The role of topical antibiotic prophylaxis to prevent endophthalmitis after intravitreal injection.
Storey P et al(PA USA)
Ophthalmology 121(1): 283-289, 2014
・約4年間のWills Eye Institureのデータをまとめた。
・ranibizumab、bevacizumab、afliberceptを117,171回注射した。
・抗生剤点眼を使っていた28ヶ月間の57,654回、その後の8ヶ月間の移行期間では24,617回、その後の抗生剤点眼薬を使用しなかった9ヶ月間の34,900回を比較した。
・総計で44例(0.038%)の眼内炎が発生、そのうち17例(0.015%)はculture(+)であった。
・抗生剤点眼使用期間中には28例(0.049%)、そのうち10例(0.017%)はculture(+)、抗生剤非使用期間では11例(0.032%)、そのうち4例(0.011%)がculture(+)であった。
・抗生剤点眼は眼内炎を発生しやすくしており(OR=1.54 95%CI=0.77-3.10)、culture(+)については、OR=1.51 95%CI=0.47-4.83であった。
AJO 157(3): 503-504, 2014 Editorial:Povidone-iodine for endophthalmitis prophylaxis.
・1種の抗菌剤に耐性を獲得した菌は他の抗菌剤にも耐性を持ちやすく、抗菌剤点眼よりもpovidone-iodineでの予防が最も効率的で効果的である。(TY)
Assessment of Choroidal Thickness and Volume during the Water Drinking Test by Swept-Source Optical Coherence Tomography
Mansouri K,et al.(Switzerland)
Ophthalmology 120(12):2508-2516, 2013
【方法】28名の健常ボランティア。トプコン社のプロトタイプのSwept-source(SS)OCTを用いて視神経乳頭領域(6×6mm)と黄斑部(6×6mm)を3次元スキャン。ベースライン時および飲水負荷(1000mLを五分間で)後15、30、45、120分後に測定。
これらの測定には脈絡膜の境界線を自動的に区別する機能を用いた
【結果】被験者の年齢35.6±9.1歳。眼圧はベースライン時が14.9±2.7mmHg、ピーク時の飲水15分後(16.8±3.0)で有意に上昇(P<0.001)。
ベースライン時の脈絡膜の厚みと体積は、傍視神経乳頭部で181.3±50.8μmおよび6.19±1.80mm3、黄斑部で217.4±43.6μmおよび7.83±1.55mm3。
飲水負荷テスト後、傍視神経乳頭部と黄斑部の脈絡膜の厚みは最大で5.7%(P<0.001)および4.3%(P<0.001)増加。脈絡膜の体積はそれぞれ最大で6.4%(P<0.001)および3.9%(P<0.001)増加【Tab.2】 。
眼圧変化と傍視神経乳頭部・黄斑部の脈絡膜厚の間に有意な関連みられず【Fig.4】。
【結論】SS OCTの自動分割プログラムを用いた測定では、健常者の飲水負荷テストの後に脈絡膜の厚みと体積の有意な増加がみられた。(MK)
Role of Corneal Collagen Cross-Linking in Pseudophakic Bullous Keratopathy
A Clinicopathological Study
Arora R, Goyal G, et al.(US-IL)
Ophthalmology 120(12):2413-2418, 2013
【目的】偽水晶体水疱性角膜症(PBK)におけるコラーゲンクロスリンキング(CXL)の臨床的・病理組織学的変化を検証
【対象と方法】角膜移植予定のPBK患者24名。グループA;全層角膜移植1か月前にCXLを施行(n=12)、グループB;全層角膜移植3か月前にCXLを施行(n=12)。施行1週間後、1か月後、3か月後(グループBのみ)に評価。
【結果】平均視力はCXL後1か月で有意に改善した(術前1.925±0.173→1か月後1.75±0.296、P=0.010)が、3か月後には悪化した(1.81±0.23)。流涙・充血・眼痛などの症状改善はCXL後1か月が最高であり、3か月後には悪化傾向がみられた。18名がCXL後1か月で角膜ヘイズの減少がみられ、3か月後で12眼中9眼で同様の効果がみられた。中心角膜厚はCXL後1か月で有意な減少がみられた(術前846.46±88.741μm→1か月後781.0±98.788μm、P<0.01)が、3か月後には850.08±136.06μmと増加した。免疫染色の鏡検では実質浅層の圧縮がグループAの7/12眼・グループBの5/12眼でみられた。
