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その他のジャーナル

2018
62巻

糖尿病網膜症のためのパターンスキャンレーザーを用いた汎網膜光凝固術の補助治療としてのトリアムシノロンアセトニドテノン嚢下注射

その他のジャーナル 62巻(6号)2018

Posterior subtenon infusion of triamcinolone acetonide as adjunctive treatment to panretinal photocoagulation using pattern scan laser for diabetic retinopathy
Yutaka Yamada, et al.(福井大学)
Japanese Journal of Ophthalmology (2018) Nov;62(6):686-692
目的:パターンスキャンレーザー(PSL)とトリアムシノロンアセトニドテノン嚢下注射(STTA)の併用が、PSLを使用したレーザー治療後の炎症を軽減させるのに有効か、また合併症も検討した。
対象と方法:前増殖糖尿病網膜症の患者43眼。
STTA + PSL群では、STTA 20mg / 0.5mLは0日目行われた。(0日目は患者が登録された日)
最初のPRPは1週後に行われ、2回目のPRPは3週後に行われた。両眼症例では、最初に治療した眼のデータが登録された。
PSL群19眼、STTA + PSL群24眼
PSL群5眼(26.32%)、STTA + PSL群7眼(29.17%)にMEが認められた。
結果:ベースライン時中心網膜厚(CRT)はPSL群320.26±59.67μm、STTA + PSL群339.29±79.02μm、術後7週はそれぞれ340.21±77.91μm、308.15±69.16μm(P=0.04)、術後11週335.7±67.70μm、283.8±60.75μm(P=0.01)、術後15週316.7±54.89μm、281.13±35.29μm(P=0.02)で、STTA + PSL群のCRTはPSL群より有意に低かった。
ベースライン時前房フレア強度(AFI)は、PSL群10.45±5.12 pc/ms、STTA + PSL群12.64±6.63 pc/ms、術後11週はそれぞれ15.85±8.38 pc/ms、10.47±3.40 pc/ms(P=0.007)、術後15週は14.37±3.85 pc/ms、11.38±3.31 pc/ms(P=0.009)でSTTA + PSL群のAFIはPSL群より有意に低かった。
視力はPSL群の42.12%(8/19)が術後15週で悪化した。一方、STTA + PSL群では20.83%(5/24)が改善し、12.50%(3/24)が悪化した。
眼圧は、PSL群とSTTA + PSL群でそれぞれ術後7週目は14.24±2.82と15.58±3.53 mmHg、15週は14.32±3.43と12.71±6.35 mmHgであった。
視力と眼圧の群間の有意差は認められなかった。
PSL群の3眼とSTTA + PSL群1眼で、残存MEのため術後15週目にラニビズマブ硝子体内注射を受けた。
結論:たとえ非侵襲性PSLが使用されたとしても、PRPがMEおよび炎症の一時的悪化を誘発することを証明した。STTAはこれらのレーザーの合併症を予防するだけでなく、CRTとAFIを減少させるのにも効果的である。(CH)

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