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Ophthalmology

2009
116巻

緑内障の篩板部のOCT検査

Ophthalmology 116巻 (2号) 2009

Three-dimensional high-speed optical coherence tomography imaging of lamina cribrosa in glaucoma.
Inoue R et al(京大)
Ophthalmology 116(2): 214-22, 2009
・30例52眼の緑内障あるいは高眼圧症患者の視神経乳頭と篩状板をスペクトラルOCTで検査し、SD-OCTで測定した篩状板の厚みと自動視野計で測定したMD値との関連を検討した。
・3D像では篩状板は後極に屈曲し、低反射の多くの円形部を持つ、高反射板として検出された。
・篩状板の厚みは190.5±52.7μ(80.5-329.0μ)であり、MD値と有意な相関があった(p<0.001)

2009
116巻

急性緑内障に対する角膜圧迫処置

Ophthalmology 116巻 (1号) 2009

Corneal indentation in the early management of acute angle closure.
Masselos K et al(Australia)
Ophthalmology 116(1): 25-9, 2009
・急性緑内障7名8眼について、角膜圧迫 corneal indentation(CI)治療を行った。
・データのある7名中6名について検討した。
・CIは1966年にForbesが発表しているが、その後、顧みられていない。
・いろいろなものを使って、角膜中心部あるいはやや周辺部を圧迫し、周辺隅角を開放する方法である。
・瞳孔縁が動くのを目安として、30秒押し30秒休む事の繰り返しを3-4回行う。
・強い痛みを訴えた4名中3名はCI後に痛みは消失。
・平均眼圧下降は20.9mmHg(+1~-45)。全例、その後にLIあるいはPEAを行った。
・点眼内服を使用せずにCIを行った3名の平均眼圧下降は21mmHg(20-23mmHg)であった。
・角膜の透明性が得られ、次の治療が可能になるCIは簡易で有効な眼圧下降手段である

2008
115巻

アバスチン併用線維柱帯切除術

Ophthalmology 115巻 (12号) 2008

Evaluation of subconjunctival bevacizumab as an adjunct to trabeculectomy. A pilot study.
Grewal DS et al(India)
Ophthalmology 115(12): 2141-5, 2008
・POAGとCACGの12名に線維柱帯切除術を行った直後に、0.05ml 1.25mgのベバシズマブを瀘過泡のすぐ横の結膜下に30G針を使用して注入した。
・6か月後、全例で緑内障薬を使用せず、眼圧はコントロールできている。アバスチンは瀘過泡消失を予防するのに有効ではないか

2008
115巻

Wisconsin Study (typeⅠDM)のその後の経過

Ophthalmology 115巻 (11号) 2008

The Wisconsin epidemiologic study of diabetic retinopathy XXII. The twenty-five-year progression of retinopathy in persons with type 1 diabetes.
Klein R et al(USA)
Ophthalmology 115(11): 1859-68, 2008
・南Wisconsin州に居住しており、30歳以前にtypeⅠ糖尿病と診断され、1980-1982年に行われたbaseline検査に参加し、4, 10, 14, 25年目の検査を少なくとも1回は受けたか、あるいは4年目の第1回目の検査前に死亡(n=64)した、インスリンを使用している955名を対象とした。
・眼底写真はAirlie House分類変法とETDRS重症度で判定した。
・DRが25年間の累積で進行したものは83%、PDRまで進行したものは42%、DRの改善は18%。
・DRの進行は、DRが軽症であった者、男性、グリコヘモグロビンがより高いもの、グリコヘモグロビンレベルが上昇したもの、baselineから4年後の検査で拡張期血圧が上昇したものでみられた。
・PDR発症のリスクは、グリコヘモグロビンがより高いもの、収縮期血圧が高いもの、蛋白尿、baselineでBody Mass Indexが大きいもの、baselineから4年後の検査でグリコヘモグロビンが上昇したもので高くなっていた。
・DRの改善は、グリコヘモグロビンが低いもの、男性、baselineから4年後の検査でグリコヘモグロビンと拡張器血圧が低下したものでみられた。
・同じような糖尿病の罹患期間であっても、診断からの期間が短い方が、グリコヘモグロビンレベル、血圧、蛋白尿とは無関係に、PDRになりにくかった。これは、DM治療の進歩によると思われる

