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Ophthalmology

2012
119巻

前眼部の小児単純ヘルペス

Ophthalmology 119巻(11号)2012

Pediatric herpes simplex of the anterior segment
Shaohui Liu et al (Boston, Massachusetts)
Ophthalmology 2012; 119: 2003-2008
・16才以下53名57眼の単純ヘルペス角膜炎(HSK)、単純ヘルペス眼瞼結膜炎(HBC)、又はその両者。発症の平均年齢は5才。平均3.6年経過観察。18眼はHBCのみでそのうち4名は両眼であった。角膜炎症例39眼のうち74%には基礎疾患があった。HSKの30%は誤診されていた。角膜炎の79%には角膜瘢痕があり、26%は視力0.5以下となった。80%は再発した。
・誤った病名は非典型的ウイルス性結膜炎、EKC、フリクテン性角結膜炎、ブ菌性眼瞼角結膜炎、これは周辺角膜炎と角膜血管新生、眼瞼炎を伴うが、両側性である。繰り返す片眼の角結膜炎で角膜血管新生を伴い、角膜知覚が低下する時はHSVを強く疑うべきである。
・大人のHSV感染の特徴は樹枝状角膜炎であるが、小児期では強い眼瞼結膜炎と角膜実質炎が一般的である。乱視も強く残存し、今回2D以上の乱視が1/4以上に残り、弱視にも注意すべきである。
・合併症としては、発熱、肺炎、上気道感染、耳の感染症、心理的ストレス、全身的な免疫力の低下、免疫抑制剤の使用、I型糖尿病、小児リウマチ性血管炎など。HSVによる角膜障害が両側に発症する場合は喘息等の基礎疾患がありうる。これはTh-1細胞機能が低下しているためである。アトピー患者では抗原が、まずTh-2に反応し、この反応がサイトカイン(特にインターロイキン4)をひきおこすためTh-1反応を介する眼HSVに対する有効な免疫反応が起こりにくくなるからと思われる。
・小児期のHSKは誤診、基礎疾患を有すること、再発、視力低下の確率が高い。経口アシクロビルは有効だが、用量は小児の成長に合わせて変更していかなければならない。(YM)

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