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Ophthalmology

2018
125巻

トーリック眼内レンズの軸ずれ修正手術の発生率と結果

Ophthalmology 125巻(1号)2018

Incidence and Outcomes of Repositioning Surgery to Correct Misalignment of Toric Intraocular Lenses
Tetsuro Oshika,et al. (筑波大学)
Ophthalmology 2018(1);125:31-35 .
・目的:トーリックIOLの大きな軸ずれ(misalignment)を修正する手術の発生率と適切なタイミングを評価する。
・対象と方法:2013年5月から2016年4月までの間、8施設でトーリックIOL挿入をされた6431眼。
・マーキングの方法は術者間で多少異なっていたが、患者を座位にして、手動で水平2点または水平・垂直3点でマーキングした。
・結果:トーリックIOLを挿入した6431眼のうち、42眼(0.653%)が軸ずれ修正手術を受けた。
・平均misalignment 32.9°±15.7°、時計回り11眼(misalignment = 30.7±19.3°、範囲10°から69°)、
反時計回り31眼33.6°±14.5°(misalignment =33.6°±14.5°、範囲13°から74°)、屈折乱視度は2.4±1.1D(範囲 0.5から6.5)
・再手術は白内障手術後平均9.9±7.5日(範囲、0〜30日)で行った。
・平均misalignmentは、32.9°±15.7°から8.8°±9.7まで減少した(P <0.001)。
・屈折乱視度は2.4±1.1D から1.1±0.8Dに有意に減少した(P <0.001)。
・白内障手術から軸ずれ修正手術までの期間と、最終的な軸ずれ角度との間には、有意な相関がみられた(p<0.001)。
・軸ずれ修正手術が白内障手術から6日以内に行われた場合は最終軸ずれ角度が13.1±13.5°と大きかったのに対し、7日以降に行われた場合は6.3±5.9°と差がみられた(p<0.001)。白内障手術から24時間以内に修正手術が行われた2眼では、眼内レンズは再度回転し、2度目の修正手術が必要となった。
・結論:トーリック眼内レンズの軸ずれ修正手術は0.653%の症例で必要であった。軸ずれ修正手術は、白内障手術直後に行うのではなく、1週間以上経ってから行うほうが術後結果は良好である。術後3週間またはそれ以降に、いくつかの修正手術を行ったが、IOLを回転させるのが困難であり、Zinn小帯を損傷する可能性があることに気づいた。
・修正手術を考慮するなら、初回手術から1〜3週間以内に行われるべきである。(CH)

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