Measurement Precision in a Series of Visual Fields Acquired by the Standard and Fast Versions of the Swedish Interactive Thresholding Algorithm
Luke J. Saunders et al (England)
JAMA Ophthalmology 133(1):74-80, 2015
・Accuracy:真の値に可能な限り近い Precision:再現性が高いこと(high repeatability)
・イギリスMoorfields Eye Hospitalで1997年5月20から2012年9月20日
SITA Standard: 10124 eyes 66974 VFs ・ SITA Fast: 3654 eyes 19819 VFs
・それぞれの測定点のデータからコンピュータ解析でシミュレーションを出している
・年に2回の視野検査で、視野の進行を検出できるまでの期間を算出
・感度が悪化すると、年に二回の視野検査では-1dB/yの変化でも8年以上かかってしまう
・SITA Fastのほうが再現性はやや悪いが、その差は無視できる範囲である
・感度が15-10dBの間はStandardの方がよいかもしれない(MM)
Risk for Uveitis With Oral Moxifloxacin
Brennan Eadie, et al. (Canada)
JAMA Ophtholmol 133(1): 81-84, 2015
目的:経口モキシフロキサシンとぶどう膜炎の関係を調べる。
対象と方法:2001年1月から2011年12月まで、40歳から85歳までの男性で、全て初回のぶどう膜炎と診断された13313人、コントロール 133130人と比較。(表1)
結果:フルオロキノロン類非使用者と比較して、モキシフロキサシン初回使用者のぶどう膜炎がハイリスクだった。
シプロフロキサシン初回使用者はレボフロキサシン初回使用者より、より高いぶどう膜炎の危険を示した。(表2)
モキシフロキサシン、シプロフロキサシンの使用はぶどう膜炎のリスクを増やすと考えられる。
レボフロキサシン使用は影響なかった。
結論:経口モキシフロキサシンとブドウ膜炎の間の相関関係を示唆した症例報告と矛盾しなかった。さらにシプロフロキサシンとぶどう膜炎の関連も示唆した。臨床医はこれらの薬を処方する時、経口モキシフロキサシンあるいはシプロフロキサシンとブドウ膜炎の関係を意識すべきである。(CH)
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Angle-Closure Glaucoma on Long-Haul Flights
Andrew M. J. et al (England)
JAMA Ophthalmology 132(12):1474-1475, 2014
・長距離フライトで急性緑内障発作を生じた3症例
・Case1:68歳女性 ロンドンからLAのフライト 到着後すぐにLI、点眼処方
帰国後左のLI追加
・Case2:53歳女性 ロンドンからシドニーのフライトの終わりで頭痛・霧視・羞明 うつでシタロプラム(セレクサ:抗うつ薬)服用 オーストラリアで点眼とPI 帰国後シタロプラム中止
・Case3:42歳女性 14年前に両眼のPIを受けている NYからロンドンのフライトの終盤で繰り返す痛みと無視、吐気 点眼と右のPI追加 プラトー虹彩形状
2週間後、再発作のため、水晶体摘出を行った
・長時間、薄暗い状態でアップライトに座っているとリスクが上がるのではないか。
・医療状況のよくない国や言葉の壁がある国へのフライトでは、適切な治療が受けられない可能性があるので、リスクのある人へは発作の症状や適切な処置が必要であることを説明する必要がある。
・現時点では搭乗員はACGについてトレーニングなどは受けていないが、ACGの知識とファーストエイドセットの用意はした方がいいかもしれない。
・座位よりも、仰臥位でいた方が瞳孔ブロックを予防するため良いかもしれない。(MM)
Novel Screening Method for Glaucomatous Eyes With Myopic Tilted Discs
The Crescent Moon Sign
Mi Jeung Kim et al (Korea)
JAMA Ophthalmology 132(12):1407-1413, 2014
・近視眼での緑内障スクリーニングにおいて、ステレオ写真でCrescent Moon Signを提唱
・Group1:70名70眼ずつの傾斜乳頭の近視眼、と正常眼(屈折矯正手術や一般眼科より緑内障疑いで紹介されて、緑内障が否定された患者)
・Group2:同様に60名60眼ずつの調査
・-0.5D以上の近視、MD値-6dBより悪いもの、視神経乳頭のtilt index(短径/長経)が0.8以下、眼軸は24.0mm以上
・正常群は3年以上経過観察ののちに緑内障性の進行を認めないもの
・Crescent Moon Sign:Rimの内側の接線が耳側で連続して黄斑部に向かわずに、rim marginに接続していく
・通常のISNT rule, modified ISNT rule(6時と12時の長径ではなく、最大径の部位を使用)とくらべて、感度、特異度を決定
・感度 CM sign:90.0-91.4% ISNT rule:73.3-75.7% modified ISNT rule:68.6-71.4%
・特異度 CMsign:82.9-83.3% ISNT rule:68.3-71.4% modified ISNT rule:76.6-80.0%(MM)
Use of topical ice for local anesthesia for intravitreal injections.
