Intravitreal triamcinolone prior to laser treatment of diabetic macular edema. 24-month results of a randomized controlled trial.
Gillies MC et al(Australia)
Ophthalmology 118(5): 866-72, 2011
・IVTA+光凝固(併施群)と光凝固だけとで24か月後の治療効果を検討した。
・54例84眼で、42眼づつをランダムに2群に割り振った。
・24ヵ月後まで71眼(84.5%)が調査でき、できなかった13眼は最終視力で判断した。
・24ヵ月後にlogMARチャートで10文字以上の改善のあったものは、併施群では15/42(36%)で、光凝固群の7/42(17%)より有意によかった(p=0.047 OR=2.79 95%CI=1.01-7.67)。
・ただ、平均CMTあるいは平均logMARでは両群間に有意差はなかった。
・有水晶体眼で、白内障手術が必要であったのは、併施群では17/28(61%)であったが、光凝固群では0/27(0%)で有意差あり(p<0.001)。
・高眼圧治療が必要になったのは併施群では27/42(64%)、光凝固群では10/42(24%)で有意差あり(p<0.001)。
・併施治療は2年間で10文字以上の改善するものを倍以上にするが、白内障進行、眼圧上昇の危険がある。
High-resolution imaging of the photoreceptor layer in epiretinal membrane using adaptive optics scanning laser ophthalmoscopy.
Ooto S et al(京大)
Ophthalmology 118(5): 873-81, 2011
・Adaptive optics SLO(AO-SLO)を用いて、特発性黄斑上膜24例25眼の視細胞構造の異常と変視症の程度をMチャートを用いて定量して検討した。
・コントロールには20例20眼を用いた。
・正常眼では視細胞層は規則正しいモザイク構造をしているが、ERMでは24/25(96%)で、正常眼ではみられない微細foldがみられた。
・個々のfoldは5-20μm幅であり、通常の眼底写真(>50μm)では見ることができない大きさであった。
・AO-SLOで中心窩に微細foldのある12/13眼ではAmslerチャートで固視点付近に変視症があったが、微細foldのない5眼では変視症がなかった(p<0.001)。
・微細foldのない群に比較して、ある群ではMチャートの変視症が縦も横も強く(p<0.001)、OCTでの中心窩厚も大きかった(p=0.01)。
・モザイクの規則性をみるVoronoi解析では、正常眼に比較して不規則であった(p<0.001)。
・ERM眼では平均中心窩厚は視力(p=0.001)、変視症スコア(横p=0.02、縦p<0.001)と相関していたが、視力、変視スコア、中心窩厚は、OCTでのIS/OSラインの断裂とは相関していなかった。
・このことから、中心窩の微細foldが変視症の原因となっていると考えた。
Retinopathy signs in people without diabetes. The multi-ethnic study of atherosclerosis.
Ojaimi E et al(Australia)
Ophthalmology 118(4): 656-62, 2011
・糖尿病のない4種の人種(白人、黒人、Hispanic、中国人)6176名(45-84歳)で、網膜症の有病率と心血管のリスクファクタについて検討した。
・ETDRSに則って、毛細血管瘤、出血、軟性白斑、網膜内血管異常ARMA、硬性白斑、静脈怒脹、新生血管を調査し、網膜症を分類した。
・糖尿病のない網膜症者は全体では12.5%にみられた。
・白人11.9%、黒人13.9%、Hispanic 12.6%、中国人17.2%で、高血圧が網膜症と強く関連していた(OR=1.47 95%CI=1.09-2.06)。
・年齢性人種などを調整すると、喫煙(OR=1.50 95%CI=1.09-2.06)と、内頚動脈狭窄(OR=1.22 95%CI=1.05-1.41)が網膜症と関連していた。
Retinal nerve fiber layer thickness is decreased in the fellow eyes of patients with unilateral retinal vein occlusion.
Kim MJ et al(Korea)
Ophthalmology 118(4): 706-10, 2011
・片眼性の網膜静脈閉塞症79例と年齢をマッチさせた正常者71例で網膜神経線維層厚を調べた。
・RVOの健眼の眼圧は13.7±2.5(Ctrl眼は13.4±2.8)mmHgであり、RNFL厚は殊に10-11時で薄くなっていた。
・健眼:CtrlのRNFL厚は、平均99.1±13.5:103.4±10.2μm(p=0.028)、上象限、鼻象限では有意差はなく、下象限では125.5±18.5:132.2±15.0(p=0.018)、耳象限では72.7±14.2:76.7±9.9(p=0.047)であった。
・RNFL厚と相関した緑内障性の視野欠損は、RVO健眼では15眼(19.0%)、Ctrl眼では2眼(2.8%)にみられた(p=0.004)。
・このことから、RVOと緑内障は同じ様な全身的なリスクファクターを共有しているものと考えた。
Risk factors for intraoperative floppy iris syndrome: a meta-analysis.
