Retinal vasculitis and intraocular inflammation after intravitreal injection of brolucizumab
Caroline R. Baumal et al (USA)
Ophthalmology 2020 [Article in press]
・アメリカ10施設からの12名15眼のブロルシズマブ(ベオビュ)6mg/0.05ml硝子体投与後2-8Wでの網膜血管炎を報告
・PhaseⅢトライアルであるHAWK,HARRIERスタディでbrolucizumabはafliverceptに対して視力非劣勢との結果が出たが、32/730(4.4%)で炎症が生じたとの報告あり。32眼中6眼は網膜血管閉塞を生じた。EDTRS15文字以上の低下を生じたのは4/730眼だが、他の抗VEGF薬では報告がない合併症である。
・12名中11名がCaucasian,1名はAfrican American すべて女性、平均年齢77.6歳、9名は残存する網膜内/網膜下液のため、3名はより長い持続性を期待してスイッチした
・過去の抗VEGF薬 投与回数は2-80回(平均27.5回)
・初期症状:Floaters(n=8)、視力低下(n=7)、暗点(n=3)、不快感(n=2)
・10眼では初回投与後35.5日(14-56)で、5眼では複数回投与後20日(7-26)で診断された。
・投与前平均視力(20/53:20/30-20/800)、診断時視力 (20/191:20/25-20/1600)、
・平均25日後の最終視力(20/136) 20/200以下になったものは5眼33%であった。
・全症例で硝子体中のCellや混濁を認め、11眼(73.3%)で前房内炎症を認めた。視力と炎症の程度には相関無し
・Fine KP結膜充血、Descemet’s Foldの報告あり、Hypopyonは認めなかった
・Case1-6は非常に重篤で視神経周囲もしくはFovea近くの動脈の広範囲に動脈閉塞がみられ、視力は20/200かそれ以下であり、最終的にわずかな回復しか認めなかった。
・Case7-11は視力は20/25-20/80で、FAで全体的な動脈充填遅延や中心窩遠位の動脈閉塞がみられ、ステロイドの内服および硝子体注射で改善した。
・Case12は最もマイルドな炎症でFAではリークのない、両眼の静脈周囲のsheathingであり、ステロイド内服と硝子体注射で改善した。
・炎症の機序としては以前報告のあったHORVの様な補体が関与する自己免疫性のもの、製剤中の不純物、過去の抗VEGF薬の投与が血流を妨げている、患者自身のHLAなどのファクター等の可能性が検討されている。(MM)