【結論】PBK患者においてCXLは症状の改善・中心部角膜厚の減少・ 実質浅層の圧縮を引き起こす。しかしこの効果は時間とともに減少し疾患の重篤度に依存する。(MK)
Meibomian Gland Dysfunction and Hypercholesterolemia
Pinna A, et al.(US-IL)
Ophthalmology 120(12):2385-2389, 2013
【背景と目的】マイボーム腺機能不全(MGD)の進行には腺分泌物に含まれるコレステロール値の上昇が重要な役割を持つことが結論づけられている。若中年者(18-54歳)においてMGDと高コレステロール血症との相関を調査
【対象と方法】MGD徴候のある患者60名とMGDのみられないコントロール63名(ともに高コレステロール血症の既往なし)。BMI、空腹時の血中トリグリセリド・総コレステロール・LDL・HDL・血糖・クレアチニンを測定。MGDの有無・性別・年齢・上記血液検査値を投入しステップワイズ法によるロジスティック回帰分析でオッズ比を算出。
【結果】MGD群の35例(58.3%)、コントロール群の4例(6.3%)で高コレステロール血症がみられた(P<0.0001)。T-chol、LDL、HDLはいずれもMGD群で有意に高値だった(P<0.0001)【Tab.1】。ステップワイズ法によるロジスティック回帰分析では、MGDは血中総コレステロール値と有意に関連していた(OR 1.07; 95%CI 1.04-1.09; P<0.001)。同様にMGDは血中LDL値と有意に関連していた(OR 1.11; 95%CI 1.06-1.17; P<0.001)。
【結論】MGDがあり高コレステロール血症の既往のない若中年者は、MGDのない同世代よりも血中コレステロール値が高いようだ、もしもこの知見が更に大規模なスタディで実証されれば、MGDは高コレステロール血症の今までに知られていないマーカーとなるかもしれず、心血管疾患の重要なリスクファクターを早期に発見するのに眼科医が重要な役割を担うかもしれない。(MK)
The Impact on Vision of Aspheric to Spherical Monofocal Intraocular Lenses in Cataract Surgery A Systematic Review with Meta-analysis
Alexander K. Schuster et al (Germany)
Ophthalmology 120(11):2166-2175, 2013
・MEDLINE, EMBASE, Web of Science, BIOSIS, Cochrane Library
・RCTを抽出 BCVA, Contrast sensitivity(明所・暗所), QOV
・240のスタディから抽出し、基準を満たした43スタディ、非球面2076例と球面2034例を比較 2002年から2011年 ヨーロッパ18、アジア17、北米3、南米4、アフリカ1
・TECNIS 23/ AcrySof IQ11/ mixed group 9
・BCVA:有意差無し、非球面の種類の違いも有意差無し
・Contrast Sensitivity:明所では1.5cpdから6cpdで小さな影響があるが、暗所では中等度から高い影響がある。12cpd以外すべてにおいて非球面が良かった
・暗所での高い視機能を求めるような、パイロット、ハンター、トラック運転手、北欧の人々にとって非球面IOLは有益であると考えられる。(MM)
The Ahmed Versus Baerveldt Study Three-Year Treatment Outcomes
Panos G. Christakis et al (Canada)
Ophthalmology 120(11):2166-2175, 2013
・18歳以上の難治緑内障を含む緑内障患者238眼に対してAhmed-FP7かBaerveldt-350どちらかを無作為に割り付けて実施
・OAG119例(64/55)、NVG50例(28/22)、Uveitic23例(10/13)、Other46例(22/24)
・不成功:術後3カ月以降で(IOP5-18mmHg かつベースラインから20%以上の眼圧下降)を2回連続で外れる。視力障害をきたす合併症、追加緑内障手術、光覚喪失