2008
115巻

夜間視症状とAMDの進展

Ophthalmology 115巻 (11号) 2008

Night vision symptoms and progression of age-related macular degeneration in the complications of age-related macular degeneration prevention trial.
Ying G et al(USA)
Ophthalmology 115(11): 1876-82, 2008
・両眼とも視力0.5以上で、10個以上の、125μを超える大きなドルーゼンのある1052例で、baselineの夜間視アンケート結果と、約6年後の視力の3段階以上の低下、CNV、geographic atrophy(GA)について検討した。
・片眼を光凝固、他眼を経過観察とした。
・10項目の夜間視アンケートは National Eye Instituteのものを基礎とした NVQ-10を用い、0から100まで程度分類した(100:訴えなし)。
・NVQ-10の結果は3-100(平均70)であり、夜間視が良好な1/4と、不良な1/4で比較した。
・夜間不良群では、視力が3段階以上低下するリスク(odd ratio)は経過観察眼では2.85(95%CI 1.85-4.39)、光凝固眼では 2.00(1.27-3.14)。
・GAの悪化は、観察眼では 4.18(1.80-9.68)、光凝固眼では 2.59(1.13-5.95)。
・CNVの発現は、観察眼では 1.99(1.12-3.54)、光凝固眼では 1.33(0.81-2.19)であった

2008
115巻

AMDに対するアバスチン後の眼内炎

Ophthalmology 115巻 (11号) 2008

Acute intraocular inflammation after intravitreous injections of bevacizumab for treatment of neovascular age-related macular degeneration.
Wickremasinghe SS et al(Australia)
Ophthalmology 115(11): 1911-5, 2008
・Australiaの2つの州で行われたAMDに対するbevacizumabの硝子体内注射後の急性眼内炎についてretrospectiveに検討した。
・12ヶ月間に1278回の注射に対し、19眼に急性眼内炎を発症。5眼は細菌性眼内炎。14眼(女11,男3)は無菌性眼内炎であった。
・以下は14眼についての検討。
・年齢83.7歳(74-98)。以前の注射回数は 2.7(1-6)回。
・多くは24時間以内に急激な視力低下で発症したが、不快感は少なかった。
・前眼部、後眼部に炎症サインがあったが、ステロイド局所治療で、7-25日で注射前の視力まで改善した

2008
115巻

Adaptive Opticsカメラの有用性

Ophthalmology 115巻 (10号) 2008

Adaptive optics fundus camera to examine localized changes in the photoreceptor layer of the fovea.
Kitaguchi Y et al(阪大)
Ophthalmology 115(10): 1771-7, 2008
・中心窩にdark spotsを示す3例3眼で、高分解能 adaptive optics(AO)眼底カメラとFourier-domain(FD) OCTを行った。
・この3例は、従来型の眼底カメラでは異常がみつからず、変視症を訴えていた。
・FAも正常であったが、AOカメラでは視細胞外節の欠損や配列異常が、FD OCTでの異常部位と一致して検出された。
・AO画像での障害範囲は、400×200, 300×120, 300×200μmで、FD-OCTでの視細胞外節の障害範囲はそれぞれ、330×150, 280×100, 200×150μmとよく一致していた

