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Ophthalmology

2016
123巻

角膜移植後の眼圧上昇

Ophthalmology 123巻 (7号) 2016

Incidence of intraocular pressure elevation and glaucoma after lamellar versus full-thickness penetrationg keratoplasty.
Borderie VM et al(France)
Ophthalmology 123(7): 1428-1434, 2016
・全層角膜移植PK(1992-2013)、表層角膜移植ALK(2002-2013)、角膜内皮移植EK(2006-2013)後の緑内障の頻度を1657例1657眼について検討した。
・10年間の累積で、眼圧上昇は46.5%、治療を必要とする眼圧上昇は38.7%であった。
・多変量解析では、治療を必要とする眼圧上昇の要因は、術前の緑内障orIOP>20mmHg(hazard ratio HR=1.56 p<0.001)、全層移植(ALKに対してHR=1.12、EKに対してHR=1.10 いずれもp<0.001)、術後の水晶体の状態(有水晶体に対して後房IOLはHR=1.15、前房IOLはHR=1.43、無水晶体眼はHR=2.83、IOL交換や除去はHR=1.48 いずれもp<0.001)であった。
・年齢、術前の診断、術前の濾過手術既往、硝子体同時手術、濾過同時手術は単相関では有意に関連していたが、多変量解析では相関がなかった。
・術後の緑内障による視力喪失はEKでは1.0%、ALKでは2.1%、PKでは3.6%であった(p=0.036)。
・これはPKでの前房隅角や線維柱帯に対する障害や術後のステロイドの使用と関連しているだろう。(TY)

2016
123巻

アカントアメーバ角膜炎とHCL

Ophthalmology 123巻 (7号) 2016

Acanthamoeba keratitis among rigid gas permeable contact lens wearers in the United States, 2005 through 2011.
Cope JR et al(GA USA)
Ophthalmology 123(7): 1435-1441, 2016
・ガス透過性HCL(RGP)とacanthamoeba keratitis(AK)について検討した。
・AKの既往がなく12年間以上のRGP使用者をCtrlとした。
・この間、2回のoutbreakがあり、2007年の報告から10例、2011年の報告から27例を調査した。
・37例の内、9例(24%)はorthkeratologyあるいは治療的RGPの使用者であった。(TY)

2016
123巻

DSEK後10年の角膜内皮細胞密度の減少を全層角膜移植後と比較する

Ophthalmology 123巻 (7号) 2016

Descemet Stripping Endothelial Keratoplasty
Ten year Endothelial Cell Loss Compared with Penetrating Keratoplasty
Marianne O. Price, et al. (Indiana, U.S.)
Ophthalmology 2016(7);123:1421-1427
目的:DSEK後10年での角膜内皮細胞密度(ECD)の減少傾向を全層角膜移植後と比較検討した。
対象と方法:590人752眼、フックス角膜変性症が主な疾患(84%)
結果:DSEK  ECDはbaseline時平均3005 cells/mm2、術後6ヶ月 , 2077 cells /mm2、術後10年408から2538 cells/mm2
損失率は術後6ヶ月で32%、術後10年で71%だった。
PK10年後の損失率は76%であった。
術後6ヶ月から10年の間、1年毎に110 cells/mm2減少したこととなる。
PACEの中で緑内障手術を受けていた症例が32眼(レクトミー19眼、チューブシャント手術13眼)で、DSEK後数年間はフックス角膜変性症や緑内障手術を受けていないPACEより早い率でECDが減少した。(表3)
年齢の高いドナーではECDはやや減少率が高かった。
PK後、ECDは最初の5年間で急激に減少したのに対し、DSEK後は低い割合で徐々に減少した。
結論:DSEK後ECDの減少傾向はPKと異なっていたが、損失率は類似していた。(CH)

2016
123巻

網膜周辺部病変のOCT所見

Ophthalmology 123巻 (6号) 2016

Ultra-widefield steering-based spectral-domain optical coherence tomography imaging of the retinal periphery.
Choudhry N et al(Canada)
Ophthalmology 123(6): 1368-1374, 2016
・網膜周辺部のSD-OCT検査を超広角UWF操舵法(Ultra-widefield steering technique)で観察し、多くの網膜周辺部の病変を描写した。
・widefield=50°,ultra-widefield(UWF)=200°である。
・検査前に2.5%phenylephrineと1%tropicamideを5分おきに3回点眼し、20分後に検査した。
・使用機器はHeidelberg Spectralisで、追加のレンズや装置は使用しなかった。
・周辺を撮るために+18Diopterまで入れ、OCT Z settingを短くした。
・ただし、限界もあり、実際には55%の人(68/124人)しか像が得られなかった。
・理由は患者が周辺部の固視点を固視することが求められ、shortest zero delay line settingや、OCT steering headの回転にも限度があった(図)。(TY)

