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Ophthalmology

2017
124巻

円錐角膜に対する角膜クロスリンキングの効果

Ophthalmology 124巻 (9号) 2017

United States multicenter clinical trial of corneal collagen crosslinking for keratoconus treatment.
Hersh PS et al(NJ USA)
Ophthalmology 124(9): 1259-1270, 2017
・進行性の円錐角膜205眼を、通常のCXL群とriboflavinだけのCtrl群に分けて検討した。
・1年後の角膜形状変化を第1の効果判断基準とした。
・第2の効果判断基準は遠見矯正視力CDVA、遠見裸眼視力UDVA、球面透過度数、角膜内皮細胞数などである。
・CXL群では最大曲率半径が1年間で1.6D減少したが、Ctrl群では進行した。
・最大角膜曲率半径はCXL群では28眼(31.4%)で2.0D以上減り、5眼(5.6%)で2.0D以上増加した。
・CDVAはCXL群で平均5.7logMAR改善した。
・10logMAR以上改善は23眼(27.7%)、悪化は5眼(6%)。
・角膜クロスリンキングは有効で安全な治療である。(TY)

2017
124巻

Outer retinal tubulationの形成過程

Ophthalmology 124巻 (9号) 2017

The evolution of outer retinal tubulation, a neurodegeneration and gliosis prominent in macular diseases.
Dolz-Marco R et al(NY USA)
Ophthalmology 124(9): 1353-1367, 2017
・SD-OCTで最初は見られなかったouter retinal tubulation(ORT)の発生が確認できた網膜外層障害とRPE萎縮のみられた症例を検討した。
・86例170眼のORTうち、30例38眼、平均年齢78.87歳(56-96歳)で発生が確認できた。
・23眼(60%)はAMD後の地図状萎縮で、2眼(5%)はpattern dystrophy後の地図状萎縮、12眼((32%)は新生血管AMD、1眼(3%)は弾性線維性仮性黄色腫に伴う新生血管であった。
・網膜の73ヶ所(1434画像)を平均69.5ヶ月(21-93ヶ月)経過観察した。
・73個の辺縁の内、34個(47%)は平坦なELM下降があり、47個(64%)は屈曲したELM、37個(51%)は降り返したELM、24個(33%)は巻き込んだELMであった。
・81個のORTの内、73個(90%)は閉鎖しており、8個(10%)が開放していた。
・ORTが形成される期間は14.9ヶ月(1.4-71.3ヶ月)であった。(TY)

2017
124巻

篩板の深度は強膜前部を基準とすべきである

Ophthalmology 124巻 (9号) 2017

Serial changes in lamina cribrosa depth and neuroretinal parameters in glaucoma. Impact of choroidal thickness.
Vianna JR et al(Canada)
Ophthalmology 124(9): 1392-1402, 2017
・緑内障のパラメータとして篩板の深度の変化はよく起こっているものなのか、また、篩板の深度を測定する時にブルッフ膜あるいは強膜前部は基準点として使用できるものなのかを、155名の緑内障患者と35名の正常Ctrlについて、平均3.9年(2.03-5.44年)の経過で検討した。
・篩板前部の深さを、ブルッフ膜から(LD-BM)あるいは前部強膜から(LD-AS)測定した。
・このほかに最小リム幅、網膜神経線維厚、周乳頭脈絡膜厚を測定した。
・正常な加齢は篩板の深さには影響しないが、神経網膜パラメータには影響するため、加齢効果で調整した。
・LD-BMはLD-ASの影響(0.15μm/μm 95%CI=0.,08-0.22)よりも脈絡膜厚の影響(1.14μm/μm 95% CI=1.07-1.21)の影響を強く受けていた。
・篩板の後方移動(LD-BMやLD-ASの増大)は神経網膜パラメータの菲薄化と同じ頻度で発生していた。
・篩板の前方移動は基準点を前部強膜(LD-AS減)とした時より、ブルッフ膜(LD-BM減)とした時の方がより頻繁に見つかった(Hazard Ratio=3.23 p<0.01)。
・周乳頭脈絡膜厚の菲薄化は篩板がブルッフ膜に対して前方移動(LD-BM減)した多くの患者で見られたが(25/28 89%)、前部強膜を基準とした時(LD-AS減)には見られなかった。
・緑内障患者でみられる篩板の深さの変化は、脈絡膜厚の影響を減らすために、前部強膜から測定すべきである。(TY)