Chatziralli IP & Sergentanis TN(Greece)
Ophthalmology 118(4): 730-5, 2011
・IFISとリスクファクターを検討した17論文(17,588眼)のメタ分析 (meta-analysis:独立な研究結果の統計的な統合)である。
・Tamsulosin内服後のIFISのORは alfuzosin内服者の約40倍(あるいは約16.5倍)。
・Alfuzosin、terazosin、doxazosinも多少関連。
・IFISは高血圧と関連(OR=2.2 95%CI=1.2-4.2)していたが、糖尿病とは関連がなかった(OR=1.3 95%CI=0.7-2.2)。
Interim clinical outcomes in the collaborative bleb-related infection incidence and treatment study.
Yamamoto T et al(岐大)
Ophthalmology 118(3): 453-8, 2011
・予防に関しての2.5年の短期間の34医療機関での協同研究である。
・マイトマイシンCを使用した線維柱帯切除を受けた908名908眼のうち、9眼で濾泡感染症を発症した。
・Kaplan-Meier生命表分析では、濾泡感染症の発症確率は1.5±0.6%(瀘過手術単独)、1.4±1.0%(白内障同時)であった。
・輪部ベースとfornixベースでは差はなかったが、瀘過泡からの漏出があった例(45眼)となかった例(863眼)とでは、5.8±4.1%と1.2±0.5%で、有意差があった(p=0.037)。
Accuracy of intraocular lens calculations using the IOLMaster in eyes with long axial length and a comparison of various formulas.
Bang S et al(MD USA)
Ophthalmology 118(3): 503-6, 2011
・36例53眼の眼軸長が27mm以上の高度近視眼で、IOLMasterでの眼軸長計測を用いた術後屈折誤差について、各種のIOL計算式の正確性を検討した。
・Holladay1、Holladay2、SRK/T、Hoffer Q、Haigis式を用いた計算で、誤差度数(術後球面等価値-予測球面等価値)を求めた。
・長眼軸長ではHaigis式が最良、SRK/T式が2番、次にHolladay2、Holladay1、Hoffer Q式の順であった。
・全式ともに、予測した値の方がより近視寄りであったことから、より強い近視を目指した方が良いと考えられる。
・誤差度数は、Haigis式で 0.52±0.63(95%CI=0.34~0.70、最小最大値=-0.51~2.12)、SRK/T式で 0.62±0.77(95%CI=0.40±0.84、最小最大値=-0.52~2.22)。
Foveal cystoid spaces are associatd with enlarged foveal avascular zone and microaneurysms in diabetic macular edema.
Murakami T et al(京大)
Ophthalmology 118(2): 359-67, 2011
・72例86眼のDM黄斑浮腫で中心窩のOCT所見、FAでの中心窩の血管所見を検討した。
・傍中心窩の毛細管網内の毛細血管瘤MAと中心窩の無血管野を検討。
・中心窩のOCT所見では44眼はCMEがあり、25眼は重篤な網膜剥離、17眼は嚢胞や網膜剥離のない中心窩の肥厚があった。虚血性黄斑症のあった3眼は除外した。
・中心窩毛細血管網内の毛細血管瘤の数は、CMEのある眼では3.20±1.76個であり、網膜剥離のある眼 0.40±1.04や、網膜肥厚のある眼 0.47±0.72より有意に多かった(p<0.01)。
・中心窩の無血管野の大きさは、CME群では0.553±0.323mm2で、網膜剥離のある眼0.302±0.245や、網膜肥厚のある眼0.268±0.142よりも有意に大きかった(p<0.001)。
Role of confocal microscopy in the diagnosis of fungal and acanthamoeba keratitis.
Vaddavalli PK et al(India)
Ophthalmology 118(1): 29-35, 2011
・微生物による角膜炎の診断方法としてのconfocal microscopyの役割について、臨床的に微生物角膜炎と診断された146例について検討した。
・微生物学的に真菌性あるいはアカントアメーバ角膜炎と診断された103例のうち、真菌の線維あるいはアカントアメーバのチストをconfocal microscopyで検出できた症例は91例で、その感度は88.3%(95%CI=82.2-94.5)で、特異度は91.1%(95%CI=82.8-99.4)であった。
Short-term repeatability of diurnal intraocular pressure patterns in glaucomatous individuals.
