Effect of brimonidine tartrate 0.10% ophthalmic solution on pupil diameter.
Shemesh G et al(Israel)
J Cataract Refract Surg 37(3): 486-9, 2011
・比較的選択的α2受容体作動薬(Alphagan P:Allergan)の明所視(5.0cd/m2)、暗所視下(0.0 cd/m2)での瞳孔径に与える影響につき検討。
・α2作動薬=中枢性降圧薬、アイオピジン点眼薬も同類。
・100ルックス程度の室内で必要なテレビの明るさが50cd/m2(nit)程度。
・26名の正常者26例52眼、年齢34.73(19-60)歳で、点眼前、点眼後30分、3時間、6時間で検討。
・明所での瞳孔径は、点眼前4.98±0.83、点眼後4.64±0.82mmで有意差はなかったが、7/52眼では6時間後に1mm以上の有意な瞳孔径の減少があった。
・暗所では、点眼前6.76±1.08、点眼後5.30±0.85と有意に減少(p<0.001)。
・47/52眼で瞳孔径の有意な減少があった。この影響は虹彩色の薄い人で顕著であった。
Alleviating debilitating photophobia and secondary exotropia caused by increased straylight by widening a small posterior capsulotomy.
Lapid-Gortzak R et al(Netherlands)
J Cataract Refract Surg 37(2): 413-4, 2011
・羞明と外斜視を訴える77歳の患者の症例報告。
・C-Quant straylight meter(Oculus)で散乱光量を測定したら正常の5倍になっていた。
・視力は正常であったが、後嚢切開が2mmと小さかったので、YAGで6mmまで拡大したら、症状は消失した。
Acute bilateral angle-closure glaucoma and choroidal effusion associated with acetazolamide administration after cataract surgery.
Mancino R et al(Italy)
J Cataract Refract Surg 37(2): 415-7, 2011
・片眼の眼内レンズ移植手術1時間後にダイアモックス250mg1錠、夕方1錠内服したところ、翌朝、両眼の眼痛、充血があり、眼圧は両眼とも44mmHgに上昇。
・B-scanで両眼の360度のciliochoroidal effusionが見られた。
・マニトール、ダイアモックス、アトロピン点眼、0.5%チモプトール点眼、apraclonidine点眼で治療したが、その翌日の眼圧は両眼とも30で、眼底所見も軽快していなかった。
・ダイアモックスがeffusionの原因と思われたため、これを中止し、メチルプレドニゾロン1gを静注したら、3日目には眼圧、眼底所見ともに軽快した。
・高血圧や鬱血性心不全に対する炭酸脱水素酵素の内服で急性緑内障発作を来たした症例の報告が数例報告されている。
Reduced effect of glare disability on driving performance in patients with blue light-filtering intraocular lenses.
Gray et al(AZ USA)
J Cataract Refract Surg 37(1): 38-44, 2011
・青色光カットAcrySof-IOL(SN60AT)と、カットなしのAcrySof-IOL(SA60AT)を移植された患者で運転時のグレアについて検討した。
・検討群(SN60AT)17例とコントロール群17例とで、運転模擬装置を用いて、衝突を避けうる安全時間を測定し、低い位置の太陽を模したグレア光源下でも測定した。
・グレア光下での安全時間は検討群は2.534±0.488秒、コントロール群は2.116±0.511秒で、有意に検討群で長かった(p<0.05)。
・青色光カットIOLはグレア下の機能障害を減少させ、グレア下での運転の安全性を上昇させることができる
Two cases of toxic anterior segment syndrome from generic trypan blue.
Buzard K et al(NV USA)
J Cataract Refract Surg 36(12): 2195-9, 2010
・水晶体嚢を可視化するために使用した後発品のトリパンブルーに含まれる不純物によるTASSの2例を報告する。
・摘出した角膜片の組織検査では、炎症反応と完全な角膜内皮細胞消失がみられた。
・細胞培養分析から、この後発品のトリパンブルーは先発トリパンブルーの約2倍の角膜内皮に対する毒性があった。
・使用したのは防腐剤の含まれない 0.1% trypan blue 0.1ml(Custom Compounding Centers)で、翌朝、角膜浮腫、前房蓄膿があり、視力不良、痛みを訴え、6ヶ月過ぎに角膜移植を行った。
・このトリパンブルーのガスクロマトグラフィ検査ではtoxinは見いだされなかった。
・トリパンブルーとの12時間の細胞培養で後発品と先発品での内皮細胞消失率をみると、0.0056%溶液では 12%減少と減少なし、0.017%溶液では 38%減少と15%減少、0.05%溶液では 55%減少と30%減少した。
・前房内注入物質は十分注意が必要である。
Anterior segment parameters: comparison of 1-piece and 3-piece acrylic foldable intraocular lenses.