・低眼圧に起因する合併症はAhmedがゼロ、Baerveldtが7例(suprachoroidal hemorrhage3, retinal/choroidal detachments3, refractory hypotony requiring explantation1)
・IOP(3年目):Ahmed 15.7±4.8mmHg、 Baerveldt 14.4±5.1mmHg (P=0.09)
・点眼(3年目):Ahmed 1.8±1.4mmHg、 Baerveldt 1.1±1.3mmHg (P=0.002)
・視力:両群とも同程度の低下を認めた 11例で光覚消失 うち7例はNVG
・不成功率(3年目):Ahmed 51%、 Baerveldt 34% (P=0.03)
眼圧の基準を18mmHgとしてあることが既報との違いの主な理由
不成功のほとんどが術後1年目の間に生じている
・Bascom Palmer Eye Instituteのグループが行っているABC Studyと同程度の結果(MM)
Short-term Consumption of Oral Omega-3 and Dry Eye Syndrome
Haleh Kangari,et al. (Iran)
Ophthalmology 120(11): 2191-2196, 2013
・オメガ3=DHA,EPA,αリノレン酸を含む必須脂肪酸
・ドライアイと診断されている患者64人、(1)45~90歳 (2)BUT 10秒以下(3)人工涙液点眼を使用していない人。
・投与前後のBUT、眼表面疾患インデックス(OSDI)、シルマー試験を比較検討した。
プラセボ群(31人) オメガ3群(33人)
投与前 投与後 投与前 投与後
BUT(秒) 4.5±2.1 → 4.7±2.6 BUT(秒) 3.9±1.7 → 5.67±2.6
OSDI 36.4±13.8 → 37.6±13.5 OSDI 38.7±16.5 → 29.3±15.9
シルマー(mm) 6.0±2.6 → 6.2±2.5 シルマー(mm) 5.8±2.5 → 6.8±2.8
BUTはオメガ3群で71%、プラセボ群で3.3%改善した(p<0.001)。OSDIはオメガ3群で26%改善、プラセボ群で4%悪化した(p=0.004)。シルマーはオメガ3群で22.3%、プラセボ群で5.1%改善した(p=0.033)。
・オメガ3は2つの炎症サイクルに関係していると言われている。
この改善は、オメガ3のマイボーム腺での抗炎症作用が起こった
ためかもしれない。これにより、マイボーム腺からの分泌が良くなり、
涙液層の蒸発を遅らせ、涙液層の復活を手助けしたと思われる。(CH)
Aqueous Flare and Choroidal Thickness in Patients with Chronic Hepatitis C Virus Infection
A Pilot Study
Strobbe E, et al.(Italy)
Ophthalmology 120(11):2258-2263, 2013
【目的】無症状のHCV陽性患者の血液-前房関門と中心窩下脈絡膜厚(SCT)を評価
【対象と方法】20名のHCV陽性患者(男女比12:8、平均46.9歳)と20名の健常コントロール(男女比10:10、平均48.2歳)。眼科的検査、レーザーフレアセルメーター(FC-500、Kowa社)を用いた前房フレア値、SD-OCT(Spectralis、Heidelberg社)のenhance depth imagingを用いたSCTを測定。
【結果】コントロール群と比べ、HCV陽性患者は前房フレア値の有意な高値(P<0.0001)とSCTの有意な増加(P<0.0001)を示した【Tab.1】
サブ解析にて、肝線維症がみられる患者は、それのみられない患者に比べて前房フレア値およびSCTが有意に増加していた【Tab.2】。
HCV陽性患者においては、前房フレア値とSCTとの間、および前房フレア値と肝線維症との間に有意な相関がみられた【Fig.2】。
【結論】血液-前房関門の破綻と脈絡膜の肥厚が無徴候のHCV陽性患者の特徴としてみられた。脈絡膜の肥厚はサブクリニカルな前房内炎症の程度と相関した。前房フレアと脈絡膜厚は肝線維症のみられる患者で最も高値であった。(MK)
Evaluation of lamina cribrosa in pseudoexfoliation syndrome using spectral-domain optical coherence tomography enhanced depth imaging.