2017
124巻

緑内障での乳頭縁出血とRNFLの菲薄化

Ophthalmology 124巻 (9号) 2017

Rates of local retinal nerve fiber layer thinning before and after disc hemorrhage in glaucoma.
Akagi T et al(CA USA)
Ophthalmology 124(9): 1403-1411, 2017
・経過観察中にDHを発症した33例36眼について、視神経乳頭出血(DH)と網膜神経線維層(RNFL)の菲薄化を長期的に観察した。
・RNFLはDH部に対応して、1/4周ごとに分けて検討した。
・RNFL菲薄化は非DH部(-0.69μ/年)よりもDH部(-2.25μ/年)で早かった(p<0.001)。
・DH後に強力な治療を行った18眼では、DH後の非DH部の平均のRNFL菲薄化(-0.31)は治療前のRNFL菲薄化(-2.89)よりも有意に遅くなったが(p<0.001)、DH部では(DH後-2.12、治療前-2.64)有意差はなかった(p=0.19)。
・DH後に治療を変更しなかった18眼では、DM部のRNFL菲薄化は(DH後-2.38、DH前-1.38)、DH後に有意に早くなっていた(p=0.008)。RNFL全体の菲薄化スピードは、治療未変更群では-0.28と菲薄化は進行したが、強力治療群では+0.78と菲薄化スピードが遅くなっていた(p=0.004)。(TY)

2017
124巻

トーリックIOLの再調整の頻度と適切な時期

Ophthalmology 124巻 (8号) 2017

Incidence and Outcomes of Repositioning Surgery to Correct Misalignment of Toric Intraocular Lenses.
Oshika T, Inamura M, Inoue Y, Ohashi T, Sugita T, Fujita Y, Miyata K, Nakano S.(筑波大ほか)
Ophthalmology. 2017 Aug 18. [Epub ahead of print]

・8施設でトーリックアクリルIOLを挿入された6431眼をretrospectiveに調査
・42眼(0.953%)で軸ずれに対する整復手術を受けた(初回手術より0-30、平均9.9±7.5日後)
・整復手術により軸ずれ角は有意に減少(32.9±15.7°→ 8.8±9.7°, p<0.001)し、乱視度数も有意に減少(2.4±1.1D→ 1.1±0.8D, p<0.001)した
・初回手術から整復手術までの期間と残余IOL軸ずれ角とは負の相関を示し(r=-0.439, p<0.001)、6日以内の再手術では残余IOL軸ずれ角が13.1±13.5°であったのに対し、7日以降の再手術では6.3±5.9°と有意に軽度(p<0.001)
【結論】トーリックIOL挿入術の0.653%で再整復手術が施行された。再整復の手術は術後1w以降に行うのが望ましい(MK)

2017
124巻

バンコマイシンによる出血性閉塞性網膜血管炎

Ophthalmology 124巻 (5号) 2017

Vancomycin-associated hemorrhagic occlusive retinal vasculitis.
Witkin AJ et al(CA USA)
Ophthalmology 124(5): 583-595, 2017
・ASCRS(Cat & Refract)とASRS(Retina)が合同で、バンコマイシン投与後に発生した出血性閉塞性網膜血管炎HORVの臨床所見や発症率、予後などについてon-lineで登録調査し、23例36眼について検討した。
・33/36眼は前房内投与、1/36眼は硝子体内投与、2/36眼は潅流液内投与である。
・視力予後は悪く、22/36眼(61%)は20/200以下、8/36眼(22%)は光覚を消失した。
・新生血管緑内障は20/36眼(56%)で発生した。
・7眼では術後にバンコマイシンの追加の硝子体内注射を受けていた。
・HORVは遅延性のバンコマイシンに対する過剰反応が原因と考えられる。
・HORVと考えられたらバンコマイシンを追加投与しないことも重要である(TY)

