Outer retinal tubulation as a predictor of the enlargement amout of geographic atrophy in age-related macular degeneration.
Hariri A et al(CA USA)
Ophthalmology 122(2): 407-413, 2015
・網膜外層の小管(outer retinal tubulation,ORT)がAMDの地図状萎縮性病変GAの拡大の予測因子となるかどうかを検討した。
・108眼のAMDに伴ったGAについて18か月間のGAの拡大について検討した。
・108眼中24例がORTを持っており、GAの拡大面積mm2は、ORTを持っていない84例よりも有意に少なかった(1.85±0.78:2.67±1.61 p=0.001)。(図)
Five-Year Treatment Outcomes in the Ahmed Baerveldt Comparison Study
Donald L. Budenz et al (North Carolina) ABC Study group
Ophthalmology 122(2):308-316, 2015
・2014.1.10にAVB Study3年報告 もう一つの同様のデザインによる報告
・18-85歳の眼圧18mmHg以上の難治緑内障患者238眼に対してAhmed-FP7かBaerveldt-350どちらかを無作為に割り付けて実施
・不成功:眼圧21mmHgを超える、術後3か月以降で20%眼圧下降が得られない、眼圧5mmHg以下、再手術、光覚喪失、インプラントの摘出
・2006年10月から2008年4月に登録された276名276眼(143眼:Ahmed, 133:Baerveldt)
・5年経過時点で各グループ87眼、合計174眼の結果
・IOP: AGV 29.6±10.1 →14.7±4.4mmHg BGI 28.3±9.3 →12.7±4.5mmHg
・Medication: AGV 3.5±1.0 →2.2±1.4mmHg BGI 3.5±1.1 →1.8±1.5mmHg
・不成功の内わけ
眼圧コントロール不良または追加手術:Ahmed 46 (不成功の80%), Baerveldt 25(同53%)
低眼圧、摘出、光覚喪失:Ahmed 11(同20%), Baerveldt 22(同47%)
・両群とも約43%で5年後に2line以上の視力低下を認めた
主な理由は 緑内障の進行(約40%)、網膜疾患、角膜疾患、白内障
・最初の3年間は年率10%で不成功、4-5年の間は年率5%であった(MM)
Endophthamitis after penetrating keratoplasty.
Chen JY et al(UK)
Ophthalmology 122(1): 25-30, 2015
・角膜全層移植(PK)後の眼内炎の頻度とそのリスクファクターについて、UK Transplant Registryに1999/4~2006/12に登録された11,320例について検討した。
・提供眼、移植眼の状態、手術の詳細、術後経過について調べた。
・眼内炎の頻度は0.67%で、術後6週間以内は0.16%であった。
・術後5年の角膜生存率は27%(95%CI=16-38%)で、生存角膜での平均矯正視力はlogMARで1.13(小数点0.07)であった。
・眼内炎に関連した因子は提供眼の死因(感染症、敗血症、髄膜炎など)、high-risk症例(感染、外傷、潰瘍性角膜症など)、角膜移植の適応(重症感染、角膜穿孔など)であった。(TY)
Relationship bestween ganglion cell layer thickness and estimated retinal ganglion cell counts in the glaucomatous macula.
Zhang C et al(CA USA)
Ophthalmology 121(12): 2371-2379, 2014
・正常者77眼(49.2±17.1歳)、緑内障疑者154眼(66.0±12.5歳)、緑内障眼159眼(70.9±12.2歳)で、黄斑部の神経節細胞~内網状層間(mGCIPL)厚みと、黄斑部神経節細胞数(RGC)推定数との比較をおこなった。
・RGCの総数は以前に述べた方法で、視野の24-2結果(SAP)と視神経乳頭縁の神経細胞層厚(cpRNFL)から推定した。
・黄斑部RGC総数は耳側のcpRNFL値と中心10度のSAP値から求めた。
・緑内障眼の推定黄斑RGC数は306,010±109,449で、疑者の410,003±83,887個、正常者の520,678±106,843個より有意に少なかった(p<0.001)。
・緑内障眼の黄斑部RGC数は正常者より41%、疑者より21%少なかった。
・また、予測黄斑RGC数とmGCIPL厚とは有意な相関があった(r=0.67, p<0.001)。(TY)
In vivo imaging of radial keratoneuritis in patients with acanthamoeba keratitis by anterior-segment optical coherence tomography.
