Resolution of Congenital Nasolacrimal Duct Obstruction With Nonsurgical Management
Pediatric Eye Disease Investigator Group
Arch Ophthalmology 130(6):730-734,2012
・生後6〜10カ月以下の幼児で、6カ月の非観血的処置で涙鼻管閉塞(NLDO)がどれぐらいの頻度で治癒するのかを調べた。
・107人の子供たちの133眼(平均年齢7.8カ月、男児54人、女児53人)片眼NLDO81人(76%)両眼NLDO26人(24%)
・1日2回の涙嚢マッサージ、眼脂があるときは抗生剤点眼1日4回施行。NLDO(流涙、粘性の高い涙、粘液眼脂)のサインがなくなることを治癒と定義した。6ヶ月後、117眼のうち77眼(66%)治癒していた。
・治癒した77眼について、さらに18カ月経過観察した。63眼(82%)が治癒したまま、12眼(16%)症状が再発し、2眼(3%)が手術を受けていた。
・生後6〜10カ月以下子供で、NLDOのある眼の半分以上が6カ月以内に非観血的治療で治癒することがわかった。手術をしないNLDO治癒率の知識が臨床医と親が効果的に治療オプションを議論するのを助けると思われる。(CH)
Botulinum toxin injection for the management of refractory filamentary keratitis.
Gumus K et al(TX USA)
Arch Ophthalmol 130(4): 446-50, 2012
・難治性の糸状角膜症治療に対するボツリヌス毒注射の効果を検討した。
・17例33眼の通常の治療には抵抗性の糸状角膜症患者に対し眼瞼皮下にボツリヌス毒注射(10U/0.1ml)を行った。
・最初の注射で29/33(88%)で緩解:20/29眼で完全緩解、9/29眼で角膜糜爛が残存。
・残りの3/33眼で部分寛解。
・残りの1/33眼では初回、2回目治療で寛解したが、8週間後に再発した。
・初回治療で14/33(42%)が寛解したが、19/33(58%)で複数回治療が必要であった。
・糸状角膜症の原因は不明だが、何らかの原因で基底膜の剥離が部分的に発生し、眼瞼の動きによりここの上皮が持ち上げられ、これがムチン糸や変性した上皮細胞に絡み、長いフィラメントができると考えられる。
・このフィラメントは下の上皮に強く接着しているため、瞬きが上皮の亀裂を作り、痛みや慢性炎症を起こす。
・この刺激がまた瞬きを引き起こすという悪循環になるので、この悪循環を断つのが良いだろう
Corticosteroids for bacterial keratitis. The steroids for corneal ulcers trial(SCUT)
Srinivasan M et al(India et al)
Arch Ophthalmol 130(2): 143-50, 2012
・培養陽性の細菌性角膜潰瘍に対して、ステロイド点眼の追加治療について検討した。
・少なくとも48時間前からモキシフロキサシン点眼開始した後、1%プレドニゾロン点眼あるいはプラセボー点眼を開始して比較した。
・開始後3ヶ月目の矯正視力、浸潤や瘢痕の大きさ、角膜穿孔の有無について調査した。
・調査期間は2006/9~2010/2であり、1769名の患者から500名を登録した。
・点眼は最初1週間は1日4回、次の1週間は2回、次の1週間は1回点眼として中止。
・モキシフロキサシン点眼は最初48時間は覚醒時は1時間おき、その後、上皮再生する迄は2時間おき、その後は1日4回とした。
・全体では3ヶ月後の矯正視力、浸潤や瘢痕の大きさ、角膜穿孔の有無、再上皮化までの時間には有意差がなかったが、開始時の視力が指数弁以下の群では、ステロイド群の方がlogMARで0.17良かった(95%CI=-0.31~-0.02 p=0.03)し、開始時に潰瘍が中心4mmを完全に含んでいた場合には、ステロイド群の方がlogMARで0.20良かった(95%CI=-.37~0.04 p=0.02)。
・ただ、結論的にはステロイド点眼治療の追加は、3ヶ月後の視力に影響していなかった。
Cataract surgery after trabeculectomy.
