Clear corneal incisions in bimanual microincision cataract surgery: Long-term wound-healing architecture
Gian Maria Cavallini et al (Modena, Italy)
J Cataract Refract Surg 2012; 38: 1743-1748
・前眼部OCTを用いて両手法小切開白内障手術(MICS)透明角膜切開(CCI)の構造的な特徴を長期にわたり評価する。
・33名52眼。平均切開長と角度は、右手で1427.13㎛と31.27度、左手で1440.63㎛と31.54度。耳側では1474.13㎛と31.27度、鼻側では1394.41㎛と31.46度。構造的特徴としては、後方への創口のへこみ(PWR)のみを認めた。この発生率は2~3か月で7.10%、4~11か月で31.8%、12か月で33.3%であった。このうち53%は1.8㎜、47%は1.4㎜の創の長さで発生した。
・PEAの創の特徴は5つ
①創口上皮の大きな裂け目 ②創口内皮の大きな裂け目 ③内皮側での創口のずれ ④デスメ膜剥離 ⑤間質トンネルに沿った狭窄の欠損
これらはすべて術直後よりみられるが、1~3ヶ月後にはみられないと多く報告されている。一方、PWRは術後2~3週で普通にみられる。
・MICSの手技
幅が1.4㎜から1.2㎜に測定されたダイヤモンドナイフを用いて10時と2時の透明角膜に1.4㎜の台形の切開を作製する。前嚢鑷子で直径5.0~6.0㎜のCCCを作り、26ゲージカニューラでハイドロダイセクション後20ゲージ30度スリーブなしプローブで右手創口よりPEAを行なう。IA後右手創口を1.8㎜に拡大しIOLを移植。
・MICSの利点
①創口作製が容易 ②術中前房を深く保てる ③出血が無い ④術後乱視の軽減 ⑤早期の視力改善 ⑥術後眼内炎の低危険度 ⑦角膜の保存 ⑧早い創口治癒 ⑨術中・術後合併症がより少ない
・2.0㎜以下の切開創のCCI・両手MICSでは角膜損傷を最小限にできる。PWRはよりまれで小さく、創口が大きめ(1.8㎜)でも小さめ(1.4㎜)でも無関係であった。これは1.8㎜でも十分に小さいからであると思われた。(YM)