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その他のジャーナル

2019
123巻

ドライアイに合併した糸状角膜炎の機序とその治療の現状

その他のジャーナル 123巻(11号)2019

Mechanism and Current State of Treatment for Filamentary Keratitis with Dry Eye
青木崇倫 他(京都府立医大)
日眼会誌123:1065-1070,2019(11)
・ドライアイ外来にて経過観察、治療中のドライアイのうち糸状角膜炎を伴う症例の背景および、その治療と経過についてレトロスペクテイブに検討した。
・対象と方法:糸状角膜炎に対して治療開始後少なくとも3か月以上経過観察できた53例53眼(男性7例7眼,女性46例46眼、両眼性の場合は症状の強いほうの眼を採用)。年齢は39-88歳(平均値±標準偏差: 69.8± 10.5歳)で,観察期間3-46か月(平均21.3か月)。
・FK発見時のドライアイ診断は、ドライアイ確定46例(87%)で最も多く(87%)、推定される機序は涙液減少39例(74%)が多かった。推定される機序によらず、発見時にジクアホソルナトリウム点眼液を使用している例が多かった(涙液減少: 39%,摩擦克進: 30%,複合機序: 75%)。涙液減少が主な機序と考えられるFKでは、その改善のため上・下涙点プラグの挿入を要した例が多く(71%)、摩擦克進が主な機序と考えられるFKでは、パミピド懸濁点眼液での改善が最も多かった(63%)。
・糸状角膜炎の機序は,多岐にわたるが,最も一般的な機序として涙液減少型ドライアイがあり、その他、摩擦関連疾患などいくつかの疾患や病態が複合的に関与すると考えられた。また, 戻液減少を機序とする糸状角膜炎には戻点プラグ治療が最も効果的であり、摩擦充進が主たる機序と考えられる糸状角膜炎に対しては、 RMが有効と考えられた。一方、ドライアイに合併する糸状角膜炎の発症に、 DQSが関与している可能性があり、ムチン/水分比の増加、涙液の粘性の増加を促し、結巣として摩擦の増加を招いて角膜糸状物が形成されやすくなると推察される。(CH)

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