2008
115巻

糖尿病黄斑症に対するケナコルト治療と光凝固治療

Ophthalmology 115巻 (9号) 2008

A randomized trial comparing intravitreal triamcinolone acetonide and focal/grid photocoagulation for diabetic macular edema.
DRCR Diabetic Retinopathy Clinical Research Network(USA)
Ophthalmology 115(9): 1147-59, 2008
・DMEに対して、防腐剤の含まれないトリアムシノロンの硝子体内注入(1mg, 4mg)とfocal/grid光凝固の効果を比較
・対象は中心窩を含んだDMEで、視力が20/40~20/320の693例840眼である。
・光凝固群を320眼、1mgトリアムシノロン群を256眼、4mgトリアムシノロン群を254眼にランダムに分けた。
・再治療の判定は4カ月後に浮腫が不変あるいは新しく浮腫がでた時とした。
・ETDRS視力、OCT、副作用発現で効果判定をした。
・4カ月後の平均視力は4mgトリアムシノロン群が、光凝固群(p<0.001)、1mg群(p=0.001)より有意に良かった。
・1年後の視力は全群で有意差がなかったが、2年後には光凝固群が視力が良かった。1mg群(p=0.02)、4mg群(p=0.002)、1mgと4mg群(p=0.49)。
・視力の差は白内障形成によるものではなく、OCT結果も視力と一般的には相似していた。
・光凝固、1mg群、4mg群で、10mmHg以上の眼圧上昇が一度でもあったものは、4%、16%、33%であり、白内障手術は 13%、23%、51%で行った

2008
115巻

糖尿病黄斑症に対する光凝固治療の見直し

Ophthalmology 115巻 (9号) 2008

A new look at an old treatment for diabetic macular edema(Editorial)
Schachat AP(OH USA)
Ophthalmology 115(9): 1445-6, 2008
・DMEに光凝固治療を行うと、将来の視力障害のリスクを半分にすることができるが、視力改善の得られるのは10%程度であることがETDRSの結論である。
・過去のETDRSの様な光凝固治療の効果につき、DRCRが再検討を行った
・2年間の経過観察では、focal/grid光凝固はDMEに対してステロイド硝子体内注入より効果があり、副作用も少ない。
・4ヶ月まではステロイド群は光凝固群より良いが、16か月から2年後には光凝固群の方が視力がよくなっている。
・ETDRSの結果よりもDRCRの方が良いのは、手技をETDRSに学んだからであろう。
・1985年のETDRSよりも、DRCRでは凝固パワーを弱くしていることと、良くなりそうな患者を選択:血糖や血圧コントロールなど。
・対象患者の選択も違っている。ETDRSの患者選択では70 ETDRS letter(約20/40)以下の人は114眼、それ以上の視力の人が640眼(85%)であった。
・ETDRSでも視力0.5以下の人だけ取れば、3年後には40%の人が視力改善していた。
・過去の治療(局所光凝固)は視力を0.5以下に限れば、見直すべきものである

2008
115巻

乾性加齢黄斑変性症の視力予後の予測

Ophthalmology 115巻 (9号) 2008

Low luminance visual dysfunction as a predictor of subsequent visual acuity loss from geographic atrophy in age-related macular degeneration.
Sunness JS et al(MA USA)
Ophthalmology 115(9): 1480-8, 2008
・低照度での視機能不良でAMDによる地図状委縮(GA)患者の将来の視力予想ができるかどうかを検討した。
・脈絡膜新生血管のないAMDによるGAを少なくとも片眼にもつ患者91例を2年間経過観察した。
・BCVA、低輝度VA(2.0-logのneutral density filter装着下)、コントラスト感度、読み速度、中心10.2mm2以内のGA面積などを検討した。
・視力表示例:通常のETDRS視力が0.3-logMAR(20/40)で、低照度視力が 1.0-logMAR(20/200)であれば、1.0-0.3=0.7 logMAR、すなわち、ETDRSチャートでの7ラインとした。
・ベースライン視力が20/50以上の人は、40%が2年間で視力が3ライン以上さがったが、それ以下の視力の人では13%。
・ベースラインでの低輝度での低視力(low-luminance deficit:LLD)は視力悪化の強い予測因子であった。
・視力20/50以上群で3ラインの視力の低下は、LLDの悪い群は良い群に比して、relative risk(RR)が 2.88(95%CI=1.13-7.35)
・ベースライン視力の良い群で、そのほかの将来の視力低下を予測する因子は、中心窩暗順応感度(RR=4.20 95%CI=1.39-12.71)、読み速度(RR=2.43 95%CI=1.11-5.31)
・視力の良い群で視力低下率は、中心10.2mm2内にGAが25%-75%のものでは、25%以下あるいは75%以上のものより高かった。
・年齢、性、他眼の状況、他眼視力、GA面積、GA拡大量などは予測因子ではなかった。

