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JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology)

2010
128巻

網膜静脈閉塞と睡眠時無呼吸

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 128巻 (12号) 2010

Obstructive sleep apnea among patients with retinal vein occlusion.
Glacet-Bernard A et al(France)
Arch Ophthalmol 128(12): 1533-8, 2010
・連続する63名のRVOのうち、閉塞性睡眠時無呼吸OSAの以下の3つのリスクファクターのうち2つを持っている30例につき、心血管障害、いびき、日中の傾眠傾向について検討した。
・30例のうち、23例(77%)はOSAであり、OSAの有病率は37%であった。
・OSA23例の平均無呼吸低呼吸指数(AHI 1時間当たりの無呼吸、低呼吸発症回数)は21であった。
・AHI<15の軽症は13例、AHI 15-30の中等症は5例、AHI>30の重症例は5例であり、AHIはBMI(body mass index)と有意に相関していた(p=0.02)。
・RVOの患者の中に通常の有病率より高いOSA患者が含まれており、OSAはRVO病態の追加のリスクファクターの重要な役割を果たしているか、あるいは、誘因となっているだろう。
・このことは多くのRVO患者が朝起きた時に視力低下を自覚していることを説明できるし、OSAの治療がRVO治療に有効であろうことを示唆している

2010
128巻

高度近視眼網膜剥離における網膜裂孔の特異性

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 128巻 (12号) 2010

Rhegmatogenous retinal detachment due to paravascular linear retinal breaks over patchy chorioretinal atrophy in pathologic myopia.
Chen L et al(China)
Arch Ophthalmol 128(12): 1551-4, 2010
・病的近視の網膜剥離の原因として、後極部の近視性網脈絡膜萎縮上にある血管に沿った線状網膜裂孔が誘因になった10例(2008/1~2009/7)を報告する。
・裂孔は多くの場合下耳側血管で、次に上耳側に多かった。
・裂孔の長さは0.25~1DDであり、乳頭からは1~5DD離れていた。
・裂孔の特徴は脈絡網膜萎縮上に存在し、形状は近くの網膜血管に並行した線状で、進行性網膜剥離を発症していた。
・全例に硝子体手術(ガス注入)を行い、9例は1回の手術で復位した。
・術前にはこの裂孔は見つけられにくく、術中に注意深く後極部の網膜血管周囲を観察する必要がある。

2010
128巻

無水晶体・無虹彩眼におけるシリコンオイル注入方法の検討

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 128巻 (12号) 2010

Silicone oil retention sutures in aphakic eyes with iris loss.
Gentile RC et al(NY USA)
Arch Ophthalmol 128(12): 1596-9, 2010
・無水晶体眼で虹彩が正常な場合には下方の周辺虹彩切除が前房へのSO脱出を予防し、緑内障や角膜障害を予防することができるが、無虹彩眼で無水晶体眼の場合にSOが前房へ脱出することを予防する方法を考案したので報告する。
・10-0プロリン縫合(SO保持縫合)を前房に通し、虹彩隔膜にすると、この縫合がSOと房水のバリアとなって、SOと角膜の接触を予防してくれる。

2010
128巻

Femotosecond Laserは角膜創傷治癒を早めるか?

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 128巻 (11号) 2010

ubbasal nerve density and corneal sensitivity after laser in situ keratomileusis.
Patel SV et al(MN USA)
Arch Ophthalmol 128(11): 1413-9, 2010
・Femtosecond laserと機械的microkeratomeで行ったLASIK後の神経密度と角膜知覚を比較した。
・近視LASICを受ける21例で、1眼はfemtosecond laserで、他眼はmicrokeratomeで行い、1,3,6,12,36ヶ月後に調査した。
・中心部のsubbasal神経密度を共焦点confocal microscopyで、角膜知覚はgas esthesiometer知覚計で測定。
・角膜神経密度、角膜知覚は両方法でいずれの時点でも差がなかった。
・術前、1ヶ月目の角膜神経密度は、Femotosecond laserでは、10883±5083→974±2453、microkeratomeでは12464±6683→1308±2881μm/mm2で、有意に減少していたが両者間に有意差はなし。
・12ヶ月目も減少していたが、36ヶ月目では両方法とも術前と有意差がなくなった。
・Femotosecond laserで神経の治癒機転が早まる訳ではなかった