Husain R et al(Singapore)
Arch Ophthalmol 130(2): 165-70, 2012
・線維柱帯手術後の白内障手術時期が、線維柱帯手術の効果に影響するかどうかを検討。
・235名の線維柱帯切除者のうち、124名(52.7%)がその後、白内障手術を受けたが、27名は白内障手術前に眼圧上昇を来たしたため、非白内障手術群にいれてある。
・経過観察期間の中央値は白内障手術群97例が60ヶ月(28-84)、非白内障手術群138例が48(12-84)ヶ月である。
・両手術の間隔の中央値は21.7ヶ月(4.6-81.9ヶ月)で、6ヶ月以内が2例、6-12ヶ月が19例、12ヶ月以上が76例である。
・白内障手術を受けなかった群に比較して、間隔が6ヶ月、1年、2年のHazard ratioは、それぞれ、3.00(95%CI=1.10-8.14)、1.73(95%CI=1.05-2.85)、1.32(95%CI=1.02-1.69)であった。
Gene therapy for Leber congenital amaurosis caused by RPE65 mutations. Safety and efficacy in 15 children and adults followed up to 3 years.
Jacobson SG et al(PA USA 多施設)
Arch Ophthalmol 130(1): 9-24, 2012
・常染色体劣性の網膜ジストロフィであるLeber先天黒内障のRPE65型において、矯正RPE65遺伝子を注入された遺伝子組み換えを行ったadeno関連ウイルス(rAAV2)を用いて治療した。
・15例(11歳から30歳)のPhaseⅠ研究で、rAAV2-RPE65ベクターを機能の悪い方の眼の網膜下に注入し、正常なDNAを網膜に伝達させた。
・1か月から36カ月経過観察し、安全性や機能を評価した。
・機能は暗順応、ETDRSチャートを用いた視力、視野、瞳孔反応測定、運動能力やOCT検査を行った。
・全身的な毒性はなく、機能改善は程度の差はあるが、治療部位に限定して、全例でみられた。
・瞳孔対光反射は上昇し、錐体桿体感度は有意に上昇した。
Bacterial dispersal associated with speech in the setting of intravitreous injections.
Wen JC et al(CA USA)
Arch Ophthalmol 129(12): 1551-4, 2011
・硝子体内注入を想定して、発話中の細菌散布量を検討した。
・15名のボランティアで、口の46cm下に血液寒天培地を置き、5分間原稿を読んで貰った。
・マスク装着、マスクなし、顔を90゚横に向けてマスクなし、あるいは、静かに5分間過ごす。
・次に、全員、マスクなしで検査用リクライニングチェアに横になり、前額部に培地を置き、5分間原稿を読んでもらった。
・細菌コロニー数は、マスク装着:4個、マスクなし:157個、横向き:27個、無言:5個、前額部:22個、部屋コントロール:4個であった。
・検出菌の内、口内連鎖球菌は66.7~82.6%を占めていた。
・患者が横になって喋っているだけでも、有意に菌が増えることが分かった(p=0.02)。
・処置中に患者にできるだけ話さないよう、指示することも大切である。
Acute retinal necrosis after herpes zoster vaccination.
Charkoudian LD et al(GA USA)
Arch Ophthalmol 129(11): 1495-7, 2011
・急性網膜壊死ARNは水痘帯状疱疹(varicella-zoster virus,VZV)あるいは単純ヘルペスウイルスが原因と考えられているが、多くの場合はVZVが原因となっている。
・水痘ワクチンは小児に使用されるVarivax(低濃度接種を2回行う)のと、再活性化の2次予防として使用されるZostavax(高濃度接種を1回行う)の2種類がある。
・Zostavax接種後にARNを発症した2例を報告する。
・1例は77歳女性で、接種後6日目で左眼が光覚弁に低下した。
・初診後5日目に硝子体手術(シリコンオイル注入)を行った。
・2例目は80歳男性の腎移植を受け、免疫抑制剤、ステロイド内服中の人で、接種後2カ月目に両眼の視力低下(手動弁と20/150)を来たし、両眼の硝子体手術(シリコンオイル注入)を行った。
Anterior chamber depth, iridocorneal angle width, and intraocular pressure changes after phacoemulsification.