2017
124巻

白内障術後の高眼圧にたいする予防的アセタゾラミド内服の効果

Ophthalmology 124巻 (5号) 2017

Prophylactic effect of oral acetazolamide against intraocular pressure elevation after cataract surgery in eyes with glaucoma.
Hayashi K et al(福岡)
Ophthalmology 124(5): 701-708, 2017
・白内障術後後の眼圧上昇に対するアセタゾラミド内服の効果を検討した。
・症例は2回の測定で眼圧はいずれも21mmHg以下にコントロールされているPOAGで、落屑症候群や眼手術既往、炎症既往眼など、全て除外した90眼の症例である。
・この90眼を無作為に3群に分けて検討した。
・G1:500mgを手術1時間前に内服、G2:500mgを手術後3時間で内服、G3:内服なし。
・手術直後の眼圧は15から25mmHgとして終了している。
・眼圧測定はIcareを用いて、術前1時間、術後1,3,5,7,24時間で測定した。
・全群で平均眼圧は3-7時間後に上昇し、その後24時間後には低下していた。
・G1では術後1(13.99),3時間(16.36)で、他の2群より有意に眼圧は低かった(p<0.004)。
・術後5,7,24時間では、G1とG2はG3(20.46,20.46,16.16)よりも有意に低かった(p<0.03)。
・POAGでは術後3-7時間で一過性に眼圧は上昇するが、G1群では術後1-24時間の眼圧を低下させ、G2群では術後5時間以降の眼圧を低下させることが分った(TY)

2017
124巻

強度近視眼の3D眼球形状

Ophthalmology 124巻 (5号) 2017

 Three-Dimensional Eye Shape, Myopic Maculopathy, and Visual Acuity: The Zhongshan Ophthalmic Center-Brien Holden Vision Institute High MyopiaCohort Study.
Guo X, Xiao O, Chen Y, Wu H, Chen L, Morgan IG, He M.(China)
Ophthalmology. 2017 May;124(5):679-687. 
・-6D以下の強度近視95例190眼、視力と眼底所見、MRIによる3D眼球形状とを比較
・屈折の等価球面度数-11.74±4.10D、眼軸長28.18±1.73mm
・69名(72.6%)で左右眼が同じ形状
・眼球形状は球状(53.7%)が最も多く、次いで円錐形と鼻側突出(ともに14.7%)、楕円状・耳側突出・樽形は頻度すくない
・C2(diffuse chorioretinal atrophy)以上の近視性黄斑症は樽形の100%、耳側突出の75%、鼻側突出および円錐形の71.4%でみられた
・後部ぶどう腫(+)の22眼のうち18眼(81.8%)でC2以上の黄斑症、後部ぶどう腫(-)の73眼ではC2以上が40眼(54.8%)であった
・耳側突出・鼻側突出の形状、および後部ぶどう腫(-)の眼で視力不良(20/40未満)が多かった
【結論】強度近視眼の多くは形状異常がみられず、球状の形状が最も多かった
樽形と耳側突出形の形状で近視性黄斑症の程度が強く、後部ぶどう腫を持つものはさらに重い黄斑萎縮がみられた(MK)

2017
124巻

DMEK後の免疫反応と臨床経過

Ophthalmology 124巻 (4号) 2017

 Incidence and Clinical Course of Immune Reactions after Descemet Membrane Endothelial Keratoplasty
Retrospective Analysis of 1000 Consecutive Eyes
Deniz Hos, et al. (Germany)
Ophthalmology 2017(4);124:512-518
目的:多数のDMEK後の拒絶反応の発生率と臨床経過について調査した。
対象と方法:2011年1月から2015年8月までの連続1000例のDMEK症例の術後経過を検討した。(フックス角膜内皮変性症803眼、偽水晶体眼水疱性角膜症85眼、先天性遺伝性角膜ジストロフィー28眼、PE 5眼、DMEK、DSAEK、PK後の移植不全または拒絶反応 79眼)
白内障のある症例は同時手術を行った。DMEK単独632例、同時手術368例
術後のステロイド点眼(1%プレドニゾロン)は、2014年4月以前は術後1週間1日5回、その後1ヶ月毎に1回ずつ減らし、術後1年まで1日1回使用した。
2014年4月以後は、術後1週間は1時間毎、その後1日5回から1ヶ月毎に1回ずつ減らし、術後1年まで1日1回使用した。
結果:1000眼中経過観察できたのは905眼、平均経過観察期間 18.5±11.8ヶ月。
拒絶反応が起きたのは12眼(DMEK単独6例、同時手術6例)。
12眼中9眼がステロイド点眼を中止していた。5眼は霧視、羞明、不快感などの症状があった。検眼所見ではdiffuseなKPを認めた。DMEKから拒絶反応までの平均期間11.7ヶ月。
2眼が移植片不全になった。
拒絶反応が起きたらステロイド点眼を30分毎3日間、1時間毎1週間、1日6回1週間、その後1週間毎に1回ずつ減らし、その後1年後まで1日1回使用した。
視力 拒絶反応前0.27 ±0.28 logMAR、拒絶反応後0.21 ±0.15 logMARと大きな変化はなかった。
ECD 拒絶反応前1741 ±274.5 cells/ mm2、拒絶反応3ヶ月後1356±380.3 cells/mm2 [P = 0.04] 、1年後 1290±359.0 cells/mm2 [P = 0.01]と有意に減少した。
結論:DMEKは拒絶反応のリスクは低い。さらに再移植の必要性も低い。
拒絶反応後、ステロイド点眼治療を強化することで視力は安定するが、ECDは減少した。DMEK後はステロイド点眼の長期間使用する事が望ましい。(CH)