2010
128巻

網膜神経線維層厚と乳頭面積、年齢との関連

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 128巻 (11号) 2010

Peripapillary retinal nerve fiber layer thickness determined by spectral-domain optical coherence tomography in ophthalmologically normal eyes.
Hirasawa H et al(東大)
Arch Ophthalmol 128(11): 1420-6, 2010
・7つの施設で251名の正常者で、視神経周囲の網膜神経線維層厚(RNFLT)を直径2.2-4.0mmの7つの同心円で測定した。
・RNFLTは同心円が大きくなるほど直線的に薄くなった(125→89μm p<0.001)。
・全同心円でRNFLTは加齢とともに減少(偏相関係数 -0.40~-0.32 p<0.001)。
・乳頭面積とは、内側の小さな2つの同心円では負の相関があり(-0.30~-0.22 p<0.005)、外の3つの同心円では正の相関があった(0.17~0.20 p<0.005)。
・性、眼軸長は相関がなかった。

2010
128巻

老人環と角膜厚、眼圧との関連について

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 128巻 (11号) 2010

Effect of corneal arcus on central corneal thickness, intraocular pressure, and primary open-angle glaucoma. The Singapore Malay Eye Study.
Wu R et al(Singapore)
Arch Ophthalmol 128(11): 1455-61, 2010
・40歳から80歳のシンガポール在住のマレー人3015名で、CCT、IOP、角膜曲率半径と細隙灯での老人環(透明部で辺縁から分離されている)を検討。
・老人環は1747名(57.9%)でみられ、年齢、性、全身状態で補正すると、IOPは高く(15.87:14.86mmHg p<0.001)、CCTは薄かった(540.6:543.4μm p=0.03)。
・多変量直線回帰モデルでは、老人環があるとIOPは平均1.14mmHg高かった。
・高眼圧症で緑内障ではない人の有病率は老人環があると有意に高くなっていた(p=0.02)。

2010
128巻

睡眠時無呼吸症候群患者における眼灌流圧の日内変動に対する治療の効果

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 128巻 (10号) 2010

Frequent loss of nyctohemeral rhythm of intraocular pressure restored by nCPAP treatment in patients with severe apnea.
Pepin JL et al(France)
Arch Ophthalmol 128(10): 1257-63, 2010
・18例の閉塞性睡眠時無呼吸患者に対して、経鼻持続陽圧空気治療(nCPAP:nasal continuous positive airway pressure)前後のTonopenを使用した眼圧と携帯血圧計で24時間血圧を測定し、眼灌流圧の日内リズムを検討した。
・眼圧は治療前は28%の患者で夜間ピーク、22%で昼間ピーク、50%で日内変動は見られなかった。
・眼灌流圧は78%で夜間ピーク、22%で変動がみられなかった。
・nCPAPを使用すると、夜間眼圧は14.8±0.8→18.3±1.2mmHgに有意に上昇した(p<0.03)。
・使用前に異常な日内変動(昼間ピーク、日内変動なし)を示した患者の内、治療後に67%は正常の日内変動に変わっていた。
・重度の睡眠時無呼吸患者では正常な眼圧日内変動がなくなるが、多くの患者ではnCPAP治療後に正常日内変動に修復される。