Realini T et al(WV USA)
Ophthalmology 118(1): 47-51, 2011
・治療中のPOAG 47例で、眼圧の日内変動パターンの再現性について検討した。
・1週間の間隔をおいて、朝8時から夜8時までの2時間ごとの眼圧日内変動を測定した。
・同時間の2回の眼圧と、眼圧変化量の相関をInterclass correlation coefficients(ICCs)として求めた。
・同時間の2回の眼圧の一致は、まずまずで、ICCsは右眼では0.45~0.71、左眼では0.51~0.71であったが、眼圧変化量に相関はなく、ICCsは右眼では-0.08~0.38、左眼では-0.11~0.36であった。
・1回の眼圧日内変動の測定はあてにならないものであった。
Laminar and prelaminar tissue displacement during intraocular pressure elevation in glaucoma patients and healthy controls.
Agoumi Y et al(Canada)
Ophthalmology 118(1): 52-9, 2011
・前部篩状板と篩状板前の組織をOCTで描出し、緑内障眼と正常者での眼圧の急激な上昇による変化を調べた。
・12例のPOAG(年齢66.8±6.0歳)、12例の年齢を合わせた正常者(67.1±6.2歳)、12例の若年正常者(36.1±11.7歳)で比較した。
・視神経乳頭の中央部の12枚の垂直切断面を、下眼瞼の上から眼球に垂直に眼底血圧計を押しつけて眼圧を約10mmHg上昇させる前後で測定した。
・眼圧はトノペンで測定した。
・視神経乳頭陥凹両端のBruch膜の開口部を結んだ線を基線として、前部篩状板と篩状板前の組織までの垂直距離を求めた。
・眼球圧迫前後の直線距離の差を篩板移動距離(laminar displacement:LD)、篩板前組織移動距離(prelaminar tissue displacemet:PTD)とした。
・3群での眼圧上昇量は12.4±2.3mmHgでほぼ同じであった。
・全群の平均LDは0.5±3.3μmで0からの有意な差がなく、POAG:-0.5±3.7、高齢者:0.2±2.0、若年者:2.0±3.6μm(p=0.366)。
・平均PTDは15.7±15.5μmで、全例でLDよりもPTDが大きかった。
・PTD値は、POAG:6.8±13.7、若年者20.8±17.5、若年者:19.6±11.8μmで有意差があった(p=0.045)。
・多変量解析では、LDは乳頭径に負の相関があり(p=0.007)、PTDはIOP上昇程度と相関があった(p=0.013)。
・緑内障者でも正常者でも前部篩板は急性眼圧上昇で動かなかった。
・急性の乳頭表面の変化は篩板前組織の圧縮であり、篩板の移動ではないことが分かった
Reversal of retinal ganglion cell dysfunction after surgical reduction of intraocular pressure.
Sehi M et al(FL USA)
Ophthalmology 117(12): 2329-36, 2010
・網膜神経節細胞(RGC)機能をみる非侵襲的な方法として、緑内障スクリーニングに最適化したパターンERG(PERGLA)がある。
・この方法で47例47眼(年齢は69.6±11.3歳)の緑内障手術を行う前後の機能検査を行った。
・線維柱帯切除+MMCが34眼(72%)、瀘過装置移植が13眼(28%)。
・全例、視力は20/30以下で、角膜、網膜は正常で、視野測定に信頼性のない者は除外した。
・動脈圧、視野測定、PERGLAを術前2回と術3ヶ月目で測定し、平均眼灌流圧(MOPP)も計算した。
・眼圧は術前19.7±8.6→術後10.4±4.6と有意に減少(p<0.001)、PERGLAの振幅は術前0.37±0.18μV→術後0.46±0.22と有意に増加(p=0.001)、PERGLAの位相は術前 1.81±0.22π-radian→術後 1.72±0.20と有意に減少(p=0.01)。
・MOPPは術前45.8±10.1mmHg→53.1±6.4と有意に増加(p<0.001)しており、手術による眼圧低下により、RGC機能不全が改善したことがPERGLAを用いて定量化できたと考えた。
Intraocular and systemic pharmacokinetics of triamcinoklone acetonide after a single 40-mg posterior subtenon application.