2016
123巻

近視眼の緑内障検索に対するOCTとHRTの正確性

Ophthalmology 123巻 (6号) 2016

Diagnostic Accuracy of Optical Coherence Tomography and Scanning Laser Tomography for Identifying Glaucoma in Myopic Eyes
Malik R, Nicolela MT, et al. (Canada)
Ophthalmology 2016;123(6):10 1181-1189
【目的】Bruch’s membrane opening (BMO)を基にした網膜神経リムの分析が、従来のdisc margin(DM)を基にした分析と網膜神経線維(RNFL)の解析より近視眼の緑内障診断に優れているかを評価
【対象と方法】近視眼の緑内障患者(n=56)および近視眼のnormal control (n=74)
緑内障の診断は視野検査および眼底写真より3名の臨床家の合意による
・Heiderberg Retina Tomograph(HRT)によりdisc margin rim area (DM-RA)、SD-OCTよりブルッフ膜開口部のパラメータとしてminimum rim width (BMO-MRW)、および従来の方法でRNFL厚を測定
【結果】特異度を90%とした場合の感度は、DM-RAで30%、BMO-MRWとRNFL厚はともに70%であった
ROC曲線下面積;BMO-MRWはDM-RAより有意に高かったが(P<0.001)、RNFL厚と同等であった(P>0.5)
【結論】近視眼の緑内障診断において、BM-MRWはDM-RAよりも診断能は高いがRNFL厚と同等であった(MK)

2016
123巻

DMEK ステロイド点眼を中止した後の拒絶反応発症のリスク

Ophthalmology 123巻 (6号) 2016

Descemet’s Membrane Endothelial Keratoplasty
Risk of Immunologic Rejection Episodes after Discontinuing Topical Corticosteroids
Marianne O. Price, et al. (Indiana, U.S)
Ophthalmology 2016(6);123:1232-1236
目的:DMEK後1年の時点でステロイド点眼を中止した症例と1日1回のステロイド点眼を継続した症例で拒絶反応発生率の違いを検討した。
対象と方法:DMEK後1年経過観察できた259人400眼、平均年齢67歳
症例のほとんどがフックス角膜変性症だった。
術後1年の時点で全例ステロイド点眼は1日1回点眼していた。
術後2年目、ステロイド点眼中止グループ277眼(ECD 2080±439 cells/mm2)、1日1回点眼継続グループ123眼(ECD 1967±465 cells/mm2
研究開始後、1〜2が月で弱いステロイドに切り替えていった。0.1%フルオメソロン点眼または0.5%ロテプレドノール点眼を使用。
結果:14眼で拒絶反応を認めた。全て中止グループだった。
11眼は自覚症状がなく、定期診察時に判明した。
治療はステロイド点眼で、1%プレドニゾロン点眼1時間毎から0.1%フルオメソロン点眼1日4回までいろいろ。
1例のみ再移植が必要となった。
角膜内皮細胞損失率は中止グループ 5.6±12%、継続グループ 6.4±14%で有意差はなかった。
中止グループで、細胞損失率は拒絶症例 1O±19%、拒絶無し症例 6.3± 14%だった。
中止グループの17眼でステロイド点眼中止後眼圧が下がった。
結論:DMEK後2年目にステロイド点眼を中止する事により、6%の確率で拒絶反応が起こった。それに対し、1日1日1回のステロイド点眼を継続した場合は拒絶反応が起きなかった。眼圧に問題がなければ、弱いステロイドでいいので続けたほうが良い。(CH)

