Smoking Cessation and the Risk of Cataract
A Prospective Cohort Study of Cataract Extraction Among Men
Birgitta Ejdervik Lindblad, et al. (Sweden)
JAMA Ophthalmol. 132(3): 253-257, 2014
・男性で、白内障に対する禁煙の効果を調べた。
・45歳から79歳のスウェーデン人男性44,371人にアンケート調査した。
喫煙24.9%(1日平均13.9本)、過去に喫煙38.8%(1日平均13.6本)、非喫煙36.3%
・1日平均15本以上喫煙する男性は、喫煙した事がない男性に比べ、白内障手術を受けるリスクが42%高かった。
さらに、禁煙後20年経っても喫煙した事がない男性に比べ、白内障手術を受けるリスクが20%高かった。
喫煙本数の少なかった男性は、禁煙後リスクは低下したが、喫煙した事がない男性のレベルに達することはなかった。
・危険が何十年間も持続するけれども、禁煙が白内障になる危険を減少させるように思われた。
これらの調査結果は早い禁煙と、なるべく喫煙しないことの重要性を強調する。
喫煙は他の眼疾患とも関係があるので、医師は禁煙を勧めるべきである。
女性の場合、1日6本から10本の人は禁煙期間とともに白内障手術のリスクが減少し、禁煙後10年で非喫煙女性と同等になった。しかし、喫煙量の多いと非喫煙女性と同等になるのに20年かかった。(CH)
Differences in Vision Between Clinic and Home and the Effect of Lighting in Older Adults With and Without Glaucoma
Bhorade AM,et al.(US-CA)
JAMA Ophthalmol. 131(12):1554-1562 , 2013
【目的】クリニックと家庭とで測定した視力を比較、照明を含む環境の違いを評価
【対象と方法】55-90歳、126名の緑内障患者および49名の緑内障なしの患者、うち166名が導入基準に合致。クリニックおよび患者の家庭(測定順はランダムに割付け)で、両眼遠方視力(DVA)・近見視力(NVA)、コントラスト感度(CS)、グレア下CSを測定。測定場所の照度を計測。
【結果】緑内障のあるなしに関わらず、全ての視覚テストがクリニックでの測定値の方が有意に良好【Tab.2】。
DVAでは緑内障患者の29%でクリニックの測定値の方が2段階以上良好【Fig.1】、更に進行した緑内障患者の39%もが3段階以上良好であった。
全体の21%もの患者でNVAがクリニック測定値で二段階以上良好、49%もの患者でグレア下CSがクリニック測定値で三段階以上良好であった【Fig.2】。
多変量解析にて、DVA・NVA・CSのクリニック・家庭の視力差に対するもっとも有意な関連因子は照度であった(P<0.05)
家庭での照度は、クリニックのそれと比較してDVAの条件下では4.3倍、NVAの条件下では2.8倍暗かった。【Tab.3】
85%以上の患者で家庭での照度が推奨値以下であった【Fig.4】。
【結論】クリニックで測定した視機能は家庭で測定した結果よりも概して良好であり、主に家庭での照度が暗いことに由来する。この知見は高齢者の家庭での視機能を改善させるために家庭の照度を調節するといった患者-医師間の議論のきっかけとなるかもしれない。(MK)
Relationship Between Dry Eye Symptoms and Pain Sensitivity
Jelle Vehof et al. (England)
JAMA OPhthalmoi 131(10): 1304-1308, 2013
・ドライアイと疼痛感度の関連と、健康なボランティアグループでの疼痛耐性を調査した。
・白人女性ボランティア1635人、平均年齢60歳(20~83歳)
3つの質問をして(1) ドライアイと診断されたことがあるか? (2) 現在人工涙液点眼を使用しているか? (3) 過去3ヶ月かそれ以前から、ドライアイ症状を感じたか?
