Pigment dispersion syndrome and pigmentary glaucoma after secondary sulcus transscleral fixation of single-piece foldable posterior chamber intraocular lenses in Chinese aphakic patients
Tong N, Liu F, Zhang T, Wang L, Zhou Z, Gong H, Yuan F.(China)
J Cataract Refract Surg. 2017 May;43(5):639-642.
・2011-2014の間に同一施設でTechnis ZCB00を縫着した21例23眼
・16例17眼でpigment dispersion syndrome(PDS)を発症、6例7眼が色素性緑内障
・9例10眼に逆瞳孔ブロックがみられた
・UBMではIOLと虹彩裏面とが非常に接近
【結論】シングルピース疎水性アクリルIOLは、効率にPDSや色素性緑内障を発症させるので、縫着術には適さない(MK)
Effect of the administration period of perioperative topical levofloxacin on normal conjunctival bacterial flora.
Nejima R et al(宮崎)
J Cataract Refract Surg 43(1): 42-48, 2017
・白内障手術後の抗生剤点眼による正常細菌叢の変化を104例で調査した。
・術前3日間1.5%レボフロキサシン点眼した患者について、術後1週間投薬群、術後1か月投薬群について、術前から術後3か月前結膜嚢培養検査を行い、表皮ブ菌にたいするレボフロキサシンのMICについて検討した。
・レボフロキサシンに対するMICは薬剤使用中は術前に比して上昇していた。
・3か月後のMICは、1か月投与群では1週間投与群の約2倍であった。
・薬剤感受性は、術前・薬剤終了時・3か月後で、1週間投与群では73.6%、63.0%、38.5%、1か月投与群では63.0%、0.0%、19.3%であった。
・薬剤中止後3か月間は、1か月投与群では1週間投与群より薬剤感受性が約20%低下していた。(TY)
In-the-bag nasal intraocular lens optic truncation for treatment of negative dysphotopsia
Neeti Meghnad Alapati, George J. Harocopos, Arsham Sheybani (US-MO)
J Cataract Reflact Surg 2016;42(12):1702-1706
・Negative dysphotopsiaを自覚する患者に対し、capsule内で鼻側のIOL光学部を約0.5mm切断することにより症状改善
IOLエッジに角度がつき、表面が不整になることで散乱光が増すのが有効か(MK)
Toxic anterior segment syndrome caused by autoclave resorvoir wall biofilms and their residual toxins.
Sorenson AL et al(CA USA)
J Cataract Refract Surg 42(11): 1602-1614, 2016
・2014/1~2015/1に行った3,003例の内、10例にTASSが発生した。
・TASSはスピードオートが市販された後の1992年に最初に報告されている。
・2つのStatim 2000オートクレブの水タンク壁からBacillus類、Williamsia類、Mycobacterium、Candidaが培養された。
・ポリタンクの壁面を切り取り、走査電顕検査を行った所、biofilmが見つかった。
・この構造物は0.08mm四方に約460個で、タンク1個当たり90億個の微生物である。
・この水タンクを交換後、TASS発生はなくなった。
・この地区の23個の水タンクを調べたところ、18個から細菌biofilmの汚染が見つかった。
・微生物のbiofilmは耐久性があり、滅菌後も残存しうる熱に耐性のある炎症前抗原を形成する。
・オートクレブのガイドラインに沿った清掃やメンテナンスを行っても水タンク壁には、細菌biofilmが付着していることが多く、TASSの発生に関与しているだろう。
・化学物質や清浄薬品は障害を生む可能性があり、推奨できないので、われわれは以下の方法を推奨している。
1)水タンクを空にする。
2)沸騰した滅菌水で満たす。
3)135度10分で空焚きする。
4)水タンクを空にする。
5)再度、沸騰した滅菌水で満たし、10分間放置。
6)水タンクを空にし、乾燥させて一晩置く。
7)翌日、通常使用。
8)週に1回タンク壁の培養をし、2か月間培養陰性であれば、培養を月1回とする。
・Statim 7000では水タンクは取り外してオートクレブに掛けることができるようになった。(TY)
Objective evaluation of negative dysphotopsia with Goldmann kinetic perimetry.