2008
115巻

中心角膜厚の年次変化

Ophthalmology 115巻 (9号) 2008

Changes in central corneal thickness over time. The ocular hypertension treatment study.
Brandt JD et al(CA USA)
Ophthalmology 115(9): 1550-6, 2008
・中心角膜厚が平均 3.8年で変わるかどうかを Ocular Hypertension Treatment Studyの参加者 1,636名中1,191名(73%)を用いて検討した。
・CCTは -0.74±3.5μm/年で薄くなっていた。
・無治療群(n=595)では、2回の測定間の平均治療年数は1.1±1.6年で、治療群(n=596)では 5.0±2.7年
・無治療群でのCCT変化は 1.0±3.4μm/年で、治療群では 0.5±3.5μm/年で、有意差があった(p<0.0001)。
・プロスタグランディン点眼薬だけで治療した群(571.1→566.0μm)はβブロッカー点眼薬だけで治療した群(574.0→572.5μm)より年間の薄くなる量が多かった。

2008
115巻

手術眼と点眼群とで、飲水試験後の眼圧上昇に差があるか

Ophthalmology 115巻 (9号) 2008

Medically controlled glaucoma patients show greater increase in intraocular pressure than surgically controlled patients wih the water drinking test.
Danesh-Meyer HV et al(New Zealand)
Ophthalmology 115(9): 1566-70, 2008
・線維柱帯切除(MMC使用)後に眼圧のコントロールできた30眼と、薬剤でコントロールできている30眼で、視野障害レベル、眼圧(7-14mmHg)をマッチさせて検討した。
・続発緑内障、PE症候群、LTP既往者、SLT既往者、ダイアモックス内服者は除外した。
・15分間で1000mlの飲水試験を行った。
・線維柱帯切除眼では 10.4±2.3→10.7±2.3(直後)→11.7±2.6(最大)
・薬剤治療眼 11.1±1.8→14.6±2.2(直後)→17.3±2.7(最大)で、最大値で有意差があった。
・12.5%上昇と56%上昇(p<0.0001)

2008
115巻

小児の生活様式と近視の発生

Ophthalmology 115巻 (8号) 2008

Outdoor activity reduces the prevalence of myopia in children.
Rose KA et al(Australia)
Ophthalmology 115(8): 1279-85, 2008
・Sydneyの小学校51校から2学年で調査。1765名(6歳児小学1年)と2367名(12歳児7年生)について、2003-2005年に調査した(Sydney Myopia Study)。
・サイプレ屈折も行った。近視とは球面平均SEが-0.5D以上とした。
・両親と児童の両者に活動性についての質問を行った。
・6歳児では、戸外活動(スポーツやレジャー)と屈折度の間には関連はなかった。
・12歳児では戸外活動が多い者はより遠視で、近視傾向は少なかった。
・12歳児での分類は、1日の時間数を戸外活動は低群:1.6hrs未満、中群:2.8hrs以下、高群:2.8hrs超える、近業は低群:2.0hrs未満、中群:3.1hrs以下、高群:3.1hrsを超えるとした。
・12歳児では、近業が高群で戸外活動が低群のものは、遠視が最も少なかったが(+0.27D 95%CI=0.02-0.52)、近業が低群で戸外活動が高群のものは、遠視が最も多かった(+0.56D 95%CI=0.38-0.75)。
・戸外活動が多いほど、近視が有意に少なかった

2008
115巻

POAGで治療を受けていない人の比率

Ophthalmology 115巻 (8号) 2008

Rates of glaucoma medication utilization among persons with primary open-angle glaucoma, 1992 to 2002
Stein JD et al(MI USA)
Ophthalmology 115(8): 1315-9, 2008
・Medicareを受給している65歳以上のPOAG(1992-2002年、6446名)で、治療を受けている比率を検討。
・1992-2002年の平均では、POAGと診断されて薬剤あるいは手術治療を受けていない人は 27.4%であり、毎年、3%(OR=1.03 95%CI=1.02-1.05)づつ上昇していた。
・Medicaid受給者ではPOAG治療は43%受けない傾向があった(OR=1.43 95%CI=1.20-17.0)。
・Hispanics(OR=1.29 95%CI=1.002-1.65)、Asians(OR=1.94 95%CI=1.05-3.59)、大都市在住者(OR=1.14 95%CI=1.01-1.30)が治療を受けていなかった