すべて「はい」と答えた人をドライアイ群438人(27%)とした。この中で元々医師からドライアイと診断を受けていたのは218人(13.2%)。
・疼痛症状を詳しく調べるためにサブグループ689人を選び、眼表面疾患インデックス(OSDI)を行った。15ポイント以上をドライアイ群217人(31.6%)とした。その内、痛みを伴うドライアイ118人(17.1%)。
熱痛覚閾値(HPT:これが低いと疼痛感受性が高い)
プローブを被検者の上前腕に取り付け、「熱い」から「痛い」と感じる状態になるまでの温度変化を
32度から1秒間に0.5度ずつ上げて測定した。
疼痛耐性(HPST:これが低いと疼痛耐性が低い)
プローブを被検者の上前腕に取り付け、「苦痛」から「耐えられない」と感じる状態になるまでの温度
変化を32度から1秒間に1度ずつ上げて測定した。
・平均HPT:45.4度、平均 HPST:47.1度だった。
HPTの中央値は46.0度だった。それよりも低い値の人が痛みに敏感とみなした。
・年齢が高いほど疼痛感度と強く関連していた。(P<0.001)
ドライアイと診断された人とドライアイではなかった人、人工涙液の使用者と非使用者でHPTとHPSTに有意差はなかった。しかし、過去3ヶ月にドライアイ症状があった人は症状がなかった人よりHPSTが有意に低かった。(P=0.01)
ドライアイと診断された人はドライアイでは無い人に比べHPTとHPSTが有意に低かった。
サブグループでHPTとHPSTが低いことはドライアイと関連していたが、有意差はなかった。
疼痛症状の存在とHPTとHPSTが低いことに強い関連があった。(P = .008 for the HPT and P = .003 for the HPST)
・この研究は、涙液不足、細胞損傷と心理的な要因などに加え、高い疼痛感度と低い疼痛耐性がDEDの痛み症状と結び付けられることを示唆した。
ドライアイ症状の管理は複雑なので、医師は眼の治療だけではなく、全身像を考慮する必要がある。ドライアイ検査で明らかには認められない軽い眼表面の異常でも疼痛感度の高い患者では自覚症状として現れることが考えられる。(CH)
Evolution of Vitreomacular Detachment in Healthy Subjects
Hirotaka Itakura, et al. (群馬大学)
JAMA Ophthalmol 131(10):1348-1352, 2013
・SD -OCTを使い健全な眼のPVDの発達における硝子体ポケット(PPVP)の役割を評価する。
・健康なボランティア368人(男性188人、女性180人)の右眼を対象とした。
平均年齢57.1歳(12~89歳)、すべて有水晶体眼、平均屈折値 -1.1D (+4.0D~-4.5D)
OCT検査の前に、診察でPVDの有無を調べた。
ワイスリングの確認で完全なPVDと定義した。
検眼鏡検査とSD-OCTイメージを使って硝子体ポケットの後壁の状態を5段階にわけた。(表2)
・完全なPVDのない227眼すべてで、SD-OCTで硝子体ポケットを認めた。
38歳以下ではPVDは認めなかった。
完全なPVDは70代〜80で増えた。
・SD – OCTはPVD発生の早い段階で硝子体ポケットをうつした。
硝子体ポケット後壁は、初めに傍中心窩エリアで外れ、周中心窩エリアに及ぶ。硝子体と中心窩の強い癒着と合わさって、トランポリン様の周中心窩PVDを形成する。周中心窩PVDは黄斑円孔や硝子体黄斑牽引症候群の原因になる。そして視神経から硝子体が剝離したら、完全なPVDとなる。
硝子体ポケットの解剖学的特徴が周中心窩PVDの発達に影響していると思われる。(CH)
Spectral-domain optical coherence tomography masures of outer segment layer progression in patients with x-linked retinitis pigmentosa.
Birch DG et al(TX USA)
JAMA Ophthalmol 131(9): 1143-1150, 2013
・視細胞内節の楕円帯(EZ:ellipsoid zone:内節外節縁)の中心部の幅の年変化がX-linked網膜色素変性症の特性を現せるかを検討した。
・劣性遺伝あるいは孤発例のRPの20例(8歳から65歳,平均40.5歳)で日内変動を検討し、XL-RPの28例(8-27歳、平均15.2歳)で、ドコサヘキサエン酸とplacebo内服の効果を3年の経過で調査した。
・test-retestのEZ幅の差は0.08±0.22度(-0.30~0.6)であり、95%誤差は0.43度(124μm)内に収まるが、コントロール眼のXL-RPのEZ幅の平均年変化(減少)は0.86度(248μm, 7%)であり、28例の内27例で2年間で有意なEZ幅の減少を来した。
・この年平均7%のEZ幅の減少は機能している網膜面積の13%の変化と等価であり、この値は視野あるいは全視野ERGで報告された値と一致している。
・このことから、EZ幅測定の有効性が期待できる。(TY)
Is the use of topical antibiotics for intravitreal injections the standard of care or are we better off without antibiotics?