2010
128巻

色素散布症候群における前房水動態

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 128巻 (9号) 2010

Aqueous humor dynamics in pigment dispersion syndrome.
Toris CB et al(NE USA)
Arch Ophthalmol 128(9): 1115-8, 2010
・色素散布症候群(PDS)の前房水の動きを検討した。
・17眼の眼圧が高いPDS(PDS-OHT)、18眼の正常眼圧PDS(PDS-ONT)、コントロールとして、18眼のPDSのないOHT、18眼のPDSのないONTで検討した。
・空気眼圧計での眼圧測定、venomanometryによる上強膜静脈圧、fluorophotometryによる房水の流れと流出機能、pachymetryによる角膜厚と前房深度、計算による脈絡膜強膜流出量を求めた。
・PDS-OHT群はONT群よりも上強膜静脈圧が高く(p=0.04)、房水流出機能が低かった(p=0.01)。
・PDS-OHT群では他の3群よりも前房容積が大きかった(p<0.05)。
・PDSにおける高眼圧は房水流出機能の低下によるものと考えられた。
・PDSのないOHTでは脈絡膜強膜流出量と房水流出機能の低下によるものであり、この点が異なっていた。

2010
128巻

網膜色素変性症、アッシャー症候群における黄斑浮腫にたいするドルゾラミド点眼の効果

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 128巻 (9号) 2010

Efficacy of sustained topical dorzolamide therapy for cystic macular lesions in patients with retinitis pigmentosa and Usher syndrome.
Genead MA et al(IN USA)
Arch Ophthalmol 128(9): 1146-50, 2010
・網膜色素変性症とUsher症候群の患者で、2% dorzolamide点眼が視力あるいは嚢胞様黄斑浮腫に与える影響について検討した。
・32例(26例のRP、3例のUsher症候群Ⅰ型、3例のUsher症候群Ⅱ型)で、6-58か月dorzolamide点眼治療を行い、その効果を検討した。
・Usher症候群Ⅰ型:幼少時より高度難聴、Usher症候群Ⅱ型:若年時より中度難聴
・32例中20例(63%)で少なくとも1眼に効果があり、13例(41%)で両眼に効果があり、この20例中4例(20%)では、最初に効果がでたが、黄斑浮腫は再発した。
・8/32例(25%)では全く効果がなく、黄斑浮腫は悪化した。
・10/32例(31%)では少なくとも1眼でETDRS 7文字以上の視力改善があり、16例では少なくとも1眼で黄斑厚が11%以上の減少があった。

2010
128巻

白内障と喫煙や経済状況について

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 128巻 (8号) 2010

Smoking, socioeconomic factors, and age-related cataract. The Singapore Malay Eye Study.
Wu R et al(Singapore)
Arch Ophthalmol 128(8): 1029-35, 2010
・40歳から80歳までの3280名のマレー人で検討を行った(参加率は78.7%)。
・白内障程度は Wisconsin Cataract Grading Systemで判定した。
・白内障写真判定を行った2927名(全体の89.2%)のうち、1338名(45.7%)に白内障がみられた。
・年齢、性、Body Mass Index、高血圧、糖尿病などで補正すると、最近の喫煙が核白内障(OR=2.06 95%CI=1.46-2.98)、皮質白内障(OR=1.33 95%CI=1.02-1.74)、後嚢下白内障(OR=1.39 95%CI=1.02-1.91)、その他の白内障(OR=1.48 95%CI=1.10-1.99)の有病率に関連があった。
・Australiaで行われたBlue Mountains Eye Studyではこの関連は見られていない。
・小学校教育のみの低学歴者(OR=1.67 95%CI=1.06-2.64)、Singapore dollersで月収1000$以下(OR=1.43 95%CI=1.09-1.87)が核白内障の罹患率が高く、1-2部屋の小さな公共住宅に済んでいる人(OR=1.70 95%CI=1.28-2.25)では後嚢下白内障罹患率が高かった。
・喫煙率は男性では43.5%、女性では3.2%であり、喫煙による核白内障の人口寄与危険度(population attributable risk)は男性では17.6%であった=男性の核白内障の6人に1人は喫煙によるものであった。
・白人よりもマレー人では喫煙と白内障との関連が強かった。

