How Does Glaucoma Look?
Patient Perception of Visual Field Loss
Crabb DP,et al. (UK)
Ophthalmology 120 (6):1120–1126, 2013
・視力20/30以上で両眼に緑内障性視野障害(perimetrically blindとよばれる重度障害は除く)がある50名の緑内障患者(52-82歳)
・ハンフリー視野検査を施行した後に患者が視野障害を自覚しているかアンケート
・視野障害を自覚しているか、自覚があるならその状態(被検者の言葉で表現)を質問、その後パソコンの液晶モニターで(13.3インチ、40cmの距離)6つのイメージ【Fig.1】を見せ、自分の認識に近いものを選んでもらう
・視野検査の平均MD;右眼-8.7dB、左眼-10.5dB
・13名(26%)は視野欠損をまったく認識せず【Fig.2A】
・モニターのイメージ選択にて、『black tunnel』と『black parts』は誰も選択せず
・わずか2名(4%)が『blurred tunnel』を選択
・54%が『blurred parts』、16%が『missing parts』を選択
・録音されたインタビューからの解析では、見えることに関する徴候では『blur』や『missing』といった用語が多く使われていた
【結論】緑内障患者は自らの視野喪失を『黒いトンネル様』や『視野を覆う黒いパッチ』としては認識していない。これらの知見は緑内障性視野喪失を描写したり緑内障であることを気づかせたりすることに対して重要である。(MK)
Changes in ocular flora in eyes exposed to ophthalmic antibiotics.
Dave SB et al(TN USA)
Ophthalmology: 120(5): 937-941, 2013
・マクロライド系あるいはフルオロキノロン系の抗生剤点眼薬を使用後の細菌叢の変化を1年間みた。
・24例の片眼性脈絡膜新生血管で硝子体内注射を月1回4ヶ月間+必要時追加をうけた人を対象とし、4種の抗生剤を振り分け(1%アジスロマイシン、0.3%ガチフロキサシン、0.5%モキシフロキサシン、0.3%オフロキサシン)、注射後4日間使用した。
・結膜嚢培養は、注射眼と他眼で、開始前、各注射前に行った。
・アジスロマイシン群では、表皮ブ菌と黄色ブ菌は、開始前には54.5%と18.2%であったが、注射後は90.9%(p<0.01)と4.5%(p<0.01)となった。
・フルオロキノロン類では、開始前には45.7%と6.5%であったが、注射後には63.4%(p<0.03)と13% (p=0.24)といずれも有意に増加していた。
・ただ、フルオロキノロン類では、グラム陰性菌は8.7%→1.6%に有意に減少していた(p<0.05)。
・また、表皮ブ菌に関してだけみれば、アジスロマイシン群では、他眼と比較してもフルオロキノロン類と比較しても、点眼後は検出率が有意に増加していた(いずれも、p<0.01)。
Effect of day lengtth on eye growth, myopia progression, and chaneg of corneal power in myopic children.
Cui D et al(China, Denmark)
Ophthalmology: 120(5): 1074-1079, 2013
・デンマークでは年間で、日の長さは7時間から17.5時間まで変化する。
・8歳から14歳の近視(負の屈折値)の235人で、6ヶ月の間の日中時間の合計と屈折度の変化の関係をみた。
・合計日中時間は1660から2804時間で、眼軸長の伸び(p=0.00)、近視の進行(p=0.01)、角膜屈折度の変化(p=0.00)とも有意な相関があった。
・2782±19時間:1681±24時間の日中時間の小児では、6ヶ月間の眼軸の伸びは0.12±0.09:0.19±0.10mm、近視進行度は0.26±0.27:0.32±0.27D、角膜屈折度変化は0.05±0.10:-0.04±0.08Dであった。
・近視予防のためには、日中に戸外で時間を過ごすことが有効であろう。
Outdoor activity during class recess reduces myopia onset and progression in school children.