2016
123巻

tPA、ルセンティス、ガス注入を用いた黄斑下血腫の移動

Ophthalmology 123巻 (6号) 2016

Intravitreal Tissue Plasminogen Activator, Ranibizumab, and Gas Injection for Submacular Hemorrhage in Polypoidal Choroidal Vasculopathy.
Kitagawa Y, Shimada H, Mori R, Tanaka K, Yuzawa M.(日大)
Ophthalmology. 2016 ;123(6):1278-86. 
【目的】
・黄斑下血腫に対し、硝子体手術を行わずtPA・ranibizumabおよびガスの硝子体注射での効果を検討
【対象と方法】
・黄斑下血腫を発症した血管新生AMD(PCV含む)連続20症例を前向きに評価
・前房穿刺ののち、ranibizumab、tPA 25μg/0.05ml、C3F8 0.3mlを硝子体注入
・2時間の座位の後2日間うつむき姿勢
【結果】
・狭義AMD1眼、PCV19眼。17眼(85%)で血腫が完全移動、3眼(15%)で部分移動
・Snellen視力は術前 20/139→術6か月20/65と有意に改善(P=0.0061)、ETDRS視力は13文字改善(P=0.0040)
・中心網膜厚は599→208μm(P<0.0001)、中心下PEDは188→88μm(P=0.0140)
・3眼で硝子体出血、1眼で網膜剥離を発症
・6か月以内に10例がAMD再発、抗VEGF剤のPRN投与で視力維持
・術後6か月での視力に有意に影響したのは、術前・術後のellipsoid zone残存、術前視力、術前・術後のPED高であった
【結論】
・tPA、ranibizumab、ガスの硝子体注射は血腫を移動させ病巣を改善させた
・良好な視力を保つためには術後の再発を早く見つけて抗VEGF剤を適宜投与するのが望ましい(MK)

2016
123巻

tPA、ルセンティス、ガス注入を用いた黄斑下血腫の移動

Ophthalmology 123巻 (6号) 2016

Intravitreal Tissue Plasminogen Activator, Ranibizumab, and Gas Injection for Submacular Hemorrhage in Polypoidal Choroidal Vasculopathy.
Kitagawa Y, Shimada H, Mori R, Tanaka K, Yuzawa M.(日大)
Ophthalmology. 2016 ;123(6):1278-86. 
【目的】
・黄斑下血腫に対し、硝子体手術を行わずtPA・ranibizumabおよびガスの硝子体注射での効果を検討
【対象と方法】
・黄斑下血腫を発症した血管新生AMD(PCV含む)連続20症例を前向きに評価
・前房穿刺ののち、ranibizumab、tPA 25μg/0.05ml、C3F8 0.3mlを硝子体注入
・2時間の座位の後2日間うつむき姿勢
【結果】
・狭義AMD1眼、PCV19眼。17眼(85%)で血腫が完全移動、3眼(15%)で部分移動
・Snellen視力は術前 20/139→術6か月20/65と有意に改善(P=0.0061)、ETDRS視力は13文字改善(P=0.0040)
・中心網膜厚は599→208μm(P<0.0001)、中心下PEDは188→88μm(P=0.0140)
・3眼で硝子体出血、1眼で網膜剥離を発症
・6か月以内に10例がAMD再発、抗VEGF剤のPRN投与で視力維持
・術後6か月での視力に有意に影響したのは、術前・術後のellipsoid zone残存、術前視力、術前・術後のPED高であった
【結論】
・tPA、ranibizumab、ガスの硝子体注射は血腫を移動させ病巣を改善させた
・良好な視力を保つためには術後の再発を早く見つけて抗VEGF剤を適宜投与するのが望ましい(MK)

2016
123巻

Pneumatic Retinopexyの再評価

Ophthalmology 123巻 (5号) 2016

Outcomes after failed pneumatic retinopexy for retinal detachment.
Anaya JA et al(MA USA)
Ophthalmology 123(5): 1137-1142, 2016
・網膜剥離患者に対する初回のPneumatic retinopexy(PR)が不成功になった場合の次の手法について検討した。
・次の手法としてPRの再試行、硝子体手術PPV、強膜バックルSB+PPVを行った。
・423例のPRのうち、初回のPRが不成功であった73例を検討。
・2度目の手術では75%で復位し、再々手術も含め、1年後には全例復位が得られた。
・2度目の手術の成功率は、PR再試行63%、PPV 76%、SB+PPV 88%であり、有意差はなかった。
・再手術の時期は1週間以内が50%、1か月以内が80%であった。
・2次手術として行われたこの3つの手法は、初回手術として報告されている成功率よりもいずれも低かった。(TY)