Lindsell LB et al(OH USA)
JAMA Ophthalmol 132(8): 1010-1011, 2014
・リドカインにアナフィラキシーのある人、点眼麻酔薬にアレルギーのある人に対し、氷を使用した麻酔を試みた。
・滅菌手袋に小さな氷を詰め、下眼瞼耳側に1-2分置き、痺れた頃、耳下側の結膜に2分ほど氷入り手袋指先を接触させて麻酔した。
・冷やすことによる神経伝達を減少させることによる効果である。
・また、局所的な血管収縮効果もある。(TY)
Adjustable nasal transposition of split lateral rectus muscle for third nerve palsy
Ankoor S. Shah et al. (Boston Children’s hospital, Boston, Massachusetts)
JAMA ophthalmol 132(8): 963-969., 2014.
・2010年から2012年に動眼神経麻痺に対し分割外直筋の鼻側移動を受けた6名の患者を5から25か月間調査した。
・6名中4名は手術に成功。うち3名は正位となった。
・術前68プリズム外斜視は術後、0プリズムであった。
・2名は術前の上下斜視が術後は改善。1例は一過性の脈絡膜漏出をきたし低矯正であった。この症例は分割した筋が後方で眼球に接触、伸展していた。
・2例では外直筋に手術既往があり、手技に不充分な部分があった。
・分割外直筋の鼻側移動が動眼神経麻痺患者の治療に非常に有効である場合がある。
・水平・垂直方向の可動性を改善するが、分割し、眼球につないだ外直筋が第一眼位方向に回旋すると思われる。
・しかし症例の選択が重要で、以前の斜視手術で外直筋が収縮や伸展していたり外直筋の分割が不充分であったりすると、術後合併症をきたしやすく成功率が低くなる。(YM)
Bilateral subfoveal neurosensory retinal detachment associated with MEK inhibitor use for metastatic cancer
Tara A. McCannel et al. (Jules stein eye institute, Ophthalmic oncology center, University of California, Los Angeles)
JAMA ophthalomol. 132(8): 1005-1009, 2014
・転移癌に対してMEK(mitogen-activated protein kinase enzyme)阻害剤を投与されている患者の両眼に中心性網膜症に似た病態が発症しうる。
・経験した3名の患者のうち、1例目は転移性ぶどう膜メラノーマがあり、転移ぶどう膜炎はステロイド点眼に反応した。
・2例目は転移性cholangio carcinomaで、2週の経過観察で改善。3例目は転移性直腸ガンで、両眼ぶどう膜炎と中心窩下網膜剥離を認めた。経過観察とステロイド点眼で改善した。全員が永久に続くことはなく、MEK阻害剤での治療を中止する必要は無かった。
・MEK阻害剤の作用機構が網膜色素上皮細胞間のtight junctionを調整するため、この薬で液体の移動を妨げ中心窩下に液体が貯留すると考えられる。(YM)
Retinal morphology of patients with acromatopsia during early childhood.Implications for gene therapy.