Wu PC et al(Taiwan)
Ophthalmology: 120(5): 1080-1085, 2013
・台湾の郊外地区で、近くの2校の7歳から11歳の小児を対象とし、休み時間を戸外で過ごすことを推奨した学校の333名と、しなかった学校の238名とで、1年間比較した。
・開始時の屈折度は-0.78±1.76:-0.95±1.93D、近視の割合は47.75%:49.16%であったが、1年後に近視になった児童は、8.41%:17.65%(p<0.001)と有意差が出たし、全体の平均近視進行度は-0.25±0.68:-0.38±0.69D/year(p=0.029)と有意差があった。
Treatment outcomes in malignant glaucoma
Paaraj Dave et al
Ophthalmology 120(5): 984-990, 2013
・26名28眼。いかなる内眼手術後でも眼圧22㎜Hg以上で、patent iridotomyを行なったが、浅いか扁平な中心、周辺前房の存在にて悪性緑内障と診断し、治療後前房中央が深くなり、内服無し、降眼圧剤点眼のみで眼圧21㎜Hg以下となった場合を治癒とした。
・有水晶体眼5眼、偽水晶体眼23眼の計28眼中11眼レクトミー、 10眼白内障、 7眼白内障と緑内障同時手術後。眼圧は平均して34±8.3から14.3±5.2に低下、27名(96%)で悪性緑内障が治癒した。17眼は1度目の治療で治癒。10眼は次の治療を要した。
・悪性緑内障の治療は主として薬物療法で、薬物療法のみで最初の5時間に50%は改善との報告がある。散瞳剤点眼(虹彩、水晶体の後方移動)、炭酸脱水素酵素阻害剤点眼と内服(房水産生抑制)高張浸透圧剤全身投与(硝子体減圧)、ステロイド点眼(炎症の減退)
・偽水晶体眼、無水晶体眼にはLaser Hyaloidotomyが有効。YAGレーザーで、存在する周辺イリドトミーの部位又は眼内レンズのハプティックの上を通して施行。パワーは1から2mJ、2から5発。前房と前部硝子体を直接交通させる。
・今回はまず全症例に薬物療法を施行し、効果がなければ、偽水晶体眼にはレーザーHyaloidotomy。角膜が悪く、施行できない症例と、ここまで無効の症例には硝子体手術とhyaloidotomyとiridotomy。視機能不良例にはTSCPC(経強膜cyclophotocoagulation)とした。
(YM)
Retinal ganglion cell count estimates associated with early development of visual field defects in glaucoma.
Medeiros FA et al(CA USA)
Ophthalmology 120(4): 736-744, 2013
・網膜神経節細胞RGCの消失予測量が緑内障の視野欠損と関連するかどうかを検討した。
・baseline時には自動視野計で異常がなく、経過観察期間中(中間値6.7年)に3回続けて異常の検出された53名53眼の緑内障疑い患者と、年齢をマッチさせた124例124眼の正常者について検討した。
・RGC数は自動視野計の感度とSD-OCTで測定された網膜神経線維層RNFL厚みから推測し、最初に視野異常が発症した3ヶ月以内のRGC数を求めた。
・視野異常が発症した時の平均RGC数は 652,057±115,829であり、正常者の平均値 910,584±142,412よりも、平均28.4%(6%~57%)少なく、有意差があった(p<0.001)。
Characteristics of peripapillary choroidal cavitation detected by optical coherence tomography.