Yamazaki N et al(金沢大)
Ophthalmology 121(11): 2153-2158, 2014
・アカントアメーバ角膜炎AKの初期にみられる放線状角膜神経症の生体内角膜変化について、18~47歳の4例の前眼部OCTで検索した。
・全例で角膜実質内に高反射帯を検出した。
・高反射帯の深さや幅はばらばらで(20-200μm)、斜めに走っている帯もあったし、異なった深さ(上皮下と実質中央部)に見られる帯もあったが、比較的角膜に並列であった。
・適切な治療により高反射帯は消失した。
・高反射帯は角膜神経症の周囲にある強い局所的な炎症による微小瘢痕であると推測した(図)。(TY)
Time course of changes in aniseikonia and foveal microstructure after vitrectomy for epiretinal membrane.
Okamoto F et al(筑波大)
Ophthalmology 121(11): 2255-2266, 2014
・ERMに対して硝子体手術を行った44症例の不等像視について、中心窩の微小構造との関連を検討した。
・不等像視はNew Aniseikonia Test(Awaya)を用いて測定した。
・術前、術後3,6か月で測定した。術前の不等像視は、39/44(89%)が大視症、1/44(2%)が小視症、4/44(9%)は不等像視がなく、平均6.2±4.5%の大視症であった。
・術後、視力は有意に改善したが、不等像視量は変わらなかった。
・多変量解析では術前の不等像視は内顆粒層INLの厚みと相関し、術後6か月の不等像視は術後のINL厚と相関しており、術前のINL厚みが術後6か月目の不等像視を最もよく予測した(図)。(TY)
Vitrectomy with inner retinal fenestration for optic disc pit maculopathy
Sotaro Ooto et al. (Bascom Palmer Eye institute, University of Miami Miller School of Medicine, Miami, Florida)
Ophthalmology 121(9): 1727-1733, 2014
・視神経乳頭ピット黄斑症の18眼にピット耳側の内層網膜に25G針にて放射状に穴を開けるPars plana Vitrectomyを施行し、効果をOCTと視力で評価した。
・術前全眼で黄斑中央は液体の貯留により網膜の内・外層は著明に肥厚していた。黄斑剥離が14眼に、外層円孔は9眼に認めた。術後平均34.6±26.6か月経過観察。追加治療を行なわずに17眼(94%)で中心窩内、中心窩下の液体は完全治癒した。
・これらの症例ではゆっくりと外側網膜の液体と黄斑剥離も減少した。
・黄斑剥離は術後平均6.1±3.9か月で改善した。
・視力は明らかに改善。10眼(56%)では術後視力20/30以上となった。
・全眼にて黄斑剥離も外層網膜液貯留も認めなかった。液体の網膜内ではなく硝子体腔内への排出がピット黄斑症の組織には長期の改善をもたらす仮説に基づくと思われる。(YM)
Effect of early treatment with aqueous suppressants on Ahmed Glaucoma Valve implantation outcomes
Mohammad Pakravan et al (Iran)
Ophthalmology 121(9): 1693-1698, 2014
・AGVを受けた94眼をGroup1(47眼):術後10mmHgを超えたらβ/CAI投与とGroup2(47眼):術後目標眼圧である15mmHgを超えたら投与開始に分けてプロスペクティブに比較
・両群の背景に有意差はなし
・術後12週までは点眼数がGroup1の方が多かったが、その後は点眼数に有意差はなく、眼圧コントロールはGroup1の方がよかった。
・術後の高眼圧期も少なかった。
・術後早期にインプラント周囲に房水が流れると、インプラント周囲のブレブが厚く硬くなり、房水の吸収が悪くなる。
・早期に房水産生抑制薬を使用することで、ブレブ周囲に炎症関連物質が広がるのを抑制し、良質なブレブができることで、術後成績の向上が得られたのではないか。(MM)
Proposed lexicon for anatomic landmarks in normal posterior segment spectral-domain optical coherence tomography. International Nomenclature for OCT Consensus.