Yang P et al(TX USA)
JAMA Ophthalmol 132(7): 823-831, 2014
・9例の全色盲者(4.2±2.4歳)とコントロール者9名(4.0±2.1歳)に手持ちOCT、全視野ERG、遺伝子検索を行った。
・明所視単発フラッシュあるいは30Hz刺激による錐体反応は7例で記録不能、2例で強く障害されていた。
・薄明暗所単発刺激による杆体反応は7例で正常、2例で軽度障害されていた。
・6例(67%)では中心窩の楕円層(旧IS/OS)が障害されており、1例は低反射帯があり、4例では中心窩低形成があった。
・黄斑部厚は14%薄く(247.7±13.7:286.5±9.9 p<0.001)、中心窩厚は17%薄かった(210.2±24.8:262.4±17.2 p=0.001)。
・これは主に網膜外層が薄くなっている為であった。
・黄斑部(131.9±9.6:161.5±6.4 p<0.001 18%減)、中心窩(136.7±18.0:183.8±9.2 p<0.001 26%減)。
・幼児期の全色盲者はより年齢の高い全色盲よりも障害度は軽度であることから、早期の治療介入が必要と考えた。(TY)
Iatrogenic occlusion of the ophthalmic artery after cosmetic facial filler injections. A national survey by the Korean Retina Society.
Park KH et al(Korea)
JAMA Ophthalmol 132(6): 714-723, 2014
・美容的な顔面への充填注射後の眼動脈、あるいは眼動脈枝の医原性閉塞について、44例の臨床例を検討した。
・眼動脈閉塞は6つのタイプに分けられる。
・28例は瀰漫性網膜脈絡膜動脈閉塞(眼動脈閉塞、後毛様動脈閉塞、中心動脈閉塞)、16例は局所的な閉塞(局所的後毛様動脈閉塞、網膜動脈枝閉塞、後部虚血性視神経症)であった。
・自己脂肪注射を受けた22例は瀰漫性眼動脈閉塞で、脳動脈閉塞の率はヒアルロンサン注入を受けた12例よりも、高かった。
・注射内容は自己脂肪22例、ヒアルロンサン13例、コラーゲン4例、その他5例であった(図)(TY)
Early addition of topical corticosteroids in the treatment of bacterial keratitis.
Ray KJ et al(CA USA)
JAMA Ophthalmol 132(6): 737-741, 2014
・The Steroids for Corenal Ulcers trial(SCUT)で、角膜潰瘍に対する抗菌剤点眼開始後、2-3日、あるいは4日後以降にステロイド点眼を開始して、経過をみた。
・2-3日後に開始した群ではplacebo群に比して、3か月後の視力は約1行、良かったが(-0.11 logMAR 95%CI=-0.20~-0.02 logMAR p=0.01)、4日目以降群では有意差はなく、placebo群よりも悪かった(0.10 logMAR 95%CI=-0.02~0.23 logMAR p=0.14)。(TY)
Comparison of contact lens and intraocular lens correction of monocular aphakia duringinfancy
A randomized clinical trial of HOTV optotype acuity at age 4.5 years and clinical findings at age 5 years
The Infant Aphakia Treatment Study Group (Atlanta)
JAMA Ophthalmol 132(6): 676-682, 2014
・生後1-6か月の片眼性先天白内障に対して水晶体的手術を行い、57眼IOL、57眼CLで術後屈折矯正を行った。IOLは+6-+8Dを狙いとした
・結果としては4.5歳の時の視力については両群で有意差はなかった。50%ほどは20/200と低視力であったが、CL群の方が20/32の視力が出た症例数が多かった(23%vs11%)
・5歳の時の眼合併症は多くで斜視が見られたが、両群で差はなかった
・一つ以上の有害事象が生じた割合はCL56% vs IOL81%とIOL群で多かった 最も多いものは水晶体細胞が瞳孔領まで増殖してしまうことであった。それにより手術を行うものが多かった。これはAphakiaでは前嚢と後嚢が癒着して、水晶体細胞がパックされるが、IOLがあることによって、カプセル内に水晶体細胞がパックされないことによると考えられる。
・3眼はCLができずIOLを挿入した
・IOLの術後屈折異常は平均は-2.25Dであったが、+5.0D-19.0Dと幅があり、誤差が大きいものは入れ替えを行った。1D以内のずれは41%であった。緑内障(高眼圧症)の患者ほど近視化した。
・小児の無水晶体眼の矯正はCLでもIOLでも視力に差がないが、IOLの方が有害事象が多かった(MM)
Effectiveness of intraocular pressure-lowering medication determined by washout.