Shen L et al(China)
Ophthalmology 117(12): 2365-71, 2010
・トリアムシノロン40mg/0.4mlを後部テノン嚢下に注入した36例36眼で検討した。
・前房水、硝子体、血液を1時間後、1,3,5,10,14,21,28日後に採取(ただし、各時間毎には3~6眼が配置された)。
・TAの濃度は、前房水では24時で急速に減少し、その後、徐々に減少。
・一方、硝子体内濃度は、最初の24時間で急激に増加し、その後、徐々に減少した。
・血清中のTAは、単純な指数関数的に減少。
・TAの最高濃度は、前房と血清は1時間、硝子体では24時間であった。
・時間経過全体におけるTA暴露量は、硝子体は前房より46%多く、硝子体内のTA濃度は血清より70~98倍多かった。
Simple surgical approach with high-frequency radio-wave electrosurgery for conjunctivochalasis.
Youm DJ et al(Korea)
Ophthalmology 117(11): 2129-33, 2010
・結膜弛緩症の20例に対し、高周波ラジオ波 electrosurgical unit(Ellman Surgitron,NY)の凝固モードで下眼球結膜の凝固を行った。
・ラジオ波焼灼術(480KHz):日本では1999年より肝癌治療に利用され、2004年より保険適応
・1ヶ月後には18眼(90%)で、綺麗な結膜が得られ、3か月後にもこの18眼は結膜弛緩度が0であった。
・実施は、0.12鑷子で弛緩結膜をつまみ、細い針で結膜下を10-20発、凝固。
・結膜下に尾根ができるが、1週間で消失。
Hypothyroidism and the risk of developing open-angle glaucoma. A five-year population-based follow-up study.
Lin HC et al(Taiwan)
Ophthalmology 117(10): 1960-6, 2010
・甲状腺機能低下の診断を受けた後にOAGを発症するリスクを検討した。
・Taiwan長期健康保険データベースの1997-2001年を調査し、60歳以上で最初に甲状腺機能低下を診断された257名を抽出し、2001年までに緑内障の診断を受けていない60歳以上で甲状腺機能低下のない2056名のコントロールと比較した。
・5年間の内にOAGを発症する率は甲状腺機能低下群では7.4%、コントロール群では3.8%であり、甲状腺機能低下群ではOAG-free生存率は有意に低かった。
・年齢、性、収入、生活レベルなどを補正すると、甲状腺機能低下群では1.78倍(95%CI=1.04-3.06)緑内障を発症しやすかった。
・甲状腺機能低下の治療を受けていない人では危険率は 2.37倍(95%CI=1.10-5.09)であり、levothyroxineで治療している人では危険率は1.73(95%CI=0.89-3.38)で、有意差はなかったことから、levothroxineは緑内障発症を抑えると考えられた
Inverted internal limiting membrane flap technique for large macular holes.
Michalewska Z et al(Poland)
Ophthalmology 117(10): 2018-25, 2010
・円孔径が400μm以上の黄斑円孔を対象とし、通常の方法で空気注入した40例51眼の第1群と、inverted internal limiting membrane flap法(変法)を行った46例50眼の第2群を比較した。
・変法ではトリパンブルーで染色したILMを完全に除去するのではなく、円孔周囲に少しのILMを残し、表裏を反転させて黄斑円孔を覆い、空気置換を行った。
・術前視力は第1群で0.12、第2群では0.078で、円孔閉鎖は第1群で88%、第2群で98%であった。
・術後の露出したRPE上のflat-holeの屋根(flat-open)は第1群では19%、第2群では2%であり、12ヵ月後の視力は第1群では0.17(0.1-0.6)、第2群では0.28(0.02-0.8)であった(p=0.001)。
・大きな黄斑円孔に対してはこの変法は中心窩の形態を戻すには有効である
Diurnal intraocular pressure patterns are not repeatable in the short term in healthy individuals.
Realini T et al(WV USA)
Ophthalmology 117(9): 1700-4, 2010
・緑内障のない40名の健康者で、1週間間隔で朝8時から夕方8時までの12時間の眼圧測定を2回行い、眼圧日内変動の差を群内相関係数(ICC)を指標として検討した。
・各時間での2回の測定間の右眼のICCは0.37~0.62、左眼では0.35~0.71で、まずまずの相関。
・各時間での日内変動の眼圧差は2回の測定間で殆ど相関はなく、右眼のICCは-0.25~0.15、左眼では-0.40~0.22であり、正常者では日内変動に再現性はなかった。
The effect of α1-adrenergic receptor antagonist tamsulosin (Flomax) on iris dilator smooth muscle anatomy.