Makhotkina NY et al(Netherlands)
J Cataract Refract Surg 42(11): 1626-1633, 2016
・Negative dysphotopsiaの検討の為、Goldmann視野計のV4e、I4e刺激を使用して検討した。
・Ctrl群、ND群それぞれ10例で、術前、術1か月後に視野測定を行った。
・ND群はCtrl群に比較して有意に眼軸長が短く(22.7±0.7:24.4±0.9mm p<0.01)、使用したIOL度数が強かった(23.8±2.2:19.5±2.5D p<0.01)。
・視野は耳下側で10度、鼻下側で6度、狭くなっていた(いずれもp<0.05)。(TY)
Objective evaluation of negative dysphotopsia with Goldmann kinetic perimetry
Natalia Y. Makhotkina, Tos T.J.M. Berendschot, Rudy M.M.A. Nuijts (Netherlands)
J Cataract Reflact Surg 2016;42(11):1626-1633
・Negative dysphotopsiaを自覚した10例とコントロール10例、術前および術後1か月でのGPを比較(V/4e、I/4e)
コントロール群は術前・術後で視野変化なし
・Negative dysphotopsia自覚群では術後に下耳側(10度)と上耳側(6度)が術前よりも狭くなっていた
・Negative dysphotopsia群の3例で上耳側・下耳側に影を自覚、視野検査の結果に投影された
【結論】Negative dysphotopsiaを生じなかった症例では白内障術後も周辺視野は変わらなかった。動的視野検査は(周辺視野が狭まるか耳側視野に比較暗点を生ずるので)negative dysphotopsiaの多覚的評価に利用しうる。(MK)
New preventative approach for negative dysphotopsia
Henderson BA et al (USA)
J Cataract Refract Surg 42(10): 1449-1455, 2016
Negative dysphotopsia:白内障手術後早期に耳側に現れる黒い影でほとんどは時間とともに消失するが、20%程は持続することがある。耳下側に入射した光がIOLのエッジで屈折して影ができると考えられている
最もよく報告されているAlconSN60WFを用いてIOL挿入の向きによって症状を抑えることができるか調べた
Acryl:SN60WF 屈折率1.55 Square edge シングルピース
Silicone:LI61AO (ボシュロム) 屈折率 1.43 Round edge スリーピース
二つの手術センターで305例418眼を調査
CenterA(術者1人:アクリルIOL) 1眼目:Hapticsが耳下側になるように挿入 2眼目は6-12時でコントロールとして入れたが、その後耳下側に入れたほうがいいとのことで耳下側に挿入
CenterB(術者2人:一人はアクリル、一人はシリコン):様々な方向に入れたので今回のスタディでは耳下側と上下方向を採用して解析
418眼のうち、
アクリル319眼:42眼 耳下側方向(非無作為)、163眼耳下側(無作為)、114眼上下方向(コントロール)
シリコン99眼:すべてランダム 39眼 耳下側、60眼 上下方向
結果
Negative dysphotopsia出現率
シャープエッジのアクリル:耳下側方向:ランダム化した163眼中10眼(6%)、全症例205眼中11眼(5%)
上下方向:114眼中16眼(14%)
アクリルでは術翌日の症状で2.3倍耳下側方向の方が少なかった
術後1か月で両群に有意差はなくなった
ラウンドエッジのシリコンではNegative dysphotopsiaは生じなかった
シングルピースのシャープエッジアクリルレンズを入れる際はHapticsを耳下側方向に入れると良い(MM)
Treating capsule contraction syndrome with a femtosecond laser
Georg Gerten, Michael Schultz, Uwe Oberheide (Germany)
J Cataract Reflact Surg 2016;42(9):1255-1261
・白内障術後の高度の前嚢収縮に対して、フェムトセカンドレーザーによるCCC拡大は従来の治療(YAGレーザー、硝子体カッターやセッシによる拡大)よりも有利かもしれない(MK)
Suture-guided capsular tension ring insertion to reduce risk for iatrogenic zonular damage.