Yeh SI et al(Taiwan)
Ophthalmology 120(3): 544-552, 2013
・OCTで検出される傍乳頭脈絡膜腔(peripapillary choroidal cavitation:PCC)をもった83例122眼について検討した。
・41.8%が男性で、年齢は48.2±12.6歳、logMARは0.23±0.43(小数点視力:0.59)、平均屈折度は-9.03±5.11D、平均眼軸長は27.36±2.09mmであり、40眼(32.8%)は眼軸長が26.5mm未満(25.11±1.07mm 22.51-26.42)であった。
・屈折度でみると、90眼(73.8%)は-6.0D以上の高度近視(年齢45.8±11.1)、24眼(19.7%)は-6.0D未満の軽度近視(年齢51.6±13.9)、5眼(4.1%)は±1.0D以内の正視(年齢59.2±12.2)、3眼(2.6%)は+1.0D未満の遠視(年齢65.0±8.0)であった。
・軽度近視から遠視のPPC患者では高度近視患者のPPC患者よりも有意に高齢であった(p<0.05)。
・PCC患者の57眼(46.7%)では眼底検査で橙黄色の境界鮮明な限局性の病巣がみられた。
・陥凹のある近視性コーヌスのあった14/53眼(26.4%)で開口のあるPCCがみられ、陥凹のある近視性コーヌスのみられなかった5/69眼(7.2%)で開口のあるPCCがみられた。
・PCCは稀な状態ではなく、また、高度近視に特異的ではなく、橙黄色病変が必須でないことも分かり、PCCは老化の一種である可能性が考えられた。
Reversal of lamina cribrosa displacement after intraocular pressure reduction in open-angle glaucoma.
Lee EJ et al(Korea)
Ophthalmology 120(3): 553-559, 2013
・POAGで眼圧下降に反応して篩状板(LC)の偏位があるかどうかを検討した。
・100名100眼(年齢54.1±16.8歳)のOAGで、眼圧が20%以上低下した患者を、繊維柱帯術前と術後3,6ヶ月後で調査した。
・眼圧は術前の21.2±9.1から10.5±2.6まで低下した。
・LCの深さ位置は術前の眼圧に関連して、指数関数的に有意に減少した(r2=0.51 p<0.001)。
・LC深度の低下は、若年者、術前の高眼圧、眼圧下降率と有意に関連していた(全て p<0.02)。
Retinal pigment epithelial cell loss assessed by fundus autofluorescence imaging in neovascular age-related macular degeneration.
Kumar N et al(NY USA)
Ophthalmology 120(2): 334-341, 2013
・116名162眼の新生血管AMDを対象として、自発蛍光検査で検出された網膜色素上皮細胞欠損について検討した。
・黄斑部内の長径が最低0.5mmの癒合した自発蛍光部位を調べた。
・開始時の患者の平均年齢は82.9±7.9才で平均視力は20/71(logMAR=0.55)、平均罹病期間2.1±2.5年であった。
・開始時の自発蛍光の融合欠損は58.6%でみられ、その面積は3.18±3.93mm2で、その中央値は1.57mm2(四分位間25%-75%:IQRは0.62-4.32mm2)であった。
・一般推定モデルでは、開始時に自発蛍光の融合欠損がないものは、罹病期間とPDT治療の既往であり、開始時の視力の優位な予測因子は自発蛍光の融合欠損がないことであった。
・124眼(76.5%)で経過観察可能で、平均経過観察期間は2.9±1.8年であり、その時の視力は20/90 (logMAR=0.65)、自発蛍光の融合欠損は79%にみられ、その平均面積は5.28mm2で、中央値は3.61mm2(IQRは1.16-7.11)であった。
・開始時に中心窩が含まれていない95眼の内、最終観察時では75眼(78.9%)で中心窩が含まれる様になっていた。
・自発蛍光の融合欠損の進行度は0.94mm2/年であった。
・RPE欠損を意味する自発蛍光の融合欠損は視力の有力な予測因子となると考えた。
Cataract Surgery in Patients with Nanophthalmos
Steijns D, et al.(Netherlands)