Behrouz MJ et al(Iran)
J Cataract Refract Surg 36(10): 1650-5, 2010
・1-piece IOL(AcrySof SA60AT)と、3-piece IOL(AcrySof MA60AC)で術後屈折度の変化を検討した。
・Scheimpflug imagingを用いて、前房深度(ACD)、隅角角度(ACA)、前房容積(ACV)を術前、術後1週間、3か月後で測定した。
・術後1週間目の前房深度は 3-piece群で有意に深かったが、3か月目には両群間で3つのパラメータに有意差はなくなっていた。
・1-piece群では1週目と3ヶ月目で有意な変化はなかったが、3-piece群ではACD, ACA, ACVのいずれもが3ヶ月目に有意に減少しており、有意な近視変化(0.23±0.63D p=0.01)が起こっていた。
Mydriatic response to different concentrations of intracameral phenylephrine in humans.
Behndig A et al(Sweden)
J Cataract Refract Surg 36(10): 1682-6, 2010
・Phenylephrineの濃度0.15mg/ml~30.0mg/ml(0.015%~3.0%)を前房内へ注入し、散瞳状態を調べた。
・42例の超音波白内障手術開始前にphenylephrine 0.15 0.5 1.5 5.0 15.0 30.0 mg/mlの 0.15mlを前房内へ注入し、60秒間、散瞳状態をビデオに収めてから、白内障手術を開始した。
・前房容積:約0.15ml
・0.15-5.0mg/ml(0.015%-0.50%)の低い濃度では、散瞳状態に差はなく、最終瞳孔径は約4.3mmであったが、15.0mg/ml(1.5%)では、瞳孔径は5.8±0.79mm、30.0mg/ml(3.0%)では6.65±0.57mmであり、濃度依存性であった。
・このことから、高濃度ではphenylephrineはα1受容体以外の受容体に結合し刺激していると考えられた
Outcomes fo cataract surgery and intraocular lens implantation with and without intracameral triamcinolone in pediatric eyes.
Dixit NV et al(India)
J Cataract Refract Surg 36(9): 1494-8, 2010
・小児白内障手術時の前房内への防腐剤freeのtriamcinolone注入が術後前房炎症や視軸の混濁などを抑えうるかどうかを、術後1ヶ月、12ヶ月で検討した。
・検討群41眼の平均年齢は9.15±5.04ヶ月、コントロール群83眼では9.34±5.10ヶ月。
・前嚢、後嚢のCCCを行い、4-8mgのtriamcinoloneを前房内、CCCの辺縁に注入し、前部硝子体を可視化して前部硝子体切除を行い、嚢内へIOLを挿入した。
・注入群では視軸混濁例はなく、コントロール群では平均観察期間10.5±12.7ヶ月で、9眼10.8%で発生(p<0.029)。
・術後に膜切除が必要であったものは注入群ではなく、コントロール群では平均2.50±1.14ヶ月で6例7.2%で必要であったが、有意差は見られなかった(p=0.26)。
・両群間で後癒着(p<0.033)、細胞沈着(p<0.033)で有意差があったが、眼圧には有意差はなかった。
・術中のtriamcinolone注入は有意に術後炎症を抑えることができた
Reproducibility of intraocular lens decentration and tilt measurement using a clinical Purkinje meter.
Nishi Y et al(UK)
J Cataract Refract Surg 36(9): 1529-35, 2010
・眼球に光を当ててもその反射像から眼内レンズの偏位や傾斜を測定するPurkinje meterを試作した。
・Purkinje-Sanson反射像は4種類ある。
・角膜前面正立虚像第ⅠPS像、角膜後面正立虚像第ⅡPS像、水晶体前面正立虚像第ⅢPS像、水晶体後面倒立実像第ⅣPS像。
・測定は簡単で早く、再現性も高い。
Management of late spontaneous in-the-bag intraocular lens dislocation: retrospective analysis of 45 cases.
Lorente R et al(Spain)
J Cataract Refract Surg 36(8): 1270-82, 2010
・2005-2009年に嚢ごと脱臼したIOL 45眼について検討した。外傷の既往のある症例は除外してある。
・45眼中30眼(67%)では偽落屑症候群であった。
・8眼でCTRが挿入してあり、CTRは脱臼を予防できていなかった。
Neodymium:YAG laser rates after bilateral implantation of hydrophobic or hydrophilic multifocal intraocular lenses: Twenty-four month retrospective comparative study.
