Comparative Effectiveness of Antibiotic Prophylaxis in Cataract Surgery
Herinton L, et al. (US-CA)
Ophthalmology 123(2):10 287-294, 2016
【目的】白内障手術において、抗生剤の前房内投与および点眼投与の有効性を評価
【対象と方法】2005-2012年にCalifornia州 Keiser Permaneteで白内障手術が行われた204,515例315,246眼。電子カルテよりretrospectiveに調査、患者背景や手術時期、抗生剤の種類および投与経路、術中合併症(後嚢破損の有無)と術後眼内炎のリスクとをロジスティック回帰モデルで解析。
【結果】眼内炎症例は215眼(0.07%)。後嚢破損は眼内炎リスクを3.68倍(95%CI, 1.89-7.20)増加させた。
・抗生剤の前房内投与は点眼単独投与に比べ有意に効果がみられた(OR,0.58; 95%CI, 0.38-0.91)【Tab.2の1.】。
・前房内投与にgatifloxacinまたはofloxacinを追加した群は、前房内単独投与群に比べて追加効果はみられなかった(OR,1.63; 95%CI, 0.48-5.47)。Gatifloxacin点眼と比べると、aminoglycocide系の点眼は有意に劣っていた(OR,1.97; 95%CI, 1.17-3.31)。
*後嚢破損した症例では点眼と前房内投与とに有意なリスク差はみられず
【結論】抗生剤の予防投与を行っていても、後嚢破損は眼内炎の強いリスク因子として残った。抗生剤の前房内投与は点眼投与のみに比べ、有意に白内障術後眼内炎の予防効果があった。抗菌薬の点眼が、抗菌薬前房内投与の効果を有意に増すという結果は示されなかった。
*サブグループ解析ではcefroximeはOR 0.53で有意差あり、moxifloxacinはOR 0.68で有意差でず【Tab.2の2】、ただし両者の差に関する説得力のあるエビデンスにはならず。(MK)