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その他のジャーナル

2018
122巻

全層角膜移植術(PK)後移植片不全症例(GF)に対する角膜内皮移植術後(DSAEK)の拒絶反応

その他のジャーナル 122巻(12号)2018

大本貴士、他(東京大学)
日眼会誌122 : 942-948. 2018(12)
目的: DSAEKの拒絶反応発症率は約4.8%だが、 failed PKに対するDSAEK の拒絶反応は約16.7%との報告もあり術後に注意すべき合併症である。
PK後のGF症例に対するDSAEK後に拒絶反応を発症した3例の臨床経過の報告。
対象と方法: failed PKに対するDSAEK 17例中術後良好な接着が得られたのは14例、拒絶反応が起きた3例だった。
結果: 3症例はすべて男性で、 PKの原疾患はそれぞれヘルペス角膜炎,白内障術後水疱性角膜症、外傷後角膜白斑であった。3例のうち2例はDSAEKの前にPKを複数回施行されていた。DSAEK後の拒絶反応を発症するまでの期間は26か月, 14か月, 10か月であり, 3例とも角膜浮腫および角膜後面沈着物を認めたが、1例は自覚症状がなかった. 3例ともPK移植片への血管侵入は認めなかったが,いずれもPK後GFとなるまでに拒絶反応の既往があった。3例ともステロイドの結膜下注射と点眼回数増加,またはステロイドセミパルス療法で改善したが、1例は最終的に再度GFとなった。
結論: 3例はいずれもPK後に拒絶反応の既往があり、一般的なDSAEK後の拒絶反応に比べ反応が強かった。PK後の拒絶反応時にPK移植片への抗原特異的なT細胞が予め所属リンパ節で産生されていた可能性が考えられる。ヒトでは共通の組織適合抗原を持っていることが多く、DSAEK移植片に対する過去のPK移植片と共通の組織適合抗原が予め存在していたために、通常のDSAEK手術後よりもより強く拒絶反応が出たのではないかと思われる。
PK後GFに対するDSAEK術後では, PK後の拒絶反応の既往に注意して経過観察を行う必要がある。(CH)

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