Chen RWS et al(FL USA)
JAMA Ophthalmol 131(7): 840-842, 2013
・モキシフロキサシンは3mlで約$80、5%ポビドンヨードPIは30mlで約$6であり、仮に約80%の網膜専門医が硝子体注射後に第4世代フルオロキノロン点眼を使用したとすると、年間$6400万が必要となる。
・米国での通常の注射時のprotocolは5%PI点眼、麻酔薬点眼を結膜内点眼し、眼瞼と睫毛を10%PI綿棒で消毒し、滅菌開瞼器を掛ける。
・麻酔薬を染ませた綿棒で注射部を押し、点眼麻酔、5%PI点眼を下結膜嚢に点眼。
・マスクはしない場合もあるが、手袋をして注射し、時に抗生剤点眼を注射前あるいは後で行っている。
・米国での2つの大きな問題は、耐性菌の増加と費用の増加である。
・PIで十分と考えられるので、抗生剤点眼の使用は辞めた方がいいと考えている。(TY)
Oral Glucosamine Supplements as a Possible Ocular Hypertensive Agent
Ryan K.Murphy, DO, MA
JAMA Ophthalmology 131(7): 955, 2013
・グルコサミンと緑内障の関連を調べる。
対象は、すでにグルコサミンサプリメントを内服していて眼圧21mmHg以上又はPOAGと確定している17人で、自分の意志で選択的にグルコサミン内服を止めて、2年で最低3回以上眼圧測定した。
11眼:グルコサミンサプリメント内服開始前に1~3回ベースラインを測定
内服前、内服中、内服中止後に眼圧測定
6眼:グルコサミンサプリメント内服開始前にベースラインを測定しない
内服中、内服中止後に眼圧測定
A. 内服中は内服前より有意に眼圧上昇した。(P=0.001)
内服中より内服中止後に有意に眼圧下降した。(P=0.002)
内服中より内服中止後に有意に眼圧下降した。(P=0.008)
・A.B.合わせると、内服中RT=19.5±3.4mmHg →中止後16.7±3.0 mmHg
LT=20.3±2.9mmHg →中止後17.3±2.4 mmHg
左右差はなかった。
・類似の効果を示すコルチコステロイド治療を中止すると眼圧が下がるメカニズムに類似して、グルコサミン内服の中止がIOPを下げると仮定する。
今後、グルコサミンの用量、期間、ブランドなどの検討が必要。(CH)
Effect of low concentrations of benzalkonnium chloride on acanthamoebal survival and its potential impact on empirical therapy of infectious keratitis.
Tu EY et al(IL USA)
JAMA Ophthalmol 131(5): 595-600, 2013
・3種のアカントアメーバの栄養体trophozoiteを各種の液に0.5h, 2h, 3h. 5h, 6.5hours暴露した。
・液はBAK(0.001%, 0.002%, 0.003%)、モキシフロキサシン(0.5%)、BAK(0.001%, 0.003%)+モキシフロキサシン(0.5%)、過酸化水素(3%)、生食であり、アカントアメーバの死滅数logで表示した。
・BAKの効果は時間依存性で(2h-3.5h迄)、同時に濃度依存性であったが、モキシフロキサシンMFLXはそれ自体では効果がなかった。
・0.003%BAKは過酸化水素水と同等に著明な抗アカントアメーバ効果があった。
・市販のBAKの配合濃度(0.005~0.01%)で、十分な効果がある。
・MFLX0.5%単身、MFLX+BAK0.001%、MFLX+BAK0.003%のアカントアメーバ死滅数logは、0.5hでは(0.01±0.22、0.62±0.48、2.72±0.83), 2.0hでは(0.04±0.30、1.04±0.82、3.70±0.53), 3.5hでは(-0.05±0.19、1.23±1.06、3.35±1.05)であり、BAK効果は約3.5時間までは濃度依存性であった
Anterior chamber bleeding after laser peripheral iridotomy.