2017
124巻

非動脈性前部虚血性視神経症患者で糖尿病の有無での視力結果の違い

Ophthalmology 124巻 (4号) 2017

 Comparison of Visual Outcomes of Nonarteritic Anterior Ischemic Optic Neuropathy in Patients with and without Diabetes Mellitus
Srilakshmi Sharma, et al. (MD, USA)
Ophthalmology 2017(4);124:450-455
目的:スルホニル尿素誘導体のような、糖尿病を治療するために使われる薬が動物モデルで神経保護効果を持つと報告があった。そのため、NAIONの患者で糖尿病の有無で視力結果を比較検討した。
対象と方法:症状が出てから4週間以内の患者92人(糖尿病あり30人、なし62人)を比較検討した。
糖尿病ありでの平均HbA1c 6.9%。両眼性が各グループ1人ずつ。
11人は経過観察期間が3か月以下だったため、ベースラインには含められたが、最終結果には含まれていない。
経過中、全例ステロイドの内服、点滴治療は受けていない。
両グループとも虚血性心疾患の有病率が高かった。
結果:視力 両グループで有意差はなかった。
治療前0.5 logMAR以上の視力があったのはDMあり 63.3%、DMなし 72.6%。
6ヶ月後、1.0 logMAR以下になったのはDMあり 30.4%、DMなし 16.7%。
最終受診時、20/40より良い視力だったのはDMあり48%、DMなし62%だった。
虚血性心疾患(odds ratio [OR], 7.21; P < 0.001)と高齢(OR, 1.05; P = 0.045)が最終視力20/200以下と関連していた。
NAIONのリスク要因は、DMありでは高血圧(83.3%)、高脂血症(83.3%)と小さいC/D比(63.3%)、DMなしでは高脂血症(62.9%)だった。
結論:DMありのNAION患者での治療前と最終視力結果はDMなしと相違なかった。
虚血性心疾患と高齢が視力予後不良のリスク要因かもしれない。(CH)

2017
124巻

ドナー角膜の真菌汚染

Ophthalmology 124巻 (1号) 2017

Incidence and outcome of positive donor corneoscleral rim fungal cultures after keratoplasty.
Vislisel JM et al(IA USA)
Ophthalmology 124(1): 36-42, 2017
・角膜移植後の強角膜片縁の真菌培養陽性率とこの角膜片を使用した人の予後について20年間の結果を検討した。
・3414例中71例(2.1%)で強角膜片縁の真菌培養が陽性であった。
・最初の15年間(5年毎に1.82%, 1.33%, 1.80%)に比較して、最後の5年(2.93%)は真菌培養陽性率が有意に高かった(p=0.018)。
・40例(56.3%)でCandidaが検出され、4例(5.6%)で真菌性角膜炎を発症し、全例、手術治療が必要であったが、眼内炎を発症した例はなかった。
・角膜片の培養陽性が判明した時点で予防的な治療を開始したことで、角膜炎の発症を1.58%から1.9%に減らす事ができた(p=0.056)。(TY)