Staurenghi G et al(Italy)
Ophthalmology 121(8): 1572-1578, 2014
・SD-OCT各部位の名称につきOCT国際的な名称の統一についてパネルミーティングを行い、全員一致で名称を統一した。
・その中で、line線という用語は使用せず、band(layer)帯は薄板の名称として、帯zoneという言葉は、特異的な反射構造が確実に証明されていない、解剖学的な部位を指すこととした(myoid筋様、ellipsoid楕円、interdigitation嵌合帯がその例である)。
・国際OCT名称委員会は今後、この用語を使用することを推奨する。
・この国際OCT名称委員会は30名の委員から構成され、委員にはKaiser P, Spaide RF, Yanuzzi Lなども入っている。(図)
Layer No) OCT Description:Consensus Nomenclature
1) Hyperreflective:Posterior cortical vitreous
2) Hyporeflective:Pre-retinal space
3) Hyperreflective:Nerve fiber layer
4) Hyporeflective:Ganglion cell layer
5) Hyperreflective:Inner plexiform layer
6) Hyporeflective:Inner nuclear layer
7) Hyperreflective:Outer plexiform layer
Hyporeflective band:Inner half: Henle’s nerve fiber layer; outer half: outer nuclear layer
9) Hyperreflective:External limiting membrane
10) Hyporeflective:Myoid zone of the photoreceptors
11) Hyperreflective:Ellipsoid zone of the photoreceptors
12) Hyporeflective:Outer segments of the photoreceptors
13) Hyperreflective:Cone interdigitation with RPE
14) Hyperreflective band:RPE/Bruch’s membrane complex. On occasion this can be separated into more than 1 band
15) Thin layer of moderate reflectivity in inner choroid:Choriocapillaris
16) Thick layer of round or oval-shaped hyperreflective profiles with hyporeflective cores in mid-choroid:Sattler’s layer
17) Thick layer of oval-shaped hyperreflective profiles with hyporeflective cores in outer choroid:Haller’s layer
18) Zone at the outer choroid with a marked change in texture in which large circular or ovoid profiles abut a homogenous region of variable reflectivity:Choroidal-scleral juncture(TY)
Reticular pseudodrusen. A risk factor for geographic atrophy in fellow eyes of indivisuals with unilateral choroidal neovascularization.
Finger RP et al(Australia)
Ophthalmology 121(6): 1252-1256, 2014
・一眼に最近診断された脈絡膜新生血管(CNV)のある他眼に、Reticular pseudodrusen(RPD)があると後に地図状萎縮GAやCNVに進展するリスクが高いかどうかを検討した。
・1眼にAMDによるCNVがあり、他眼には末期のAMD所見のない200例(76.8±7.1歳)について検討した。
・他眼にRPDのある例は116眼(58%)で、そのうち、RPDのみの例は34例、125μm以上の硬性白斑と色素変化もある例は82例である。
・平均経過観察2.3年で、CNV発生は36%、GA発生は14%
・他眼にRPDのない例は84例(42%)で、そのうち、125μm以上の硬性白斑と色素変化もある例は64例、他に何もない例は20例である。
・RPDのあった例で進行しなかったのは45例(38.8%)、CNV発生は45例(38.8%)、GAに進展は26例(22.4%)であったが、RPDのなかった例では、非進行例は56例(66.6%)、CNV発生は26例(31.0%)、GAに進展は2例(2.4%)であり、いずれも有意差があった(p<0.001)。
・RPDはGAを発生するリスクは高いが(HR=4.93 p=0.042)、CNVを発生するリスクは高くない(HR=1.19 P=0.05)。
