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Journal of Cataract & Refractive Surgery

2024
50巻

低侵襲緑内障手術における角膜内皮に対する安全性

Journal of Cataract & Refractive Surgery 50巻(4号)2024

Corneal endothelial safety profile in minimally invasive glaucoma surgery
Iqbal Ike K. Ahmed, et al. (Canada)
J Cataract Refract Surg 2024(4); 50:369–377
目的:3種類の低侵襲緑内障手術(MIGS)デバイス(iStent inject,Hydrus Microstent,CyPass Micro-Stent)の5年間の角膜内皮安全性を比較する。
対象と方法:軽度から中等度の開放隅角緑内障を対象に、MIGSインプラント+白内障手術、対象として白内障手術単独手術を行った。術後5年をエンドポイントとして、有意な角膜内皮細胞減少(ECL)を認めた眼の割合(ベースラインに対して30%以上または30%以上)および平均角膜内皮細胞密度(ECD)を評価した。
結果:iStent + phaco群とphaco単独群では、60ヵ月までのすべての時点において、平均ECDは同等であった(それぞれ60ヵ月時点で2099 cells/mm2 vs 2103 cells/mm2、P = 0.95)。経時的に観察された平均ECDの低下は、ベースライン時から3ヵ月、および術後3ヵ月から60ヵ月のいずれにおいても、群間で差はなかった。
Hydrus + phaco群は、24か月後(それぞれ2060 cells/mm2 vs 2183 cells/mm2、P =0.005)および60か月後(それぞれ1967 cells/mm2 vs 2117 cells/mm2、P =0.004)でphaco単独群と比較して平均ECDが低かった。平均 ECD はHydrus + phaco群ではベースラインから 術後3ヵ月間に有意な減少を示したが、その後は安定して両群同様の ECL 率を示した。CyPass + phaco群は、phaco単独群と比較して、60ヵ月時点で平均ECDが低かった(それぞれ1931 cells/mm2 vs 2189 cells/mm2、P = .003)。平均ECDの減少傾向線は、術後初期段階では群間の差がなかったが、術後24か月以降は、CyPass + phaco群でより急な減少傾向が見られた。
iStentとHydrusでは、角膜浮腫や角膜移植のデバイス関連の合併症は報告されていない。CyPassでは、ECLに関連すると思われる局所的な角膜浮腫が3眼、器具の前房突出のためにトリミングを必要とした症例が4眼であった。このうち、ECLに関連した臨床症状(最高矯正視力が2 line以上低下)を示したのは1眼のみだった。
結論: iStentが手術と長期留置の両方で最も高い内皮の安全性を示している。Hydrus は、術後3ヶ月間の ECL が増加したが、これは術中の外科的外傷に起因すると考えられた。その後は内皮の安全性を示した。CyPass の慢性進行性 ECL は、デバイス関連の内皮安全性の懸念を示唆しており、最終的に市場からの撤退につながった。(CH)

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