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Journal of Cataract & Refractive Surgery

2012
38巻

PEAでの角膜内皮細胞の損失に対する影響:BSSプラスと乳酸リンゲル液を使用した場合の比較

Journal of Cataract & Refractive Surgery 38巻(9号)2012

Effect on corneal endothelial cell loss during phacoemulsification :Fortified balanced salt solution versus Ringer lactate
Barun K. Nayak et al (Mumbai ,India)
J Cataract Refract Surg 2012 ;38 :1552-1558
・グレードⅢまでの老人性白内障でPEA、PC-IOLを施行した患者で、眼内灌流液にBSSプラスを使用した症例、乳酸リンゲル液を使用した症例各35眼で、術前と術後1週間、1ヶ月、6ヶ月での角膜内皮細胞数を比較。
・両群で、超音波時間、手術時間に差は無かったが、BSS群では平均灌流量が少なかった。術前、術後で角膜内皮細胞密度に両群間に明らかな差は無かった。
・角膜内皮細胞は1年間に約0.6%の割合で自然に失われるが、PEA中の角膜とその他の組織に対しては、灌流液のpH、浸透圧、組成、手術時間、灌流液の容量、眼内での操作、核片の動き、フリーラジカルの産生がダメージにつながる。PEAはECCEや硝子体手術と異なり、強い超音波のエネルギーによるフリーラジカルに影響されやすい。BSSプラスには重炭酸塩緩衝液があり、これが房水の自然な緩衝液で乳酸リンゲルにはこれが欠如している。今回、短時間で合併症の無いPEAでは、乳酸リンゲル液は、その30倍高価なBSSプラスと同様に使用しても問題ないという結果となった。(YM)

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