2016
123巻

2000-2050年にかけての近視の割合

Ophthalmology 123巻 (5号) 2016

Global Prevalence of Myopia and High Myopia and Temporal Trends from 2000 through 2050
Holden BA, Naidoo KS, et al. (Australia)
Ophthalmology 2016;123(5):10 1036-1042
・1995-2010にかけて調査された近視(<-0.5D)および高度近視(<5D)の有病率に関する報告(145論文、210万名)をメタ解析
・2000年の時点では全世界で近視1,406,000,000名(全人口の22.9%)・高度近視163,000,000名(全人口の2.7%)と推計
・2050年には全世界で近視4,758,000,000名(全人口の49.8%)・高度近視938,000,000名(全人口の9.8%)にのぼると予想(MK)

2016
123巻

ERM手術後の中心窩下網膜剥離について

Ophthalmology 123巻 (3号) 2016

ERM手術後の中心窩下網膜剥離について
Evolution of subfoveal detachments secondary to idiopathic epiretinal membranes after surgery.
Pison A et al(France)
Ophthalmology 123(3): 583-589, 2016
・ERM手術後、2年間経過を追った293眼について中心窩下の網膜剥離(SD)について検討した。
・手術前、中心窩に黄色沈着としてSDが見られたのは59/293(20%)であった。
・SDがあったものとなかったものとで、術後視力には差はなかった(logMAR:0.53±0.14と0.262±0.24 p=0.6)。
・術後、SDは40/59(68%)で4.8±3.2か月で消失したが、多く(62%)では3か月以内に消失した。
・消失したものとしなかったものとの間でも、視力には有意差はなかった(TY)

2016
123巻

前房内抗生剤投与について

Ophthalmology 123巻 (2号) 2016

Comparative effectiveness of antibiotic prophylaxis in cataract surgery
Herrinton LJ et al(USA)
Ophthalmology 123(2): 287-294, 2016
・破嚢は3.68倍(CI=1.89-7.20)、前房内抗生剤投与は0.58倍(CI=0.38-0.91)
—————–
Efficacy of intracameral moxifloxacin endophthalmitis prophylaxis at Arvind Eye Hospital.
Haripriya A et al(India)
Ophthalmology 123(2): 302-308, 2016
・Moxifloxacin前房内投与は術後眼内炎発症を1/4にする(TY)

2016
123巻

白内障手術における予防的抗生剤投与法の比較

Ophthalmology 123巻 (2号) 2016

Comparative Effectiveness of Antibiotic Prophylaxis in Cataract Surgery
Herinton L, et al. (US-CA)
Ophthalmology 123(2):10 287-294, 2016
【目的】白内障手術において、抗生剤の前房内投与および点眼投与の有効性を評価
【対象と方法】2005-2012年にCalifornia州 Keiser Permaneteで白内障手術が行われた204,515例315,246眼。電子カルテよりretrospectiveに調査、患者背景や手術時期、抗生剤の種類および投与経路、術中合併症(後嚢破損の有無)と術後眼内炎のリスクとをロジスティック回帰モデルで解析。
【結果】眼内炎症例は215眼(0.07%)。後嚢破損は眼内炎リスクを3.68倍(95%CI, 1.89-7.20)増加させた。
・抗生剤の前房内投与は点眼単独投与に比べ有意に効果がみられた(OR,0.58; 95%CI, 0.38-0.91)【Tab.2の1.】。
・前房内投与にgatifloxacinまたはofloxacinを追加した群は、前房内単独投与群に比べて追加効果はみられなかった(OR,1.63; 95%CI, 0.48-5.47)。Gatifloxacin点眼と比べると、aminoglycocide系の点眼は有意に劣っていた(OR,1.97; 95%CI, 1.17-3.31)。
*後嚢破損した症例では点眼と前房内投与とに有意なリスク差はみられず
【結論】抗生剤の予防投与を行っていても、後嚢破損は眼内炎の強いリスク因子として残った。抗生剤の前房内投与は点眼投与のみに比べ、有意に白内障術後眼内炎の予防効果があった。抗菌薬の点眼が、抗菌薬前房内投与の効果を有意に増すという結果は示されなかった。
*サブグループ解析ではcefroximeはOR 0.53で有意差あり、moxifloxacinはOR 0.68で有意差でず【Tab.2の2】、ただし両者の差に関する説得力のあるエビデンスにはならず。(MK)