Huang G et al(CA USA)
Arch Ophthalmol 129(10): 1283-90, 2011
・超音波乳化吸引術後の前房深度の変化と眼圧下降について検討した。
・前房深度が3/4象限以上でShaffer分類で2度以下のものを狭隅角(NA)と定義した。
・前眼部OCTで前房深度ACDと、強膜峡の前方500μmの前房深度AOD500を術前、術後10日、1,3,6ヶ月後に測定した。
・63眼中26眼は狭隅角NAであった。
・NA者での術前→術6ヶ月後のAOD500とACDは0.179±0.014mm→(0.196±0.023増加)と、2.23mm±0.07→(1.48±0.04増加)であり、開放隅角(OA)眼では、AOD500とACDは0.297±0.019mm→(0.155±0.021増加)と、2.76±0.08mm→(1.20±0.06増加)であった。
・眼圧変化はNA者では術前→6ヶ月後で、15.78±0.70mmHg→(2.75±0.60低下)、OA者では14.68±0.55mmHg→(1.55±0.47低下)であり、両群とも有意に低下していた。
・AOD500の0.1mm増加は、NA者では0.42±0.18mmHg(p<0.001)、OA者では0.32±0.16mmHg(p=0.047)低下させ、NA者で著明であった。
Central corneal thickness in children.
Pediatric Eye Disease Investigator Group
Arch Ophthalmol 129(9): 1132-8, 2011
・807名の白人、474名のアフリカ系米国人、494名のヒスパニックなど、健康な0歳から17歳の小児、計2079名で、手持ち接触型パキメータで中心角膜厚を測定した。
・アフリカ系米国人では、白人やヒスパニックよりも20μm程度、有意に角膜厚が薄かった(p<0.001)。
・中心角膜厚は1歳から11歳までは連続的に増加していたが、毎年の変化はだんだんと少なくなり、11歳で上限に達した。
・白人、ヒスパニックでは573μm(CCT=556.3+1.5*age-0.1(age-7.7)^2)、アフリカ系米人では551μm(CCT=539.9+0.8*age-0.06(age-9.5)^2)であった。
・CCTが100μm増える毎に眼圧は平均1.5mmHg上昇していた(p<0.001)。
・近視が1D増える毎にCCTは平均1μm減少していた(p<0.001)。
Aqueous humor dynamics during the day and night in volunteers with ocular hypertension.
Fan S et al(NE USA)
Arch Ophthalmol 129(9): 1162-6, 2011
・年齢59.2±11.1歳の30人の高眼圧症で日中1回(9am~2pm)と夜間(10pm~2am)1回、検査を行った。
・測定項目は超音波での中心角膜厚、空気眼圧計での眼圧、fluorophotometryでの房水流入量、tonographyでの房水流出率、血圧を行った。
・ぶどう膜強膜流出量はGoldmann式を用いて算出した。
・日中の測定ではvenomanometryでの上強膜静脈圧、A-scanでの前房深度、Fluorophotometryでの房水流出率も測定した。
・座位での日中の眼圧21.3±3.5mmHgと比較すると、夜間座位眼圧17.2±3.7は有意に低く(p<0.001)、夜間臥位眼圧22.7±4.6は有意に高かった(p=0.03)。
・中心角膜厚は日中570±3.9よりも夜間585±46が有意に厚かった(p.001)。
・前房水流入量は日中の2.13±0.71μl/minより、夜間1.11±0.38は48%少なくなっていた(p<0.001)。
・ぶどう膜強膜流出量は夜間では0.61μl/min減少していた(p<0.03)。
Geographic and climatic factors associated with exfoliation syndrome.
Stein JD et al(MI USA)
Arch Ophthalmol 129(8): 1053-60, 2011
・2001~2007年の米国47州のeye care受給者626,901名から、3367名の落屑症侯群PEを抽出し、地域ごとの気象データ(温度、標高、日照時間)との関連を調べた。
・中間緯度の住民と比較して、42゚Nより北の住民では、ESの補正危険率はHR=2.14(95%CI=1.94-2.35)であった。
・緯度37゚N以下の南の住民では、ESの危険率はHR=0.83(95%CI=0.75-0.93)と低かった。
・白人を除いても、この関係は成り立っていた。
・7月の気温が1℃上昇すると、ESの危険率は3%減少(HR=0.97 95%CI=0.96-0.98)。
・年間の快晴日が1日増えると、ESの危険率は1.5%増加(HR=1.02 95%CI=1.01-1.02)した。
・環境温度と日照はES発症の重要な環境要因であろう。
The microperimetry of resolved cotton-wool spots in eyes of patients with hypertension and diabetes mellitus.