2016
123巻

緑内障眼における視神経乳頭周囲のOCT-A

Ophthalmology 123巻 (12号) 2016

Relationship between optical coherence tomography angiography vessel density and sevferity of visual field loss in glaucoma.
Yarmohammadi A et al(CA USA)
Ophthalmology 123(12): 2498-2508, 2016
・POAG患者でOCT-A(Optovue)で測定した血管濃度と、静的視野欠損の重症度を調査した。
・31名の健者、48名の緑内障疑者、74名のPOAG者の計153例で行った。
・RNFL内での2つの測定結果を使用した。
1)視神経乳頭周囲の750μ幅の楕円環内の乳頭周囲血管濃度cpVD(circumpapillary vessel density)
2)4.5mm角の全画像内の血管濃度wiVD(whole-image vessel density)である。
・緑内障眼に比して健眼ではRNFL内での毛細血管網の濃度は高かった。
・健眼:緑内障疑:軽度緑内障:中等度以上緑内障は、wiVDをみると、55.5%:51.3%:48.3%:41.7%、cpVDは62.8%:61.0%:57.5%:49.6%で、いずれもp<0.001で有意差があった。
・相関を見ると、視野のSAPのMDとcpVD、wiVDが最も強く、R2=0.54と0.51で、SAPのMDとRNFL(R2=0.36)、リム面積(R2=0.19)が続いた(いずれもp<0.05)(図4)。(TY)

2016
123巻

緑内障眼における視神経乳頭周囲のOCT-A

Ophthalmology 123巻 (12号) 2016

Deep retinal layer microvasculature dropout detected by the optical coherence tomography angiography in glaucoma.
Suh MH et al(CA USA)
Ophthalmology 123(12): 2509-2518, 2016
・71例71眼のβ領域傍乳頭萎縮βPPAを持ったPOAG者で、その領域の深部網膜層の微小血管についてOCT-Aで検討した。
・視神経乳頭周囲のRNFL内の血管濃度cpVD、脈絡膜厚、局所的な篩板LC欠損も算定した。
・傍乳頭の深層微細血管の消失はPOAGの37眼(52.1%)でみられ、消失はLC欠損の有無(70.3% vs 32.4%)、視野のMD値(-9.06dB:-3.83dB)、脈絡膜厚(126.5:169.1μ)、眼軸長(24.7:24.0mm)、βPPA面積(1.2:0.76mm2)、拡張期圧(74.7:81.7mmHg)などに関連していた(いずれもp<0.05)。(図2)(TY)

2016
123巻

空気汚染と網膜中心動脈閉塞症

Ophthalmology 123巻 (12号) 2016

Ambient air pollusion and the risk of central retinal artery occlusion.
Cheng HC et al(Taiwan)
Ophthalmology 123(12): 2603-2609, 2016
・空気汚染と中心動脈閉塞CRAOの発症リスクを検討した。
・2001-2003の台湾の保険データベースから96名のCRAOを調べ、2.5μ以下の粒子のPM2.5、PM10、二酸化窒素NO2、二酸化硫黄SO2、オゾンO3濃度との比較を行った。
・年齢は64.6±12.7歳で67.7%が男性。CRAO発症リスクはNO2レベルが10億分の1上昇後5日間に有意に増加(OR=1.09 95%CI=1.01-1.17 p=0.03)。DM患者では4日後(OR=1.40 p=0.02)、5日後(OR=2.16 p=0.03)で特に上昇していた。
・上昇1日後では、高血圧患者(OR=1.88 p=0.03)、65歳以上高齢者(OR=1.90 p=0.02)で上昇していた。
・PM2.5、PM10やオゾンの上昇はCRAO発症に関連がなかった。(TY)

2016
123巻

緑内障における篩板欠損と視神経乳頭周囲血管網

Ophthalmology 123巻 (11号) 2016

Optical coherence tomography angiography vessel density in glaucomatous eyes with focal lamina cribrosa defects.
Suh MH et al(CA USA)
Ophthalmology 123(11): 2309-2317, 2016
・局所的な篩板欠損のある緑内障患者と、篩板欠損のないPOAG患者、それぞれ41例41眼で、OCT-Aで評価された血管密度を調査した。
・両群の視野欠損障害程度が一致したものを選択した。
・視神経乳頭(約1500μ)縁から750μ幅の領域を選択し、8分割した上で、OCT-Aでその領域内の周乳頭血管濃度(cpVD:circumpapillary retinal nerve fiber layer vessel density)を求めた。
・cpVDとはこの750μ幅領域内で、RNFL層内にある血管面積の率(%)と定義した。
・また、局所的な篩板欠損はswept-source OCT像で調べた。
・局所的な篩板欠損のあるなしが、全体的あるいは8分割領域毎でのcpVDと周乳頭部のRNFL(cpRNFL)厚と関連しているかを検討した。
・篩板欠損のある眼の平均cpVDは篩板欠損のない眼より有意に少なかった(全体では52.9±5.6% vs 56.8±7.7% p=0.013、下耳側では49.5:56.8% p=0.004、上耳側では54.3:58.8% p=0.030、下鼻側では52.4:57.6% p=0.009)。
・同等の重症度の緑内障では、OCT-Aで測定した血管濃度は篩板欠損をもつ眼で有意に低く、また、血管濃度は篩板欠損の部位と関連がみられた。(TY)