Page TP(MI USA)
J Cataract Refract Surg 41(8): 1564-1567, 2015
・CTR挿入時にはチン小体を損傷する可能性がある。
・粘弾物質で嚢を満たすことが大切である。
・いろいろな合併症を防ぐための方法として、CTRの先端に10-0ナイロン糸を通し、先端をコントロールすることによって予防することも大切である()(TY)
Dependency of endothelial cell loss on anterior chamber depth within first 4 years after implantation of iris-supported phakic intraocular lenses to treat high myopia
Mehdi Shajari, et al. (Germany)
J Cataract Refract Surg 2016(8); 42:1562-1569
目的:虹彩支持型有水晶体眼内レンズ挿入術後、角膜内皮細胞密度(ECD)に対する前房深度の影響を評価した。
対象と方法:52人95眼、術後1年と4年のECDを測定した。
全例、虹彩支持型有水晶体眼内レンズ挿入術の前にLI施行した。
結果:術前屈折 -11.06± 4.77 diopters 、術後4年 -0.42 ± 0.47 diopters
裸眼視力は72眼が0.8かそれ以上だった。
ECDは術後1年2679 ± 335 cells/ mm2、術後4年2497 ± 329 cells/mm2で、1年後より2.3%減少した。2眼が30%以上損失したが40%以上の損失した例はなかった。
全例角膜の透明性は保っていた。
ACDが3mm以下だと3.4mm以上の症例に比べ、ECDで有意差があった。(表4)
眼圧上昇はなかった。
結論:前房が狭いとECDに悪い影響を及ぼす。ACDが3mm以下の患者は適応から除外した方が良い。
これを守れば、虹彩支持型有水晶体眼内レンズは強度近視の患者にとって安全な選択肢と言える。(CH)
Descemet-stripping automated endothelial keratoplasty in eyes with transscleral-sutured intraocular lenses
Hiroyuki Yazu, et al. (東京歯科大学)
J Cataract Refract Surg 2016(6); 42:846-854
目的:眼内レンズ縫着眼に対する角膜内皮移植術(DSAEK)と通常のDSAEKの治療成績を比較検討した。
対象と方法:縫着グループとしてDSAEK+眼内レンズ縫着同時手術(11眼)又は眼内レンズ縫着後DSAEKを受けた患者(26眼)37眼
標準グループとしてDSAEK+白内障同時手術(65眼)、DSAEK単独(82眼)を受けた患者147眼
縫着の理由 同時手術では後嚢破損4眼、PE2眼、硝子体手術後や複雑な白内障手術後の無水晶対眼に対して5眼
2ステップ手術では網膜剝離硝子体手術後の無水晶対眼5眼、PE 17眼、前房または後房レンズ亜脱臼のため4眼
術前、術後1、3、6、12、24ヶ月経過観察した。
結果:視力 術後24ヶ月 縫着グループ 0.48±0.38 logMAR、標準グループ 0.17±0.25 logMAR
CDVAは術後6、12ヶ月後で縫着グループは標準グループと比べ有意に悪かった。
ECDは有意差なかった。
術後、6、12、24ヶ月で標準グループより縫着グループのほうが乱視が強かった。
合併症:縫着グループでCMEが多く認められた。全てのCMEはジクロフェナック点眼とトリアムシノロンテノン嚢下注射で治癒した。
同時手術ではグラフト脱落が13%と高かった。
縫着した眼内レンズに偏位や傾きは認められなかった。
結論:縫着グループで乱視とCMEの発生率が高かった。
前房内に入れた空気は縫着した眼内レンズには影響しなかった。
縫着の同時手術と2ステップ手術と比べ、視力、ECD、
移植片生着率、合併症の発生率に相違はなかったので、
術者や施設環境により術式を選択するとよい。(CH)
Management of subluxated capsular bag-fixated intraocular lenses using a capsular anchor.
Ton Y et al(Israel)
J Cataract Refract Surg 42(5): 653-658, 2016
・嚢内に入ったまま亜脱臼したIOLの処置のために使用する嚢固定具(AssiAnchor)の使用法を述べる。
・このanchorは前嚢縁を固定する2つの突起と強膜壁に逢着する中心部を持っており、2針で毛様溝に固定するようになっている(図)(TY)
Evaluation of intraocular lens position during phacoemulsification using intraoperative spectral-domain optical coherence tomography.
Lytvynchuk LM et al(Austria)
J Cataract Refract Surg 42(5): 694-702, 2016
・白内障手術終了時のIOLの位置をOCTで計測した。
・手術中に使用した器具はRescan 700 SD-OCT systemである。
・74例101眼、平均眼軸長は23.97(21.43-28.61)mm、IOL度数は平均20.39(6.5-27.5)Dである。
・手術終了時にIOLと後嚢は88例(87.13%)で離れており、残りの13例(12.87%)では部分的あるいは前面で接着していた。
・手術終了時に接着が得られるIOLデザイン改良が必要だろう(図)(TY)
Joao Luis Silva et al (Portugal)
J Cataract Refract Surg 42(4) :520–523, 2016
外傷などで虹彩離断が生じた際の新しい修正方法
9-0非吸収糸(ナイロンまたはポリプロピレン)
40mmの27G針
1時間の間隔をあけて眼内よりループを出しながら27G針を出し入れし、最後に縫合(MM)
Anterior zonulotomy: Rescue technique for capsulorhexis tear-out.
Page TP(MI USA)
J Cataract Refract Surg 41(10): 2036-2039, 2015
・CCCの途中で亀裂が赤道部に向かいかけた時の対処法を述べる。
・まず、粘弾物質を十分に虹彩下にいれ、マイクロ剪刀用のside-portを作る。
・チン氏帯下に剪刀の刃を入れて、切断する。チン氏帯部が見えない時は虹彩リトラクターを使用する。(TY)
Intracameral phenylephrine and ketorolac during cataract surgery to maintain intraoperative mydriasis and reduce postoperative ocular pain: Integrated results from 2pivotal phase 3 studies.