Golan S et al(Israel)
JAMA Ophthalmol 131(5): 626-629, 2013
・両眼のPACを疑われるPACSで、LPI後の前房出血について、抗血小板剤あるいは抗凝固剤を内服中の場合と、内服を一時中止した場合で、差があるかどうかを調べた。
・104例208眼で、最初に右眼を内服中にLPIを行い、内服中止2週間後に左眼のLPIを行った。
・LPIはNd:Yagレーザーで3.5-6mJ, 2-6発である。
・出血せずは右68眼-左66眼、軽度出血は右31眼-左35眼、隅角レンズで圧迫しただけでは止血しなかったが強い前房出血に迄は至らなかった例が右5眼-左1眼であった。
・抗凝固剤は前房出血には影響していなかった。
Forniceal Conjunctival Pedicle Flap for the Treatment of Complex Glaucoma Drainage Device Tube Erosion
DS. Grover et al. Texas, USA
JAMA Ophthalmol 131(5): 662-666, 2013
緑内障チューブインプラント術後のチューブ露出に対する円蓋部結膜有茎弁被覆
瘢痕化結膜を除去し保存角膜をパッチ、その上に円蓋部から長さ:幅=3:1の結膜有茎弁を縫合
14例15眼 平均観察期間49M(3-156)
スペースがない場合は眼瞼を切開して円蓋部を露出
全例再露出なく経過。(MM)
Antibiotic resistance fo ocular surface flora with repeated use of a topical antibiotic after intravitreal injection.
Yin VT et al(Canada)
JAMA Ophthalmol 131(4): 456-461, 2013
・硝子体内IVT注射後の眼内炎は稀であるが、失明の危険性がある。
・2病院で、65歳以上で新規にAMDと診断された178名を、毎月、合計3回の抗VEGFのIVT注射を行った後、3日間モキシフロキサシン点眼をした84例と、点眼をしなかった94例に分け、施行前、施行後3カ月まで毎月培養をとり、モキシフロキサシン(全グラム陽性菌)とセフタジジム(モダシン:腸球菌と緑膿菌)に対する感受性、MICを検査した。
・点眼群、非点眼群とも施行前後の培養陽性率には有意差はなかったが、点眼群では施行前後で、MIC50%は 0.64→1.00に、MIC90%は 0.94→4.00に、MICは1.04→1.25μg/ml(p=0.01)に上昇していた。
・非点眼群ではMIC、MIC50%、MIC90%ともに施行前後で有意差はなかった。
・IVT注射後のモキシフロキサシン点眼の繰り返し使用は有意に眼表面の抗生剤に対する耐性を上昇させるので、IVT注射後の予防的抗生剤使用は中止すべきと考える
Influence of multifocal intraocular lenses on standard automated perimetry test results.
Aychoua N et al(Netherlands)
JAMA Ophthalmol 131(4): 481-485, 2013
・6例16眼(中間値64歳)の回折型多焦点眼内レンズ眼で自動視野計のサイズⅢとⅤを使用して、30-2プログラムで感度を測定した。
・18例18眼の正常水晶体眼(中間値62歳)、12例12眼の単焦点偽水晶体眼(中間値64歳)をコントロールとした。
・サイズⅢのMD(mean deviation)は、MFIOLでは中間値-3.0(-5.4~-0.7)、有水晶体眼では中間値-0.5(-2.1~2.0)、単焦点IOL眼では中間値-1.0(-1.8~0.3)であり、MFIOLは有水晶体眼より平均-2.4dB感度が有意に低く(p<0.001)、単焦点IOLは有水晶体眼より平均-0.32dB感度が低かったが(p=0.52)有意差はなかった。
・サイズⅤのMS(mean sensitivity)は、MFIOLと有水晶体眼差は-1.61dB(p=0.002)、単焦点IOLと有水晶体眼差は-0.80dB(p=0.09)であった。
・この差は部位差ではなかった。多焦点IOL眼での感度の低下は、IOLのデザインによるものと考えられる。
・緑内障などの疾患あるいは加齢変化による感度低下をみるときに考慮すべき点である
Prospective study of inflammatory biomarkers and risk of diabetic retinopathy in the diabetes control and complications trial
Rajeev H. Muni (University of Toronto, Ontario, Canada)
JAMA Ophthalmol 131(4): 514-521, 2013
・これまでにDM網膜症は病理的に慢性な低グレードの炎症が存在しているという報告がいくつかある。DM黄斑浮腫に硝子体内へのステロイドや抗VEGF治療が有効である事もこれを支持する。DM黄斑浮腫は血液網膜関門の破壊に由来すると考えられており、そのため網膜内に液体が貯留する。ここに炎症の過程が存在する。炎症性生体マーカーとDMRの関連の報告では、hsCRP(high-sensitivity CRP)、ICAM-1(intracellular adhesion molecule-1)、VCAM-1(vascular cell adhesion molecule-1)、TNF-α(Tumor necrosis factor-α)が関連する可能性がある。
・USAとカナダの29病院での調査。13才から39才の1型糖尿病の1441名。hsCRPとICAM-1がDMRの進行、臨床上明瞭な黄斑浮腫(CSME)、硬性白斑、PDRと関連するかを調べる。
・結果として関連が認められたのは、 hsCRPとCSMEの相対危険度1.83(P=0.01)
hsCRPと硬性白斑の 〃 1.78(P=0.004)
ICAM-1と 〃 〃 1.50(P=0.05)
・hsCRPが高値であればCSMEと黄斑部硬性白斑の危険度は高くなる。ICAM-1の値もまた、硬性白斑の進行と関連する。(YM)
Outer retinal morphology and visual function in patients with idiopathic epiretinal membrane.