Jampel HD et al(MD USA)
JAMA Ophthalmol 132(4): 390-395, 2014
・603例603眼のPOAGで3種までの点眼薬を使用してる患者を対象として、点眼中とすべての点眼を2週間から3週間中止した時の眼圧を比較した。
・点眼薬0種(n=102,24.2±3.2mmHg)、1種(n=272,17.5±3.2)、2種(n=147,17.2±3.1)、3種(n=82,17.2±3.1)。
・中止後の眼圧は、0種(ー0.2±2.8)、1種(+5.4±3.0)、2種(+6.9±3.3)、3種(+9.0±3.8)。
・眼圧が25%未満の上昇であった比率は、1種38%、2種21%、3種13%の患者であった。
・2番目、3番目の点眼薬中止による眼圧上昇率は1種の点眼薬中止効果よりも少なかった。
・このことは点眼薬使用方法が適切でないか、点眼薬自体が効果がなかった可能性がある。(TY)
Acute panretinal structural and functional abnormalities after intravitreous ocriplasmin injection.
Fahim AT et al(MI USA)
JAMA Ophthalmol 132(4): 484-486, 2014
・Ocriplasmin(OPM)はfibronectinとlaminin(基底膜を構成する蛋白質)や硝子体ゲルを分ける作用があり、硝子体黄斑牽引に対する薬剤治療として用いられている。
・Lamininは網膜全層に見られるものであり、OPMの硝子体注入は時には全網膜の急性機能不全を引き起こす可能性があるがその毒性は十分に分っていない。
・今回、63歳の女性で硝子体黄斑癒着による小さな黄斑円孔にたいしてOPM(0.125mg/0.1ml)を硝子体注入し、全網膜機能不全をきたした症例を報告する。
・視力低下20/40→視力低下は4日後に改善し→20/125、色覚正常、視野狭窄、縮瞳(1mm径)、網膜動脈が全網膜で狭細化、OCTで外網膜層の消失、9日後にERG反応の低下(B波10%に低下、潜時延長、OP波が強く障害)、32Hz-photopic ERG反応が半分に減少、暗順応閾値が半分に上昇し、視細胞以降ならびに視細胞の機能低下が発現した。
・976例の臨床例では、9例が24時間以内の視力低下があり、そのうち中間値2週間で、8例は回復したが1年かかった例もあった。(TY)
Visual loss after intravitreal ocriplasmin. Correlation of spectral-domain optical coherence tomography and electroretinography.
Tibbetts MD et al(MA USA)
JAMA Ophthalmol 132(4): 487-490, 2014
・Ocriplasmin(OPM)硝子体注射後の視機能障害のメカニズムはまだ不明である。
・今回、硝子体黄斑癒着のある71歳の女性にOPMを注射し、その後4か月にわたって暗さを訴えた症例を報告する。
・視力低下は癒着は改善していたが、OCTでIS/OSの破綻があり、ERG振幅が低下していた。
・ERGでは錐体機能よりも杆体機能が強く障害されていた。
・OPMは光受容体やRPEに影響を与え、杆体が錐体よりも障害を受けやすいことが分った。(TY)
Acute Panretinal Structural and Functional Abnormalities After Intravitreous Ocriplasmin Injection
Abigail T. Fahim, Naheed W. Khan, Mark W. Johnson. (US-MI)
JAMA Ophthalmol 132(4): 484-486, 2014
63歳女性、右眼の硝子体-黄斑癒着と小さな黄斑円孔に対しOcriplasmin(0.125mg/0.1mL)を硝子体に注入
注入数時間後に光視症を自覚。4日目にはいくぶん回復していたが夜盲症と視界に黄色いものが見える症状を自覚。9日目に注射眼の視力低下を訴う
視力:20/50→20/125に低下。瞳孔不同(注射眼が1mm縮瞳)あり。ゴールドマン視野は患眼がすべてのイソプターで狭窄
眼底はWeiss ring出現、黄斑部はfluid cuffを伴った全層円孔になっていた。右眼の網膜動脈はびまん性に狭細化していた。OCT所見では円孔周囲のELM・ellipsoid layer・COSTラインが減弱していた【Fig.2】
Full-field ERGでは桿体B波が正常の10%以下に減弱、暗順応下の桿体―錐体反応も僚眼の約半分に減弱、殊にB波が減弱していた。Photopic ERGとフリッカーERGより、錐体機能は正常の40-50%に減弱していることが判明。OP波も患眼で著しく減弱していた。僚眼のERGは桿体反応の中等度減弱以外はすべて正常範囲だった【Fig.3】
ERG所見(B波がA波より減弱している)より視細胞より中枢側の機能異常および視細胞の活性の低下が疑われた