2010
128巻

アバスチン硝子体内注射時の眼圧下降の効果

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 128巻 (7号) 2010

Intravitreous bevacizumab injection. An experimental study in New Zealand White Rabbits.
Cortez RT et al(Venezuela)
Arch Ophthalmol 128(7): 884-7, 2010
・硝子体内へアバスチンを注入する際の眼圧と注射針の太さが、注入時の逆流にどの程度影響するかを検討した。
・12頭のNew Zealand White Rabbitsの体重が2.5~3.5Kgのものを2群に分け、トリパンブルーで染色したBevacizumabを硝子体内注射した。
・Group2では、注入前に前房穿刺を行い、眼圧を下げておいた。
・それぞれの群で、27,30,32ゲージ針を2頭づつ使用し、注射後に結膜下に濾泡ができた場合はその径を測定した。
・G1の平均眼圧は17.5mmHgで、27,30,32-Gで発生した濾泡は3.0mm, 1.7mm, なし, であった。
・G2の平均眼圧は10.3mmHgで、27,30,32-Gで発生した濾泡は0.7mm, なし, なし, であった。
・処置前に眼圧を下げておくことと、小径の針を使うことで薬剤の逆流を減らすことができた。

2010
128巻

トリアムシノロン硝子体注射後のクリスタリン網膜症

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 128巻 (6号) 2010

Triamcinolone-associated crystalline maculopathy.
Sarraf D et al(CA USA)
Arch Ophthalmol 128(6): 685-90, 2010
・以前に硝子体内Triamcinolone acetonideの注入を受けた人だけに発生するクリスタリン網膜症ついての報告。
・9年間で13例21眼にみられた。
・21眼の内、2例を除き、防腐剤入りのtriamcionloneの硝子体内注入を受けている。
・原因疾患は、18例は糖尿病、2例は偽水晶体性のCME、1例は網膜静脈閉塞である。
・結晶は表層にあり、きらきらした白色から黄緑色で、中心窩から傍中心窩にかけて非対称的にみられるが、この結晶は良性で、機能障害はおこしていない。
・OCTで検索すると、後部硝子体膜上に結晶が見られた。
・2例では硝子体手術で黄斑前膜除去を行い、再発はない。
・この本体はtriamcinoloneの非溶解性成分が凝集したものである。

2010
128巻

網膜色素変性症に対するルテイン内服の効果

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 128巻 (4号) 2010

Clinical trial of lutein in patients with retinitis pigmentosa receiving Vitamin A.
Berson EL et al(MA USA)
Arch Ophthalmol 128(4): 403-11, 2010
・Vitamin Aパルミチン酸塩(15,000 IU毎日)を内服している網膜色素変性症患者に、ルテイン内服が視機能低下のスピードを遅くできるかどうかを検討した。
・18才から60才の煙草を吸わない225名について、double-maskで4年間、ルテイン12mg毎日摂取群と、コントロール錠内服群で検討した。
・測定はハンフリー視野計30-2、60-4プログラムと、30Hz ERG振幅、ETDRSチャート視力で判定した。
・HFA 30-2プログラムでは、Lutein+VitA群と、Ctrl+VitA群とで、視機能下降には有意差がなかったが、HFA 60-4プログラムでは Lutein+VitA群では感度低下量が少なくなっていた(p=0.05)。
・60-4プログラムでの平均感度低下は血清ルテイン量が最も高かった群(pく0.01)、経過中に黄斑色素濃度が最も高くなった群(p=0.006)でゆっくりであった。
・喫煙がなく、VitA内服者では、ルテイン12mg/日内服群では、中間部視野感度低下がゆっくりになった。