・125μm以上の硬性白斑や色素変化のある例では、CNVの発生リスク(HR=1.96、HR=2.49)やGAを発生するリスク(HR=11.73、HR=5.75)と有意に高かった(TY)
Outcomes of Macular Hole Surgery with Short-Duration Positioning in Highly Myopic Eyes
Jean-Baptiste Conart, et al. (France)
Ophthalmology 121(6): 1263-1268, 2014
・高度近視眼の黄斑円孔術後に3日間うつ伏せ姿勢をした結果を近視のない眼と比較した。
近視グループ 眼軸長26mm以上 47眼、コントロールグループ 眼軸長26mm以下 47眼
・全体の解剖学的な治癒 89.4%
近視グループ 39/47 (83%)、コントロールグループ 45/47 (95.7%)
1回のオペで閉鎖せず2回目で閉鎖
近視グループ 42/47 (89.3%)、コントロールグループ 47/47 (100%)
視力 近視グループ 0.93±0.31 → 0.52±0.43
コントロールグループ 0.98±0.36 → 0.30±0.20
視力は近視グループで際立って低かった。(P < 0.001)
視力 近視グループ 視力改善 39例(83%)
不変 5例(10.6%)
悪化 3例(6.4%)
・眼軸長が増加すると、成功率は低下する傾向にある。
BBGの使用の有無では差はなかった。
後部ブドウ腫はリスク要因ではなかった。
・高度近視眼の黄斑円孔術後に3日間うつ伏せ姿勢をした結果、解剖学、機能的に満足する結果をもたらした。
しかし、コントロールグループと比べ、閉鎖率と視力改善は劣った。(CH)
Oral Fluoroquinolones and the Incidence of Rhegmatogenous Retinal Detachment and Symptomatic Retinal Breaks: A Population-Based Study
Kapil G. Kapoor, Andrew J. Barkmeier, et al. (US-MN)
Ophthalmology 121(6): 1269-1273, 2014
【目的】フルオロキノロンの経口薬が裂孔原性網膜剥離・症候性網膜裂孔の頻度上昇に関連するか、population-based cohortで調査
【対象と方法】症例:2003年1月-2011年7月にかけてミネソタ州オルムステッドでフルオロキノロン(F群)経口薬を投与された成人患者。対照:同じ期間内にマクロライド(M群)およびβラクタム(β群)の経口薬を投与された患者。Procedure codeにて網膜剥離の治療または予防治療を抽出し経口薬投与後7, 30, 90, 365日以内の頻度を調査。
【結果】F群38,046名、M群48,074名、β群69,079名。
投与365日以内の網膜剥離手術;F群0.03% (95%CI:0.01-0.06)、M群0.02% (95%CI:0.01-0.03)、β群0.03% (95%CI:0.02-0.05)で有意差みられず (p>0.05)。
投与365日以内の症候性網膜裂孔に対する網膜剥離の予防手術;F群0.01% (95%CI:0.00-0.03)、M群0.02% (95%CI:0.01-0.04)、β群0.02% (95%CI:0.01-0.04)でこれも有意差みられず (p>0.05)。
投与後7, 30, 90日後の調査でも群間に有意差みられなかった【Tab.2】。
調査期間でのフルオロキノロン投与後の網膜剥離手術頻度はオルムステッドの過去 (1976-1995)の網膜剥離手術頻度と有意差がみられなかった(10万人年あたり36.8名vs 28.8名、p=0.35)。
【結論】今回の集団調査では経口フルオロキノロン投与は裂孔原性網膜剥離および症候性網膜裂孔のリスク増加と関連しなかった。(MK)
A comparison of lamellar and penetrating keratoplasty outcomes. A registry study.
Coster DJ et al(Australia)
Ophathalmology 121(5): 979-987, 2014
・1996/1~2013/2のAustraliaで行われた角膜移植登録17065眼から、全層角膜移植13,920例、Deep Anterior Lamella(DALKs)の858眼、内皮移植2,287例について検討した。
・年代傾向としては円錐角膜に対する全層移植が減ってDARKsが増加、Fuchs変性や偽水晶体水疱性角膜症に対する全層移植が減って内皮移植が増加していた。
・円錐角膜にたいする全層移植とDALKsを比較すると、グラフト生存率(p<0.001)も視力(p<0.001)も全層の方が良かった。
・Fuchs変性に対しても全層移植の方が内皮移植よりも有意に良かったが(p<0.001)、偽水晶体水疱性角膜症に対しては内皮移植の方が良かった(p<0.001)。
・また、内皮移植については、100例以上の術者は、100例未満の術者よりも有意に結果が良かった(p<0.001)。
・2年後の生存率は100例以上の術者は75%以上であるのに、それ以下の術者は40%未満である。(TY)
Clinical and spectral-domain optical coherence tomography findings in patients with focal choroidal excavation.