Watanabe K et al(東京医療センター)
JAMA Ophthalmol 131(2): 172-177, 2013
・45例52眼の特発性黄斑前膜ERMで、中心窩の形態をOCTで検索し、最高矯正視力BCVAとの関連をみた。
・OCTでは、中心窩厚、Cone outer segment tip(COST)線、視細胞IS/OS線、IS/OS線の中心窩隆起、外境界膜、内境界膜、中心の窪み、中心窩上のERMの8つで評価した。
・多変量解析では正常なCOST線、IS/OS線、外境界膜がそれぞれ独立して有意にBCVAに寄与していた。
・偏回帰係数βはCOST線=0.415(p<0.001)、IS/OS線=0.287(p=0.02)、外境界膜=0.247(0.03)であったが、他の因子はBCVAとは有意な関連はなかった。
・中心窩厚はBCVAと有意に相関していた(r2=0.274 p<0.01)。
・ERMの早期では視細胞の形態のみが有意にBCVAに相関しており、COST線の形状が最も関連していた。(TY)
Flashes, floaters, and oral fluoroquinolones. Is retinal detachment a worry?
Han DP et al(WI USA)
JAMA Ophthalmol 131(1): 91-93, 2013
・経口フルオロキノロンFLXを使用中の患者では、絶対リスクは低いものの、網膜剥離リスクが有意に上昇しているとの報告がEtminanらによってJAMA2012に発表された。
・FLXは腱炎や腱の断裂と関連することが明らかになっており、眼においても、FLXは投与後、急速に硝子体内へ浸透することから、コラーゲンの分解によって硝子体の液化や虚脱を来たし、後部硝子体剥離を発生させることによって網膜剥離の発生リスクが高まると考えられる。
・この事を頭に入れておくことが重要である。
(Etminan M et al. Oral fluoroquinolones and the risk of retinal detachment.JAMA 307:1414,2012 参照) (TY)
Analysis of anterior segment dynamics using anterior segment optical coherence tomography before and after laser peripheral iridotomy.
Zheng C et al(China)
JAMA Ophthalmol 131(1): 44-49, 2013
・レーザー虹彩切開(LPI)後の縮瞳スピードを、前眼部OCTに取り付けたビデオを用いて検討した。
・測定したのは縮瞳スピード、虹彩厚(強膜棘から750μm部、瞳孔縁から750μmの括約筋部)などである。
・LPI後、対光反応における縮瞳スピードは1.094±0.251mm/sから1.336±0.309に上昇(p<0.005)、虹彩厚の変化スピードは、強膜棘から750μm部では -0.04±0.03mm/sから -0.06±0.04(p<0.05)、括約筋部では -0.00±0.03から0.03±0.05(p<0.05)と有意に増加していた。(TY)
Continuous 24-hour monitoring of intraocular pressure patterns with a contact lens sensor.
Mansouri K et al(CA USA)
Arch Ophthalmol 130(12): 1534-1539, 2012
・SCLに装着したContact lens sonsorを用いて24時間持続眼圧測定を行い、安全性、認容性、再現性を調べた。
・SCLは3種類のベースカーブ(8.4、8.7、9.0mm)があり、直径は14.1mm、厚みは中心で585μm、周辺で260μmである。
・眼圧測定原理は、角膜曲率半径などの変化が眼圧変動と相関することを応用している。
・緑内障疑者21例と緑内障者19例の40例(年齢55.5±15.7、男性が60%)で、1週間の間隔をおいて2回(Session 1/2)行った。
・測定中は日内活動、睡眠状態をチェックした。
・主な副作用は霧視82%、結膜充血80%、点状角膜糜爛15%であった。
・眼圧日内変動の再現性はかなり良く、緑内障患者の眼圧モニターに有効であると考えられた
参考:Continuous intraocular pressure monitoring with a wireless ocular telemetry sensor: initial clinical experience in patients with open angle glaucoma. Mansouri K et al(Switzerland) Brit J Ophthalmol 95(5): 627-9, 2011
Relationship between Fuchs entothelial corneal dystrophy severity and glaucoma and/or ocular hypertension.