2008
115巻

進行緑内障における視野進行と眼圧変動との関連

Ophthalmology 115巻 (7号) 2008

Intraocular pressure fluctuation. A risk factor for visual field progression at low intraocular pressures in the advanced glaucoma intervention study.
Caprioli J et al(CA USA)
Ophthalmology 115(7): 1123-9, 2008
・Advanced Glaucoma Intervention Study(AGIS)に登録された患者で、複数回の手術を受けた眼は除外した301例301眼を対象に、眼圧の変動と平均眼圧が視野の進行に影響するかどうかを検討した。
・全例、reference VF scoreが16以下、最低3年間の経過観察(平均7.2±2.2年)、最低7回の信頼値2以下の視野測定結果があり、1回だけ手術(線維柱帯切除169眼 or ALT 132眼)を受けているものとした。
・平均年齢64.6±9.7歳で、最終の経過観察期間までの、すべての眼圧測定値の標準偏差とした。
・78眼(26%)で視野の進行があった。
・平均眼圧が低い群では眼圧変動は有意に視野進行に関連していたが(p=0.002)、平均眼圧が高い群ではそうではなかった(p=0.2)。
・平均眼圧が低い群(n=100)では22%、高い群では29%で視野進行(p=0.26)

2008
115巻

急性緑内障発作眼に対するPEAとLPIとの比較

Ophthalmology 115巻 (7号) 2008

Randomized trial of early phacoemulsification versus peripheral iridotomy to prevent intraocular pressure rise after acute primary angle closure.
Lam DSC et al(China)
Ophthalmology 115(7): 1134-40, 2008
・62例62眼の急性緑内障発作眼で、無作為に水晶体超音波乳化吸引、あるいはLPIを施行。
・術後1日、1週間、1,3,6,12,18ヵ月の経過観察。
・LPI群では3,6,12,18ヶ月後に眼圧上昇(>21mmHg)のみられた眼は 16.1%, 32.3%, 41.9%, 46.7%であったが、超音波乳化吸引群では経過観察中に1眼(3.2%)、見られただけであった(P<0.0001)。
・LPI治療は眼圧上昇を有意に引き起こした(Hazard ratio HR=14.9, 95%CI=1.9-114.2, p=0.009)、殊に眼圧55mmHg以上はリスクファクターであった。
・18か月目で眼圧を21以下にするために使用した点眼薬数は、LPI群 0.90±1.14、乳化吸引群 0.03±0.18で有意(P<0.001)。
・眼圧はLPI群 15.0±3.4、乳化吸引群 12.6±1.9で優位差(p=0.009)。
・隅角開放 Shaffer分類はLPI群0.73±0.64、乳化吸引群 2.10±0.76で有意差(p<0.0001)。

2008
115巻

POAGでは脳脊髄圧は低下していた!

Ophthalmology 115巻 (5号) 2008

Cerebrospinal fluid pressure is decreased in primary open-angle glaucoma.
Berdahl JP et al(NC USA)
Ophthalmology 115(5): 763-8, 2008
・1996-2007に腰椎穿刺を行った31,786名の中で、POAGの28名とコントロールの49名を比較した。
・POAGはQuigleyの視野分類(0-8)で、3の軽度障害以上の視野障害のあるものを選択した。
・CSF圧はコントロール群では 13.0±4.2mmHgで、POAG群では 9.2±2.9mmHgであり、33%低くなっていた(p<0.00005)。
・直線回帰分析では、C/D比は、IOP(R2=0.321 p<0.0001)、CSF圧(R2=0.155 p<0.0001)、translaminar圧差=IOP-CSF圧(R2=0.399 p<0.0001)と独立して相関があった。
・多変量解析では、C/D比が大きいほどCSF圧が低くなっていた(p<0.001)。
・CSF圧はPOAGの病態に重要な役割を果たしているだろう
・視神経は前方の眼内圧 10-21mmHgと、後方のクモ膜下腔の脳脊髄液CSF圧 5-15mmHgに暴露されており、この2つの領域を分離する組織が篩状板である
・2つの圧差で、後方圧が高くなれば視神経乳頭が腫れ、前方圧が高くなれば視神経乳頭陥凹が発生する。