Ophthalmology 120(2):266–270, 2013
・真性小眼球の患者に対する白内障手術の視力結果と合併症を報告
・眼軸長が20.5mm以下の32例43眼、19-87歳(平均69)歳
・白内障手術にて19眼(44.2%)で3段階(Snellen line)以上の視力改善、2眼(4.7%)で3段階以上の悪化【Tab.2】
・悪化例;1眼で角膜の代償不全、もう1眼は閉塞隅角緑内障
・12眼(27.9%)で合併症出現、uveal effusion(9.3%)とCME(7.0%)が頻度が高かった【Tab.5】
【結論】真性小眼球を持つ患者への白内障手術は、合併症の頻度が高いため、依然として挑戦の意味合いが残る(MK)
Acute Intraocular Inflammation Caused by Endotoxin after Intravitreal Injection of Counterfeit Bevacizumab in Shanghai, China
Wang F, Sun X, et al. (China)
Ophthalmology 120 (2):355–361, 2013
・2010年9月6-8日に中国の公立病院で偽造bevacizumab3バイアル(Lot #B6001B01)が116名(日付順に41、40、35名)の患者の硝子体に注入され、うち80人で急性眼内炎を発症
・潜伏期は2-24時間(平均12時間)、症状の持続は3-22日(平均6日)
・培養検査では細菌・真菌ともに検出されず
・研究室の調査にてバイアルの残液よりエンドトキシンが検出、bevacizumabの成分は検出されず
・全患者に抗生剤とステロイドの点眼、43名で硝子体生検と硝子体注入、前房蓄膿や有意な硝子体炎症がみられた
・21眼で硝子体手術を施行
・治療にて炎症は速やかに消退、63名(78.8%)で治療前の視力まで改善した
【結論】偽造bevacizumabの硝子体注入後に発症する眼内炎の原因として、この報告ではエンドトキシンが示された。Endotoxin-indused ocular toxic syndrome(EOTS)は典型的な感染性眼内炎と臨床的に異なるよう
*EOTSがTASSと異なる点;眼圧上昇が見られないこと、前房内手術の既往がないこと(MK)
Retinal vascular geometry and glaucoma: The Singapore Malay Eye Study.
Wu R et al(Singapore)
Ophthalmology 120(1): 77-83, 2013
・40-80歳のSingaporeに住むマレー人4168名の内、Singapore Malay Eye Studyに参加した3280名(78.7%)について検討した。
・2789名の内、4.4%にあたる123名(内87名がPOAG)が緑内障と診断された。
・デジタル眼底カメラ(画角45度のCanon CR-DGi、空間分解能3072×2048)で眼底を撮影し、Singapore I Vessel Assessment(SIVA)プログラムで解析した。
・解析部位は視神経乳頭縁から0.5-2.0 DD間である。
・解析は網膜血管の蛇行(蛇行度が小さいほど直線的)、網膜血管の分岐角度、網膜血管の分裂様相(複雑に分岐している程、値が大きくなる)を計算した。
・POAGとその他で比較すると、動脈蛇行度(x10^-4)はPOAG=1.79±1.46、他=3.00±1.43、静脈蛇行度はPOAG=2.85±2.29、他=4.62±2.38、静脈分岐角度はPOAG=76.5±12.4゚、他=79.7±10.2゚、分裂様相はPOAG=1.37±0.10、他=1.41±0.05であった。
・年齢と性別だけで調整したPOAGにおける減少率を計算すると、動脈蛇行度はOR=1.84(95%CI=1.46-2.32 p<0.001)、静脈蛇行度はOR=1.60(95%CI=1.30-1.98 p<0.001)、静脈分岐角度ではOR=1.23(95%CI=1.00- 1.50 p=0.048)、分裂様相ではOR=1.33(95%CI=1.03-1.72 p=0.028)であり、網膜血管形態は緑内障性の視神経症と相関していた。(TY)
Retinal vessel caliber is associated with the 10-year incidence of glaucoma. The Blue Mountains Eye Study.