Nagarsheth M et al(IL USA)
Arch Ophthalmol 130(11): 1384-1388, 2012
・Fuchs角膜内皮ジストロフィ(FECD)の重症度が緑内障あるいは高眼圧症(G/OHTN)と関連があるかどうかを検討した。
・症例はFECD Genetic Multi-Center Studyに登録された1610眼で、重症度は滴状の集合状況によってGrade 0-6に分類した。
・0:滴状なし、1:集合していない1-12個の滴状、2:集合していない13個以上の滴状、3:1-2mmの集合、4:2mmを越え5mm迄の集合、5:5mmを超える集合、6:5mmを越える集合があり実質あるいは上皮に浮腫があるもの。
・FECDの107眼(6.6%)にG/OHTNがあった(コントロール群ではG/OHTNは6.0%)。
・FECEのgrade1-3では0.0%、grade0-3の家族では2.1%と低かった。
・Grade4-6あるいはその家族ではFECDではない群と比較して、11.2%、8.5%と高かった。共変動で補正すると、Grade4-6では、コントロール群と比較して、OR=2.1(p=0.04)、家族でFECDのない群と比較して、ORは7.06(p<0.01)であり、G/OHTNの率が高かった。
・加齢では1年毎のG/OHTNの増加率(OR=1.06 p<0.001)、眼圧は1mmHg上昇毎のG/OHTNの増加率(OR=1.15 p<0.001)で、いずれも増加していた。
Changes in retinal vessel diameter and incidence and progression of diabetic retinopathy.
Klein R et al(WI USA)
Arch Ophthalmol 130(6): 749-55, 2012
・6年間の経過観察で、糖尿病網膜症(DR)の発症や進行、増殖性DR(PDR)の発生、黄斑浮腫(ME)の発生と網膜血管径の変化とを1098名の糖尿病者で比較検討した。
・眼底写真でDRの程度を判定し、網膜動脈と静脈径は、視神経乳頭縁から半乳頭~1乳頭内の血管をコンピュータで検出し、太い方から6本までの血管径を平均したものを、網膜動脈径(CRAE)、網膜静脈径(CRVE)とした。
・4年間でのCRAEとCRVEの変化は-0.37と+2.54μmであった。
・6年間でのDR発症は56%、DR進行は39%、PDR発症は15%、ME発症は11%であった。
・4年間でのCRVEの10μmの増加毎に、6年間での網膜症の変化をORでみると、DR発症は1.26(1.10-1.43 p<0.001)、DR進展は1.21(1.12-1.30 p<0.001)、PDR発症は1.19(1.07-1.32 p<0.001)、ME発症は1.16(1.03-1.31 p=0.004)であった。
・CRAEの変化は網膜症の変化と関連がなかった。
・このことから、CRVEはDRの進展についての情報の一つになりうると考えた。
Level of vascular endotehlial growth factor in tenon tissue and results of glaucoma surgery.
Park HYL et al(Korea)
Arch Ophthalmol 130(6): 685-9, 2012
・POAG患者の前房水とテノン嚢組織内の血管内皮増殖因子(VEGF)のレベルを調べ、VEGFと緑内障手術の成績を比較検討した。
・眼圧のコントロールが不良で緑内障手術を予定している19名のPOAGと、白内障手術を予定している17名のコントロール群とで検討した。
・手術時に前房水0.1mlと、テノン組織4x4mmを採取し、VEGF濃度を測定した。
・POAG群ではCTRL群より、前房内、テノン組織内のVEGFレベルは高く、テノン組織内では有意差がみられた(p=0.001)。
・POAG手術1年後の成功例、不成功例で検討すると、テノン組織では、CTRLでは95.62±15.54pg/mlで、不成功例は146.82±24.66pg/ml(p<0.001)、成功例では107.11±19.65pg/ml(p=0.014)で有意差があった。
・前房水では、CTRLは33.26±11.54で、不成功例63.99±25.02、成功例56.96±31.22であったが、有意差は出なかった。
・テノン組織内のVEGFレベルと手術後の最終眼圧との間には有意な相関がみられた(r=0.677 p=0.003)。
・前房水内のVEGFレベルでは有意差はなく、創の治癒機転にはテノン内のVEGFに依存する機序が大きく働いていることを示唆する。