Five-Year Follow-up of First 11 Patients Undergoing Injection of Cultured Corneal Endothelial Cells for Corneal Endothelial Failure
Kohsaku Numa et al, (京都府立医科大学)
Ophthalmology 2021(4);128:504-514
・ドナー由来の角膜内皮細胞を生体外で培養後、注入液に懸濁させた機能的な培養ヒト角膜内皮細胞(hCEC)を水疱性角膜症患者の前房内に注入する新規再生医療技術を開発した。
・角膜内皮不全状態に対する培養ヒト角膜内皮細胞を使用した新規細胞注射療法の安全性と有効性の報告。
・2013年12月から2014年12月の間にhCEC注射療法を受けた角膜内皮不全の11人11眼。
・すべて偽水晶体で、手術前は全体的な角膜浮腫を示した。以前に緑内障ドレナージ手術を受けた症例はなかった。
・すべての患者は角膜中央部の直径8 mmの内皮細胞とデスメ膜を取り除いた後、シリコンカニューレ針を使用して注射器に吸引された300μlに懸濁された培養hCECが前房内に注入された。患者は、注入された細胞の接着と生着を強化するために、3時間face-down positionをとった。培養角膜の角膜内皮細胞密度(ECD)は1835から2530 cells / mm2だった。
・すべての患者は、術後1週間、4週間、12週間、24週間、および1年、2年、3年、4年、5年後に追跡検査を受けた。ECD、変動係数(CV)、六角形細胞出現率(6A)、中心角膜厚、最高矯正視力(BCVA)、および眼圧(IOP)を測定した。
・手術後5年で、11眼中10眼で正常な角膜内皮機能が回復し、平均中心角膜ECDは1257±467 cells / mm2(601〜2067 cells / mm2)、CVは0.46±0.076から0.37±0.088に、6Aのパーセンテージも47±8.7%から54±6.2%に改善した。
・BCVAは10眼で有意に改善した。平均視力は、手術前の0.87 logMARから手術後0.046 logMARと改善した。
・hCEC注射療法に直接関連する主要な合併症はなかった。
・手術後5年での角膜中心の角膜の厚さは、11眼中10眼で正常範囲内(<630μm)だった。治療された11眼中眼では、術後5年間の追跡期間中にIOP上昇は認めなかった。1眼でステロイド外用薬への反応によりIOPが一時上昇した。
・虹彩に重度のPEXが蓄積したPEX関連内皮不全眼は、おそらく前房の異常な微小環境が原因で不全になった。
・手術後最大5年間の培養hCEC注射療法の安全性と有効性を確認した。
世界中でドナー角膜が毎年不足し続けているので、これらの問題を排除する新しい外科的処置は非常に有益であろう。(CH)