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Ophthalmology

2012
119巻

網膜上膜の動きを定量化する

Ophthalmology 119巻(9号)2012

Quantification of Retinal Tangential Movement in Epiretinal Membranes
Mads Kofod et al (Copenhagen, Denmark)
Ophthalmology 2012; 119: 1886-1891
・ERMのある眼で網膜血管の動きを定量化する技術を述べる。また、網膜血管の動きを、矯正視力、中心黄斑部の厚さ(CMT)、患者の主観的な特徴と関連づける。
・113名206眼、ERMのある142眼と異常の無い他眼64眼。全員ハイデルベルグOCTを2回以上施行。黄斑部を9分割し、網膜血管の動きを計算した。9つのベクトルの長さを計算して、網膜の動き(RTM)とした。
・ERM眼ではRTMが正常眼より明らかに大きかった(P<0.001)。ERMの中でも症状の悪化する患者は不変の患者よりも明らかに大きかった。RTMが増加すれば視力は低下し(P=0.024)、CMTは増加した(P<0.001)。
・今回の研究で明らかなのは、ERMは静止せず動きがあること。たとえ視力とCMTが変わらなくても、網膜血管が動くといずれ視力は悪化し、CMTは増加し、自覚症状が悪化する。仮説として、これらの患者には網膜に継続して動きがあり、中心錐体がわずかに移動する。これが定着しづらく、ゆがみをひき起こすのであろう。(YM)

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