Kim S et al(Korea)
Ophthalmology 120(9): 1798-1803, 2013
・21例の偽落屑緑内障PXGの篩板LCをEDI-OCTで調べ、35例のPOAGの場合と比較した。
・PXGとPOAGとは年齢、眼圧(18.3±8.2:15.3±3.4mmHg)、視野障害程度MD(-12.7±9.0:-11.6±9.1dB)をマッチさせた。
・LCの厚み(LT)と篩板前部までの深さALDを視神経乳頭の上方中央、中央、下方中央の3ヶ所で調べた。
・LTでは、3か所ともPXGの方が薄かった(121.3±13.0:133.4±14.4μm p<0.001)が、ALDにはPXGとPOAGとの間に差はなかった(324.3±91.9:358.7±142.7μm p=0.47)。
・21例の内、片眼性のPXGの9例について、PXG眼と健眼とで比較したが、LTもALDも、有意な差はなかった(p=0.223, p=0.079)。
・PXGは全体的な基底膜の疾患であるので、LCの障害が一見、正常な健眼にも発生したのであろう。(TY)
Choroidal thickness measurement in myopic eyes by enhanced depth optical coherence tomography.
Ho M et al(Hong Kong)
Ophthalmology 120(9): 1909-1914, 2013
・-6D以上の56例の近視眼で、中心窩を中心にした6mmの水平断で脈絡膜厚CTをEDI-OCTで測定した。
・CDはRPE外面から強膜内面迄とした。
・年齢は50.4±2.03歳(四分位範囲IQR 42-62歳)、屈折度は-8.7D(IQR -6.1~-11.0D)である。
・中心窩CTは118±68μmであり、年齢(p=0.032)、近視度(p=0.011)と負の相関があった。
・回帰分析では、10歳毎に11.9μm薄くなり、近視1D毎に6.205μm薄くなっていた。
・中心窩CTは視力logMARと負の相関があり(p=0.008)、CTが10μm増加で0.02(logMAR)上昇していた。
・CTの減少は加齢、近視度数に関連し、視力はCTに依存していた事から、脈絡膜異常が近視性変性の病因の鍵になっている可能性があると考えた。(図)(TY)
Corneal collagen cross-linking with riboflavin and ultraviolet A irradiation for keratoconus. Long-term results.
Hashemi H et al(Iran)
Ophthalmology 120(8): 1515-1520, 2013
・進行した円錐角膜に対し、角膜コラーゲンクロスリンキング(CXL)を行った32例40眼について検討した。
・紫外線照射は30分間行い、その間、3分おきにriboflavinを使用した。
・検査は術前、術後1,3,6ヶ月、1,2,4,5年後に行なった。
・logMARでの裸眼視力は術前0.67±0.52(小数点0.21)→5年後0.65±0.51(小数点0.22)。
・BCVAは術前0.31±0.28(小数点0.49)→5年後0.19±0.20(小数点0.65) p=0.016。
・乱視度は-3.14±2.22→-2.49±1.71D(p=0.089)。
・最大K値は0.16±2.20D減少し(0.645)、平均K値は0.10±1.69D減少した(p=0.707)。
・CCT値は483.87±29.07→485.95±28.43μmに増加。
・角膜頂点の前面突出量は13.92±8.28→11.45±8.18mm(p=0.030)、この点の後面突出量は29.54±18.39→26.34±19.59mm(p=0.285)。
・角膜頂点突出度の減少は5年間継続しており、CXLは病状の進行を阻止できることが分かった。(TY)
Obstructive sleep apnea and increased risk of glaucoma. A population-based matched-cohort study.