Gauthier L et al(France)
J Cataract Refract Surg 36(7): 1195-1200, 2010
・2004年5月から2009年6月にかけて同一施設で同一術者が、両眼に疎水性のAcrySof ReSTOR多焦点IOLを挿入した80例と、親水性アクリルであるAcri.LISA多焦点IOLを挿入した76例で、YAG後嚢切開率を調査した。
・ReSTOR群では有意に男性が多く(51.3%:30.7% p<0.01)、有意に若かった(60.3:65.8歳 p<0.01)が、YAG施行率は、術後18か月後にReSTOR群では4.4%、Acri.LISA群では14.6%であり、24ヶ月目には8.8%と37.2%(p<0.0001)であった。
・Acri.LISA群では4.50-5.28倍YAG施行率が高く(p<0.0001)、年齢補正した後もリスクは4.64(2.32-9.29)と高かった(p<0.0001)。
・年齢が63.5歳以下のAcri.LISA群では殊にYAG施行率が高かった。
Pharmacologic prophylaxis and risk factors for intraoperative floppy-iris syndrome in phacoemulsification performed by resident physicians.
Chen AA et al(WA USA)
J Cataract Refract Surg 36(6): 896-905, 2010
・レジデントが行った白内障手術で、予防的に前房内へ lidocaine-epinephrineを注入し、IFISの発症率を検討した。
・1163例中、59例(81眼)が手術時にタムスロシンを内服していた。
・そのうちでIFIS発症頻度は全部で29.6%であった。
・エピネフリン注入例ではIFIS発症率は38.5%、瞳孔径が6.5mm以下の例では44.8%、6.5mm以上の場合には21.7%であり、術前の瞳孔径は発症率に関連があった。
・エピネフリンの注入はIFIS発症を抑えられなかった。
Thermal study of logitudinal and torsional ultrasound phacoemulsification. Tracking the temperature of the cornea surface, incision, and handpiece.
Jun B et al(CA USA)
J Cataract Refract Surg 36(5): 832-7, 2010
・人の摘出眼を用いて、超音波乳化方法(longitudinal & torsional US)、切開創(通常の2.75mと小切開2.20mm)で、各部の温度上昇を測定した。
・設定は吸引圧300mmHg、吸引流量12cc/min、ボトル高100cmで、吸引ラインを7秒間止めることにより閉塞状態を作った。
・最高温度(ハンドピース、切開創、角膜表面)は、longitudinalでは、通常切開:43.7-45.9-39.5、小切開:44.7-47.7-41.9、torsionalでは、通常切開:27.4-33.2-25.5、小切開:30.2-37.2-29.8℃であり、torsionalが優れていた
Trypan blue staining for capsulorhexis: Ultrastructural effect on lens epithelial cells and capsules.
Portes ALF et al(Brazil)
J Cataract Refract Surg 36(4): 582-7, 2010
・前嚢切開時の0.1% trypan blue染色の水晶体上皮細胞(LECs)と嚢に対する効果を検討した。
・Trypan blue染色をする群としない群に分け、LECsを持った嚢のサンプルを通常の光学顕微鏡、免疫化学用、アポトーシスを調べるもの、透過電顕用に15例づつ採取した。
・染色群ではautophagyとapotosisによる細胞死が観察されたが、非染色群では観察されなかった。
・透過電顕では嚢下の上皮細胞にミトコンドリアの破壊があり、細胞質と核の濃度が高く、核の形状が変化していた。
・この結果は、Tripan blueはLECの死を来たし、白内障術後の後発白内障発生を抑えるという仮説を後押しするものである
Optical aberrations in professional baseball players.
Kirschen DG et al(CA USA)
J Cataract Refract Surg 36(3): 396- 401, 2010
・プロ野球選手162名316眼(Los Angels DodgersとBoston Red Sox)の光学的高次収差を4.0mmの自然瞳孔で、Z-Wave aberrometerとLADARWave aberrometerで測定し、年齢をマッチさせたコントロール眼と比較した。
・プロ野球選手ではtrefoil C(3,-3)で有意に収差が少なかった。
Real-time intraocular pressure measurement in standard and microcoaxial phacoemulsification.
