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Ophthalmology

2012
119巻

成人における斜視手術の結果を基準をもとに評価する

Ophthalmology 119巻(9号)2012

Comparing Outcome Criteria Perfomance in Adult Strabismus Surgery
Sarah R. Hatt et al (Minnesota, USA)
Ophthalmology 2012; 119: 1930-1936
・成人の斜視手術の第1の目的は、複視を減らしてHRQOL(健康に関する生活の質)を向上することである。その他の目的としては、両眼視の改善、両眼視野の拡大、頭位の改善、見かけ上の問題など。しかしこれまで評価の基準が無かった。
・171例の斜視手術を受けた成人159人(平均50才)に、術前と術後6週で「成人斜視20のQOL質問表」に返答。術前斜視の分類は、複視あり(117)、複視なし(38)、非典型的複視(病歴上複視があるがfusion能力がない、抑制の無い小児期斜視など)(16)。成功度の判定のため、術後の動き、複視、HRQOLの基準を定義し、これら単独と組み合わせで評価した。条件として①動きの基準は、カバーテストで10プリズム以下となること ②複視の基準は、無いか又はprimary distanceと読書時にごくたまに自覚する ③HRQOL基準は95点以上(全くない100、まれ75、ときどき50、しばしば25、いつも0点)。
              成功率は「動き」単独で成功(90%)、一部成功(8%)、失敗(2%)
                〃  「複視」単独で 〃 (74%)、  〃  (13%)、 〃 (14%)
                〃 「HRQOL」単独で 〃 (60%)、  〃  (26%)、 〃 (15%)
基準の組み合わせで最も高かったのは、動きと複視(67%)、低かったのは動き、複視、QOLの組み合わせで(50%)
・成人の斜視手術の結果を評価すると、動き単独での成功率が最も高かったが、動きだけでは術後の評価として不十分である。複視も加えて評価することが臨床的に標準的である。HRQOLを加えると成功率が下がるのは、6週経過しても患者自身に不快や赤みが残ることによるが、斜視の患者自身にうつやネガティブ思考もあると思われた。(YM)

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