【結論】Ocriplasmin硝子体注入に関連する網膜機能異常は黄斑部に限らず網膜全体に及ぶ。酵素によって網膜内のlamininが離開されることがこの毒性のメカニズムとして生物学的に疑わしい(MK)
Vision Loss After Intravitreal Ocriplasmin
Correlation of Spectral-Domain Optical Coherence Tomography and Electroretinography
Michael D. Tibbetts, Elias Reichel, Andre J. Witkin. (US-MA)
JAMA Ophthalmol 132(4): 487-490, 2014
71歳女性、症候性硝子体-黄斑牽引(VMT)に対しOcriplasmin(0.125mg/0.1mL)を硝子体注入
視力改善およびVMT解除が得られたにも関わらず、暗黒感が経過観察期間(4か月)中持続
SD-OCTにてellipsoid layerの破綻、ERGにて振幅の減少がみられ、患者の症状と関連づけられた
ERGでは錐体機能に比べて桿体機能の減弱が強くみられた
【結論】Ocriplasminは硝子体-黄斑の癒着部位のみに限らず、視細胞または網膜色素上皮に対してびまん性に酵素の効果を与えているようだ。Ocriplasminは錐体視細胞に比べて桿体視細胞に多く作用しているかもしれない。(MK)
Markers of Inflammation, Oxidative Stress, and Endothelial Dysfunction and the 20-Year Cumulative Incidence of Early Age-Related Macular Degeneration
The Beaver Dam Eye Study
Ronald Klein, et al. (US-WI)
JAMA Ophthalmol 132(4): 446-455, 2014
【目的】炎症マーカー、酸化ストレス、内皮機能異常と早期AMD20年間累積発症率との関係を調査
【対象と方法】Beaver Dam Eye Studyの参加者のうち、ベースライン検査(1988-1900、参加時にAMDなし)その後4回のフォローアップ検査(1993-1995, 1998-2000, 2003-2005, 2008-2010)すべてに参加した975名。
炎症マーカー(高感度CRP、TNF-αR2、IL-6、WBC)、酸化ストレスマーカー(8-ISO、TCC)、内皮機能異常マーカー(sVCAM-1、sICAM-1)を測定。相互作用として考えられるCFH、ARMS2、C2/CFB、C3の各遺伝子多型を調査し多変量解析に組み込み。
眼底写真にて早期AMD (黄斑部の色素上皮異常または125μm以上のドルーゼン)の有無を検索
【結果】早期AMDの20年間の累積発症率は23.0%。年齢・性別・リスク因子で調整した多変量解析では、高感度CRP (第1 vs第4四分位でOR 2.18, p=0.005)、TNF-αR2 (OR 1.78, p=0.04)、IL-6 (OR1.78, p=0.03)、sVCAM-1(OR 1.21, p=0.04)が早期AMDの発症と有意に関連していた。
【結論】上記の炎症マーカーとひとつの内皮機能異常マーカーが年齢・喫煙・他のリスク因子と独立して早期AMDの20年間累積発症率と中等度に関連していた。これらの知見は早期AMDの病因に炎症が関与していることを支持するものである。(MK)
Effect of bifocal and prismatic bifocal spectacles on myopia progression in children. Three-year results of a randomized clinical trial.
Cheng D et al(Australia)
JAMA Ophthalmol 132(3): 258-264, 2014
・近見用プリズム入りの2重焦点眼鏡が小児の近視進行を遅くするかどうかを検討した。
・中国系カナダ人135名(終了時128名)で8-13才(10.29±0.15)、屈折度-3.08±0.10D、前年度の近視進行度が0.5D以上を3群に分けて検討。
・単焦点S群41名、+1.5D加入2重焦点B群48名、+1.5Dに近見3プリズム加入P群46名である。
・屈折度はサイプレジン散瞳下の自動屈折計を使用して6か月間隔で3年間経過観察した。
・3年間の近視進行度はS群ー2.06±0.13、B群ー1.25±0.10、P群ー1.01±0.13で、眼軸長はS群0.82±0.05、B群0.57±0.07、P群0.54±0.06mmであった。
・B群P群はいずれも、p<0.01で有意であった。
・調節lagが1.0Dより大きい小児では、B群とP群間に有意差はなかったが、調節lagが1.0以下の小児では、B群は0.99D、P群は0.50Dと有意差があった(p=0.03)。(TY)
Nd:YAG laser goniopuncture for late bleb failure after trabeculectomy with adjunctive mytomycin C.