Kim JS et al(CA USA)
Arch Ophthalmol 129(7): 879-84, 2011
・網膜の綿花状白斑は高血圧HTNや糖尿病DMで重要な所見である。
・10から119カ月前(中間値51ヶ月)に消褪した綿花状白斑CWSについて、眼球運動に連動させて像を安定させ、CWS部とそのCWS部に近くて障害されていない部位で感度を測定した。
・DMあるいはHTNの16眼(消褪した34個のCWS)と正常者16名の34か所について感度測定を行った。
・消褪したCWSの平均感度はHTNでは11.67±3.88dB、DMでは7.21±5.48dBであり、CWS近傍のコントロール部の平均感度はHTNでは14.00±2.89dB、DMでは11.80±3.45dBであった。
・CWSが吸収された部位の感度はその周辺部の感度より有意に低く(HTNではp=0.01、DMではp<0.001)、DMのほうがHTNよりも暗点が深く、DMでのCWS近傍の感度は年齢を一致させた正常者よりも感度が低いことが分かった。
Risk factors for visual field progression in treated glaucoma.
Moraes CGVD et al(NY USA)
Arch Ophthalmol 129(5): 562-8, 2011
・緑内障治療中の視野進行のファクターについて検討した。
・両眼ともに8回以上のハンフリー視野計での24-2 SITA-Standardで再現性の良い視野欠損をもった連続587例587眼について1999/1~2009/9までを検討した。
・年齢は64.9±13.0歳、経過観察期間は6.4±1.7年、視野測定回数は11.1±3.1回である。
・単変数解析では、視野狭窄の進展と関連していたのは、高齢(OR=1.19/10年 p=0.01)、落屑症侯群(OR=1.79 p=0.01)、角膜厚薄い(OR=1.38/40μm薄い p<0.01)、乳頭出血(OR=2.31 p<0.01)、傍乳頭網脈絡膜萎縮PPA(OR=2.17 p<0.01)、全ての眼圧パラメータ(平均、最高、変動 p<0.01)であった。
・多変量解析では、最高眼圧(OR=1.13 p<0.01)、角膜厚薄い(OR=1.45/40μm薄い p<0.01)、乳頭出血(OR=2.59 p<0.01)、傍乳頭網脈絡膜萎縮(OR=2.38 p<0.01)であった。
Complete blood cell count and retinal vessel diameters.
Klein BEK et al(WI USA)
Arch Ophthalmol 129(4): 490-7, 2011
・1998~1990に行われたBeaver Dam Eye Study cohort(n=4730)のデータを再調査し、血球数と網膜血管径について検討した。
・血圧、喫煙歴、視神経乳頭中心の眼底写真を解析。
・網膜動脈、静脈の血管径は乳頭縁から0.5-1.0DD内のものを計測し、年齢、性で調整して解析。
・赤血球数、白血球数、ヘモグロビン値、ヘマトクリット値は全て中心部の網膜静脈径、動脈径と有意に正の相関があった(赤血球と動脈径のみp<0.004で、他はいずれもp<0.001)。
・血小板数は網膜静脈径のみと正の相関があった(p<0.001)。
Effect of measurement order between right and left eyes on intraocular pressure measuerment.
Pekmezci M et al(CA USA)
Arch Ophthalmol 129(3): 276-81, 2011
・左右眼圧の測定順がゴールドマンアプラネーション眼圧計での眼圧測定に影響があるかどうかを検討した。
・105名の正常者を2群に分けた。
・G1は右眼から開始し、右2回、左2回、右2回測定、G2は左眼から開始し、同様に行った。
・2週間後に左右の順を代えて測定した。
・解析は1)最初の眼と後の眼、2)初回と2回目の測定、3)左右の差、4)眼をギュット閉じたかどうかで検討した。
・最初に測定した眼の方が有意に高かった(最初14.5±2.3、後測定14.2±2.3 p=0.02)。
・初回検査が2回目検査よりも有意に高かった(初回14.7±2.4、次回検査13.9±2.1 p=0.001)。
・眼を中等度以上に強く閉じた場合は有意に眼圧が高かった(軽度14.2±2.3、強め14.9±2.4 p=0.001)。
Myocardial infarction and cerebrovascular accident in patients with retinal vein occlusion.