Santaella RM et al(NC USA)
Ophthalmology 117(9): 1743-9, 2010
・死亡した27患者51眼(14名の男性はタムスロシン内服の既往あり、13名の男性コントロール)で検討した
・除外例:緑内障、虹彩が関与する手術の既往、55歳未満、組織が巧く切除できなかった場合は除外したため、14名のタムスロシン群のうち、3眼は除外となった
・鼻側と耳側で、瞳孔縁部の虹彩括約筋を含まない部位を3か所測定(周辺、中央、medial:瞳孔縁に近い部位)
・糖尿病患者では、平均虹彩拡張筋厚みも、虹彩実質厚みも薄くなっていたが、偽水晶体眼では、平均虹彩厚みは誤差が大きかったが、虹彩実質厚みは有意に厚くなっていた
・平均虹彩拡張筋厚みはタムスロシン群では6.53±1.99μmでコントロール群8.50±1.61μmより有意に薄く(p=0.006)、平均23.2%薄くなっていたが、糖尿病者のみで検討すると、もっと明らかであった(タムスロシン群6.2±1.8、コントロール群8.0±1.4 p<0.001)。
・虹彩実質厚みはタムスロシン群では281.4±47.5μm、コントロール群では302.1±46.1μmで有意差なかったが(p=0.268)、偽水晶体眼のみで検討すると、タムスロシン群294.2±35.6μm、コントロール群334.3±34.2μmで有意にタムスロシン群で薄かった(p=0.005)。有水晶体眼では有意差はなかった(p=0.576)。
・タムスロシン内服期間と、虹彩拡張筋や実質の厚みには直接の関連はなかった。
Subfoveal choroidal thickness after treatment of central serous chorioretinopathy.
Maruko I et al(福島医大)
Ophthalmology 117(9): 1792-9, 2010
・EDI OCT(enhanced depth imaging spectral-domain OCT)とICG蛍光眼底検査で、20名20眼の中心性網脈絡膜症の治療後の中心窩下の脈絡膜厚を検討した。
・典型的なCSCの12眼は光凝固(LP)で治療し、慢性CSCでLPの適応でない8眼は半量のPDT治療を行った。
・全例で下液は消失した。平均脈絡膜厚はLP群では 345±127から340±124μm(4週後)で有意差がなかったが(p=0.2)、PDT群では389±106から462±124(2日後 p=0.008)と増加したが、360±100(1週間後p=0.001)、330±103(4週間後 p<0.001)と急激に減少した。
・ICGAではPDT群で透過性が減少していた。
・このことから、PDTではCSCで見られる脈絡膜血管透過性を減少させ、LPとは異なったメカニズムでCSCを軽快させるものと考えられた
High-resolution imaging of resolved central serous chorioretinopathy using adaptive optics scanning laser ophthalmoscopy.
Ooto S et al(京大)
Ophthalmology 117(9): 1800-9, 2010
・38名45眼の中心性網脈絡膜症(CSC)の治癒後と正常者20名20眼のAdaptive optics SLO(AO SLO)で得られた高解像度の像を、視力、SD OCT像と比較した。
・正常者の錐体密度は中心窩から0.2, 0.5, 1.0mm離れた場所で 67900±9120, 33320±4880, 14450±1630個/mm2であったが、CSC眼では31290±14300(p=0.009), 18760±7850(p=0.007), 9980±5040(p=0.004)と有意に少なく、2種類のモザイクパターンがあった。
・G1のCSC眼(33眼)では規則的なパターンであるが、小さな黒点があるもの、G2(12眼)では不規則なパターンで大きな黒点のあるもの。
・G1とG2を比較すると、G2では有意に平均錐体密度が低く(0.2mmの部位では、38530±8080:11360±6160)、logMARが有意に悪く(G1:-0.147 小数点視力1.40、G2:0.560 小数点視力0.28)、視力1.0以上の比率が少なかった(G1:81%, G2:17%)。(いずれも p<0.001)。
・SD OCTで、IS/OSラインや(RPEとの)中間ラインに亀裂がある症例では平均錐体密度は有意に少なかった(p<0.001)。
・0.2mmの部位の錐体密度はlogMARや中心窩厚(径1mm以内)と有意に相関があった(p<0.001)。