白内障術後の水晶体嚢の収縮によりアクリル眼内レンズに眼球内部高次収差が発症した症例に対するNd-YAGによる前嚢切開
中村 充利(中村眼科・長崎)
臨床眼科 2017;71(4):523-529
・アクリル眼内レンズ(IOL)の挿入眼に生じた高次収差の増大の診断と治療法の報告
・細隙灯顕微鏡で明らかな傾斜や偏位などの位置異常を伴わない白内障術後症例に、波面収差測定で強い眼球高次収差の発生を認めたアクリルIOL挿入8症例8眼
・Nd-YAGによる放射状の前嚢切開術後に、波面収差測定器(KR-1W, TOPCON)で眼球高次収差を比較
【結果】アクリルIOL挿入眼に発生している眼球内部高次収差には、複雑なコマ収差、トリフォイル収差、テトラフォイル収差が認められた
・Nd-YAGによる前嚢切開術後、root mean square (RMS)(4mm)が有意に減少(術前0.673→術後0.374、p=0.019)
【結論】アクリルIOL挿入眼に生じる眼球内部高次収差の増大は、IOL挿入術後合併症のひとつであり、Nd-YAGによる前嚢切開で治療できる可能性がある
*8眼中2眼にYAG後5-6週でRMSの再上昇(術前の80%)→Nd-YAG再施行にて改善、その後NSAIDs点眼とステロイド点眼にて再発なし(MK)