡脈萎縮の症例報告。
対象:悪性リンパ腫で化学療法中の60代女性で、最後の化学療法の3日後、頭痛と倦怠感を発症、発疹は認めなかった。その2日後、視力悪化と飛蚊症を自覚した。
前房水でジカウイルスRNAが検出された。
結果:初診時視力は右眼指数弁、左眼20/50、KP、vit cell (+)、両眼に広範な網脈絡膜障害を認めた。FAで網脈絡膜病変の初期低蛍光および後期染色、OCTでは斑状黄斑病変における外側網膜層の破壊を示した。
アシクロビル400mgを1日2回投与。ガンシクロビル、ホスカルネット硝子体内注射を行った。
症状の発症から2週間後、視力は右眼20/80 左眼20/30、眼圧は34mmHgだった。3週間後視力は右眼20/60 左眼20/25に改善した。眼圧は18mmHg 。
6週間で、網脈絡膜病変は治癒し、視力は右眼20/25 左眼20/20に改善した。
結論:デング熱ウイルス、西ナイルウイルス、ジカウイルスは同じフラビウイルス属である。
そのため、他のフラビウイルスで見られるような急激な、自然治癒する斑状の非壊死性の網脈絡膜病変が特徴であるかもしれない。(CH)
Epidemiology of sports-related eye injuries in the United States.
Haring RS et al(MA USA)
JAMA Ophthalmol 134(12): 1382-1390, 2016
・米国の900以上の病院で毎年3000万件を超える緊急外来EDにおけるスポーツ外傷を2010/1~2013/12にわたって調査した。
・症例は120,847例、平均年齢22.3歳、男96,872、女23,963、性不明12例であるが、初期診断のついた85,961例について検討した。
・81.3%が男性で、バスケットボール中が22.6%、野球14.3%、AIR GUNが11.8%であった。(TY)
Effect of pilocarpine hydrochloride on the Schlemm canal in healthy eyes and esys with open-angle glaucoma.
Skaat A et al(NY USA)
JAMA Ophthalmol 134(9): 976-981, 2016
・ピロカルピンがシュレム管の形態に与える影響について検討した。
・シュレム管の形態はHeidelberg Spectralis OCTの前眼部モジュールでのEDI-OCT像で鼻側部で解析した。
・9例の健常者(31.9±7.8歳)では1%ピロカルピンを使用し、10例10眼のPOAG患者(58.7±13.2歳)では2%ピロカルピンを使用した。
・点眼1時間後の眼圧は健常者は14.3±1.3から13.7±1.1に低下(p=0.004)、POAGでは17.5±6.0から16.6±6.1に低下(p=0.01)。
・シュレム管の面積は健常者では4667±1704から5647±1911μm2と21%増加(p<0.001)、POAGでは3737±679から4619±692と24%増加(p<0.001)した。
・シュレム管容積も健常者では8,004,000μm3から21%増加、POAGでは6,468,000μm3から23%増加した(いずれもp<0.001)。(TY)
Risk factors associated with the ophthalmoscopic findings identified in infants with presumed Zika virus congenital infection.
Ventura CV et al(Brazil)
JAMA Ophthalmol 134(8): 912-918, 2016
・ジカ熱に胎内感染し小頭症で誕生した40例の乳児の眼所見を報告する。
・年齢は2.2±1.2か月(0.1-7.3ヶ月)で、免疫吸着法での脳脊髄液検査を行った24例は全例、ZIKV感染陽性であった。
・眼所見は22例(55%)でみられ、そのうち片眼のみ発症は7例(32%)、両眼発症が15例(68%)であった。
・母親の主訴は発疹65.0%、発熱22.5%、頭痛22.5%、関節痛20.0%であり、結膜炎を含む眼所見は全例みられなかった。
・眼所見のある乳児の母親は妊娠初期3か月以内の感染が10例(71.4%)であった。
・眼所見で視神経障害だけが5例(22.7%)、黄斑障害だけが7例(31.8%)、両者の障害が10例(45.5%)であった。
・視神経障害の25例の内訳はdouble-ringサインのある低形成が14眼、視神経蒼白が6眼、C/D比の拡大が9眼であった。
・黄斑障害は17例24眼で、黄斑反射の消失が24眼、軽度の色素のまだら沈着が13眼、広範な色素沈着が9眼、脈絡膜萎縮を伴う輪状の区画形成が6眼であった。(TY)
Potentially Reversible Effect of Niacin Therapy on Edema From Retinal Vein Occlusion
Ehsan Rahimy,et al.(California,U.S.)
JAMA Ophthalmol 134(7):839-840,2016
目的:静脈閉塞症からの慢性のCMEに対するナイアシン治療(ビタミンB3、ニコチン酸とニコチン酸アミドの総称)の効果を、薬の使用を止めた時可逆性があるかどうかも含めて検討した。
対象:63歳男性、高血圧、高脂血症、脳梗塞の既往有り。
右眼の視力障害を訴え(20/200)、RVOからのCMEを認めた。
脳梗塞のため抗VEGF治療は拒否され、ステロイドの硝子体注入、テノン嚢下注射も延期していた。
持続的なCMEは1年半続き、CMT 669.8μm、視力は20/100〜20/200。
経口のナイアシン治療を始めた。
結果:2週間かけて1日3回125mgから1日3回500mgまで徐々に増やした。
それはナイアシンのよく知られた副作用である顔面紅潮を抑えるため。
2週間後、CMEは減少し始め、4週間後、視力は20/40まで回復した。
その後、1年かけて1日1回500mgに減らした。その間に2回内服を中止したときがあったが、急速にCMEが再発した。
結論:ナイアシン治療(500mg経口)が30分後に脈絡膜血液量を39%増やすことを明らかにされている。
脈絡膜の血管拡張が網膜外層の酸素付加を改善して、低酸素状態とCMEの形成の要因となっている血管内皮増殖因子の産生を減少させる可能性はある。(CH)