Susanna R Jr et al(Brazil)
JAMA Ophthalmol 132(3): 286-290, 2014
・線維柱帯切除術(MMC使用)後、眼圧コントロールに失敗した19例19眼について、Nd:YAG LGP+5FU注入を行った。
・隅角鏡で内孔が明らかで、無血管性の機能していない濾過胞を持った症例を対象とした。
・術後35.7±32.3か月。Nd:YAGは内孔の一番奥を狙って7~8mJで10~20発照射した。
・半数では内孔の拡大が観察された。
・同一日に5FU 5mg(50mg/ml)を下結膜嚢に注入し、眼圧が8mmHg以上ある人については、1日3回10秒の眼球マッサージを3日間、指示し、1%プレドニゾロン点眼を術当日は1時間おき、翌日は2時間おき、その後20日間は8時間おきに点眼した。
・術前眼圧20.9±4.5(15.5-29.0mmHg)が11.9±4.1(5.0-21.0)に低下した(p<0.001)。
・合併症は2例で低眼圧があったが自然緩解した。
・2眼で濾過胞が高くなり、10眼で濾過胞が伸展した。
・点眼薬数は0.7±1.1から0.3±0.7に減少。
・最終検査6.0±1.1か月(4.4-8.4)では15眼79%が眼圧15mmHg以下で、点眼なしで20%以上の眼圧下降効果が得られた。(TY)
Botulinum Toxin Type A Injection for Lateral Canthal Rhytids Effect on Tear Film Stability and Tear Production
Min-Chieh Ho, et al. (Taiwan)
JAMA Ophthalmal. 132(3): 332-337, 2014
・目尻のしわの治療のためのボツリヌス毒素A型が、涙液膜の安定性と涙液産生にどのように影響しているか。
・目尻のしわのある30〜60歳の女性58人 平均年齢46.3歳
30〜40歳 20人、 40〜50歳 17人、 50〜60歳 21人
doseA 2U 0.05ml 3ショット 眼輪筋内
doseB 4U 0.05ml 3ショット 眼輪筋内
片眼doseA、もう片眼doseB
治療後1週後、1ヶ月後、3ヶ月後、6ヶ月後、TBUT、麻酔なしシルマー試験、麻酔ありシルマー試験を施行した。
・TBUTは注射1週後に際立って減少し、1〜3ヶ月間続いた。6ヶ月後に部分的に回復した。シルマー試験は麻酔あり、なしでも注射1ヶ月間減少し、6ヶ月後完全に回復した。
年代別では、
30〜40歳 TBUTは注射後1週後減少し、6ヶ月後完全に回復した。
40〜50歳 TBUTは注射後3ヶ月間減少し、6ヶ月後部分的に回復した。
50〜60歳 TBUTは注射後6ヶ月間減少したままだった。
シルマー試験ではどの年代でも、麻酔あり、なしとも注射後1ヶ月で最も減少し、その後徐々に回復した。
・若い人ほどより速くTBUTが回復する傾向にあった。
TBUTとシルマー試験結果両方がdoseAよりdoseBで減少していたが、統計学的に有意差はなかった。
・ボツリヌスの量が増えるほど、より大きい影響あるように思われた。
ボツリヌスによるリオラン筋麻痺がマイボーム腺からの脂質分泌を減少させるだろう。そのために、涙液層の脂質不十分をもたらすかもしれない。
麻酔あり、なしの両方のシルマー試験が減少したことに気付いた。これは、ボツリヌスが交感神経でなく副交感神経系ファイバーだけを阻害するから、基礎分泌と刺激性分泌の両方が、少なくとも部分的に副交感神経によって支配されることを意味する。
ボツリヌス菌注射の深さは目尻の眼輪筋の層に制限された。そのため、ボツリヌスが眼輪筋と眼窩隔膜を通って涙腺に到達したと思われる。
TBUTで注射後短期間での減少、シルマー試験結果で緩やかな減少という結果は、マイボーム腺の方が注射部位から近く、涙腺までが遠かったからと考えられた。
ボツリヌス治療を受けようとしている患者にドライアイの危険性を知らせる必要がある。(CH)