Hovanesian JA et al(WA USA)
J Cataract Refract Surg 41(10): 2060-2068, 2015
・Phenylephrine 1.0%-ketorolac 0.3%(Omidria)を前房注入することが術中散瞳と術後疼痛軽減に役立つかを、USとオランダの20施設で検討した。
・808例(治療が403例、偽薬が405例)で検討した。
・瞳孔径は術中ビデオを1分ごとに解析し、area under the curve(AUC:実際には瞳孔径mm)で表示した。
・AUCは治療群では0.08mm(n=379)で、偽薬群は-0.50mm(n=380)であり(p<0.0001)、疼痛軽減にも有効であった。この合剤はFDAの承認を受けたので、今後、有効に使用できる。(TY)
Measuring the cataractous lens.
Shammas HJ et al(CA USA)
J Cataract Refract Surg 41(9): 1875-1879, 2015
・水晶体厚、前部皮質、核厚、後部皮質について若年者の透明水晶体80眼と高齢者白内障200眼を比較した。
・白内障眼では水晶体厚は4.65±0.41で、若年者群の4.09±0.33mmより有意に厚く(p<0.001)、前部皮質は0.84±0.21:0.35±0.11(p<0.001)で有意差があったが、核厚は3.31±0.25:3.27±0.27(p=0.12)、後部皮質は0.51±0.16:0.48±0.13mm(p=0.23)と有意差はなかった。
・前房深度は3.10±0.37:3.33±0.34で有意差があった(p<0.001)。
・水晶体厚と前部皮質(r=0.69)、核厚(0.69)、後部皮質(r=0.59)と正の相関があった。
・眼軸長と水晶体厚(r=-0.06)、前部皮質(r=-0.08)、核厚(r=-0.10)、後部皮質(r=-0.10)とは弱い負の相関があった。
・前房深度とそれらとはいずれも負の相関があった(r=-0.57, -0.43, -0.42, -0.22)。水晶体厚は年齢(r=0.28)、前部皮質(r=0.32)、後部皮質(r=0.26)と正の相関があったが、核厚は相関がなかった(図)。(TY)
In vitro biofilm distribution on the intraocular lens surface of different biomaterials.
Mazoteras P et al(Spain)
J Cataract Refract Surg 41(9): 1980-1988, 2015
・眼内レンズ表面に付着した細菌について検討した。
・眼内炎症状のないdonor眼球から取り出した6眼のIOLを走査電顕を用いてbiofilm形成を調べた所、6眼中2眼(PMMAとsilicone)でbiofilm形成がみられたが、hydrophilic or hydrophobic acrylic IOLでは見られなかった。
・清潔なHydrophilic acrylic(親水性)、hydrophobic acrylic(疎水性)、PMMA、heparinized PMMA、siliconeの5種類のIOL素材を表皮ブ菌のbiofilm形成株で汚染させたところ、3時間の培養ではhydrophilic acrylicとPMMAでは有意に細菌数は少なかったが、72時間培養ではIOL素材間の差はなくなっていた。(TY)
Association between corneal hysteresis and the magnitude of intraocular pressure decrease after cataract surgery.
Deol M et al(NY USA)
J Cataract Refract Surg 41(6): 1176-7781, 2015
・緑内障のない患者で、角膜ヒステレシス(CH)と白内障(PEA+IOL)術後の眼圧変化を調べた。
・39例65眼で角膜厚(CCT)と術前と術後2-4か月、10-12か月でOcular Response Analyzerを用いてCHを調べた。
・平均年齢は70.8±8.6歳。
・術前眼圧は14.8±3.5mmHg、術後2-4か月後は11.9±3.4、10-12か月後は12.6±3.1であり、術前とはいずれもp<0.01で有意差があった。
・術前のCHは術後2-4か月のIOP下降を予測できなかったが(p=0.06)、術後10-12か月のIOP下降と相関しており(P=0.01)、CHが低いほど術後のIOP下降率が大きいことが分った。
・角膜厚はIOP下降との関連はなかった。(TY)
Antibiotic prophylaxis of postoperative endophthalmitis after cataract surgery: results of the 2014 ASCRS member survey.
Chang DF et al(CA USA)
J Cataract Refract Surg 41(6): 1300-1305, 2015
・2014年のASCRSメンバーのonline調査では、2007年の調査と比較して前房内抗生剤注入が増えていることが分った(30%→50%)。
・国別では米カナダ70%、ヨーロッパ9%、南米等13%、アフリカ8%、アジア等1%である。
・75%の人は前房内注入用の抗生剤が市販されることが重要であると考えていた。
・周術期の抗生剤点眼としてgatifloxacinやmoxifloxacinが最もよく使われていたが、81%→60%に減っており、ofloxacinやciprofloxacinが9%→21%に増加していた。
・術後眼内炎の10,000例当たりの頻度は、1例以下41%、1-2例40%、3-5例12%、6-10例3%、10例以上4%であった。(TY)