Kawasaki R et al(Australia)
Ophthalmology 120(1): 84-90, 2013
・網膜血管径と10年間でのPOAGの発症率との関連を調べた。
・The Blue Mountains Eye Studyの対象とした開始時の2461名、5年あるいは10年後にも対象となった2461名のうち、開始時にPOAGであった44名を除いた2417名を対象として調査した。
・視神経乳頭から0.5~1.0DDを貫通している直径25μm以上の血管の径を全て測定し、太い方から6本の動脈と静脈の径を合計したものをCentral retinal artery/vein equivalent(CRAE/CRVE μm)と定義した。
・緑内障の発症は、典型的な視野欠損があり、視神経乳頭変化、リム菲薄化とCD比が0.7を超える、あるいはCD比の両眼差が0.3以上となったものと定義した。
・10年間で82名104眼がPOAGを発症した。
・年齢、性、緑内障家族歴、喫煙、糖尿病、高血圧、高脂血漿、BMI、屈折度、CD比で補正した後に、CRAEが細いことがPOAG発症のリスクであり(OR=1.77 95%CI=1.12-2.79)、眼圧で補正するとOR=1.87 95%CI=1.14-3.05、眼浸透圧OPPで補正するとOR=1.76 95%CI=1.11-2.78であったが、CRVEとPOAG発症の間には補正後には関連がなかった。
・CRAEを4分位でみると、最小Q1(93.4-150.9μm)ではOR=4.02(95%CI=1.17-13.9 p=0.028)、Q2(151.0-160.5)ではOR=3.13(0.93-10.5 p=0.065)であったが、Q3(160.6-170.6)ではOR=0.93(0.26-3.35 p=0.916)と関連がなくなっていた。
・POAG発症した人としなかった人の開始時の比較では、眼圧は18.0±3.3:15.9±2.6(p<0.001)、垂直CD比は0.52±0.12:0.40±0.13(p<0.001)、CRAEは156.1±15.1:160.6±14.9(p=0.003)、CRVEは233.4±22.6:240.3±22.4(p=0.003)、年齢は68.2±8.2:64.1±8.5(p<0.001)、収縮期血圧は152.2±21.8:144.7±20.3(p=0.001)、拡張期血圧は85.8±9.3:83.4±9.8(p=0.030)であった。
・網膜動脈の狭細化は長期でみるとPOAG発症リスクとなることが分かった。(TY)
Acute postoperative vacillus cereus endophthalmitis mimicking toxic anterior segment syndrome.
Rishi E et al(India)
Ophthalmology 120(1): 181-185, 2013
・2000.1~2011.5までに発生した6例のBaillus cereusによる術後眼内炎の症例報告。
・全例、劇症発症で、術後24時間以内に高眼圧と角膜浮腫をきたし、一見、TASS様であった。
・2例は全層角膜移植、1例は全層角膜移植+強膜部分移植、1例は48時間で眼球内容除去、2例は10日以内に眼球癆となった。
・強い痛みと非常に高い眼圧を伴ったTASSはB cereusによる眼内炎を疑い十分観察すべきだ。(TY)
Corneal epithelial thickness mapping by fourire-domain optical coherence tomography in normal and keratoconic eyes.-Li Y et al(OR USA)
Ophthalmology 119(12): 2425-2433, 2012
・正常者76名145眼と円錐角膜22例35眼について、垂直解像度5μmのOCT(RTVue:Optivue)を用いて、角膜上皮面からBowman層上面までの角膜中央部の厚みを、8方向で測定した。
・測定値は、厚みの最小値、上方-下方値、最小-最大値である。
・正常者と円錐角膜では、中心値(2mm以内)は52.3±3.6:51.9±5.3、上方(2-5mm)は49.6±3.5:51.2±4.2、下方(2-5mm)は51.2±3.4:49.1±4.3μmであり、円錐角膜では下方値や最小値が有意に低かった(p=0.03、p<0.0001)。
Determinants of retinal venular diameter: The Beaver Dam Eye Study.
Myer CE et al(WI USA)
Ophthalmology 119(12): 2563-2571, 2012
・15年間のBeaver Dam Eye Study(BDES)での43歳から86歳の4600人を対象として、乳頭から0.5-1.0DD以内の主な6本の平均網膜動脈径(CRAE)、平均網膜静脈径(CRVE)を測定した。
・CRVEは歳に比例して細くなり、50歳と70歳を比較すると、5μm(225:230)細く、50歳と85歳では13μm(217:230)細くなっていた。
・男性、最近の喫煙歴、高白血球数は独立して太いCRVEと相関し、高血圧、高血清HDLコレステロールでは独立して細いCRVEと相関していた。
・また、経過をみた場合、心血管疾患の既往や慢性腎疾患では有意なCRVEの狭細化がみられた。
Choroidal volume variations with age, axial length, and sex in healthy subjects: a three-dimensional analysis.