Lin CC et al(Taiwan)
Ophthalmology-120(8): 1559-1564, 2013
・閉塞性睡眠時無呼吸OSAの患者には開放隅角緑内障OAGの有病率が高いとの報告が多い。
・台湾での長期健康保険データーベースを用いて、OSAと診断されてから5年以内のOAGの発症リスクについて検討した。
・対象としたOSAは1012名で、コントロールとして6072名を抽出した。
・5年間でOAGを発症した頻度はOSAでは、1.126%(95%CI=0.861-1.449%)、Ctrlでは 0.676%(95%CI=0.580-0.783%)であり、収入、地域、DM、高血圧、心疾患、肥満や眼科受診回数などで補正した後の5年間での発症頻度は、OSAでは1.67倍(95%CI=1.30-2.17 p<0.001)であった。(TY)
Effects of different sleeping postures on intraocular pressure and ocular perfusion pressure in healthy young subjects.
Lee TE et al(Korea)
Ophthalmology-120(8): 1565-1570, 2013
・睡眠中の頭や体の位置が、眼圧IOPや眼灌流圧OPPに与える影響について40歳未満の成人ボランティアを用いて検討した。
・IOPと血圧BPを座位、仰臥位、右側臥位、左側臥位、頭を右あるいは左回転したうつ伏せで測定した。
・ただし、頭が横向きの場合は下になった眼を測定眼とした。
・測定にはIcare眼圧計を用い、5分間上記の姿勢をとった後に測定した。
・OPPは心臓と眼の位置で補正した血圧から計算した。
・座位でのIOPは全ての臥位よりも有意に眼圧は高く(全部 p<0.001)、座位でのOPPは全ての臥位よりも有意に低かった(全部 p<0.001)。
・側臥位あるいはうつ伏せでの頭回転で、頭が横向きになった場合、下になった眼の眼圧は上の眼よりも有意に眼圧は高かった(全部 p<0.001)が、OPPには差がなかった。(TY)
Oral docosahexaenoic acid in the prevention of exudative age-related macular degeneration. The nutritional AMD treatment 2 study.
Souied EH et al(France)
Ophthalmology-120(8): 1619-1631, 2013
・片眼に新生血管AMDがある55歳から85歳までの患者で、対象眼にAMD初期像があり、視力が0.4 logMAR(小数点0.4)以上の263例を対象として、DHAを840mg/日+EPAを270mg/日を内服する群と、プラセボーを内服する群に分けて3年間経過観察した。
・AMD初期像とはドルーゼンか、網状偽ドルーゼンreticular pseudodrusenのあるものとした。
・対象眼にAMDを発生するまでの期間と頻度は、DHA群では19.5±10.9ヶ月-28.4%であり、プラセボー群の18.7±10.6ヶ月-25.6%との間に有意差はなかったが、DHA群では赤血球膜RBCM内のEPA+DHA値は有意に増加しており(+70% p<0.001)、このうち、RBCM内のEPA+DHA値が上位25%のものでは、3年間の内にAMDを発症する率が14.3%(4/28)に対し、下位25%では32.5%(13/40)であり、-68%減少(HR=0.32 95%CI=0.10-0.99 p=0.047)していた。
<コメント> オメガ3不飽和脂肪酸1110mg/日(DHA 840mg+EPA 270mg)の量は、オキュバイト50プラス(DHA90mg+EPA160mg)、サンテルタックス20+DHA(DHA 200mg+EPAなし)、サントリーDHA&EPA+セサミンE(DHA300mg+EPA100mg)に比して大量である(TY)
Age-related Macular Degeneration and Modification of Systemic Complement Factor H Production Through Liver Transplantation
Khandhadia S, Lotery AJ, et al. (UK)
Ophthalmology 120 (8):1612-1618, 2013
・肝移植で肝のCFH Y402H genotypeが変化することによる補体H産生の変更が、AMD発症に影響するかを調査
・5年以上前に肝移植を受けた55歳以上の西ヨーロッパ住民223名
・AMDの状態は標準的なgrading systemで評価。レシピエントのCFH Y402H genotypeはレシピエントの血液より採取したDNAより解析。ドナーのCFH Y402 genotypeはレシピエントのCFH Y402Hタンパクのアロタイプより推察。全身の補体の活動性は血漿よりenzyme-linked immunosorbent assayで測定。