2010
128巻

LatanoprostとTimolol合剤の優位性

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 128巻 (2号) 2010

Fixed combination of latanoprost and timolol vs indivisual components for primary open-angle glaucoma or ocular hypertension.
Higginbotham EJ et al(GA USA)
Arch Ophthalmol 128(2): 165-72, 2010
・Latanoprost-timolol合剤(FCLT)とlatanoprostあるいはtimolol単剤の効果と安全性について検討した。
・ベータブロッカーで治療中で、眼圧が26から36mmHgのPOAGあるいはOHTにおいて、4週間のwash-out後にFCLT夕1回(114例)、latanoprost夕1回(113例)、timolol朝1回(111例)にrandomに割り振り、12週間検討した。
・2,6,12週後の8,10,16時に眼圧測定を行った。
・FCLTはlatanoprostよりも9回中7回(2w後と4w後の16時以外)、timololよりも全9回で有意に勝っていた。
・また日中の平均眼圧は6w後と12週後では、FCLTで17.9±3.3と17.8±3.5、Lananoprostで18.9±2.9と19.3±3.4、Timololで20.9±3.7と20.9±3.5で、FCLTで有意に眼圧下降が得られた。
・12wで日中眼圧の30%以上の低下が得られた率はFCLTで73.5%、Latanoprostで57.5%(p=0.007)、Timololで32.8%(p<0.001)とFCLTで有意であった。

2010
128巻

網膜分離症に対するDorzolamide点眼の効果

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 128巻 (2号) 2010

Efficacy of sustained topical dorzolamide therapy for cystic macular lesions in patients with X-linked retinoschisis.
Genead MA et al(IL USA)
Arch Ophthalmol 128(2): 190-7, 2010
・15例29眼のX-linked網膜分離症に対し、2%dorzolamide点眼を4-41カ月継続した。
・11例20眼(69%)で有効であり、そのうちの5眼(25%)は初期に有効であったが黄斑チストは再発。
・4眼(14%)では効果なったが悪化もしなかった。
・5眼(17%)では効果なく、黄斑チストは悪化。
・16眼(55%)で7文字以上視力改善し、17眼(59%)では中心窩網膜厚が減少した

2010
128巻

小児の近視進行に対するbifocal眼鏡、プリズム眼鏡の効果

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 128巻 (1号) 2010

Randomized trial of effect of bifocal and prismatic bifocal spectacles on myopic progression.
Cheng D et al(Australia)
Arch Ophthalmol 128(1): 12-9, 2010
・131人(女73、男62)の近視の中国系カナダ人(年齢10.29±0.15歳)で、この1年で0.5D以上近視が進行した屈折度1.0以上(-3.08±0.10D)の近視の子供を3群に分けて24カ月観察した。
・1)通常の眼鏡(n=41)、2)1.5Dの遠近両用眼鏡(n=48)、3)近見に3プリズム base inを入れた1.5Dの遠近両用眼鏡(n=46)で調査した。
・近視進行と眼軸延長は1)群=-1.55±0.12D、0.62±0.04mm、2群=-0.96±0.09D、0.41±0.04mm、3群=-0.70±0.10D、0.41±0.05mmであった。
・治療効果は遠近眼鏡では0.59D、プリズム入りでは0.85Dで有意(p<0.001)で、眼軸延長効果は遠近眼鏡では、0.21mmで有意(p<0.001)。

2009
127巻

硝子体内薬剤注入後の眼内炎発症リスク

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 127巻 (12号) 2009

Risk of endophthalmitis after intravitreal drug injection when topical antibiotics are not required. The Diabetic Retinopathy Clinical Network Laser-Ranibizumab-Triamcinolone Clinical Trials)
Bhavsar AR et al(Diabetic Retinopathy Clinical Research Network)
Arch Ophthalmol  127(12): 1581  3, 2009
・このTrialの標準手法では、イソジン点眼、滅菌した開瞼器、点眼麻酔薬を使用したが、術前、術日、術後に抗生剤点眼薬を使用しなかった。
・総計3226回のranibizumab注射、612回の防腐剤なしのtriamcinolone注射で検討した。
・全3838回の注射の内、抗生剤点眼は、361例(9.4%)では当日のみ、注射後数日間は813例(21.2%)、注射日と注射直後のみが 1388例(36.2%)、全く使用せずが1276例(33.3%)であった。
・Ranibizumab注射後に培養陽性の眼内炎は3例(0.09%)、triamcinolone注射後は0例であった。
・この眼内炎の3例は全て、術前抗生剤はなかったが、術後数日間抗生剤点眼を受けた例であった。