2008
115巻

狭隅角眼に対する隅角鏡と前眼部OCTでの診断の違い

Ophthalmology 115巻 (5号) 2008

Comparison of gonioscopy and anterior segment ocular coherence tomography in detecting angle closure in different quadrants of the anterior chamber angle.
Lisandro M et al(Singapore)
Ophthalmology 115(5): 769-74, 2008
・502名の眼科既往のない50歳以上の人に暗所で隅角鏡と前眼部OCT検査を行った。
・隅角鏡で後部線維柱帯が見えなければ、隅角は閉鎖していると判断し、前眼部OCTでは強膜峡前で虹彩が少しでも接触していれば隅角閉鎖と判断した。
・前眼部OCTでは、少なくとも1象限で閉塞している人は59%、隅角鏡では33%でみられた(p<0.001で有意差あり)。
・OCTと隅角鏡での隅角閉鎖は上方では 48%と29%、下方では43%と22%、鼻側では18%と14%、耳側では12%と20%であった

2008
115巻

近視は生下時の季節に影響されるか

Ophthalmology 115巻 (4号) 2008

Season of birth, natural light, and myopia.
Mandel Y et al(Israel)
Ophthalmology 115(4): 686-92, 2008
・小児の近視に、生下時の季節と日照時間が関連しているかどうかを検討。
・イスラエルで生まれ、イスラエル軍に徴兵された16歳から22歳の若者 276,911名(男157,663、女119,248名)で、2000-2004年の5年間で調査した。
・オートレフ未散瞳下でoptometristが調べた。
・右眼の球面等価で、軽度(-0.75~-2.99D)、中等度(-3.0~-5.99D)、高度(-6.0D以上)とした
・生下時の日照時間は4段階に分けた(A=10.1~10.8、B=~12.2、C=~13.57、D=~14.23時間)。
・近視者は、軽度18.8%、中等度8.7%、高度2.4%であったが、生下時の月でみると、近視は6月7月で多く、12月1月で少なかった。
・中等度、高度近視では日照時間は有意差があった。
・高度近視では、最長のDでは、Aに比して有意に多かった(OD=1.24, 95%CI=1.16-1.33, p<0.001)CでもAに比し有意に多かった(OD=1.11 p=0.004)。
・中等度近視では、D、Cで有意差あり(OD=1.08 p<0.001とOD=1.06 p=0.002)、軽度近視では、Dで有意差あり(OD=1.03 p=0.033)。
・そのほか、高度から軽度近視まで女性(OD=1.14~1.25 P<0.001)、12歳以上の者はそれ以下に比して(OD=1.32~1.91)、父親の出身地で西洋、米国、太平洋、アジア、アフリカ地区はイスラエルよりも優位に多かった(OD=1.27~1.41 p<0.001)

2008
115巻

落屑症候群における聴覚障害

Ophthalmology 115巻 (3号) 2008

Sensorineural hearing loss in pseudoexfoliation syndrome.
Yazdani S et al(Iran)
Ophthalmology 115(3): 425-9, 2008
・落屑症候群と年齢、性を一致させたコントロール群、それぞれ83例(男60例、女23例、69±8歳)で検査
・1,2,3キロヘルツ波長での聴力を検査した。
・PE群では88.4%の耳で、コントロール群では53.6%の耳で聴力が低下していた(p<0.001 OR:66.9 95%CI=3.49-11.79)。
・片方あるいは両方の聴力が落ちていたのは、PE群では78例(94.0%)、コントロール群では58例(69.9%)であった(p<0.001 OR:6.72 95%CI=2.42-18.62)。
・聴覚閾値もPE群で優位に上昇していた。緑内障の併発と聴力低下とは関連がなかった。
・落屑症侯群では多臓器に障害を起こしていることを支持する所見である

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