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Ophthalmology

2024
131巻

緑内障患者の痴呆症のリスクについて

Ophthalmology 131巻(3号)2024

Risk of Alzheimer’s disease and related dementias in persons with glaucoma.
Crump C et al(TX USA)
Ophthalmology 131(3): 302-309, 2024
・緑内障は痴呆症に進行しうる脳の神経変性疾患と関連しうる視神経症の異質な群と考えることができるが、現在までそのような検討はなされていないので、今回、緑内障後の痴呆症について大集団症例研究を行った。
・Swedenで、1995-2017に緑内障と診断された324,730名と、年齢・性をマッチさせた3,247,300例の痴呆症でない対照群とで調査した。
・Alzheimer病(AD)、血管性痴呆(VaD)、その他の痴呆症について、社会人口学的因子と併存疾患で調整して検討した。
・1600万人年person-yearの経過観察中、緑内障の32,339名(10%)と対照群の226,896名(7%)が痴呆症と診断された(人年 person-year:観察した人数とその観察年数をかけたもの)
・緑内障者では全ての原因の痴呆症発症の調整HRは1.57(1.54-1.59)、そのうち、AD発症は1.39 (95%CI=1.35-1.43)、VaD発症は1.66(1.61-1.72)であった。
・緑内障の型別では、POAGとNTGでは、AD発症はそれぞれ1.31(1.27-1.36)と1.28(1.20-1.36)、VaD発症は1.61(1.54-1.68)と1.39(1.28-1.50)であった。
・PACGではVaD発症は1.26(1.02-1.56)であったが、AD発症は0.98(0.82-1.28)であった。
・これらの所見には男女差はなかった。
・また、このリスクは70歳以上で緑内障と診断された人で最も高く、60歳未満で診断された人では高くなかった。
・高齢になって緑内障と診断された人は痴呆症について注意してみていく必要がある。(TY)

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