Lee CS et al(Korea)
Ophathalmology 121(5): 1029-1035, 2014
・38例41眼の局所脈絡膜窩FCEについて検討した。
・年齢は50.1歳(25-76歳)、屈折度は-3.7D(-10.0~+1.5D)であり、3例(8%)は両眼性で、1例(3%)は1眼に2か所のFCEがあった。
・FCEの幅は757(54~2615)μm、深さは107(38-341)μmで、両者の間には相関があった(p=0.003)。
・FCE眼の中心窩脈絡膜厚は284(70-571)μmでコントロール眼と有意差はなかった。
・FCE部に高反射脈絡膜部のあった22眼(54%)では、なかった眼に比べ脈絡膜厚は薄かった(128:190μm p=0.009)。
・視細胞層とRPEの間が離れている歪な形のFCE20眼(29%)では、視機能障害(p<0.001)やCSCの合併(p=0.001)があった。
・10眼(24%)はCSC、9眼(22%)はCNV(そのうち1眼はPCV)を合併していた。
・FCEとtype1CNVを持った1眼は新たにFCEを発生し、PCVのあるFCEの1眼では窩の拡大がみられた。
・以前に先天異常と考えられていたFCEはCSC、CNVやPCVなどの脈絡膜疾患に比較的よくある病態である。図(TY)
Prospective masked comparison of intraoperative floppy iris syndrome severity with tamsulosin versus alfuzosin.
Chang DC et al(USA)
Ophthalmology 121(4): 829-834, 2014
・70例のTamsulosin、43例のalfuzosin使用者、113例のコントロール(計226例)でIFISの発生頻度を調べた。
・術中のphenilephrineやepinephrineの使用は禁止した。
・ビデオ判定で、発生せず、軽度:虹彩揺れのみ、中度:揺れと、虹彩の陥頓か2mm以上の縮瞳、重度:虹彩の陥頓と2mm以上の縮瞳として判定。
・重度のIFISはT群34.3%、A群16.3%、Ctrl群4.4%で有意差があった。
・Ctrl群でもepinephrine未使用者では12.4%に軽度、8%に中度、4.4%に重度のIFISが発生した。
・前立腺肥大があり、白内障手術を予定する人ではまず、alfuzosinを第1選択で使用すべきであろう。(TY)
Retinal blood vessel positional shifts and glaucoma progression.
Radcliffe NM et al
Ophthalmology121(4): 842-848, 2014
・8回以上のハンフリー視野24-2測定を行っている125例のOAGで、閾値変化が軽度(-0.02dB/年以下)、中度(-0.02~-0.65dB/年)、高度(-0.65dB/年以上)の3群に分け、網膜血管移動があるかどうかについて検討した。
・緑内障群では33/125(26.4%)にみられたが、Ctrl群では2/33(6%)であり、有意差があった(p=0.01)。
・網膜血管移動群では非移動群よりも視野変化が強かった(-0.55:-0.29dB/年 p=0.03)。
・網膜血管移動は軽度進行では12.1%、中度・高度進行群では31.5%であった(p=0.04)。
・視野進行は網膜血管移動(OR=2.2 95%CI=5.7-83.6 p<0.001)、乳頭出血(OR=4.6 95%CI=1.5-15.5 p<0.001)と優位に相関していた。
・網膜血管移動は機能的な緑内障進行、視神経乳頭辺縁喪失や乳頭出血のあるOAGに起こるので、この所見は大切である。(TY)
Differentiating mild papilledema and buried optic nerve head drusen using spectral domain optical coherence tomography
Kaushal M. Kulkarni et al (Department of ophthalmology, Sharp Rees-Stealy Medical Group, San Diego, California)
Ophthalmology 121(4): 959-963, 2014