2016
123巻

超薄切片DSAEKとDSAEKの臨床経過

Ophthalmology 123巻 (11号) 2016

A Randomized Multicenter Clinical Trial of Ultrathin Descemet Stripping Automated Endothelial Keratoplasty (DSAEK) versus DSAEK
Mor M. Dickman, et al. (Netherlands)
Ophthalmology 2016(11);123:2276-2284.
目的:DSAEKとUT-DSAEKの術後視力、屈折、ECD、合併症を比較検討した。
グラフト厚 DSAEK 200 ± 20μm、UT-DSAEK 100 ± 20μm
対象と方法:66人66眼  DSAEK 32眼、UT-DSAEK 34眼(脱落率6%)
結果:視力は術後3、6、12ヶ月でUT-DSAEKの方が有意に改善した。
  術後3ヶ月 DSAEK 0.28 logMAR、UT-DSAEK  0.17 logMAR (p<0.02)
  術後6ヶ月 DSAEK 0.24 logMAR、UT-DSAEK  0.14 logMAR (p<0.03)
  術後12ヶ月 DSAEK 0.20 logMAR、UT-DSAEK  0.13 logMAR (p<0.001)
ECDに有意差は認められなかった。両グループとも術後3ヶ月で約40%減少し、その後は安定していた。
屈折値は両グループとも同様に遠視化した。
合併症はグラフト損傷、グラフト偏位が認められたが有意差はなかった。拒絶反応、CMEはなかった。
結論: DSAEKと比較してUT- DSAEKで類似の屈折、ECD損失率、合併症の発生率を認めた。また、視力のより早い回復を認めた。(CH)

2016
123巻

眼圧と神経線維の欠損速度との関連

Ophthalmology 123巻 (10号) 2016

Association between intraocular pressure and rates of retinal nerve fiber layer loss measured by optical coherence tomography.
Diniz-Filho A et al(CA USA)
Ophthalmology 123(10): 2058-1065, 2016
・339例547眼について眼圧と網膜神経線維層RNFL厚の変化をSD-OCT(Spectralis)で平均3.9±0.9年間調査した。
・このうち338眼(56.3%)は緑内障、239眼(43.7%)は緑内障疑いである。
・標準の自動視野SAPで測定し、SAPのソフトウエアで進行か非進行かを判定した。
・46例(8.4%)がSAPで進行と判定され、この群では非進行群よりRNFL厚の変化が大きかった(-1.02 vs -0.61μm/年 p=0.002)。
・進行群では眼圧が1mmHg高いとRNFL厚は0.20μ/年薄くなり(95%CI=0.08-0.31μ/年 p<0.001)、非進行群では0.04μ/年(95%CI=0.01-0.07μ/年 p=0.015)であった。
・眼圧とRNFL変化は耳上側と耳下側で強く見られ、鼻側では相関が少なかった。(TY)

2016
123巻

黄斑円孔術後の不等像視

Ophthalmology 123巻 (9号) 2016

Aniseikonia and foveal microstructure in patients with idiopathic macular hole.
Okamoto F et al(筑波大)
Ophthalmology 123(9): 1926-1932, 2016
・56例56眼の手術を受けた黄斑円孔患者のNew Aniseikonia Testで測定した不等像視と中心窩の構造について、術前、術後3,6,12か月後の経過を調査した。
・黄斑円孔の構造については、MHの最少径と基底径、MHの高さ、外境界膜ELM・Ellipsoid zone・Interdigitation zoneの欠損長を調べた。
・術前の不等像視は-3.2±4.6%(-15.5~+5.0%)であり、55%が小視症、7%が大視症、38%が不等像視がなかった。
・不等像視の絶対値は術前の3.8±4.1%から術後12か月では1.0±1.5%に減少した(p<0.0001)。術前の不等像視の絶対量はMHの最小径(p<0.01)、MHの基底径(p<0.01)、ELMの欠損径(p<0.05)と相関があった。
・多変量解析では術前の不等像視はELMの欠損径と相関していた(p<0.05)が、術後の不等像視は何とも関連がなかった。(TY)

