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Journal of Cataract & Refractive Surgery

2024
50巻

IFISに対する前房内へのフェニレフリン注入

Journal of Cataract & Refractive Surgery 50巻(2号)2024

Intracameral phenylephrine for surgical mydriasis and intraoperative floppy-iris syndrome: systematic adverse effects and optimal dose.
Chua MJ et al(UK)
J Cataract Refract Surg 50(2): 187-194, 2024
・前房内へのフェニレフリン注入は虹彩拡張筋を緊張させて散瞳を促す
・フェニレフリン点眼は鼻涙管あるいは結膜静脈から全身に吸収され、主に心血管系の重篤な全身副作用があるが、前房内注入後の同様の副作用はほとんど報告がない。
・前房内投与のフェニレフリンは虹彩の静脈経由で体内に取り込まれるが、全房水のturnover rateが限られているため、点眼での投与よりも全身への取り込み量は少ないと考えられる。
・また、点眼薬での投与では前房水に入り、虹彩拡張筋に作用するためには、前房内投与よりも投与量が多くなってしまう
・前房内注入として、通常は1%から2.5%が使用されているが、10%を使用する術者もいる。
・最適な濃度を確認するため、MEDLINE、PubMed、EMBASEに2023年3月までに英文で掲載された論文をチェックした。
・329論文が検出され、その中から適切な16論文を確認した。
・副作用の発現は、前房内投与で4.8%、点眼で6%、あるいは、前房内投与で6%、点眼で11.2%という論文もある
・投与後の血漿内濃度測定では、0.31%の前房内投与では2例/15(14.3%)が検出可能であったが、10%点眼を3回投与群では15例/15(100%)で検出可能であった。
・0.008%のOmidria前房内投与の1087例で、1例の心筋梗塞と1例の脱水例があったが、プラセボー群では1例の呼吸停止と1例の心外膜液貯留が見られた。
・IFISの制御には2.5%以上の濃度は少なくとも不要で、1%から1.25%の方が望ましいと考えた。(TY)

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