超音波Bモードにて埋没視神経乳頭ドルーゼン(ONHD)と判断した9名16眼と特発性頭蓋内圧亢進による乳頭浮腫の6名12眼、ONHDの正常な他眼2眼で、SD-OCTを用いてRNFLとEDI SD-OCTを比較したが、ONHDと乳頭浮腫で明瞭な違いは無かった。OCT上Discの隆起は下に高輝度の物質が無くスムースであれば乳頭浮腫の可能性が高いがすべてではない。RNFLは5名の医師で読影の結果、乳頭浮腫の41~75%を埋没ONHDか正常と判断し、埋没ONHDの13~56%を乳頭浮腫か正常と判断し、全4象限でRNFLは変わりが無かった。OCT上埋没ONHDは形状、大きさ、位置にいろいろあり判断が困難な原因となっている。結果としてSD-OCTはこの両者の鑑別には信頼性が無いと思われた。(YM)
Risk factors for Amblyopia in the Vision in Preschoolers Study
Maisie Pascual et al. (PA USA)
Ophthalmology 121(3): 622-629, 2014
3才から5才の幼児3,869人。296名(7.7%)に片眼弱視、144名(3.7%)に両眼弱視があった。斜視(P<0.0001)と強い屈折異常(近視・遠視・乱視・不同視)は片眼弱視の危険を増加させる。斜視、2D以上の遠視、1D以上の乱視、0.5D以上の不同視が片眼弱視の子どもの91%に認められた。強度乱視(P<0.0001)と両眼遠視(P<0.0001)は単独でも両眼弱視の危険を増加させる。3D以上の両眼遠視又は1D以上の乱視が両眼弱視の子どもの76%に存在した。両眼弱視の診断は3才で各眼視力が0.4以下か4才から5才で0.5以下とした。片眼弱視の診断は矯正視力で左右差2段階以上の違いとした。(YM)
Assessing the cone phtoreceptor mosaic in eyes with pseudodrusen and soft drusen in vivo using adaptive optics imaging.
Mrejen S et al(NY USA)
Ophthalmology 121(2): 545-551, 2014
・網膜下のドルーゼン様の沈着物(SDD)を伴った11例11眼の融合していない偽ドルーゼンと6例11眼の通常のドルーゼンとで、補償光学AO像を比較した。
・偽ドルーゼンではOCT上ellipsoid zone帯の欠損がみられたが、軟性ドルーゼンでは見られなかった。
・錐体密度はSDDの間では8964±2793個/mm2であったが、SDD上では863±388であり、90.4%減少していた。
・軟性ドルーゼンでは、その間の密度は12595±3323で、ドルーゼン上では9338±3723で、減少率は21.9%であった。
・両者の減少率には優位差があった(p<0.001)。
・このことから、偽ドルーゼンを持つAMDでは脈絡膜新生血管や網膜色素上皮萎縮とは無関係に網膜機能が低下していることが推察される(TY)
Retinal structure and function in achromatopsia. Implications for gene therapy.
Sundaram V et al(UK)
Ophthalmology 121(1): 234-245, 2014
・全色盲者について、Thiadensらは30歳未満では錐体欠損は42%にしかみられないのに、30歳を超えると95%にみられると報告、Thomasらも年齢に依存したONLの菲薄化があると報告しているが、その真偽を検討した。
・OCT上での中心窩構造を5種類に分けた。
・1)内節楕円(ISe):Ellipsoid layer(旧IS/OS)が連続している、2)ISeが断裂、3)ISeが欠損、4)低反射層HRZがある、5)RPE欠損を伴う網膜外層の萎縮がある。
・年齢6-52歳(平均24.9歳)の40例で検討。
・原因遺伝子で5群に分かれた。
・22.5%でISeが連続、27.5%でISeが断裂、20%でISeが欠損、22.5%でHRZ、7.5%で外層萎縮があったが、年齢との相関、網膜感度との相関などはなかった。
・分類3-5に相当する錐体欠損は30歳未満の57%にあったが、30歳以上の33%にみられただけであった。
・また、中心窩の低形成(内網膜層の1層以上の残存:OPL, INL, IPL, GCL)は21/40例52.5%にみられた(TY)