2016
123巻

M-SICS*後の眼内炎に対するmoxifloxacin前房内投与の効果

Ophthalmology 123巻 (2号) 2016

Efficacy of Intracameral Moxifloxacin Endophthalmitis Prophylaxis at Aravind Eye Hospital
Haripriya A, et al. (India)
Ophthalmology 123(2):10 302-308, 2016
【目的】moxifloxacinの前房内投与の導入前後での術後眼内炎の発症率を比較
【対象と方法】2014.2.15~2015.4.15までの期間、Madurai Aravind Eye Hospitalで白内障手術を受けた116,714眼。Group1(37,777眼):チャリティー患者、moxifloxacin前房内投与なし。Group2(38,160眼):チャリティー患者、moxifloxacin前房内投与あり。Group3(37,777眼):プライベート患者(通常診療)、moxifloxacin前房内投与なし。電子カルテより術後眼内炎の発症率を調査比較。
・moxifloxacin前房内投与法;0.5mg/0.1ml(点眼原液のまま)をIOL挿入後?に投与。
【結果】チャリティー患者のほとんどすべて(97%)をM-SICSで施行。プライベート患者は21%のみM-SICSで残りの79%は通常のPEA+IOL。
・眼内炎の発症;Group1で13眼(0.08%)、Group2で6眼(0.02%)(P<0.0001)。Group3は29眼(0.07%)でGroup2よりも有意に高かった(P<0.0001)。
・moxifloxacin前房内投与に関する合併症はみられず
【結論】M-SICSを施行する患者に対しても、ルーチンにmoxifloxacin前房内投与を行うことで術後眼内炎の発症を1/4に抑えることができた。
*M-SICS:Manual, sutureless, small incision cataract surgery(MK)

2016
123巻

緑内障患者では車の衝突事故が多いか?

Ophthalmology 123巻 (1号) 2016

Association between glaucoma and at-fault motor vehicle collision involvement among older drivers. A population-based study.
Kwon M et al(AL USA)
Ophthalmology 123(1): 109-116, 2016
・アラバマ州中北部に在住の70歳以上の2000人の高齢者で、緑内障と車の衝突事故との関係を視野欠損の状態も含めて検討した。
・州の記録から5年間の有責の衝突事故を調査した。
・両眼での遠見視力、両眼でのコントラスト感度、単眼の視野を合成した両眼視野との関連を調べた。
・緑内障患者(n=206)は年齢を調整しても非緑内障者よりも事故率は1.65倍(95%CI=1.20-2.28 p=0.002)。
・緑内障患者の中でも視野欠損が強いものの事故率は2.11倍(95%CI=1.09-4.09 p=0.027)であったが、視力とコントラスト感度とは相関がなかった。
・視野欠損の状態を上、下、左、右、水平方向、垂直方向の6つに分けると、左、上、下欠損が事故率が高く、殊に左視野欠損は他の部位と比較して3.16倍(p=0.001)であった(図)(TY)

2016
123巻

フルメトロン点眼は乾燥のストレスから眼表面を守る

Ophthalmology 123巻 (1号) 2016

Topical Fluorometholone Protects the Ocular Surface of Dry Eye Patients from Desiccating Stress
Jose Pirito-Fraga,(Spain)
Ophthalmology 2016(1);123:141-153
目的:悪条件の環境下で、眼表面悪化予防のための0.1%フルメトロン点眼の有効性を評価する。
対象と方法:中等度から重症のドライアイ患者41人に0.1%フルメトロン点眼またはポリビニルアルコール点眼を1日4回点眼してもらい評価した。
FMLグループ 21人(男性4人、女性17人、平均年齢59.0歳)
PAグループ 19人(男性2人、女性17人、平均年齢60.3歳)
両グループでベースライン時の角結膜の染色、充血、TBUT、シルマーテスト、視力、眼圧などに有意差はなかった。
結果:21日間の治療後、FMLグループで角結膜の染色、充血、TBUTがPAグループに比べ改善した。
悪条件暴露後、FMLグループでは角結膜染色、充血ほとんど増えず、角膜は保たれていた。PAグループではそれらとTBUTが悪化した。
悪条件暴露24時間後、FMLグループでは大きな変化はなかった。PAグループではさらに悪化していた。
結論:0.1%フルメトロン点眼を3週間使用する事によりドライアイによる眼表面徴候を減らすだけでなく、乾燥のストレスによる悪化を防ぐ事ができた。(CH)

