Associations between Serial Intravitreal Injections and Dry Eye.
Malmin A, Thomseth VM, Førland PT, Khan AZ, Hetland HB, Chen X, Haugen IK, Utheim TP, Forsaa VA. (Norway)
Ophthalmology. 2023;130(5):509-515. doi: 10.1016/j.ophtha.2023.01.009. Epub 2023 Jan 21. PMID: 36693594.
【目的】
nAMDに対して抗VEGF治療を受けた患者において、連続する硝子体内注射(IVI)が眼表面およびマイボーム腺(MG)に及ぼす影響を検討
【対象と方法】
抗VEGF薬による片眼IVI投与を受けているnAMD患者
僚眼を対照とした
涙液検査と眼表面検査は、IVIの最低4週間後に1回ずつ施行
*注射時の麻酔・消毒プロトコルは下記
【主要評価項目】
以下をレトロスペクティブに評価;
上下のMG消失、涙液メニスカスの高さ(TMH)、球結膜充血(BR)スコア、
非侵襲的涙液崩壊時間(NIBUT)、涙液浸透圧(TOsm)、シルマーテスト、角膜染色、
フルオレセイン涙液崩壊時間(TBUT)、マイボーム腺発現率(ME)、マイバムの質
【結果】
54-95(平均77.5)歳の患者90名
治療眼におけるIVIの数は2-132(中央値19.5)回
上眼瞼の平均MG喪失率は、
治療眼で19.1%(SD、11.3)、
対照眼で25.5%(SD、14.6)であった(P = 0.001)
下眼瞼では、MG損失の中央値は、
治療眼で17.4%(四分位範囲[IQR]、9.4-29.9)、
対照眼で24.5%(IQR、14.2-35.2)であった(P < 0.001)
球結膜充血(BR)スコアの平均は、
治療眼では1.32(SD、0.46)であったのに対し、
対照眼では1.44(SD、0.45)であった(P = 0.017)
涙液メニスカスの高さ(TMH)の中央値は、
治療眼で0.36mm(IQR、0.28-0.52)、
対照眼で0.32mm(IQR、0.24-0.49)であった(P = 0.02)
以下は治療眼と対照眼で差はみられず;
非侵襲的涙液崩壊時間(NIBUT)、涙液浸透圧(TOsm)、シルマーテスト、角膜染色、
フルオレセインTBUT、マイボーム腺発現率(ME)、マイバムの質
【結論】
nAMD患者において、術前にPVP-Iを塗布した上で抗VEGF薬による静脈内注射を繰り返すと、非治療群と比較して、MGロスの減少、涙液量の増加、炎症徴候の減少がみられた。
この殺菌方法は、眼表面に有益な効果をもたらす可能性がある。
【注射時の麻酔・消毒プロトコル】
防腐剤非含有の塩酸テトラカイン1%点眼液(Minims, Bausch & Lomb)を1滴点眼
PVP-I 5%点眼液(Betadine; Alcon)を1滴点眼
眼瞼縁、睫毛、眼周囲の皮膚をPVP-I 5%で洗浄
開瞼器の後、IVI投与前に再びPVP-Iを点眼
注射後の生理食塩水による消毒洗浄なし
抗生物質や眼軟膏の使用など、注射後の局所治療もルーチンに行わず(MK)