Barteselli G et al(CA USA)
Ophthalmology 119(12): 2572-2578, 2012
・114例176眼の正常者で、EDI-OCT(Heidelberg Spectrails)で脈絡膜容積をETDRSグリッド(内環1-3mm、外環3-6mm)で測定し、3次元立体像を作成した。
・平均脈絡膜容積は、中心環0.228±0.077mm3、ETDRS全体では7.374±2.181であった。
・鼻側は最小で、上方が最大であった。
・ETDRS環全体での脈絡膜容積は、年齢で補正した眼軸長が長い程(p<0.0001)、眼軸長で補正した年齢が高いほど(p<0.0001)、眼軸長で補正した女性(p<0.05)で有意に小さかった。
・脈絡膜容積は10歳加齢毎に0.54mm3(7.32%)減少、眼軸長1mm長くなる毎に0.56mm3(7.59%)減少、男性では女性より7.37%大きかった。
Factors promoting success and influencing complications in laser-induced central vein bypass.
McAllister IL et al(Australia)
Ophthalmology 119(12): 2579-2586, 2012
・レーザーでの脈絡網膜静脈吻合(L-CRA)について、108例の中からランダムに選択され、L-CRAを受けた55例の非虚血性CRVOで、18ヶ月間検討した。
・L-CRAの成功例は、若いほど(p=0.03)、開始時の視力が良いほど(p=0.04)、高血圧症ではないほど(p=0.001)良かった。
・性別やCRVOの期間は無関係であった。
・L-CRAの部位は影響がなかったが、実施時の静脈壁の破綻は成功率に影響していた(p0.008)。
・新生血管は10眼12か所で発生したが、これは治療前の中心静脈圧が高いこと(P=0.03)、蛍光色素の発言が遅い事(p=0.0001)、無血管野があったこと(p=0.01)と相関していた。
Montage images of spectral-domain optical coherence tomography in eyes with idiopathic macular holes.
Mori K et al(埼玉医大)
Ophthalmology 119(12): 2600-2608, 2012
・黄斑円孔の合成画像をOCTで作成し、解剖学的な硝子体、網膜の関連を検討した。
・使用した機器はHweidelberg Spectralis OCTで、水平、垂直、2斜方向の4種で、画像ソフト(Photoshop)で画像合成を行った。
Intravitreal Aflibercept (VEGF Trap-Eye) in Wet Age-related Macular Degeneration
Heier JS et al. (USA)
Ophthalmology. 119:2537-2548,2012
・同様に設計された2グループ(VEIW1、VEIW2)で、加齢性黄斑変性(AMD)に対するaflibercept とranibizumab硝子体注射を比較した。
・毎月0.5mg aflibercept硝子体内注射(0.5q4)、
毎月2mg aflibercept硝子体内注射(2q4)、
最初の3ヶ月は2mg aflibercept硝子体内注射し、その後は2ヶ月毎の2mg aflibercept硝子体内注射(2q8)、
毎月0.5mg ranibizumab硝子体内注射(Rq4)
平均数注射回数:VEIW1で12.2〜12.4回、VEIW2で12.1〜12.5回
2q8ではVEIW1、VEIW2とも7.5回
VEIW1で視力が維持できたのは(視力低下がETDRSで15文字以下)0.5q4、2q4、2q8、Rq4、でそれぞれ99.4%、95.1%、95.9%、95.1%、VEIW2で 0.5q4、2q4、2q8、Rq4でそれぞれ、94.4%、95.6%、96.3%、95.6%だった。
すべてのaflibercept硝子体内注入グループの平均最高視力はranibizumab硝子体内注射グループの平均最高視力の0.5文字以内だった。
CNVの大きさ、網膜中心厚などの解剖学的な改善は治療群で同様であった。
眼および全身の有害事象は治療群で同様だった。
・2q8はRq4と同様の有効性と安全性を示した。
aflibercept硝子体内注射は経済的負担と危険性を減らす可能性がある。(CH)