Kreutzer TC et al(Germany)
J Cataract Refract Surg 36(1): 53-7, 2010
・超音波乳化吸引+眼内レンズ移植+硝子体手術を行った10名で、白内障手術中の眼圧を硝子体内に挿入した25G針を通して圧測定器で測定した。
・白内障手術は 2.5mm切開の角膜切開群(1.26mmMega-Tip:Group 1)と、0.80mm径のCMP-Tipでのmicrocoaxial PEA(Group 2)で行った。
・各群5名づつ。術前眼圧はG1=15.9±9.5、G2=17.0±13.5で有意差なし。
・PEA中はG1=40.1±12.7、G2=36.5±17.2(p<0.001)、I/A中はG1=17.6±14.2、G2=22.6±8.6(p0<0.001)、IOL移植中はG1=13.3±13.2、G2=16.3±13.1(p=0.005)、手術終了時はG1=22.9±7.0、G2=21.5±10.0(P=0.329)であった。
・眼圧が80mmHgを超えた時間はG1=1.6秒、G2=1.8秒、60mmHgを超えた時間はG1=75.8秒、G2=64.6秒、40mmHgを超えた時間はG1=152.2秒、G2=166.4秒で、いずれも有意差はなかった
Multifocal iris sphincter ruptures; New sign of the lens-iris diaphragm retropulsion syndrome.
Osher RH et al(OH USA)
J Cataract Refract Surg 36(1): 170-2, 2010
・78歳高度近視眼で、術中、前房が非常に深く、過大散瞳をきたした lens-iris diaphragm retropulsion syndrome(LIDRS)で、術後、両眼とも多発性の瞳孔括約筋の亀裂が見つかった症例を供覧
Intraocular pressure reduction after phacoemulsification with intraocular lens implantation in glaucomatous and nonglaucomatous eyes. Evaluation of a casual relationship between the natural lens and open-angle glaucoma.
Poley BJ et al(SC USA)
J Cataract Refract Surg 35(11): 1946 55, 2009
・超音波乳化吸引、眼内レンズ移植を受けた124眼を術前眼圧によって5群に分けた。
・術前、術後1年目、最終検査(4.5±2.4年:1-10年)の3回。
・最終眼圧下降量は、術前眼圧が29から23の群:8.4±4.3(34%低下)、22から20群:4.6±2.5(22%)、19から18群:3.3±2.6(18%)、17から15群:1.1±2.3(7%)、14から5群:+1.9±3.6(16%)、全体では2.4±4.3(15%)であった。
・眼圧下降量は術前眼圧に相関していた。
・1年後の眼圧下降はどの年齢層でも10年間持続していた。
・加齢による水晶体が眼圧上昇の主原因で、白内障手術は眼圧上昇を抑制しうる
Keratoconus: classification scheme based on videokeratography and clinical signs.
Li X et al(CA USA)
J Cataract Refract Surg 35(9): 1597-603, 2009
・臨床所見とvideokeratographyで、初期円錐角膜86例、円錐角膜疑い277例、正常2138例に分類し、1年から8年間経過観察し、videokeratographyの指標の変化と進行率を検討した。
・指標は中心角膜曲率半径(K)、下方K-上方K(I-S)、keratocounus percentage index(KISA)とした。
・正常、KC疑い、初期KCでは、baseline値に有意差があった。
・K値は 44.17D, 45.13D, 45.97Dで、I-S値は 0.57, 1.20, 4.44Dで、log(KISA)値は 2.49, 2.94, 5.71であった(すべてp<0.001)。
・4.1年後(中間値)には、KC疑い例は28%が初期KCあるいはKCになり、初期KC例は75%がKCに進行した。正常者も2.8%がKC疑い or 初期KC or KCに進展していた。
・この3つの指標を用いれば、正常群の86.9%、初期KC群の75.3%、KC疑い群の44.6%(全体では68.9%)が分類可能であり、subclinical KCの検出に有用である
Optical coherence tomography of the effects of stromal hydration on clear corneal incision architecture.
Calladine D et al(UK)
J Cat Refract Surg 35(8): 1367-71, 2009
・30例の角膜切開白内障手術後1時間以内にAS-OCTで角膜切開創を調べた。
・2.75mmの切開創を作り、半数はhydrationし、残りはしなかった。
・眼圧を90分以内に測定した。
・切開創はhydrationした方は1.69±0.27mm(範囲1.31~2.32mm)で有意に厚かった(コントロール:1.51±0.23:範囲1.30~1.95, p<0.05)。
・眼圧はhydro群は20.9±8.18mmHgで、非hydro群は15.8±8.20であった(p<0.1)