小口 優ほか(大雄会第一病院、中京病院)
眼科臨床紀要 8(9): 661-664, 2015
【背景】従来、線維柱帯切開術(TOM)は手術適応として不向きとされてきた外傷性緑内障に対し、Trabectome®を用いたTOMが有効であった症例を経験したので報告した。
【症例】40歳男性、平成3年19歳時の交通事故後に左眼外傷性緑内障を発症し、平成24年12月、手術目的で当科へ紹介受診した。6時~8時にかけて虹彩離断と9時に虹彩癒着を伴っていた。
・当院初診時眼圧は右眼15mmHg、左眼22mmHg、Humphrey視野計にて左眼上方および下方の弓状暗点を認めており、上方角膜切開より4時30分~8時にかけてTOMを約100°施行した。
・術後眼圧は10~20mmHgの間で経過した。
【結論】TOMは外傷性緑内障に対して眼圧下降を得られることがあるため、結膜を温存できる本術式は二期的な濾過手術にも対応できることから外傷性緑内障に対する手術選択の一つとなりえた。(MK)