2009
127巻

CRVOによる黄斑浮腫に対するtriamcinolone治療(1)

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 127巻 (9号) 2009

A randomized trial comparing the efficacy and safety of intravitreal triamcinolone with observation to treat vision loss associated with macular edema secondary to central retinal vein occlusion. The standard care vs corticosteroid for retinal veil occlusion (SCORE) study report 5.
The SCORE Study Research Group
Arch Ophthalmol 127(9): 1101-14, 2009
・CRVOによる黄斑浮腫に対し、防腐剤なしtriamcinoloneの硝子体内注入 1mgと4mgの効果と安全性を検討した。
・多施設、無作為臨床試験で、271例について検討した。
・12カ月後にvisula acuity letter scoreで15以上改善したものを改善とした。
・経過観察群、1mg群、4mg群で改善したものは 6.8%, 26.5%, 25.6%であり、経過観察群より治療群は5倍良かった。
・1mg群(OR=5.0 95%CI=1.8-14.1 P=0.001)、4mg群(OR=5.0 95%CI=1.8-14.4 p=0.001)であり、1mg群と4mg群の間には有意差はなかった。
・眼圧上昇により緑内障点眼薬を開始した症例はそれぞれ、8%, 20%, 35%で、白内障進行症例は 18%, 26%, 33%であったことから、4mgよりも1mgのtriamcinoloneが良いと思われる

2009
127巻

CRVOによる黄斑浮腫に対するtriamcinolone治療(2)

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 127巻 (9号) 2009

A randomized trial comparing the efficacy and safety of intravitreal triamcinolone with standard care to treat vision loss associated with macular edema secondary to branch retinal vein occlusion. The standard care vs corticosteroid for retinal veil occlusion (SCORE) study report 6.
The SCORE Study Research Group
Arch Ophthalmol 127(9): 1115-28, 2009
・BRVOによる視力低下を伴った黄斑浮腫に対し、防腐剤なしtriamcinoloneの硝子体内注入 1mgと4mgの効果と安全性を検討した。
・多施設、無作為臨床試験で、411例について検討した。
・症例は濃い黄斑出血がない場合にはグリッド凝固をおこなった症例、濃い黄斑出血があった場合には、出血が引くまで凝固を待った症例である。
・12カ月後にvisula acuity letter scoreで15以上改善したものを改善とした。
・経過観察群、1mg群、4mg群で改善したものは 28.9%, 25.6%, 27.2%であり、いずれの群間にも有意差はなかった。
・眼圧上昇により緑内障点眼薬を開始した症例はそれぞれ、2%, 8%, 41%で、白内障進行症例は 13%, 25%, 35%であったことから、4mgよりも1mgのtriamcinoloneが良いと思われる

2009
127巻

OCTによるパーキンソン病の早期診断の可能性

JAMA Ophthalmology (旧Archives of Ophthalmology) 127巻 (6号) 2009

Inner retinal layer thinning in Parkinson disease.
Hajee ME et al(NY USA)
Arch Ophthalmol 127(6): 737-41, 2009
・パーキンソン病(PD)24例45眼と、17例31眼の正常者でOCTで網膜厚みを測定した。
・平均年齢は PD:60.0±6.5歳、正常者:63.5±10.7歳、眼圧は PDでは 13.6±2.7mmHg。
・正常者とPDの外網膜層厚については、上方:170.2±23.8 vs 170.4±7.7、下方:168.2±22.9 vs 167.9±7.9でいずれも有意差がなかったが、内網膜層厚は上方:103.5±24.3 vs 88.8±11.3、下方:104.0±23.5 vs 89.8±11.1で、いずれも有意差があった(p=0.01)。
・われわれのPD症例の多数は初期のものであり、OCTでPDの初期診断が可能である。
・IRLが薄くなるものとして、緑内障、MS、アルツハイマー病などがあるが、アルツハイマー病では上方のIRLが薄くなるのが特徴

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