Werther W et al(CA USA)
Arch Ophthalmol 129(3): 326-31, 2011
・分枝あるいは中心網膜静脈閉塞症(RVO)があったかなかったかで、心筋梗塞(MI)と脳血管障害(CVA)の発生比率をUS population-based health care claims databaseを用いて検討した。
・MIの比率は、RVOの4500名(年齢64.0±13.4)では0.87/100名、コントロールの13500名(年齢64.0±13.3)では0.67/100名であり、MIの調整RRは 1.03(95%CI=0.75-1.42 p=0.85)で有意差なし。
・CVAは、RVOでは1.16/100名、コントロールでは0.52/100名で、CVAの調整RRは 1.72(95%CI=1.27-2.34 p=0.001)であり、RVO患者がCVAを発症する比率はコントロール群の約2倍であることが分かった。
Prevalence of and risk factors for cornea guttata in a population-based study in a southwestern island of Japan. The Kumejima Study.
Higa A et al(琉球大)
Arch Ophthalmol 129(3): 332-6, 2011
・久米島の40歳以上の住民4632名のうち3762名(81.2%)を調査した。
・非接触角膜内皮像で黒点の全面積によって滴状角膜を0から4に分類した。
・検査適格者3060名の内、124名(4.1% 95%CI=3.4%-4.8%)に少なくとも片眼に滴状角膜があった。
・年齢が高いほど(62.8±12.9:59.1±12.9 調整p<0.008)、女性(OR=2.38 95%CI=1.61-3.53 p<0.001)、中心角膜厚薄いほど(0.504±0.038:0.514±0.034 調整p=0.046)、滴状角膜が多かった。
Retinal venular diameter as an early indicator of progression to proliferative diabetic retinopathy with and without high-risk characteristics in African American with type 1 diabetic mellitus.
Roy MS et al(NJ USA)
Arch Ophthalmol 129(1): 8-15, 2011
・TypeⅠの糖尿病をもったAfrican American 468名で、網膜動脈径、網膜静脈径と糖尿病網膜症の6年間の進行具合との関連を検討した。
・ETDRS Airlie House分類を用いて、7枚の眼底写真を撮り、視神経乳頭から半乳頭径から1乳頭径までの中にある全ての網膜動脈、網膜静脈の平均血管径(CRAEとCRVE)を求めた。
・CRAEは168.8±16.0μm、CRVEは254.2±25.2で、眼ごとにこの両者には関連があった(p<0.001)。
・多変量解析では、CRVEが太いと、6年後にPDRに進展することと関連していた。
・これは、DMRのないあるいは中等度の非増殖性DMRがPDRに進行したり、DMRのないあるいは非増殖性DMRがPDRに進行することに有意に関連があった。
・網膜静脈径が大きいことはPDRに進展することの目安になりうる。
Refraction in adults with diabetes.
Klein BEK et al(WI USA)
Arch Ophthalmol 129(1): 56-62, 2011
・Wisconsin Epidemiologic Study of Diabetic Retinopatyで、10,135のDM者のうち、30歳未満でインスリン治療を始めた群(T1D)996名と、30歳以上で診断された群(T2D)1370名を対象として調査した。
・TypeⅠ、TypeⅡが含まれており、10年間、屈折の変化を経過観察。
・両群とも年齢、教育レベルはほぼ同じであった。
・T1Dでは-1.24±2.02Dで、T2Dでは0.69±2.05Dで、T1Dで近視が強かった。
・10年間の屈折度の変化はT1Dでは-0.28±1.08Dで、T2Dでは+0.48±0.89Dの変化があった。
Cryotherapy vs laser photocoagulation in scleral buckle surgery.
Lira RPC et al(Brazil)
Arch Ophthalmol 128(12): 1519-22, 2010
・86名の裂孔原性網膜剥離患者に強膜内陥手術を行った際、術中の冷凍凝固を行った群(43例)と、手術の1ヶ月後にレーザー凝固を行った群(43例)とで、1週間、1,6か月後の復位率、最良矯正視力、再手術率、術後合併症について検討した。
・1W、1,6M後の復位率は冷凍凝固群では93%, 100%, 100%で、光凝固群では 95%, 100%, 100%であった。
・冷凍群の1例、レーザー群の2例が1週間目時点で追加の網膜剥離手術(硝子体手術)が必要であった。
・術後合併症は眼瞼浮腫以外には両群間で差はなかった。
・視力改善スピードは冷凍凝固群で遅かったが、6か月後には差はなくなっていた。
・1ヶ月目のlogMARは冷凍凝固で0.69(小数点0.20)、レーザー群で0.46(0.35)であった(p<0.03)。
・レーザー凝固群は手術が2回になること、費用が余計にかかる事が欠点であるが、視力改善、術後合併症ともに少なく、脈絡膜網膜癒着の目的の為には冷凍凝固に替りうるものである