・年齢・性別・喫煙状態・BMIで補正すると、肝移植患者においてAMDはドナーのCFH Y402H genotypeではなく(P=0.626)レシピエントのCFH Y402H genotypeと関連していた(P=0.036, OR 1.6, 95%CI;1.0-2.4)。【Tab.3】
・レシピエント血漿のCFH Y402Hタンパクのアロタイプはドナー組織のCFH Y402Hタンパクのアロタイプと100%一致していた(n=49)。
・血漿の補体の基質および活性化因子はAMDの有無で同程度だった【Fig.2】
・過去の報告(Rotterdam Study)と比較すると、肝移植患者はAMD(注;早期ARM含む)の有病率(64.6% vs.37.1%; OR3.09, P<0.001)およびCFH Y402H変異の率(41.9% vs. 36.2%; OR3.09, P<0.001)ともに高頻度であった。【Tab.1】
【結論】 肝における補体Hの産生の変更はAMDの存在と関連しない。さらに、AMDは肝移植患者における全身の補体の活動性と関連しない。これらの知見から、AMDの発病には眼内の部分的な補体の活動性がより重要な影響を及ぼしていることが示唆される。肝移植患者でAMDの有病率が高くなったのはCFH Y402H変異の率が上昇したためかもしれない。
*遺伝子治療により異常なCFHを直接または全身の遺伝子治療により正常なCFHに置き換えてもAMDの治療としては成功しないかもしれない(MK)
Corneal Collagen Cross-Linking for Ectasia after LASIK and Photorefractive Keratectomy
Long-Term Results
Richoz O, Hafezi F,et al. (Switzerland)
Ophthalmology 2013;120 (7):1354–1359
・LASIK後(23眼)およびPRK後(3眼)に生じた進行性の角膜軟化症に対し角膜クロスリンキング(CXL)を施行、12-62(平均25)か月経過観察
・矯正視力の平均;CXL前が0.5 LogMAR unitsに対しCXL後は0.3 LogMAR unitsと有意に改善(P<0.001)、1ライン以上の改善が19眼、不変が7眼
・Kmax(ケラトメータのK値の最大値)の平均値;CXL前が52.8±5Dに対してCXL後は50.9±4.9Dと有意に低下(P<0.001)
・Rmin(曲率半径の最小値)はCXL後に有意に増加(P=0.006)した一方、surface varience(P=0.03)およびindex of vertical asymmetry(P=0.04)やkeratoconus index(P=0.03)およびcentral keratoconus index(P=0.016)は有意に低下した【Tab.1】
【結論】LASIKやPRK後に生じた角膜軟化症はCXLにより進行が止まり平均25か月の経過観察中にわたり視力およびKmaxの維持または改善を示した。4つの角膜トポグラフィの指標で改善がみられ、より正常に近い角膜表面になったことが示された。(MK)
Ranibizumab treatment outcomes in phakic versus pseudophakic eyes
David V. Weinberg et al (Depertment of Ophthalmology, Medical College of Wisconsin, Milwau-kee, Wisconsin)
Ophthalmology 120(6): 1278-1282, 2013
・白内障手術はAMD眼には負の影響を与えると考えられている。更に偽水晶体眼では硝子体の解剖学的特徴と生化学的な内容が変化し、元来の水晶体よりも体積が減少することで硝子体の容積、ゆえに薬剤が分配される容積は増加する。また、偽水晶体眼では硝子体注射した薬剤の前房への逸脱があることも、異なる要素である。
・浸出性AMDに対する毎月のIVRで治療した有水晶体眼と偽水晶体眼における視力を比較した。
ANCHOR Study:243名(有水晶体眼)、179名(偽水晶体眼)
classic CNVのあるAMD患者に対して毎月0.3㎎又は0.5㎎のIVRとsham PDT、 PDTとsham IVRの比較
MARINA study:385名(有水晶体眼)、330名(偽水晶体眼)
わずかなclassic 又はoccult CNVの浸出性AMDに対し、毎月の0.3㎎又は0.5 ㎎IVRと毎月のsham注射との比較
・両studyにて有・偽水晶体眼で視力結果に差は無かった。12か月後には偽水晶体眼は有水晶体眼に比し、ETDRSで15文字以上の低下をきたしやすかったが、24か月後では差は無かった。若年者では効果が出やすいため有水晶体眼では結果が良いのかもしれないが、結果的にこの2つの調査方法では有・偽水晶体眼での差は無かった。
・水晶体の有無は毎月のIVRに単独の影響は無い。(YM)
Association of retinal sensitivity to integrity of photoreceptor inner/outer segment junction in patients with diabetic macular edema.
