Changes in the tear film and ocular surface after cataract surgery.
Oh T et al(Korea)
Jpn J Ophthalmol 56(2): 113-8, 2012
・白内障手術後の角膜知覚、涙液層機能、眼表面の安定性について検討した。
・30例48眼(62±9.7歳)の角膜切開で行ったPEA手術患者について、シルマーテスト1法(ST1)、角膜知覚測定、BUT測定、耳側眼球結膜でのimpression cytologyを手術前日、術後1日、1ヶ月、3ヶ月で測定した。
・Cochet-Bonnet知覚計を用いた角膜知覚(角膜に直角に押しつけたナイロン糸の長さ:0-60mmで測定)は角膜全体でも術後1日目には有意に低下していた(術前55.7±4.1mm:1日目49.2±5.4 p<0.05)
・角膜切開部に近い耳側角膜では更に顕著で、術前58.6±3.4mmが、術1日目は39.5±14.4と、有意に低下していた(p<0.001)
・ただ、いずれの部位でも、1ヶ月目には回復していた。
・BUTも術後1日目には有意に低下していたが(術前9.2±3.2:1日目6.3±2.7 p=0.01)、術後1ヶ月目には回復していた。
・ST1は術前後で変化はなかった。杯細胞数濃度(GCD:cells/mm2)は術後1日目、1ヶ月目、3ヶ月目でも有意に低下しており(それぞれ、396±79:287±81:321±92:343±65といずれもp<0.001)、このGCDの低下は白内障手術時間と高く相関していた(1日目ではr2=0.65、3ヶ月目ではr2=0.59)。
・1日目の障害の方が3ヶ月目よりも大きかったことから、点眼薬のせいではないと考得られる。
・手術時間は起炎性chemical mediators、顕微鏡の光などによる障害を引き起こすのであろう。
・白内障手術後の眼不快感やドライアイ症状は微細な眼表面の障害が要因になっている可能性がある。