2016
123巻

アイケアホームスタディ

Ophthalmology 123巻 (8号) 2016

The Icare HOME (TA022) Study
Performance of an Intraocular Pressure Measuring Device for Self-Tonometry by Glaucoma Patients
LI Mudie et al (USA, MD)
Ophthalmology 123(8) :1675-1684, 2016
手持ち自己眼圧測定器Icare HOMEとスタンダードなIcare(TA01i)とGATとで比較
Wilmer Eye Institute で2014.7月~2015.4月にリクルートされた緑内障患者
各患者1眼:過去の記録で眼圧が高い方の目 両眼同じであれば封筒を用いてランダムに選択
<除外基準>
観血的な緑内障手術、2か月以内の白内障手術、LASIKや角膜の手術歴
ドライアイ患者
Fuchs dystrophyやKeratoconusなどの角膜変性疾患
重篤な関節炎やパーキンソン病や他の動作制限により自己測定が難しい
中心角膜厚が500未満と600を超えるもの
<方法>
最初に15-20分の取扱いの標準的なトレーニングを実施し、3回の自己測定と1回のGAT測定を行って自己測定が可能かどうかの認定を行う
スタディを行う前に装置を正しく使えるか(セットアップやトラブルシューティングも)、患者に実施させて確認
3回のIcare HOMEを実施し3回の測定幅が7mmHg以内であり、GATとの誤差が5mmHgであれば、Certificationが得られる
その後10分間の休憩をはさんだのちに、3回の自己眼圧測定を行う
比較機器:GATはスタディ前にZurichでキャリブレーションを行い、キャリブレーションチェックは測定日毎回実施 Icare HOMEとIcare TA01iのキャリブレーションはFinlandで行われており、それ以上のキャリブレーションは必要ない
Icare TA01iで3回測定 GATは2回測定 10~20mmHgにランダムにセットされたダイアルを検者に見えないようにして測定し、記録係が記録 2回のGATの測定が2mmHg以上ずれた場合は再測定
その他、角膜の染色、測定における自覚症状を検査
<結果>
リクルートされた189眼のうち、18眼は不適格者であった                             → 171眼
171眼のうち 44眼(25%)はスタディを実施できなかった
7眼                    時間制限で不可                                                         → 164眼
10眼(6%)               器械を正しく使う認定が下りず                              → 154眼
27眼(16%)              GATとの誤差が5mmHg以内にならず    → 127眼
スタディを実施できた127眼のうち80%は右利きだったが影響なし
127眼の初回Icare Home測定
116眼でGATとの誤差が5mmHgであったが、2眼(1.6%)で7mmHgを超えた:平均差-0.33mmHg
121眼でTA01iとの誤差が5mmHgであったが、1眼(0.8%)で7mmHgを超えた:平均差0.30mmHg
異なる眼圧レンジでGATとの比較
6-16mmHgの範囲では1眼/60眼(1.7%)で7.5mmHg以上Icare HOMEは過小評価を
23mmHg以上の範囲では1眼/67眼(1.5%)で7.5mmHg以上過大評価をしていた
IOPと屈折値との相関は認めなかったが、K値とCCTは相関関係を認めた
3回の測定での信頼性も高い
今回のスタディでは患者の制限があるので実臨床とは異なる
操作方法の指導後に、目の前で正しく使えるかどうか確認する必要はあるが、正しく使うことができれば安全性が高いため自宅での頻回の測定も可能となり有用な方法となりうる(MM)

2016
123巻

白内障手術後の眼内炎頻度

Ophthalmology 123巻 (7号) 2016

Incidence of acute postoperative endophthalmitis after cataract surgery. A nationwide study in France from 2005 to 2014.
Creuzot-Garcher C et al(France)
Ophthalmology 123(7): 1414-1420, 2016
・2005/1~2014/12にフランスで行った白内障手術後6週間以内の急性術後眼内炎POEと前房内抗生剤注入について、National databaseを元にして検討した。
・この10年間で、3,983,525例6,371,242眼の超音波乳化吸引白内障手術が行われ、POEの比率は0.145%から0.053%と0.37倍と減少した(95%CI=0.32-0.42 p<0.001)。
・多変量解析では前房内抗生剤注入はPOEを0.53倍(95%CI=0.50ー0.57 p<0.001)にした。
・一方、術中の後嚢破損 5.24(4.11-6.68)、同時手術 1.77(1.53-2.05)、男性 1.48(1.40-1.56)とそれぞれ有意にPOEの高riskであった(p<0.001)。(TY)

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