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Ophthalmology

2013
120巻

網膜血管径と緑内障発症率

Ophthalmology 120巻(1号)2013

Retinal vessel caliber is associated with the 10-year incidence of glaucoma. The Blue Mountains Eye Study.
Kawasaki R et al(Australia)
Ophthalmology 120(1): 84-90, 2013
・網膜血管径と10年間でのPOAGの発症率との関連を調べた。
・The Blue Mountains Eye Studyの対象とした開始時の2461名、5年あるいは10年後にも対象となった2461名のうち、開始時にPOAGであった44名を除いた2417名を対象として調査した。
・視神経乳頭から0.5~1.0DDを貫通している直径25μm以上の血管の径を全て測定し、太い方から6本の動脈と静脈の径を合計したものをCentral retinal artery/vein equivalent(CRAE/CRVE μm)と定義した。
・緑内障の発症は、典型的な視野欠損があり、視神経乳頭変化、リム菲薄化とCD比が0.7を超える、あるいはCD比の両眼差が0.3以上となったものと定義した。
・10年間で82名104眼がPOAGを発症した。
・年齢、性、緑内障家族歴、喫煙、糖尿病、高血圧、高脂血漿、BMI、屈折度、CD比で補正した後に、CRAEが細いことがPOAG発症のリスクであり(OR=1.77 95%CI=1.12-2.79)、眼圧で補正するとOR=1.87 95%CI=1.14-3.05、眼浸透圧OPPで補正するとOR=1.76 95%CI=1.11-2.78であったが、CRVEとPOAG発症の間には補正後には関連がなかった。
・CRAEを4分位でみると、最小Q1(93.4-150.9μm)ではOR=4.02(95%CI=1.17-13.9 p=0.028)、Q2(151.0-160.5)ではOR=3.13(0.93-10.5 p=0.065)であったが、Q3(160.6-170.6)ではOR=0.93(0.26-3.35 p=0.916)と関連がなくなっていた。
・POAG発症した人としなかった人の開始時の比較では、眼圧は18.0±3.3:15.9±2.6(p<0.001)、垂直CD比は0.52±0.12:0.40±0.13(p<0.001)、CRAEは156.1±15.1:160.6±14.9(p=0.003)、CRVEは233.4±22.6:240.3±22.4(p=0.003)、年齢は68.2±8.2:64.1±8.5(p<0.001)、収縮期血圧は152.2±21.8:144.7±20.3(p=0.001)、拡張期血圧は85.8±9.3:83.4±9.8(p=0.030)であった。
・網膜動脈の狭細化は長期でみるとPOAG発症リスクとなることが分かった。(TY)

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