2015
122巻

最近の角膜移植術の傾向

Ophthalmology 122巻 (12号) 2015

Keratoplasty in the United States. A 10-year review from 2005 through 2014.
Park CY et al(NY USA)
Ophthalmology 122(12): 2432-2442, 2015
・米国のアイバンクの年次報告から2005~2014の角膜移植内容を調べた。
・総数は44,277(2005)→46,513(2014)と増加。
・全層移植は95%から42%に著減し、様々な部分移植が5%から58%に増加し、2014年の最も多い移植はDescemet stripping endothelial keratoplasty(50%)であった。
・Descemet membrane endothelial keratoplasty(DMEK)は2011年から毎年倍増しており、内皮移植の11%を占めるまでに上昇した。
・円錐角膜に対しては、2014年に米国では89%が全層移植でDALKが11%であるが、カナダでは2012年にDALKが30%との報告もある。(TY)

2015
122巻

アンカロン誘発性の視神経症

Ophthalmology 122巻 (12号) 2015

Amiodarone-associated optic neuropathy. A nationwide study.
Cheng HC et al(Taiwan)
Ophthalmology 122(12): 2553-2559, 2015
・不整脈を治療するために使用される薬であるアミオダロン(アンカロンR)の副作用を報告。
・2005年から2009年にアミオダロンで新規に治療を開始した6,175名について、24,700名のコントロール群と比較した。
・平均年齢は66.7歳で、平均688日の経過観察を行った。
・視神経症を発症したのはアミオダロン群では17名(0.3%)、Ctrl群では30名(0.1%)で有意差があり(p=0.006)、発症リスクは2倍(HR=2.09 95%CI=1.13-3.85 p=0.02)であった。
・男性に限ればリスクは3倍(HR=3.05 95%CI=1.42-6.55 p=0.004)(図)。(TY)

2015
122巻

緑内障術後の篩板移動とRNFL厚の変化

Ophthalmology 122巻 (11号) 2015

緑内障術後の篩板移動とRNFL厚の変化
Lamina cribrosa reversal after trabeculectoy and the rate of progoressive retinal nerve fiber layer thinning.
Lee EJ et al(Korea)
Ophthalmology 122(11): 2234-2242, 2015
・線維柱帯切除術後の篩板偏位の回復と網膜神経線維層RNFL厚の薄くなる進行度とが関連しているかどうかを検討した。
・POAGで線維柱帯切除術を受けた34例で、術後最低2.5年経過をみた。
・術前(PREOP)、術後6か月後(FU1)と最低2.5年後(FU2)で比較した。
・眼圧はPREOPで23.8±7.9mmHgが、FU1では11.0±4.4、FU2(3.5±0.8年)では13.1±5.2。
・LCDは589.90±148.32から、508.57±136.28(FU1)と有意に減少したが(p<0,001)、その後は有意差はなかったが多少増加した(516.48±145.87 FU2,p=0.41)。
・RNFL厚の薄くなるスピードとLCDの変化とは相関がなかった。(TY)

2015
122巻

感染性角膜炎後の角膜神経の再生

Ophthalmology 122巻 (11号) 2015

Degeneration and regeneration of subbasal corneal nerves after infectious keratitis. A longitudinal in vivo confocal microscopy study.
Muller RT et al(MA USA)
Ophthalmology 122(11): 2200-2209, 2015
・感染性角膜炎IK患者の角膜神経の長期変動につき、急性期(初診時)、治療中止時、感染治癒後6か月目までをconfocal microscopy(IVCM)で観察した。
・細菌性28眼、真菌性15眼、アカントアメーバ13眼の計56眼と、正常者30人30眼について比較した。
・全神経線維数と長さ、神経の主幹や角膜知覚を測定した。
・急性期には神経は有意に減少し、全神経線維長は5.47±0.69mm/mm2(Ctrl 20.59±1.06で p<0.0001)。治療終了時には神経線維は再生して有意に増加し、全神経線維長は8.49±0.94、全枝長は4.80±0.37であった。
・回復期では角膜神経は更に再生し、全神経線維長は12.13±1.97、全幹長は5.80±1.00、全枝長は6.33±0.76と有意に増加したが、正常コントロール群よりは有意に少なかった(全部 p<0.05)。
・角膜神経の変性と再生は角膜知覚と相関していた(r=0.47 p=0.0009)。(TY)

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