Yohannan J et al(MD USA)
Ophthalmology 120(6): 1254-1261, 2013
・25例37眼の糖尿病黄斑症患者で、網膜感度とIS/OS層の状態との関連をPOLAR Ⅲを用いたmicroperimetry MP(32点/中心4度,12点/8度,12点/12度)とOCTで調査した。
・37眼の固視点は、30眼が中心固視、3眼が傍中心窩固視、4眼が中心外固視であり、27眼がCME、10眼が汎黄斑浮腫である。
・平均中心窩厚は325μm、MPでの全1036点の平均感度は10.51dBであった。
・793点ではIS/OS層は連続で、243点ではIS/OS層は不連続であり、不連続性は網膜感度を3.28dB低下させていることが分かった。(TY)
Peripheral autofluorescence and clinical findings in neovascular and non-neovascular age-related macular degeneration.
Tan CS et al(CA USA)
Ophthalmology 120(6): 1271-1277, 2013
・100例200眼のAMD患者における200度の広角眼底装置(Optos 200Tx)を用いて、網膜周辺部の自発蛍光異常が何と関連しているかを、19例38眼の非AMD者と比較して検討した。
・網膜周辺部のFAF異常は全症例の164眼(68.9%)にみられ、その変化は顆粒状(46.2%)、斑状(34.0%)、貨幣状(18.1%)であり、そのうち両眼で90%が一致していた。
・異常FAF所見は新生血管AMDで86%(正常者と比較したOR=12.7 p<0.001)、非新生血管AMDで72.8%(OR=6.2 p<0.001)、正常者で18.4%であり、それぞれに有意差があった(p<0.001)。
・高齢者ほど(上と下の1/4を比較すると OR=6.5 95%CI=2.4-17.8 p<0.001)、女性ほど(OR=4.1 95%CI=1.9-8.9 p<0.001)多かった。
・174眼(73.1%)では眼底写真でも検出された。
・その内容は周辺ドルーゼンが51.7%、RPEの脱色素が34.9%、RPE過色素が22.7%、斑状萎縮が16.8%であった。
・このうち、FAF異常と有意に相関のあったものは、顆粒上FAF異常と周辺ドルーゼン(p<0.001)、斑状FAF異常とPPE脱色素(p<0.001)であった。(TY)
Transneuronal retrograde degeneration of the retinal ganglion cells in patients with cerebral infarction.
Park HYL et al(Korea)
Ophthalmology 120(6): 1292-1299, 2013
・網膜神経節細胞(RGCs)の経ニューロン逆行性変性(TRD)が、後頭葉あるいは視中枢以外の病変のあるヒトでOCTで検出できるかどうかを検討した。
・その他に、RNFL障害の部位と強さが、脳障害の位置、梗塞の動脈支配(前大脳動脈ACA、中大脳動脈MCA、後大脳動脈PCA)、梗塞発症年齢と関連するかどうかについても検討した。
・MRIで脳梗塞と診断された56例と、46例の正常者で検討した。RNFL厚は、脳梗塞部と反対側の眼の上、下、鼻側で薄く、同側眼の上、下、耳側で薄かった。
・RNFL厚はPCA梗塞>MCA梗塞>ACA梗塞の順により薄かった。
・平均RNFL厚は梗塞発症後の経過時間(多変量p=0.046)、梗塞の大きさ(多変量p=0.047)に比例して有意に薄くなっていた。(TY)