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Ophthalmology

2015
122巻

HORV

Ophthalmology 122巻(7号)2015

Postoperative Hemorrhagic Occlusive Retinal Vasculitis
Expanding the Clinical Spectrum and Possible Association with Vancomycin
Andre J. Witkin et al (MA)
Ophthalmology 122(7):1438-1451, 2015
感染予防あるいは感染性眼内炎に対する抗菌薬としてバンコマイシンを使用した白内障手術症例で極めて予後が悪い出血性閉塞性の血管炎を生じた報告
Nicholsonらが2014年に最初に2例4眼報告
その後全米の異なる施設で白内障手術後に生じたHORV 4例7眼を合わせて検討
6例11眼すべてに共通することは予防的バンコマイシン1.0mg/0.1mlを使用していた
合併症のない白内障手術後、術直後は良好な視力だが、術後1-14日後に痛みのない急激な視力低下(中心・周辺あるいは両方)
前眼部や硝子体の炎症はわずかで網膜出血が強い
動脈よりも静脈に血管閉塞・出血・血管炎を生じる
OCT:黄斑浮腫・網膜内層の虚血を示す網膜内層の高反射
薬剤のパッチテストは陰性
感染性眼内炎やTASSとは明らかに異なる所見・術後早期に血管新生緑内障を生じる
バンコマイシンに対するⅢ型アレルギー反応と考えられ、白血球破壊性血管炎やHenoch-Schonlein purpuraに病態的に類似し抗原抗体複合体が血管壁に沈着することで生じる この反応は感作を必ずしも必要としない
バンコマイシンそのものが原因なのかまだはっきりしないが、可能性が高い
<治療>
全例で初期からステロイドの全身投与、抗VEGF薬、PRP
感染性眼内炎を疑いバンコマイシンの追加投与を受けた4例は全例で悪化(自然経過か悪化させたか不明)
<この論文での提言>
ルーチンで予防的にバンコマイシンを使用しない 耐性菌を作らないためにもCDCも推奨
片眼で使用した場合、もう片眼の手術は2-3週間後に行うことを考える
2眼目の手術前に1眼目に問題ないか、散瞳して眼底検査を行う(MM)

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